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No.9 食べ物いろいろ

「旅行」をする時の大きな楽しみが「食べ物」。今回の旅行でも、上はそこそこのレストランから下はマクドナルドまでいろいろ食べてみた。ここでは、それらの「食べ物」についてジャンクな順に挙げてみようと思う。

もちろん、「特上」というものも世の中にはあり、それは多分「予約を入れて行くレストラン」ということになると思う。それは予算の関係から試せなかったのだが・・・。

それにしても、一人で旅行する時、食事の時だけは「ひとり」がつらい。魔法のランプみたいに食事時だけ相手を呼び寄せられるようにできればいいのに(確か旅行作家の故・宮脇俊三先生もそんなこと言っていた気がする)。

こっちのマック

やはりジャンクフードの帝王といえば、世界的にチェーンを開いている「マクドナルド」。

最近(2003年8月)のマクドナルドのCMで、「『スモークサーモンがニューヨークスタイル』というビデオを見て訝る店員」というのがあったが・・・。あれよりも、もっと「ニューヨークスタイル」な食べ物がここのマックでは売られている。

それはベーグル。「イスラエルあたりが原産国の、モチモチッとした食感の、ドーナツみたいな形のパン」が、ニューヨークでは普通に食べられている。で、それはマックでも扱っている。それも「朝メニュー」というわけではなさそうで、普通のハンバーガーと同様にハンバーグを挟んだりステーキ(!)を挟んだりして売っていた。

ある朝、「本場のマックでも体験しとくかな」とホテル近くのマクドナルドに入って、メニューを物色していると見つかったのが「ベーグル&ステーキ $2.50」。アメリカでの食事は「アメリカらしいもの、ニューヨークらしいもの、それも肩肘張らないもの」と考えていた自分に、これがヒットした。即注文、朝の時間帯には日本人の誰もが敬遠するアメリカンな朝食を選んでモサモサ喰って力をつけた。

この話を帰国後会社で「アメリカ人は朝からステーキ喰ってるようだ」と報告すると「お前も喰ったのか、この辺がそうか!?」といって腹の贅肉をつままれたのは余談である。

屋台いろいろ

ニューヨークの街には、お祭りでもないのに各所に屋台やキヨスクがあり、新聞とかパンとか飲み物とか、果てはケバブ(羊肉を串刺しにして甘辛のタレをかけたトルコ・中東料理)なども売られている。それをいくつか試してみた。

自分がニューヨークに行った当時(2002年7月)は猛暑で、街を歩いているだけでも喉が渇いてくる。どうしても我慢できない時には、市中心部には各所にある屋台に行ってダイエットペプシ等を指し「This」と言って飲み物を買ったりした。栓を切ってストローを挿してくれた状態で商品を受け取るのがこっち風。

あと屋台売りの「ケバブ」も試してみた。串の先に固いパンが刺さっており、「おやつ」には量が多い。ただこの「ケバブ」、お祭り時に日本の屋台で売られる「焼きイカ」同様、食べているとタレがタラタラ落ちてくるのには困った。服を汚さぬよう前かがみになって食べるのだが、見てくれ的には街頭でこういうものを食べるのは「みっともない」と思った。

デリ手製サンド

ニューヨークには「デリ」といったコンビニと雑貨店の合の子みたいな店が、日本の「コンビニ」と同じくらいあちこちにある(その代わり、本当の「コンビニ」は市内ではほとんど見かけなかった。

ある日、夕食の時間になっても食欲は湧かなかったので、「何か軽いものでも買いにいこう」と思い、ホテル近くのちょっと埃っぽいデリに買い物に行った。

デリには、日本の雑貨店とは異なり寿司屋のようなカウンターがあり、客がケース内の具をあれこれ指定してサンドイッチ等を作ってくれる。ビールや飲み物(diet...と銘打った低カロリー品多し)、ジャムの乗った菓子パンの他、せっかくなので店員に頼んでサンドを作ってもらった。

「This(これ)」や「That(あれ)」や身振り手振りを活用して、チキンカツにレタスを挟んでマヨネーズをたらした「チキンカツバーガー」状のものが出来た。値段はよく覚えていないが、サンド本体は4ドルでおつりが来た。

