170.中島 九五式2号水上偵察機(E8N1)[日本・海軍]

NAKAJIMA TYPE 95 MODEL 2 RECONNAISSANCE SEAPLANE
(E8N1-DAVE) [JAPAN-NAVY]

初飛行:1934年1月
全幅:11.00m、 全長:8.80m 、総重量:2,050Kg、最大速度:300Km/h
発動機:「寿」2型460馬力、武装:機銃7.7mm(固定) 7.7mm(旋回) 、乗員:2名

                     Illustrated by KOIKE, Shigeo   イラスト:小池繁夫氏 1986年カレンダー掲載

 日本海軍はよほど水上偵察機が好きだったらしい。第2次大戦終了までに14タイプを試作・開発していろ。艦上・水上・陸上合わせても15タイプだった戦闘機とほほ同数なのには驚かされるが、そんな水上偵察機の歴史の中でも"傑作水偵"と称されたのがこの九五式水上偵察機である。

 複葉・単フロートという当時でもオーソドックスな部類に入る設計だが、運動性・安定性・実用性は申し分なかった。

 1928年(昭和8年)海軍から愛知、川西、中島の3社に九○式水偵に代わる艦載水偵の試作が指示された。中島は三竹忍技師を主務設計者として九○式をベースに試作1号機を翌年完成させた。 これに対し川西は単葉の近代的な試作機を提案したが、実用性の点で中島を採用して海軍最後の複葉水偵となった。

 日中戦争では近距離偵察、着弾観測から急降下爆撃、空中戦(なんと中国軍戦闘機と互角以上に渡り合つた)まで幅広く活躍、主に戦艦や巡洋艦に搭載され、海軍あるところ常に九五式水偵あり、と言われたほどである。1934年から1940年の間、中島で約700機、他に川西で約50機が生産された。

 「どちらかというとクセのある飛行機が好き」と自認する小池さんだが、「贅肉がなく引き締まった、実用性のよさを感じさせる好きな飛行機です」。作品の、陽に映える多彩な海の色と波しぶきの描写が実にすばらしい。

                      Illustrated by KOIKE, Shigeo   イラスト:小池繁夫氏 1997年カレンダー掲載

 中島飛行機の水上機の歴史は、創始者の中島知久平が海軍時代に設計した横廠式以来、ハンザ水偵、一五式水偵、九○式2号水偵と数多くの水上偵察機がある。

 この九五式水偵はボート・コルセア水偵を原型とした九○式水偵の発展型という手堅い設計であるが、それだけに均整のとれた素晴らしいスタイルに仕上がっている。本機は中島の複葉水上偵察機シリーズの最後を飾るにふさわしい。上のイラストは中国大陸の上空を飛ぶ姿である。 

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