461. 三菱 局地戦闘機「雷電」ニ一型 J2M3 [日本一海軍]

MITSUBISHI INTERCEPTER "RAIDEN"(J2M3)(JACK)[JAPAN-NAVY]


全幅:10.85m、全長:9.70m、総重量:3,495kg、最大速度=587km/h /5,300m、
発動機:「火星」23型甲 1,410馬力/4,800m、武装=機関砲20mm×4、乗員:1名、
原型初飛行:1942年3月20日

Illustrated by Shigeo Koike , イラスト:小池繁夫氏

 B29来襲のサイレンが鳴り響くと、厚木基地から302航空隊の「雷電」がキーンとい、う金属音を立てて飛び立って行く。熊ん蜂を思わせる機敏な飛行振りと、ずんぐりとしているが精悍なスタイルいは、調布基地から飛び立ってくる陸軍の三式戦闘機「飛燕」の女性的なスタイルとは対照的たった。

 「雷電」は、日中戦争で中国空軍のSB高速爆撃機の奇襲攻撃で大きな被害を出していた日本海軍が、上昇力と火力とスピードを重視した戦闘機として、「零戦」の設計チームである堀越二郎技師を主務者として開発を命じ、後に高橋巳治朗技師に代わって曽根技師や加藤技師が担当した戦闘機である。

 戦闘機としては出力の割に直径の大きい「火星13型」を採用したため、抵抗の減少を図るために、胴体の中央部に最大太さをおき、約500mmの延長軸と強制冷却ファンを使つて機首をスマートな形に絞って、全体を流線形とした 「雷電」独特のスタイルが生まれた。

 プロペラも従来のハミルトン式からVDM式に代わり、当時陸軍の新鋭戦闘機であった中島のキ-44「鍾馗」に較べてもかなり進歩的な設計であった。

 飛行試験が始まると「雷電」はエンジンとプロペラの連成による振動など、多くのトラブルが発生して実用化が遅れ、しかも高性能化に伴う速い着陸速度と太い胴体がもたらす視界不良は、未熟練パイロットから敬遠されてしまった。

 しかしB29が来襲すると、優れた上昇力と高空性能そして強力な火力をもつ 「雷電」の真価が改めて見直されることになった。 21型は302空「雷電」戦闘機隊の中核となった機体。 総生産機数は470機であった。

 
 私自身、1940年代の日本軍用機の中では一番好きな機体です。米国チノの航空博物館「PLANES OF FAME」雷電に巡り会ったときは感激でした。但し、自設計、製作したラジコン機「雷電」は1年以上の製作日数を掛けたに関わらず、初飛行で敢えなく大破した苦い思い出であります。

 
 小池氏のイラストは早暁の空に向け一気に上昇する力強い躍動と加速度を感じます。下はコクピット付近の拡大ですが、フェアリング部の塗装の剥がれ、風防ガラスの輝き、鋲の一本一本に至るまで、その素晴らしさに感動しています。



名称型式略号 雷電一一型
J2M2
雷電二一型
J2M3
雷電三二型
J2M4
雷電三三型
J2M5
発動機名称
発動機型式
離昇出力 HP
火星二三型甲
空冷複列14気筒
1,800
火星二三型乙
空冷複列14気筒
1,900
火星二三型丙
空冷複列14気筒
1,820
火星二六型甲
空冷複列14気筒
1,820
プロペラ形式
 〃 直径 m
定速4翔VDM
3.30
定速4翔VDM
3.30
定速4翔VDM
3.35
定速4翔VDM
3.30
全 幅 m
全 長 m
10.80
9.695
10.80
9.945
10.80
10.145
10.80
9.945
自 重 Kg
全備重量 Kg
2,191
2,861
2,460
3,435
2,823
3,947
2,510
3,482
最大速度 Km/h
 〃 高度 m
上昇力 m/ms
実用上昇限度 m
航続距離 m
616
5,450
6,000/5'38"
11,000
 
587
5,300
6,000/6'14"
11,700
1,898
583
9,200
10,000/19'30"
11,550
 
615
6,800
6,000/6'20"
11,250
 
武 装 胴体 7.7mm×2
主翼 20mm×2
爆弾30Kg×2
 
主翼 20mm×4
爆弾60Kg×2
胴斜20mm×2
主翼 20mm×2
爆弾60Kg×2
 
主翼 20mm×4
爆弾60Kg×2

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