Rock Listner's Guide To Jazz Music


Kenny Burrell


Blue Lights

曲:★★★☆
演奏:★★★★☆
ジャズ入門度:★★★★☆
評価:★★★★
[Recording Date]
1958/5/14

Disc 1
[1] Phinupi
[2] Yes Baby
[3] Scotch Blues
[4] Tha Man I Love
[5] I Never Knew

Disc 2
[6] Caravan
[7] Chuckin'
[8] Rock Salt
[9] Autumn In New York
Louis Smith (tp except [9])
Juniour Cook
           (ts except [4][9])
Tina Brooks
(ts except [1][4][9])
Kenny Burrell (g)
Duke Jordan (p [1]-[5])
Bobby Timmons (p [6]-[9])
Sam Jones (b)
Art Blakey (ds)
「繰り返し聴くに耐えるジャズ」のレコードを作ることに心を砕いていたブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンは、お気に入りのアーティストを発見すると多くのサイド・メンをかき集め、豪勢なジャム・セッション的なレコーディングを行うことがあった。「House Party」「The Sermon!」といったジミー・スミスのアルバムがその代表格で、同様なノリでケニー・バレルをリーダーにしたジャム・セッションとして製作されたのがこのアルバム。わざわざテナー・サックスを2人起用し、同日のセッションにもかかわらずピアニストも2人用意(セッション前半と後半で使い分け)し、オリジナル曲も6曲と周到に準備されているところは、いかにもブルーノート的。実際に聴くと確かに寛いだジャム・セッション風の演奏で実に気軽に楽しめる。気軽でも安易な感じがあまりしないのは「繰り返し聴くに耐えるジャズ」を作るポリシーをいささかも軽視していなかったからでしょう。演奏で耳を惹きつけるのは、決して有名とは言い難いルイ・スミスのトランペットで音に張りがあってフレージングも巧みなその手堅いプレイはこのセッションにベスト・マッチ。テナーの2人も地味なタイプとはいえ、気持ち良くブロウしている。ピアニストは2人とも黒っぽくブルージーな演奏で、特にティモンズのより黒っぽいピアノが心地よい。また、ここでは力いっぱい叩いているわけでないものの、やはりアート・ブレイキーの「バンドを推進する」ビートは他では得難いものだし、サム・ジョーンズの軽快なベースと組み合わせがまた好バランス。肝心のリーダーは出番がそれほど多くなく、しかし、演奏そのものは洗練されたいつものバレルのギターそのもの。バレルをたっぷり聴きたい人は[9]で溜飲を下げよう。心地よく聴けるジャズとして申し分のないジャム・セッション集。尚、この2枚組は、オリジナル・アルバムに[5](軽快でノリの良いセッションで質は他の曲とまったく遜色なし)を追加し、曲順を入れ替えたもの。レコーディングではデューク・ジョーダンのセッションとボビー・ティモンズのセッションに分けて録音されたようで、このCDでは、セッションごとに律儀に分けられている(ひょっとすると録音順かも)。オリジナル・アルバムでは Vol.1とVol.2にそれぞれのセッションが半々に振り分けられていて、選曲にも曲順にも意味があるアルフレッド・ライオンの意思を尊重したい方は、オリジナルの選曲と曲順に並べ替えて聴くべし。(2007年4月8日)

A Night At The Vanguard

曲:★★★★
演奏:★★★★
ジャズ入門度:★★★
評価:★★★☆
[Recording Date]
1959/8/16

[1] All Night Long
[2] Will You Still Mine
[3] I'm A Fool To Want You
[4] Trio
[5] I Can't See For Looking
[6] Cheek To Cheek
[7] Broadway
[8] Soft Winds
[9] Just A-Sittin' And A-Rockin'
[10] Well, You Needn't
Kenny Burrel (g)
Richard Davis (b)
Roy Haynes (ds)
他の項目でも書いている通り、ロックを聴いてきた僕にとってジャズ・ギターは地味で面白くない。このアルバムはギター・トリオとあって表面的なサウンドで耳に刺激を与えることは皆無で地味を極めた感さえある。言い換えると純粋にジャズ・ギターを味わうという点では、これに勝るものはないとも言える。バレルのギターは素朴で、柔らかいコードの使い方や、シンプルなシングル・トーンを駆使したもの。これぞ、ジャズ・ギター。管楽器のブローのような暑さは皆無である。一方で、ベースとドラムは、ギターに寄り添うようなサポートぶりながら、先鋭的な演奏をもこなすツワモノなだけに、密かなグルーブを生んでいる。ブルーノートでは管楽器を加えたセッションしか録音させてもらえなかったケニー・バレルの、ギタリストとしての魅力が濃縮された1枚。(2019年1月5日)

