入室者660000人突破記念特別企画
驚異と当然の「読者の声」
犀川&萌絵シリーズへのメッセージ

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「面白い・・・」
阿部武史さん (横浜、20歳)

 このシリーズを本屋で手に取った理由は、本のデザインとタイトル(特に英字の副題など)でしたが、まさか こんな面白いとは。僕は多分ミステリーあまり読んでないほうだと思いますが、犀川&萌絵シリーズは今まで 読んだ本(ミステリに限らず)の中でもかなり好きな部類です。特に好きな作品は「今はもうない」と「封印再度」 です。

 (ホントはどの作品もそれぞれすきなんですが)「今はもうない」は最後の一文がいいですし、「封印再度」 は「萌絵の●」が(多分●●れたら辛いでしょうが)気に入ってます。まあ、このシリーズがどこがどう面白い かというのはかける自信が無いですし、書くとなんか面白さの余韻やら何やらを消されてしまいそうですので 書きませんが、でも友人には無言で勧めてます。言わなくても読めば「面白い」のが納得できると思うので。

 既刊の十一刊に対しての感謝と余韻、それにこれから出てくる先生の本に対する期待とちょっとばかりの 挑戦?の意味もかねて、タイトルの言葉を贈らせていただきます。

「サイコロとミステリィ」
平林大輔さん (東京、23歳)

 『答は目の前に存在する。ただし我々には見えない姿で。』

 当然のことだが、ミステリィを読み始めたとき、結末はすでに決まっている。ごく一般的な我々は、定められた時間軸に添ってのみ、その結末を知りうる。しかし時として、そういった不都合とは全く無縁の知性に遭遇することがある。西之園萌絵、犀川創平、真賀田四季・・・そしてもう1人・・・。

 我々よりも遥かに飛躍した思考を持つ萌絵と、その思考をも内包する犀川。そして、彼らを別世界から俯瞰する真賀田四季。我々を整数に例えるならば、萌絵が有理数、犀川が実数で真賀田四季が虚数といったところか。

 虚と実、裏と表の関係は、最も近くて最も遠い、サイコロの『7』のような関係。1つのものでありながら、絶対に触れあうことはできない。両極にあるが故に、お互いを加えれば・・・『7』・・・孤独。そのサイコロを転がすのは誰?

 『神はサイコロ遊びをしない』とある物理学者は言った。
 『神はサイコロ遊びをする』と別の物理学者は言った。
 釈迦の掌(てのひら)から逃れられなかった1匹の猿のように森の転がす3次元の立方体、『ミステリィ・ダイス』の中で我々は、時間という軸に縛られたまま、翻弄され続ける・・・。

 以上、誠に勝手ながら『四次元ミステリー』と呼ばせて頂きます(笑)。

 (ここまで。敬称略で失礼致します)

「S&MはSとM?」
風香の母さん (埼玉、30歳)

 犀川先生は真賀田博士に気に入られて(こういう表現は世俗的ではありますが)虐められ、萌絵は好んで犀川先生に虐められ(犀川先生は虐めているという意識はないと思いますが)、上位の者は下位の者を弄び、下位の者は上位の者に弄ばれていたような気がします。弄ぶというと語弊がありますが、要は謎かけを投げかけられたり、応えを投げ返したりということです。

 その謎かけは時に危険なことがありました。生と死とは等価なものだからでしょうか? 命の危険を伴った謎かけを投げかけられたりして、その応えを投げ返すのにも切迫した緊張感を感じました。静かで穏やかでありながら、キリキリとした緊張感。

 次のシリーズでもこの緊張感を味わえることを願わずにはいられません。

「M・N・S−物語の断面力(もしくは真賀田・西之園・犀川)」
江島まなさん (大田区、36歳)

 メール盗み読みーの、電話盗み聴きーの、ライバル(?)の拉致脅迫、その他。真賀田博士、やめて下さい。それじゃ、犀川先生のストーカーです(高邁な精神に対する低俗なつっこみをお許し下され)。
                               石岡さつき(団体職員)

