ツールドニッポン2002実戦編

 

5月1日 十和田〜磐梯(654.22km)

P5120009.JPG (99080 バイト)

エマージェンシー地図より

(クリックすると大きく表示されます)

 

ラリーの朝は、相変わらず早い。

今日は5時半の起床。

窓の外では、SSERのカミオンが、風景に溶け込んでいた。

降り続いた雨も上がり、今日はカッパを着なくても良さそうだ。

ただそれだけで、気分は上々。

バイク乗りって、なんて単純な生き物なのだろうと、つくづく思う。

朝食後、ダッフルバックをトラックに預ける。

昨日の内にダッフルを整理し、使わないと思われるものを宅急便で

送り返したので、もう、重量オーバーに怯えることもないはず。

§

昨日のSSで、さらに順位は落ち、今日は71番目のスタートである。

一体どこまで落ちるのやら・・・

スタート時刻は、7時35分。

オフィシャルからの呼び出しをのんびりと待つことにする。

程なく呼び出しがあり、スタート待ちの列に並ぶ。

そして、定刻通りのスタート。

昨日の夜は見えなかった十和田湖の美しい湖面を

右手に見ながら、さわやかに走る。

十和田湖南端で、発荷峠へ向かい、県道2号へ入る。

この県道2号は、「十和田大館樹海ライン」の別名を持つ道。

東北自動車道、小坂ICに到着。

ここから、安代ICまでの50kmを一気に移動する。

 

・・・・・去年の夏。

ロシアから帰ってきて、無性に日本をツーリングしたくなり、

東北地方を、3日ほど掛けて走り回った。

コンビニで休憩中に、ある人物から声を掛けられ、小坂IC付近にある

奥八九朗温泉という林道の途中に湧く温泉の場所を教えてもらった。

2001年8月16日 秋田県小坂市八九朗にて・・・不思議な光景だった

 

その人物は、どこかで、見たことのある顔。

話の途中で、KTMの話題が出てところで、確信した。

今はなきアウトライダーでお馴染みの丈野氏だったのだ。

その場では、その方がいいと思い、

お互いただの旅人として別れたのだった・・・・・

 

そんなことを思い出していた。

きっと、この辺りを走る度に、その出会いを思い出すのだろう。

 

高速では、タイヤ温存のため、80〜90km/hくらいで流す。

安代ICで東北道を降りてしばらく行くと、#45鵜澤さんが停止している。

でも、気が付くのが遅く、とまるタイミングを逸し、通り過ぎてしまう。

バックミラーを確認すると、#40内田さんがフォローしているようなので、

ひと安心。先に行かせてもらおう。

§

しばらくは、交通量の多い国道282号を、ゆっくりと進む。

111km地点の道の駅で、昼食を兼ねての小休止。

岩手山を望む、気持ちのいいポイントだ。

ここで、写真のフィルムが終わり、入れ替える。

(この時点で、パノラマの切替スイッチが入っていたことは、

後日、現像が上がってくるまで気が付かなかった・・・)