サンドはそこそこおいしくボリュームも必要十分、アメリカのお菓子に見られる「だら甘さ」を期待して買ったジャム乗せの菓子パンも真っ当な味。Bud Light(バドワイザーの低カロリー品。ジュースよりも安かった)も普通の味。ただ一つ、ダイエットスナップルフルーツ(フルーツ味の紅茶飲料)だけが、「水で薄めたミックスジュース」といった味わいだった。

「アメリカ人は味覚音痴な人の割合が他民族より多い」とか「こっちのフルーツパンチが美味いと思えないうちはまだ旅行者」だとか、ネット上で散々こき下ろされている通り、アメリカというと「食べ物が不味い」という先入観を自分は持っていた。この日の夕食は美味さを期待していたもの(サンド)はおいしく、不味さを期待していたもの(スナップル)は不味く、なかなか満足いく食事だった。

 

サラダだけじゃないサラダバー

「地球の歩き方」を見ると、ニューヨークのデリやスーパーでは結構「サラダバー」について書かれている。日本でもあちこちのレストランで導入されている「サラダバー」だが、こっちのはサラダにとどまらず主食からスープからおかずからいろんなものが目方売りされている。少量でいろんなものを選べるのが嬉しい。ちょうど、自分が泊まっているホテルの向かいにそれらしきスーパーもある。夕食はスーパーのサラダバーで仕入れよう。

雨の降る中、ホテル向かいのスーパーまで出向き、サラダバーのコーナーに寄る。見てビックリ、冷たい野菜サラダ、熱々な肉・魚料理、おかずとして扱われている米・豆料理、試食可(結構試食している人が多い)のスープ。本当にいろんなものが取り放題である。その中から、チキンソテー、魚のトマト煮、温野菜のグラタン、豆と米を一緒に炒めた中米風チャーハン、チキンスープなどを選んだ。選んだものは日本のスーパーでもよく見るパックに詰める。目方にすると1.2ポンド(約550g)、値段で約7ドル(約840円)であった。つい欲が出て「あれもこれも」とやってしまうと、結構な重量になり、結構な値段になる。

ホテルに持ち帰り、飛行機の機内でもらった割箸を使って食べる。味は美味くもなく不味くもなくだったが、「(特に自分も全く地理に疎い中米風のものをはじめ)いろんな国ものを選り取りみどりで食べられる」のが、ニューヨークっぽくて良かった。

 

グランドセントラル駅のフードコート

暑い。あまりの暑さに食欲が湧かない。昼食を抜いてジュースとビスケットだけにした日もあった。

しかしそれでは健康に悪いことは明らかなので、次の日は無理をしてでもきちんと昼食を摂ることにした。

ちょうどその時訪れていたグランドセントラル駅には、地下に大きなフードコートがある。ここは、日本の高速道路のパーキングエリアのように、周りにあるいろいろな売店から食べ物を買い、真ん中のテーブルで食べるようになっているが、日本のそれと大きく異なるのは、その店の種類の多さ。先日も書いたが、ここだけで世界各地の料理が揃いそうである。

「あんまり胃に負担のかからないさっぱりしたものを軽く食べよう」と思い目を付けたのは、駅の中央にある「dishes」というラテンアメリカ系のカウンター。ここで「Non-Fat Vegitalian's Gaspacho」とダイエットコーラを注文。小さいパンが付いて4ドル50セント。Gaspachoは、トマトとピーマンとニンニクを砕いてすりつぶした冷たいスープ。一口啜ってみる。これがさっぱりしていてかつスタミナが付き非常においしい。夏バテ気味の身体に効く。

簡易な造りのテーブルも、よく見ると鉄道の路線図や写真がコラージュで張り込まれたものであり、芸が細かい。そこにゆったり座って昼食を食べていると、隣の席に東洋人の女性が。彼女はこちらの様子など気にせず、何かに憑かれたように首をかがめながら、焼うどんをズルズル音を立てて食べ始めた。この食べ方は日本人のそれだ。

(写真:ガスパッチョとパンとコーラ)

「Gaspacho」で多少元気が出たので、今度は「Ginger」というシェークを注文して飲んだ。ジンジャーエールと同じ生姜ベースであり、「シェークに生姜!?」という先入観さえ我慢すれば、非常にサッパリしたいい味だった、

 

訪米初日の晩ご飯

ニューヨーク到着初日。

郊外の空港に着陸したのが午後3時過ぎ、宿に着いたのが午後6時前。長旅でさすがに疲れたが、少し横になっていれば、疲れていても結構元気になるものである。午後7時、身支度を整えて再び街に出た。