 三色すみれ?うん、フランス語ではパンセだよ。「思考」っていう意味のパンセと、綴りも発音も同じ。えっ、エラリイ・クィーンの鼻眼鏡?あれはパンスネでしょうが。花言葉は「去り行きし人(々)よ、我を守り給え」。花の色のシンボリズムは紫=苦しみ、白=純粋、黄色=幸福。三色は、仏教用語で五根(目耳鼻口膚)・五境(色声香味触)・無表色だったかな。調べて言ってるわけじゃないから、間違ってたらごめん。あとで倫社の城戸先生に聞いてみるよ。彼、ローマンカトリックの熱烈な信者なんだけど、実家がお寺で仏教大学卒なんだよね。じゃ、5限始まるから。またね。
                               山澤綾子(高校仏語科教師)

 3カ月に1度、すなわち四季とともに新刊を読み続けているうちに、遠くまで来てしまった自分に気付く。夏のゼミ旅行から始まる物語は冬の旅で幕を降ろす。春の手が開いた書物を秋の微睡みが閉じる。
                               関口香織(覆面読者)

 なに気取ってんのよ?可愛くないんだから、もう。>関口 
                               山澤 均(飲食店経営)



ミーチャさん (群馬、26歳)

 森先生の名前をはじめて耳にしたのは私がまだ学生だったころです。 同じ研究室だった同級生が、大学の助教授の森博嗣という人が書いてるミステリが面白いんだ、 と教えてくれたのです。 その時は読みませんでした。何故でしょうか。大学の先生が片手間に書いたものだ、ろくなもんじゃないだろう、 と思ったからでしょうか。(私はよく独断的すぎるといわれます。) そもそも私にとって本イコール文庫本。ノベルスって言うんですか、あのサイズの本は買ったことがありませんでした。 だって、値段が高いし、二段組みだし。 就職してお金を手にしてからです、読み始めたのは。 はじめて読んだ時、すごくビックリしたことを覚えています。 読み終えて、まじまじと表紙を眺めて、こりゃまた変わった本だよと思いました。 私はミステリ・ファンじゃないのでトリックの斬新さとかそういうのに感心するということはなかったのですが、 作品のなかの空気、とでもいうのでしょうか、リズムなのでしょうか、トーンなのでしょうか、新鮮でした。 そして、何と言っても非ミステリ・ファンな私の気持ちを捉えてしまったのは登場人物達です。 登場人物が理系人間だとか、文系人間だとか、そういう馬鹿っぽい、見てきたような分類のはなしではないです。 物語の登場人物というものには、ある程度の人格の単純化がほどこされるのだと思うのですが(想像です)、 その単純化のされかたがちょっと変わってるなぁと感じたのです。計算なのか、先生の個性なのか。 そして、多分そのせいで、すごく変わった人達に見えるのに、リアルに思える。 せりふの部分なんて、耳元で萌絵や犀川先生が語っているように感じる。 この人物たちはきっと森先生にしか書けないと思います。 新シリーズでも楽しい登場人物達に出会えますように。

「宝物」
内緒さん (千葉、38歳)

 最初、森さんの作品は、ずっと気になっていながら、なかなか手に取れませんでした。理由はよくわかりません。キャッチコピーから受けた印象のせいかもしれません。「詩的私的ジャック」が出た頃になってやっと「すべてがFになる」を開きました。その後は、森さんの作品を大事にしている皆さんと同じです。すっかりはまってしまいました。このシリーズは、ミステリーとしてのおもしろさもさることながら、犀川先生の思考を通して語られる作者の考え方や想いのようなものに深く心が動きます。ちょうど、ピアノの調律をしてもらってるのを聞いているように、微妙にズレたり、歪んだりしていた自分の気持ちを正しい位置に戻してもらってるような、自分の中の空気が浄化されるような、そんな気持ちになれる作品でした。出会えたことがほんとに幸運でした。