At The Five Spot Cafe

曲:★★★★
演奏:★★★★☆
ジャズ入門度:★★★★★
評価:★★★★
[Recording Date]
1959/8/25

[1] Intruduction by Kenny Burrell
[2] Birks' Works
[3] Hallelujah
[4] Lady Be Good
[5] Lover Man
[6] 36-23-26
Tina Brooks (ts [2][4])
Kenny Burrell (g)
Bobby Timmons
               (p [2][4][5])
Roland Hanna (p [3][6])
Ben Tucker (b)
Art Blakey (ds)
今ではそれなりに聴くようになったんだけれども僕はジャズ・ギターがそれほど好きではなかった。ロックを聴いていた耳ではジャズ・ギターというのはなんとも地味で退屈に感じてしまうから。その当時の耳で聴いても、このアルバムはいい。なんてったって、ボビー・ティモンズとアート・ブレイキーがいるのだから。ライヴらしく掛け声などがところどころで入ったり、ムードが生々しいのがまた良い。とはいえ、ジャズ・メッセンジャーズほどの派手な演奏というわけではなく、あくまでもギターを中心にしているためか、やや抑え気味の演奏であることが特徴で、特に力任せな演奏をあえて避けたと思われるブレイキーのサポートがその印象を強くする。それでもそのリズム感と推進力はブレイキーらしさ満点で、激しく叩かなくてもグループをドライブできるものであることを証明している。ブロック・コードを多用しバッキングもソロもクールでファンキーなボビー・ティモンズも耳を惹く。もちろん、バレルも持ち味を存分に発揮、テナー抜きの[3][5][6]でよりそのギターが映える。そのテナー抜きの曲でピアノを弾くローランド・ハナは、バッキング的ではなくギターと双頭でソロを取る役割を担い、これも黒っぽく味わい深い。曲がスタンダード中心ということもあってジャズ・ギター聴き始めの1枚としてもお勧めできるアルバム。(2025年8月12日)

On View At The Five Spot Cafe- The Complete Masters

曲:★★★★☆
演奏:★★★★☆
ジャズ入門度:★★★
評価:★★★★☆
[Recording Date]
1959/8/25

Disc 1
[1] Birks' Works
[2] Hallelujah
[3] Lady Be Good
[4] Lover Man
[5] 36-23-36
[6] Swingin'
[7] If You Could See Me Now
[8] Beef Stew Blues

Disc 2
[9] The Next Time You See Me,
    Things Won't Be The Same
[10] The Take Off
[11] Birk's Works (alt take)
[12] Lady Be Good (alt take)
[13] Love Walked In
[14] 36-23-36 / The Theme
Tina Brooks
   (ts [1][3][4][6][11][12][14])
Kenny Burrell (g)
Bobby Timmons
(p [1][3][4][6][11][12][13][14])
Roland Hanna
(p [2][5][7][8][9][10])
Ben Tucker (b)
このライヴ盤が名盤とされるのは、サックス、ピアノ入り編成で往年のジャズ・コンボならではのサウンドでありつつギターもじっくり味わえる点と、ゆったりした曲にリラクゼーションがありながらライヴらしい熱気に満ちているからだと僕は考えている。その名盤に未発表曲を加えてリマスタリングを施したのが2025年にリリースされたこのアルバム。解説を読む限り、この日は5セット演奏したと思われ、短いセットが含まれていた可能性はあるにしても、実際の曲数はもっと多かったのではないかと思われる、Complete Recordingsではなく、Complete Worksと銘打っているのはマスターテープとして残っているものはこれがすべて、ということなのかもしれない。5曲目まではオリジナル盤と同じ曲が同じ順で並び、その後が未発表曲という構成は、オリジナルの曲順を尊重したということだろうか。追加された[6]以降では[7]-[10]まで、ローランド・ハナをフィーチャーしたサックス抜きの演奏が続くことで、原盤でサックス入りクインテットとサックス抜きのカルテットの演奏を半々で混ぜた選曲ではあまり目につかな方ギター・カルテットとしての落ち着いたムードが前面に出てくる。別テイクはやはり既存のテイクよりも演奏は緩く、粗いとはいえ、リラクゼーションと熱気がうまく噛み合ったムードを従来から愛好してきた聴き手なら楽しめるはず。通して聴いていると、地に足のついたベン・タッカーの存在もここでは重要であることも実感できる。2023年以降のブルーノートのリイシュー盤と同様に、アナログ的な温もりと見通しの良さを備えたリマスタリングが施された音質も好ましい。シド・シュワルツの解説とドン・ウォズとケニー・バレルのインタビューを日本語で読みたい方は日本盤を推奨。(2025年8月12日)

Midnight Blue

曲:★★★★★
演奏:★★★★★
ジャズ入門度:★★★★★
評価:★★★★★
[Recording Date]
1967/4/21

[1] Chitlins Con Carne
[2] Mule
[3] Soul Lament
[4] Midnight Blue
[5] Wavy Gravy
[6] Gee Baby, Ain't I Good To You
[7] Saturday Night Blue
[8] Kenny's Sound
[9] K Twist
Stanley Tarrentine (ts)
Kenny Burrell (g)
Major Holly Jr. (b)
Bill English (ds)
Ray Barretto (conga)
しつこいようだけれど僕にとってジャズのギターはそれほど面白いものではない。ギター・トリオだと地味すぎるし編成を大きくすると埋もれてしまう。それは名手ケニー・バレルとて例外ではない。そこでこのアルバム、ピアノ・レスということもあってこれが見事にギター・サウンド中心のジャズになっている点でポイントが高く、脇役でない、ジャズ・ギターのアルバムとして楽しめる。67年と言えばジャズは斬新さ、前衛度を競っていた時代で、それなのにそういったトレンドとはまったく違う路線で、洗練された独特なブルージーなムードで勝負している。バレルのトーンの繊細な響きを捉えた録音が良いところもギターを聴くジャズとして聴ける大きな要因でしょう。そのギターとスタンリー・タレンタインの男っぽいテナーの組み合わせが良く、どうしてこの人の名前をここでしか見れないのかと思うほどブルージーなベースと主張しすぎないドラムの相性も抜群、更にこのサウンドに必然と嫌でも思い知らされるコンガによってこのアルバムにしかないジャズが出来上がっている。タイトル通り深夜にしんみりと聴くにピッタリなムーディなアルバムでありながらBGMでは終わらない味わい深さがある。(2025年2月17日)