休憩の間にも、他のエントラント達が、目の前の道を、次々と

通り過ぎてゆくので、ゆっくりしていられない気分になってくる。

早々に休憩を切り上げて、再び走り出す。

121km地点でルートは、国道を外れ、地方道へ。

石川啄木生誕地である、常光寺で写真を撮る。

左に見えるのは歌碑。

「やはらかに柳あをめる  北上の岸辺目に見ゆ  泣けとごとくに」

§

フラットダートに入り、153km地点のCPに到着。

岩洞湖の水辺の木立の中、一息入れる。

ここで、ロシアンラリー99参加者であり、岐阜の宴会でお会いした

#71赤木さんと簡単に挨拶を交わす。

その他にも、ロシア経験者は多数いるようだった。

タバコ1本の小休止の後、先を急ぐ。

国道455号、4号を経て、県道13号で、花巻へと南下は続く。

250km過ぎ、ルートは東へ・・・高原に入る。

岩手には、気持ちのいい高原がたくさんある。

今回は通らなかったが、荒川高原、早坂高原、

平庭高原、七時雨高原、田代平高原・・・

冬は厳しい気候なのだろうけれど、夏の輝きはすばらしい。

ダートに入ると、放牧中の牧場地帯。

コマ図の指示通り、ペースダウンし、静かに通り過ぎる。

少し分かりにくい分岐を過ぎると、地元岩手のスタッフの誘導で、SS入り口へ。

昨年のビックバードで見かけたコースディレクターの梅さんこと梅沢さんが、

マツモトさんと何やら話し込んでいる。

スタート待ちの長い列に並んでいると、自称仙台のへなちょこGS乗り

佐藤ともあきさんがこちらに気づき、笑顔で近づいてくる。

佐藤さんとは、ビックオフの10周年キャンプ、

利根川河川敷のバカミーの2回だけ(?)顔を合せている。

今日は、スタッフとしてここに来ているようだった。

「調子はどうですか?」

「いやあ、守りに入っちゃってますね」

「じゃあ、幸運のチョコをあげよう!」

ありがとう佐藤さん!

(その時のチョコは、自宅に帰着してから思い出し、美味しく頂きました。)

そうこうしているうちに、スタートの順番が迫ってきた。

ここは、林道を使った4.66kmのステージ。

対向車は来ないとのことで、気兼ねなく走ることが出来る。

今日は、少しだけ、プッシュしてみよう。

そして、SSのスタート!

少しだけガレた、気持ちのいいフラットダートを勢い良く走り出す。

最初はギャラリーの多い登りを、オーバーペースで走る。

その後下りに入ると、相変わらずのへたっぴー走行。

そのうち、後続車が接近してくる。

明らかにペースが違うので、抜かせてあげたいが、ポイントがない。

少し山側により、スペースを空け、先に行ってもらう。

その後、ついて行こうと悪あがきするが、あっという間に見えなくなる。

自分なりにプッシュし続けるうちに、SS終了まで100mのフラッグが見える。

最終コーナーを、ケツをずりずり言わせながら立ち上がり、ゴール!

気持ちのいいSSだった。

自分なりにプッシュ出来て、満足。

§

SSを過ぎた後も、しばらくはダートが続く。

SSよりも気合が入る。ダートが楽しい!

少しだけ、GSを振り回すコツが分かったような気がする。

舗装路に入り、東北道の平泉ICを目指す。

平泉ICから、山形自動車道経由、山形蔵王ICまで、

150kmもの距離を一気に移動する。

国道13号の市街地を、蔵王山を望みながら走る。

再び有料道へ。米沢南陽道路を25kmほど走り、国道121号へ。

しばらく行くと、対向車線からパッシングをもらう。

よくよく見ると、オフィシャルの車だ。

速度を落とし、ゆっくり進んで行くと、そこにはネズミ捕り。

レーダーを構えた警官が、僕を待ち構えていた。

でも、スピードは十分に落ちているので、止められる事もなく通過。

今回のTDNは、事前にルートが公表されているので、

警察の取締りの的となっているようで、あちこちで取り締まりの光景を見かけた。

某バカミーメンバーも、取り締まりを受けてしまったようだった。

§

日も暮れ、暗い舗装路を、コマ図を追って走る。

この時点で、もう、600km以上も走っている。

米沢(牛)を過ぎ、喜多方(ラーメン)を過ぎ、

ようやく今日のビバーク地である五色沼に到着。

今日からは、テント泊かと思っていたけれど、バンガローだった。

目当てのバンガローを、番号だけを頼りに探し回り、ようやく発見。

夕食は、レトルトの中華丼と、キムチ鍋だ。

バカミーメンバーと、一緒に夕食。

#28田中さんが途中で買ってきたというビールを頂く。

長旅の後のビールは、格別にうまいものだ。

その後、他のエントラントが、オイルやタイヤを交換する中、

バイクのオイルだけをチェック。大丈夫、減っていない。

ここまで、ノーメンテナンスで走っているが、今のところ不調はない。

#45鵜沢さんのICO不調は、決定的な原因が分からず、

不安を残したまま、明日を迎える事になった。

外の空気は冷たい。

今日は風呂もないし、明日も早いので、早々に就寝することに。

冷え込みが厳しそうなので、プロテクター以外は、

ほぼフル装備で、寝袋に入るが、

例の轟音と共に、寒さのせいで寝返りを打ち続けるのであった・・・

 

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