リフレクタービームU

 最撃多元燃導艦タケハヤの艦尾翼に一対搭載された超高出力ビーム砲。その名の通り、百式司令部多次元艦スサノオに装備されていた反射式砲撃システム・リフレクタービームの改良発展型である。F・Fミラーの反射による変則的砲撃を旨とするリフレクタービームはボルフォッグの機を心得た運用もあって、機界31原種に対しても絶大な効果を発揮した。しかし一方で、大気圏内での運用が不可能である事などをはじめとした数々の問題点も浮き彫りとなり、その改良はディビジョンフリートの運用において大きな懸案となっていた。リフレクタービームこそ、GGG艦隊における殆ど唯一の純粋な攻撃兵装であり、原種級の強力な敵性体に対して、その問題点を放置したままにすることは艦隊総体としての運用に致命的な禍根を残す事と殆ど同義であったからである。木星決戦において撃沈されたスサノオの後継艦としてガオファイガー・プロジェクトによって建造されたタケハヤに搭載される武装は、リフレクタービームの有効性を維持、あるいは向上させつつも、その運用上の問題点を全て克服している必要があったのである。
 そして無数の試案が協議と実験の末廃棄された結果、リフレクタービームUの中核をなすものとして白羽の矢を立てられたのは重力レンズであった。ガオガイガーがしばしばガトリングドライバーを用いて再現したこの自然現象を、GGGR&Dはより積極的に活用すべきだと考えたのである。すなわち、ビームの偏向を、大規模展開が必要なために大量生産されねばならず、そのために充分な耐久度が得られず使い捨てにされ、更には十分な推進機構を有しないために宇宙空間でしか運用が出来ないF・Fミラーに代わり、重力レンズに頼ることで偏向フィールドの迅速な展開を可能にしたのである。発射された超高出力ビームは重力レンズを通して偏向され、死角なしの砲撃を行う事が可能になるわけだ。発想としてはガオファイガーに標準搭載されたエネルギィ粒子形成型のファントムリングと同様であり、重力レンズ自体は物理的に損壊する事がなく、大気圏内でも自由に運用できる。同時に重力レンズ自体を楯とした防御的展開をも可能で、これに加え、展開した重力レンズで太陽光などの光エネルギィを集束、蓄積してリフレクタービームの出力へと変換することで、本来の機関出力による照射と併せた連続照射も行う事が出来るようになっている。その威力はソール11遊星主パーツキューブを防御フィールドもろとも一撃で粉砕するほどであり、打撃力、防御力、運用度のすべてにおいてリフレクタービームを完全に上位互換した至高の攻撃兵装と言えるだろう。
 しかし、惜しむらくはその有効性を実証する機会に恵まれなかった事で、パレッス粒子による倦怠から復活したGGGとソール11遊星主との複製地球衛星軌道上における戦闘で宣戦布告の一撃を遊星種に加えたものの、その直後にエネルギィ誘導経路をポルタンの一撃によって絶たれてしまい、結果的に本格的な照射はこの一度きりになってしまった。