昭和の初期、飛行機がまだ経験とトライ アンド エラーでつくられていた、旧き良き時代に登場した14人乗りの(当時としては)大型の旅客機。
複葉・3発・鋼管骨組みに羽布張りという、このスタイルが当時の大型旅客機の標準的な形態だった。
以前このカレンダーのシリーズに登場したアームストロング・アーゴシーと同じ世代の飛行機だが、やや小振りになっている。3発形式が流行したのは強力なエンジンが無かったこともあるが、可変ピッチプロべラが実用されていなかったから、双発だと一つのエンジンが停まったときに強く振り回され危険だったからだ。
張線と支柱で固めた複葉の主翼は空気抵抗は大きいが、空気抵抗の少ない単葉機を作るには構造材料や設計法もまだ完成していなかった。
フラップなどの高揚力装置も出現していなかったから2枚の大きな翼が必要だった。
大きなタイヤは芝生の飛行場からゆっくり飛び上がることを可能としている。パイロットはむき出しのコックピットに座り、爆音とプロベラの後流に耐えながら、大英帝国の植民地を目指して飛んでいった。
1927年に英国インベリアル航空に就航したハーキュリーズは、客室を7人乗りとし、後方を荷物室にして郵便物などを積んで、英本土からヨーロッパ、地中海を越えてエジプトへ飛び、カイロを中心に、イラクのパグダッドやインドのニューデリーなどの路線で活躍した。
南アフリカやオーストラリアの航空会社に採用された機体もある。(1998年カレンダー掲載) |