歯周外科手術

ポケット掻爬術と新付着術(ENAP)

ポケット掻爬術

 ポケット掻爬術(=そうはじゅつ)の適応は真性ポケット(歯周ポケット)で骨欠損がない場合です。

 まずスケーリング・ルートプレーニングを行い、次にスケーラーの刃をポケットの内壁に向け、歯肉の外側を指で押さえながら内壁の歯肉を掻爬します。歯と歯肉の適合が不十分な場合は縫合や歯周パックを行うこともあります。

 

新付着術(ENAP)

 新付着術(=しんふちゃくじゅつ)の適応はポケット掻爬術と一緒です。英語のexcisional new attachment procedureの頭文字をとってENAPと略されることもあります。

 まずクレン−カプランのピンセット等でポケット底の位置を印記します。次にメスでポケット内壁の歯肉をポケット底に向けて切開し、鎌型スケーラー等で取り除きます。スケーリング・ルートプレーニング後に、縫合と歯周パックを行います。

 ポケット掻爬術とENAPの違いは、ポケット内壁の歯肉をスケーラーで取り除くか、メスで切開してから取り除くかにあります。

 

ポケット掻爬術とENAPの治癒

 ポケット掻爬術とENAPは同様の治癒様式をとります。ポケット内壁を上皮が修復していき、接合上皮性付着と なります。プローブを挿入しても健康を回復した歯肉の抵抗力により、臨床的にポケットは浅くなります(臨床的な付着の獲得)。ENAPが発表された当時 (1975年頃)は新付着がおきることにより、ポケットが浅くなると考えられていたので新付着術という名称がついたのですが、実際に新付着はおこりませ ん。「Lindhe 臨床歯周病学とインプラント 第3版」ではENAPを歯肉溝内斜歯肉切除術としています。

 

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最終更新2013.1.9