ドルニエ Do 18は、ドイツ・ルフト・ハンザが南アメリカや北アメリカに大西洋横断の定期郵便輸送業務を展開するために開発させた飛行艇である。ルフト・ハンザは1934年から、既にドルニエDo
J・ワール飛行艇をリスボンから南大西洋上に配置した補給船まで飛行させ、そこからカタパルトで過荷重の燃料を積み込んだ飛行艇を発進させ、南アメリカとの連絡飛行を行っていたが、西回り北アメリカルートにはさらに大きな航続距離を持つ本機の開発が必要だった。
ドルニエ Do 18は2台のエンジンを支柱で高く支えた支柱の上に縦列串型に配置し、水上での左右の安定はスポンソンと呼ばれる小翼でとるというワールの形態をそのまま踏襲しているが、躍進を続けていたドイツの新しい空力、構造、工作技術を駆使して、近代的な長距離飛行艇に生まれ変わっていた。特に航続距離を伸ばすために新しく開発された低燃費の航空機用のディーゼル・エンジンには、世界の航空機エンジン技術者から強い関心が寄せられた。
イラストの登録番号 D-AANE ツェーフィル(南西風)号は、1936年9月6日 ハンブルグからアゾーレス諸島のホルタ沖に待つカタパルト船シュヴァーベンラント号へ飛び、そこから悪天候・逆風の中をニューヨークへ飛んだ。この区間の飛行距離
4,460km、飛行時間 22時間15分。ルフト・ハンザ広報室は「世界最初の西回り大西洋横断 "定期"郵便飛行に成功した」と誇らかに発表した。(1997年カレンダーより) |