植物ギャラリー

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良く見る仲間の多い草花たち

スミレの仲間 〜スミレの花が咲き始めると春の訪れを感じますが、園芸品種は結構花期が長いです。寒い冬でも見かける時があります。〜

カタバミの仲間 〜春によく見るカタバミですが、秋から咲き始める品種もあります。花も葉も陽が射すと開き、夜や曇りの日は閉じます。属名のOxalis はギリシャ語の「oxys(酸っぱい)」に由来します。〜

スミレの仲間

タチツボスミレ(立坪菫)

日本のスミレ属は種類が多いが、その中でもタチツボスミレは道端から山地まで生息し、地域によっても種類が多く、最もよく見られるスミレである。わずかに横に這い、古くなると木質化する。葉は普通のスミレより丸っこい。縁に低い鋸歯があり艶なし。下部の葉の基部は深く切れ込み上部の葉は浅い心形。花茎は開く前にはほとんどなく、開く頃には10cm程になり花後は高く伸びる。花は側弁の基部は無毛。距は細く紫色を帯びる。花の色が薄いのが普通だが、やや濃く葉もやや細長い中間的な形態のものも見られる。「たち(立ち)」は花後に立ち上がるから、「ツボ(坪)」は庭の事で、庭で立ち上がるスミレと言う事ですかね? ちなみに「スミレ」の名は、花の形が大工道具の「墨壺=墨入れに使う壺」に似ているからだそうである。興味のある方はこちら(墨壷の使い方(墨付け))(菫(すみれ)と墨入れの関係)をどうぞ。かつて子供たちが花の距の部分や花茎を引っ掛けて二人で引っ張り合い勝負する遊びがあり、そこから「相撲草」「相撲取草」「喧嘩花」といった別名もある。

スミレ科スミレ属 学名:Viola Grypoceras 英名:Violet 漢名:紫花菫菜 多年草 原産:日本(在来種)・朝鮮・中国・台湾・ロシア 花言葉:つつましい幸福・小さな幸せ・謙虚・誠実

サンシキスミレ(三色菫)

園芸種であるパンジーの原種の一つ。園芸種が今日のように洗練され広く植栽される以前は、パンジーと言う名は本種を指した。年配者はパンジーをこの名で呼ぶ事がある。なお現在ではパンジーと本種は別種に扱われている。ほふく性で葉は互生し、茎上部の葉は長楕円形で低い鋸歯がある下部の葉は小型で卵形。花径は1.5〜2cm程で距は短い。草丈は高くても15cm程度。ただし他の植物に寄りかかることで1m程まで伸びる事がある。果実は長さ約1cmの卵形の蒴果、熟すと上向きになり3裂する。種子は長さ約1.5mm。両性花であり自家受粉もする。他花受粉の場合はミツバチが花粉を媒介する。昔は「失恋の特効薬」として信じられていた。実際は「呼吸器疾患」の薬として用いられた歴史がある。シクロチド含有植物の1つであり、そのサイズおよび構造に由来する高い安定性から新薬開発に極めて有用であるとわかっている。本種から発見された数多くのシクロチドは細胞毒性を有し、その特性を生かし抗がん剤に使えるのではないかと考えられている。

スミレ科スミレ属 学名:Viola Tricolor 英名:Wild Violet・wild pansy 漢名:三色菫・園菫菜 多年草 原産:ヨーロッパ 花言葉:物思い・私を思って・楽しい思い・思い出・思想

パンジー
ユウチョウカ(遊蝶花)

花名の由来はフランス語の「思想(pensee:パンセ)」からで、花のブロッチ模様がもの想いに耽る人の顔に見えるところから付けられた。1800年代に野生のスミレとサンシキスミレを交配して生まれた。その後さらに膨大な交配が行われ、現在では多数の品種が流通し、種類も花のサイズも豊富である。学名は同じだが、日本では花の直径が4cm以下の小型矮性種をビオラと呼んでいる。10月頃に植え、春の終わりまで咲き、暑くなると枯れる。非常に丈夫な植物で、株が雪に埋まっても凍結しても、株・茎・葉・花は損傷せず、解けた後は活動を再開する。高さ15~25cmで短い茎が直立する。葉は卵形~楕円形で鋸歯があり長さ3.8cm以下、長い葉柄があり互生する。葉の付け根には羽状の大きな托葉がある。葉腋から花茎を伸ばして頂部に花を咲かせる。花径5~10cm、花茎の頂部は釣り針型に曲がる。花は左右相称の5花弁、ほぼ円形で下弁の基部の後ろ側には短く目立たない距がある。果実は細長い蒴果で、最初は下向き、熟すと上向きになり、3裂して種子を落とす。