ひとまわりして暗くなる頃、夕食はアメリカらしいモノを食べたい!と思い、日本で調べてきた86丁目近くにあるレストラン「Good enough to eat」に立ち寄る。店の外はオープン席になっており、薄着の女性が2人酒を飲んでいる。明るい店の中に入り、ちょっと値段は安くなかった(23ドル)が、「ステーキ」を注文。

まずサラダが出て、次にパンが出て、20分ほどして「何だこれは?」と思われる物体が出てきた。皿の上には縦約6cm、横約20cm、高さ約3cmはあろうかという巨大なステーキ塊が真ん中に載っており、上にキノコ、つけあわせにインゲンとコーンが添えられている。そのボリュームに圧倒される。

こんなの平気で平らげるから、アメリカ人は肥満が多いのか?(どうやらアメリカの食事というものは、「必要量以上の量を用意するから、食べられなければ遠慮なく残せ」というものらしい)と思いながら、ナイフとフォークで黙々と肉を切って食べる。味は大昧、肉の味を味わうというよりは切っては食べる作業の繰り返し、口の中が肉で満たされる感触を楽しんだ。

何だかんだ言いつつも食べきってしまう。

会計は税込みで24ドル90セント。これに加えて、いわゆる「チップ」も合わせて払わなければならない。レシートに何やら「w/o consideration」と書いてあったので、辞書で「consideration」の意味を調べ(日本から持っていった辞書を使ったのはこの時だけだった)、その周りを鉛筆(付いてくる)で囲い「$3.10」と書き加えた上で、28ドルを現金で払った。この「$3.10」がチップ、ということである。

最後の晩餐

ニューヨーク滞在最終日の晩、これから夕食を食べに出かけようと思う。

締めはどうする

最後くらいはそこそこいいものを食べたい。まず思い浮かんだのが、「グランド・セントラル駅の『Oystar bar & Restaurant』に立ち寄ってから、酔い醒ましついでにブルックリン橋を歩いて渡りながら夜景を楽しもう」というプラン。「Oystar bar」は、1913年から営業している有名なシーフードレストランであり、自分はこの店の存在を、阿川弘之が書いた「ニューヨーク阿房急行(南蛮阿房第二列車・新潮文庫)」で知った。そこで適度に酔って、夜景まばゆい摩天楼群を背景にライトアップされた吊り橋を渡る。考えただけでヨダレが出る「締め」である。

しかし、部屋に戻って一休みして起きたら、Oyster Barが閉まる午後7時半を回っていた。それなら第2案、ブルックリン橋近くの「BRIDGE CAFE」で夕食を食べようと思った。これも、ガイドブック等でには必ず載っている有名な店である。

しかし、然るべき場所に言っても、「BRIDGE CAFE」が見つからない。地図にあるそれらしい店に行ってみると、別の店でのようであった。しかも訊いてみると持ってきたクレジットカードが使えない。万が一の事を考え、現金をほとんど持っていかなかったのが裏目に出た。情けない。

最後の晩餐

そのまま別の通りに入り、「Les Helles」というグリルに入った。この日は旅行最後の夜ということもあり、料理(ランプステーキ)にあわせて高めのビールも頼んだ。もう夜の10時半になったというのに、店の中では多くの人が酒を飲んでいる。そのカウンターの片隅に一人座って料理を食べるのはちょっと寂しいが、雰囲気は悪くない。

しかし、この料理に付けられた、フレンチフライの量の多さはどうだろう。フレンチフライだけでドンブリ1杯は優に超える。それにステーキとクレソン、アメリカ人は毎日こんな食事をしているわけではないのだろうが(日本人だって毎日寿司やらスキヤキやらテンプラやらを食ってるわけではない)、みるからに健康に良くなさそうである。

食べきれない分は無理せずようなもったいないことは出来ず、出されたものを全部食べ最後に食後のエスプレッソと酔い覚ましの氷水をもらう。

そのまま千鳥足で近くのデリに立ち寄り、酔い覚ましの水とコーヒーを買って、その足で地下鉄のに乗って宿へ戻る。レストランからホテルの自室に戻るまで、適度な酔いのためか、実にいい気分であった。

 

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更新日 2004.05.23
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