 学生時代、森先生のような方に学んでみたかったなあ、と思います(といっても、専攻は全然違うのですが)。でも、本を読めること自体、それに等しいのかもしれませんね。これからの作品も楽しみにしています。

「Synchronized with UK life」
Dr. S. Nue Nakamuraさん (Abingdon, Oxfordshire U.K、32歳)

  T 大学マイコンクラブの友人から E-mail を通じて、「OS をトリックに扱ったミステリがある」という話を聞いて、"F" を知りました。それ以来日本に出張で帰るたびに新刊を抱えて帰ってくる(自分が帰れないときは同僚に買って来てもらう)という生活が始まり、海外の生活で日本語に飢えていた妻も当然、森ミステリの fan になり、共通の話題を提供していただきました。

 私自身、海外で高エネルギー加速器実験物理に携わる研究者ですので、"博士たち" の雰囲気は内輪ネタっぽい興味もあって特に楽しませていただきました。

 作中に示されたパズル(数字の玉の問題)に解答が与えられていないのも非常に好感が持てました。晩御飯を食べながら妻と競争して解いたのも良い想い出です (妻に先に解かれて、非常に悔しい思いをしました)。

 実は森さんの表の www page は知っていたのですが(N 国立大学と工学部建築学科さえわかれば瞬間に見付かりますよね)、「流石に小説の話は www には載せないのかな」と勝手に納得していて、迂闊にもこんなに充実した page が 裏にあるということに今日まで気づいていませんでした。同時に犀川先生シリーズも完結ということを知ってちょっとショックを受けているところです。(こんな E-mail を実験の最中に書いていることからしても動揺していることが明白ですね。)

 96 年からの 2 年間の英国生活とこのシリーズはちょうどシンクロしていたので我々夫妻にとって、英国の想い出と overlap します。今、妻は 3 人目の家族を分離するため日本に帰国しているので、私は、日本と英国を行き来する生活になってます。

 飛行機の友として、これからの新シリーズにも期待させていただくことにします。

「森先生に踊らされた私」
まきさん (岡山、19歳)

 一言で言うならば、「踊らされました」。そして1ヶ月経った今もまだ踊った状態です。「有限と微小のパン」を読了して、えっ、なんでそうなんの?ってまず思いました。その後私の頭の中は、もう自分で考えたその後のストーリーがぐるぐると回りまわっています。結末(ここで言う結末は犀川と萌絵の関係のこと)が私の考えたとおり、もしくはこれ以上考える必要のない結果になっていれば、こんなに頭を使わなかったのに・・・。悩んだ結果、私は「終わりよければ全て良し」という主義なので、自分の都合に合ったように解釈することにしました。でもいくら私が思い込んでも、本当にあの二人の行く末が分かる人は森先生だけなんですよね。なんだかずるいです(笑)。とにかく今回分かったことは、森先生は‘今までに私を悩ませた人ベスト3‘に入るということです(笑)。脳の活性化につながるので、これからもどんどん私を含めた読者を悩ませてください。新シリーズ楽しみにしています。

「馴れともいう」
halさん (群馬県、23歳)

 巻をかさねるにつれ、萌絵ちゃんへの思いが変化した。
 人間が理由もなく反発するのは 情報量がたりないからなんだね。
 でも神秘度ダウンでちょっと残念。人間って勝手です。

「単純馬鹿なんです。だけど森先生のファンはやめられません」
福さん (名古屋、25歳)

 私は犀川先生も萌絵ちゃんも好きです。というか、本を読んでいるという事は書かれている人物の思考の中にアクセスしているわけですから、少なくとも心理描写がされている人は、大抵好きです。(その中にもやっぱちょっとついて行けないというのもありますけど。)だからM博士が久々に出てきたらすっごく嬉しかったです。多分私は、登場人物の思考によって自分の意識を活性化させている部分があるので、森先生の話が好きなのも、そう言った要素が強いからなのかもしれません。単純馬鹿なんです。