スミレ科スミレ属 学名:Viola X Wittrockiana 英名:Pansy 漢名:圓三色菫・三色紫罗兰 耐寒性一年草 原産:北ヨーロッパ 花言葉:物思い・私を思って・(黄)慎ましい幸せ・(白)温順・(紫)思慮深い・(杏色)天真爛漫

ビオラ

ビオラとパンジーとの定義はかなり曖昧であるが、花径5cm以上をパンジー、4cm以下をビオラ、また原種に近いものもビオラと呼ぶ事が多い。パンジーに比べて開花期がやや短いがその分強健で栽培が容易とされている。品種は1980年頃までは数種に過ぎなかったが、現在はかなりの色合いのものが作出されており、パンジーの方も強健多花性の品種も多く作出されている。現在では見た目が豪華なのがパンジー、可愛らしいのがビオラとするかなり主観的な分け方になっている。ビオラとはラテン語で「紫」を意味し、ギリシャ神話の王ゼウスの恋人「ion(イオン)」に由来する。ゼウスは正妻の目から逃れるためイオンを雌牛の姿に変える。当時花の付かなかったスミレの草をゼウスはイオンにたくさん与える。しかし正妻にバレてしまいイオンは星に変えられてしまう。悲しんだゼウスはイオンの瞳と同じ色の花をスミレに咲かせた。と言う切ない神話が残っている。

スミレ科スミレ属 学名:Viola X Wittrockiana 英名:Viola 漢名:圓三色菫 耐寒性一年草 原産:ヨーロッパ 花言葉:誠実・信頼・忠実・少女の恋・物思い・私を思って

アメリカスミレサイシン・プリケアナ(亜米利加菫細辛)
ワサビスミレ(山葵菫)

観賞用として渡来したものが野生化。「細辛」とは、葉の形がウマノスズクサ科のウスバサイシン(薄葉細辛)に似ている事に因む。地下にワサビ状に太くなる根茎を持つ。葉は丸い円心形で先が尖り、 基部は深く切れ込んで上に巻き込む。光沢があり縁には低い鋸歯がある。花は花径2~3cm、全体的にふっくら丸みを帯び強く反り返る。側弁基部の豊かな毛が際立つ。花の後方に短く太い距(きょ=花の後ろに飛び出た蜜の入った袋)がある。花と葉は食用可能、根も食べられるとする情報源もある。ヒョウモンチョウ族類の幼虫が食草とし、昔インディアン部族は風邪や頭痛の治療に服用した。アメリカの同時代人も当時、咳、咽頭痛、便秘に用いたと言う記録がある。

スミレ科スミレ属 学名:Viola sororia cv.Proceana 英名:Common Blue Violet 多年草 原産:北アメリカ東部 花言葉:豊かな恋・小さな愛

ヒメスミレ(姫菫)

花色や葉の形はスミレによく似ているが、全体に小さく葉の長さは1.5〜4cm(スミレは2〜9cm)、花は径1〜1.5cm(スミレは2cm)、とそれぞれ一回り小さい。葉の形でも区別が付く。ヒメスミレは左右に張った細長い三角形で基部はハート形、低い鋸歯が目立ち葉柄には翼がない。スミレは細長いほこ型の三角形で基部は丸く、鋸歯は目立たず葉柄にははっきりした翼がある。アスファルトのひび割れから顔を出す事もある。小さい草なので、背丈の高い雑草が増えるとより目立たなくなる。あまり株立ちにならず、たいてい単独で生えているが、同じ場所に複数個体がそれぞれやや間を開けてポツポツと生えているのを見ることが多い。多くの場合スミレと混同されているであろう。

スミレ科スミレ属 学名:Viola inconspicua Blume 漢名:小菫菜 多年草 原産:日本の本州・四国・九州(在来種)・台湾 花言葉:ささやかな幸せ・ひそかな愛・誠実・貞節・愛

カタバミの仲間

カタバミ(片喰・酢漿草・傍食)

地方名には「かがみぐさ」「すいば」「しょっぱぐさ」「すずめぐさ」「ねこあし」「もんかたばみ」など180種以上が記録されている。中国では「三葉酸草」「老鴨嘴」「酸味草」「満天星」などの別名がある。根は真直ぐ下に伸び、基部が太くなる。茎は地を這い地表に広がる。葉は三出複葉で小葉はハート型。散形花序(枝先に一つずつ花がつく)を作り、黄色の5弁花を咲かせる。果実は先が尖った円筒形で、真っ直ぐに上を向く。成熟し何かに触れると弾けて種子を出す。葉の色は黄緑色、赤色、2つの中間的な色の3種類がある。赤い葉のものをアカカタバミ(赤片喰)と呼ぶ。通常のカタバミより耐性があり、車の排ガスに見舞われる道路の路肩などでも逞しく育つ。葉や茎はシュウ酸塩を含んでいるため咬むと酸っぱい。全草は酢漿草(サクショウソウ)という生薬名で、消炎、解毒、下痢止めなどの作用があるとされる。一度根付くと絶やす事が困難なため、「家が絶えない」と言う意味で平安時代から家紋として使用された。

