ツールドニッポン2002実戦編

 

4月28日 芦別〜浜頓別(314.8km)

P5120004.jpg (67247 バイト)

エマージェンシー地図より

(クリックすると大きく表示されます)

 

今日は、12時半からの総合ブリーフィング後、14時から、

プロローグSSがスタートとなるので、朝はのんびりである。

昨日と同じく、上野さんの車にお世話になり、北日本自動車工学専門学校へ。

会場は、熱気と緊張に満ちている。

時間となり、総合ブリーフィングが始まる。

SSER代表山田氏の挨拶。

「交通ルールを遵守するように、でも、のんびりしていると、

たどり着けないので急いでいくように・・・」

北海道道警の方がいるせいか歯切れの悪い挨拶となり、

場内の笑いを誘っていた。

§

ブリーフィングが終わると、エントラントの緊張感は一気に高まる。

いよいよプロローグSSのスタートだ。

パルクフェルメにて、自分のバイクと再会する。

これから、恐らくボロボロになり、ドロドロになるであろうから、

きれいな姿を写真に留めておくことにする。

SSは、校内に設けられた、特設ステージである。

まずオフィシャル大西氏によるデモランが行われる。

DTでのデモに続き、アフリカツインでも切れた走りを披露していた。

そして、僕らエントラントの番。

スタート順は、ゼッケン順なので6番目と早い。

順番待ちの際、#29八尋さんからのアドバイス。

「最初だから、ゆっくり押えていったほうがいいよ」

との言葉に深くうなずく。

§

スタートの時が来た。

オフィシャルが素早く2回、手を開閉する。スタート10秒前の合図だ。

つづいて、5本指が1本ずつ折られて行く。

5秒前、4、3、2、1、GO!

舞い上がる気持ちを押えつつ、舗装路を走り始める。

50mほど走り、パイロンスラロームをこなすと、外周路に入る。

大きなRのコーナーを抜けると、100mほどのストレートで全開。

オフィシャルの合図で減速し、バンクのコーナーへ突入。

再びストレートの後、1mほどの段差を下り、ダートへ突入。

すぐに、ぬかるみがあるが勢いで走り抜ける。

先ほどの外周路のさらに外側、芝生、木立の中のストレートを駆け抜け、

コーステープに沿ってのシケインへ突入。

一見して走りやすそうな芝生の路面も、実は滑りやすいことを確認した。

敷地ぎりぎりの外周を抜けるとき、応援してくれる人がいた。

手を振って応える余裕はないので、首を縦に振って応える。

外周から、コース内部に入ると、最初のヒルクライムを問題なくクリア。

下って、ガレのストレートを行くと、180度ターン。

ここは、ターンの中に1.5mほどの山越えのあるいやらしいところ。

助走が取れないが、仕方なく減速。無理やりよじ登る感じで、山越え。

一番の山場を過ぎ、安心する間もなく、滑りやすい曲折路が続く。

リアタイヤは滑り、バイクは真っ直ぐ走らず、フロントが取られて転びそうで怖い。

一度、転倒しそうになってからは、一気にペースダウンし、転ばない走りに徹する。

そして、ようやく、2kmにわたるSSが終了。

SS内無転倒記録の更新開始。

洗車サービスを受け、タイムカードにチェックを受けると、ほとんど休む間もなく、

スタートの準備。

§

ついに、4130kmに及ぶ、長い長い旅の始まり。

北日本自動車工学専門学校の正門が、スタート地点だ。

正門を出てすぐのところで、上野さんとお嬢さんが見送ってくれる。

手を振って応え、コマ図のトレースが始まった。

今回のコマ図には、国道番号が入っており、まず迷わない設定となっている。

長い長い旅なので、迷って先に進めないようでは困る

という主催者側の配慮だろうか?

気持ちよく北海道の広い道を堪能し、

十勝岳、大雪山を遠くに望みながら走り続ける。

ガソリンの残量が少し心配だったが、通りかかるスタンドには、どこもかしこも

エントラントの列が出来ており、給油のタイミングを逸したまま、山道に入ってしまった。

後悔先に立たず。

どう見ても、スタンドのありそうな道ではない。

本気でまずいと思い始めた頃、ガソリンは、とうとうリザーブに・・・

リザーブで6リットルあるので、リッター当り15kmは走るとして、

あと100km近くは走れるか?

ここからは「一人エコチャレンジ」の少燃費走行。

スピードを押えたり、下り坂ではクラッチを切ったりして、

少しでもガソリンの消費を抑えるように心がける。

何とか124km地点のCPに到着。

休憩もそこそこに、再スタート。

コマ図を先読みしてみると、176km地点に「Mobil」の表示あり!

ここしかないという絶好の給油ポイントを目指す。

が、しかし・・・

なんと、スタンドは閉店している。

途方に暮れていると、目の前に出光の看板が見えた。

すかさず、コマ図から外れ、スタンドを探す。

100mほど走り、右の脇道に入ったところに出光はあった!

心底助かったと思った。オアシスにすら見えた。

僕のGSは、22.6リットルの燃料を飲み込んで復活。

こうして、初日早々からの、ガス欠の危機は去った。

こんな事やっているのは、僕だけかと思いきや、

みんな似たような状況で走っていたらしい。

コマ図に載っているスタンドでも、開いていなかったり、閉まる時間が

早かったりで、当てにならないのだ。

恐るべし、北海道。

43リットルタンクなのにガス欠した人もいましたね(←某バカミーメンバー)。

後で、聞いた話だと、バカミーメンバーの#40内田さんは、

残り10km地点でパンクに見舞われたそうだ。

そのまま走ることも考えたが、序盤でマシンにダメージを与えてしまう事を恐れ、

路肩での修理となったという。手痛い洗礼でしたね。

§

その後は、日も暮れ、寒さとの戦いの中だったけれど、

順調に距離を伸ばし、浜頓別に到着。

ここは、クッチャロ湖畔の浜頓別温泉。

温泉にゆっくりと浸かり、今日の疲れを癒し、

ビールを飲みながら、豪華な料理に舌鼓を打つ。

まるで、お気軽な温泉ツーリングの様相。

ラリーということをすっかり忘れている。こんなんでいいのだろうか?

部屋に戻り、明日のマップを巻きながら、ゼッケンが近い同室のエントラントと話す。

その中の一人曰く。

「私、いびきをかくかもしれないので、早く寝たもん勝ちですよ」

その言葉に嘘はなく、寝遅れた僕は、まるで猛獣の檻の中に居るような

轟音が響き渡る部屋で、悶々と寝返りを打ち続けることになるのであった。

部屋の外からはクッチャロ湖の白鳥の鳴き声が、かすかに聞こえていた。

 

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