 話は変わりますが、詩的私的ジャックで第一殺人のあったS女子大は多分私の母校です。とはいっても、普段は日進という狸の出るという山奥で学んでいたので、星が丘キャンパスはあまり詳しくわからないですけど。知ったところが出ると、自分の頭の中で描いているイメージの中に、自分の記憶の中の映像が写真を貼り付けされるような、奇妙な感覚がありますね。

「有限な日々と微小な・・・」
ミワさん (東京都、24歳)

私は某国立大の建築学科出身で、現在M2で修論の真っ最中なのですが
このシリーズではまったのは、犀川先生の魅力もさることながら
まさに自分の日常生活の場が描かれており、登場人物に自分をすんなり
投影できることがとても面白かったです。

実は「F」発刊当時から知っていたのですが、実際に読み始めたのは半月前です。
面白くてゼミの前日も(オイオイ)読んだかいあって、無事シリーズ読破しました。
おかげで修論はさっぱり進んでいません(この時期に!!)。
こういう時、作家としての森先生に接していながらも、建築の先生としての
森先生に叱られるような気分になってちょっと後ろめたくなりますが(笑)。

ともあれ、取りあえずシリーズ完結おめでとうございます。
私としてはやはり犀川先生&萌絵の関係はうやむやにしておいて
読者の想像できる余地を残しておいて欲しいです。
そういう私は実は真賀田博士派なので、彼女にまた会えると嬉しいな。

それでは次作を期待しております、本当にお疲れさまでした。

「Who inside?」
葉原くだりさん (山梨県、19歳)

 「封印再度」を読み終えたのは、土曜日。代ゼミか何かの記述式模試の日。めったにやらないテスト勉強でもしようかと思って、早めに学校に行った。その学校までの電車の中で、私は「封印再度」を読んでいた。「WHO INSIDE」の謎が解けた後、研究室でのあの場面で、(ネタバレになるかもしれないから書けないけれど)タイミング良く目的地に電車が着いた。私は、坂ばかりの道をめちゃめちゃ急いで学校まで行って、図書館で、ひとりで、ストーブを付けて、つづきを読んだ。この時のことはよく覚えている。

 ここから下はネタバレ必須。だから、応募用の文章とは別です。(森注:伏せ字にして載せました)  凶器が●●●。これが私を学校まで急がせた一番の理由。過去の事件の凶器と現在の事件の凶器と犀川と萌絵の前に現れた凶器。構成している●●はほぼ同じである。形も同じ。つまり、同じもの。でも、それでもやっぱり、その三つは全然別物である。もしくはその逆。別物なのに構成しているものは同じ。その感覚(矛盾っていっていいのか?)が、楽しかった。そして、すごく気持ち悪かった。だから私は「封印再度」が一番好き。

「森ミステリのファンとして」
高村樹世土さん (名古屋、18歳)

 僕は森さんのミステリを愛読する高校3年生です。中学2年生の時までは名大のすぐ近く(八雲町)に住んでいて、小さい頃はよく名大の敷地内で遊んだので、森さんの作品にでてくるN大近辺の風景は読んでいて懐かしいです。さて、森さんのミステリ11冊について感想を述べさせてもらいます。

 「すべてがFになる」はその近未来的で非日常的な設定が好きです。特に斬新だったのが、●●●●で一同を集めての謎解きです。そして犀川さん(この犀川さんが大好きです)の口から語られる衝撃の真相は、余程気に入った本以外は図書館で間に合わせる僕をして、以後森さんの本を買い続けさせるのに十分でした。

 「冷たい密室と博士たち」は考え抜かれた論理には感心しましたが、森さんの他の作品に比べると迫力の点でやや見劣りするような気がします。

 「笑わない数学者」はトリックは途中で解りましたが、ビリヤードの玉の問題は解りませんでした(僕は文系ですので;笑)。でも、そのトリックを‘神のトリック’ととらえたのは、成程と感じました。

 「詩的私的ジャック」はコンクリート試験体といった近代的なアイテムを用いながら、精神は古典的本格ミステリ(これってネタばれ禁止ですよね?だから、こんな曖昧な書き方しかできません;要するに●●●●●●のことです。)