カタバミ科カタバミ属 学名:Oxalis corniculata 英名:Creeping woodsorrel・Yellow sorrel 漢名:酢浆草・三叶酸 ほふく性多年草 原産:世界中の温帯~熱帯地域 花言葉:輝く心・決してあなたを捨てません・喜び・母親の優しさ

オッタチカタバミ(おっ立ち片喰・おっ立ち酢漿草・おっ立ち傍食)

1962年京都府で見つかり、第2次世界大戦後に駐留アメリカ軍の荷物について侵入したものと考えられている。2000年代に入る頃から急速に増え始める。カタバミに似ているが茎が立ち上がる事と、花後は花柄が下を向く事と、托葉(葉柄の根本につく葉状片)が小さく目立たない事などがカタバミと見分けるポイント。地下茎を伸ばし、高さ25~40cm程に直立し、枝を放射状に伸ばす。全体に白い毛がたくさん生えている。葉は三出複葉で1箇所から2個ずつ出ることが多く、密集してついたように見え、小葉はハート型。散形状に花を2~4個、まれに8個つける。花径約10mmで黄色の5弁花を咲かせる。果柄は水平~下垂する。果実は先が尖った円筒形で、真っ直ぐに上を向く。他にも茎が立ち上がるタチカタバミという品種があるが、茎が立っているかどうかだけでは判別できない。直立した茎の節間が短く葉が密集するのがオッタチカタバミである。

カタバミ科カタバミ属 学名:Oxalis dillenii・Oxalis stricta 英名:slender yellow woodsorrel・upright yellow woodsorrel 球根性多年草 原産:北アメリカ 花言葉:輝く心・決してあなたを捨てません・喜び・母親の優しさ

オオキバナカタバミ(大黄花片喰)
キイロハナカタバミ(黄色花片喰)
オキザリス・ペスカプラエ/バターカップ・オキザリス

観賞用に栽培され世界中に帰化している。関東以南で逸出したものが野生化。地中の鱗茎から地上に葉茎を伸ばし三出複葉を付ける。 小葉は長さ約2cmのハート型、色は明るい緑色で暗い紫色の斑が入る。茎先に散形花序を出し、花径約3~4cmの中心に放射状に筋の入る淡い黄色の大きな5弁花を付ける。小葉はやや小さくハート型がシャープで、レモン色の大きな花が高く伸びて咲く姿はバランスが良くとても美しい。種小名の「pes-caprae(ペスカプラエ)」はラテン語で「山羊の足」という意味。深く割れた小葉をヒヅメに例えている。英名の「buttercup(バターカップ)」はキンポウゲの仲間と言う意味だそうだ。「'Cocoa(八重の心愛)」という八重咲き品種もある。

カタバミ科カタバミ属 学名:Oxalis pes-caprae 英名:Buttercup oxalis・African wood sorrell 漢名:黄花酢浆草 球根性多年草 原産:南アフリカのケープ地方 花言葉:花言葉:輝く心・決してあなたを捨てません・喜び・母親の優しさ

イモカタバミ(芋片喰)
フシネハナカタバミ(節根花片喰)

戦後に観賞用として渡来したものが野生化し、現在では春になると彼方此方で塊になって咲いているのを見かける。根の上部にイモ状の塊茎を多数つけて大きな株になり、耕起などで分散して増える。地上には花柄と葉だけ出し、長い柄の先に三出複葉を付ける。小葉は直径約2cmのハート型、表面には短毛があり、裏面に淡黄褐色の小点がある。葉から高く茎を出し、直径1.5cmほどの赤紫色の5弁花を多数つける。花の中央部に濃い紫色の筋が入る。葯(雄しべの先の花粉が入った袋)は黄色。萼の先に橙色の小点がある。花が白い品種も時より見かける。基本種はフシネハナカタバミで、イモカタバミは亜種である。前者はたまに種子を付けるが後者は種子を付けない。最初に日本に来たのはイモカタバミだそうである。

カタバミ科カタバミ属 学名:Oxalis Articulata Pink oxalis・Pink sorrel 漢名:芋酢浆草・芋傍食 球根性多年草 原産:南アメリカのブラジル・ウルグアイ・パラグアイ・アルゼンチン等広域の比較的標高の高い地域 花言葉:輝く心・喜び・決してあなたを捨てません・あなたと過ごしたい・物思う・母親の優しさ

