メッサ一シュミットBfl09のエンジンDB601を輸入・ライセンス生産し、第2次大戦中の日本機には珍しい液冷エンジン搭載となった戦闘機。
液冷エンジンは正面面積が小さく空気抵抗を減少できるので、高速性追求には適していたが、飛燕もこの特徴を生かすために徹底的な抵抗減少と軽量化を実施。冷却器を主翼後方の眼体下面に半分埋め込むなど苦心の設計がフォルムの特徴になっている。
結果は、速度、格闘性能、安定性など申し分なく、Bfl09Eとの比較テストでも勝ったが、エンジンの不調と生産遅延に泣かされた。当時の日本の工業力は、精密なドイツ製エンジンを大量生産する域までは達していなかったのだ。作品の機体は本土防空の任につく1型丙。
スマートな機首部分が目立つアングルだが、小池さんは「この飛行機は意外にフォルムが大雑把だとは思いませんか」と。作品では、機体の迷彩色と朱に染まる大気の色が絶妙の組み合わせだ。 |