 「封印再度」はまずその題名の洒落が好きです。そして、壷と匣のパズルもさることながら、見事に騙されたのが、事件とは関係のない例のトリックです(実直そうな‘あの人’まで『犯行』に関わっていたとは思いもよりませんでした)。

 「まどろみ消去」は僕の定規で測ると、ミステリではないのでは、と思えるものがいくつか入っています(「キシマ先生の静かな生活」等)。でも、「優しい恋人から僕へ」なんかは、とてもグッドです。

 「幻惑の死と使途」は全作品中で最も犯人が意外でした(それも二重の意外性)。

 「夏のレプリカ」は真相解明後、犯行の場面をもう一度読んでみて、その記述の巧みさに唸らされました。

 「今はもうない」はそのからくりはタネ明かし直前に解りましたが、気分としては完敗です。このアイディアは最初から考えてあったのですか?

 「数奇にして模型」は字は違いますが僕と同じ名前(キヨト)の人が登場してびっくりしました。動機が奇抜で意外でしたが、何よりも良かったのは終盤の犀川さんの活躍です。「あんな物」を「あんな風」に使うなんて…(ああ、じれったい!)

 「有限の微小のパン」は最高です。随所にちりばめられた仕掛け、巧妙な伏線、見事などんでん返し、そして衝撃のラスト。この作品にケチをつけるとしたら、ただ一つ。これで犀川さんのシリーズが終わってしまうことです。

 犀川さんを筆頭として、西之園萌絵、国枝さん、睦子叔母さん、諏訪野、ラヴちゃん、鵜飼刑事、大御坊等…、こんなに魅力的なキャラクターが溢れる‘N大ワールド’をこれっきりにしてしまうのは実にもったいないです。どんな形でも構いませんから、是非ともこのシリーズを続けて下さい。


「萌絵ちゃん、大人になったね」
さくらいひろみさん (相模原市、30歳)

森先生、犀川&萌絵シリーズ完結おめでとうございます。
たのしい時間をありがとうございました。

このシリーズを読んでいるうちに、30代をむかえました。

純粋で、潔く、まよいがない萌絵ちゃんがすきでした。
でも、大人になるのも悪くないんです。
やっとそう言える歳になれたような気がします。

最後に萌絵ちゃん、ハンドルをにぎる勇気をくれて、ありがとう。
(車止めを●●たび、「もしや・・」と思ってしまうけれど。)


「秀逸は最初の1センテンス」
小林祐一郎さん (堺市、8429days)

 「今は夏。彼女はそれを思い出す。」

 それが最初のセンテンス。
 洗練され、極限までシンプルに削ぎ落とされた、それは一篇の詩。

 「他人に干渉されたい、それが愛の定義なのではありませんか?」

 この台詞に戦慄した。
 きっと、これが本質なんだ、と。

 はじめて「すべてがFになる」を読んだ時に感じた、あの素敵な静寂を、僕は一生忘れることはないだろう。それは、仏蘭西の映画にも似た、甘く、白く静かな衝撃だった。そして僕たちは、幸せに満ちた呪縛に捕われる。

 作品に対するすべての思考は、その作品なしには成立し得ない。最初から、僕たちは掌の上にいるのである。それは、トロイの木馬のように、浸蝕し、潜伏し、増殖する。僕たちの脳髄は、作品に支配され続けるのである。
 それ故に、呪縛から逃れる術は、一つしかない。
 沈黙である。
 だが、鮮明な意識が思考を止められないのと同様に、僕たちは作品について語ることを止められないのだ。

 ……と、いろいろ書いたけど、これは結局、装飾でしかないし、意味はない。いつだって、一番伝わる言葉はシンプルなものに還元されてゆくものだ。
 学校で書かされる感想文なんて全部嘘だ、と断言したって良い。何故って、そういうのって一番大切なことが抜けてるんだから。
 実はたったこれだけで良いのだ、と僕は思う。

 「面白かったです。有り難う」

 この作品に出会わせてくれたことにも感謝します。

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