ムラサキカタバミ(紫片喰・紫酢漿草・紫傍食)
キキョウカタバミ(桔梗片喰)

江戸時代末期に観賞用として渡来したものが野生化。環境省により要注意外来生物に指定されている。地下に鱗茎があり、地上には葉と花柄だけを伸ばす。葉は三出複葉、小葉はハート型、裏面の基部に黄色い腺点がある。地下の鱗茎の下部から太いやや透明がかった牽引根を出す。この牽引根と鱗茎の間に木子(きご:微細な小球根)をびっしりと付け非常に旺盛な繁殖をする。牽引根が夏場に縮み、木子を広げていく。葉の間から伸び出した花柄は葉を越えて伸び、先端に数輪を散形花序につける。花は青みのある濃いピンク色で花筒部奥は白く抜け、花の中心部に向けて緑色の筋が入る。日本では本種は種子を付けない。繁殖は牽引根と鱗茎の間に無数に生じる木子で行われる。

カタバミ科カタバミ属 学名:Oxalis debilis subsp. corymbosa 英名:Pink woodsorrell 漢名:红花酢浆草 球根性多年草 原産:南アメリカ 花言葉:輝く心・決してあなたを捨てません・喜び・母親の優しさ・輝煌・心で感じる

オキザリス・トリアングラリス

「トリアングラリス」の名の通り小葉が直線的な三角形をしている。葉柄は地際から生え、株はこんもり茂り、草丈約10~30cmに育つ。葉は三出複葉で小葉は逆三角形。葉色は濃紫色。花は花径1.5~2cmの5弁花。白~淡桃色で中心部は黄緑色。細目の花弁と紫の葉のコントラストが美しい。花期は長く4~10月まで咲き続ける。基本種の葉色は緑で「緑の舞」、葉色が濃紫のものが「トリアングラリス(紫の舞)」の名前で流通している。変種の「オキザリス・レグネリー」は本種に酷似しており見た目の差はほとんどないが、ハート型の葉の中央に班模様があるのが「トリアングラリス」と言う説もある。原産が南アメリカだから付いたか「インカのカタバミ」と言う別名がある。他にも「カラスバ(烏羽)カタバミ」「サンカクバ(三角葉)オキザリス」などの名がある。

カタバミ科カタバミ属 学名:Oxalis triangularis(トリアングラリス)Oxalis regnellii(レグネリー) 英名:Purple shamrock(紫葉)false shamrock(緑葉) 球根性多年草 原産:南アメリカ 花言葉:輝く心・喜び・決してあなたを捨てません・あなたと過ごしたい・物思う・母親の優しさ

ハナカタバミ(花片喰)
オキザリス・ボーウィー

江戸時代末期に渡来したものが野生化。当時は観賞用に栽培されたものだったので「花片喰」の名が付いた。葉柄は地際から生え、高さ20~30cm程になる。葉は三出複葉で小葉はハート型~円形。切れ込みはごく浅く葉脈が窪んでふっくら見える。葉長約4~5cmとかなり大きい。他の仲間に比べ茎や葉の毛は細かく密集し短い。葉の間から散形花序を伸ばし、濃いピンク色の5弁花を咲かせる。花も花径約3~5cmと大きくかなり目立つ。中央部は黄色。花期は9~11月頃で花の少なくなった時期を楽しませてくれる。種小名の「bowiei」はイギリスの植物学者「ボウィ(J. Bowie)さんの」と言う意味。

カタバミ科カタバミ属 学名:Oxalis bowiei・Oxalis bowieana 英名:Bowie's woodsorrel・Red-flower woodsorrell 漢名:大花酢浆草・花酢漿草 球根性多年草 原産:南アフリカのケープ地方 花言葉:輝く心・決してあなたを捨てません・喜び・母親の優しさ

オキザリス・グラブラ

比較的近年に流通した品種。花期は11~翌年2月。秋になると地際から三出複葉を生やす。小葉はごく細長い指の様なハート型。気を許すと絨毯のように茂る。花は花径2~2.5cmの鮮やかなピンク色の5弁花で螺旋状に重なり中央部は黄色。多くの品種が流通しており「桃の輝き」「ラブハピネス」「ピンキー」「オマー」などがある。カタバミと言うと葉はハート形だが、かなり細いハート型なので初めはカタバミの仲間とは思わなかった。

カタバミ科カタバミ属 学名:Oxalis glabra 英名:Finger leaf oxalis・Three finger oxalis 漢名:大花酢浆草・花酢漿草 球根性多年草 原産:南アフリカ 花言葉:輝く心・決してあなたを捨てません・喜び・母親の優しさ