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No.8 英語にまつわるエトセトラ

英語の問題

英会話概論

せっかくの機会なので「ニューヨーク旅行での英語事情」について少し。

もちろん、アメリカに行くにあたって、英語・英会話は出来るに越したことはない。こちらの人は「英語が出来て当たり前」・・・話すほうも聴くほうも真剣味があったヨーロッパ(非英語圏)よりも、英語ができないことによる不便は大きかった。

とは言っても「英語ダメ=旅行ダメ」というわけではない。自分の数日間の経験によれば、「どこで英語が出来ずに苦労したか」をまとめると、以下の2つ。

まず、相手が自分に構って欲しいか否か。相手が「こちらに何か物事を伝えたい(道を尋ねたいとか写真を取って欲しいとか)」の英語は分かりやすく伝わりやすく、「相手はこちらの事などどうでもいい(お店でも結構そういうことがある)」時の英語はその逆、ものすごい意思の疎通が大変だった。

次に、喋る方と聞く方どちらが大変か。旅行者に求められる最低限の英語力は、「相手の言っていることを理解するヒアリング能力」と「それに対して返せる最低限の単語」だろうと思う。こちらから喋るのは整った英文である必要はなく、単語とジェスチャーでなんとかなった。

以下、具体的な実例を紹介。

 

失敗例1〜最初の壁

最初の壁はアメリカ入国直後にあった。

ニューアーク国際空港内。ニューヨーク行きの電車の券売機があった。周りに駅員はいない。券売機のボタンを出鱈目に押してみるが、券売機は全く反応してくれない。日本で換えてきた50ドル札を入れようとしたが受け付けてもくれない。

どうして良いか分からずにオロオロしていると、近くにいた肥った男性に「どこまで行きたいんだ?」と英語で尋ねられる。「ニューヨーク・ペンシルバニア駅まで行きたいんだが、50・・・50・・・」と答えに詰まるところで、「君はクレジットカードを持っているだろう。」と言いながら券売機を操作しはじめた。言われた通りクレジットカードを挿すと、券売機から乗車券が出てきた。

このとき明るい表情で軽く「Thank you!」と切り返せればまだ格好がついたのだが、口がもつれて「Than...Than...」までしか言葉にできなかった。これがまた悔しい。

 

英会話実践〜朝の喫茶店で〜

「英語テンデダメ」を実感したのはこの他にもある。ホテルの朝食は出ないため、街に出てガイドブック等でよく出ている「Two Eggs any style」なるものを試してみよう、と思った。

店に入るが、黒人の店員は何も言わない。特に気にもせずカウンターまで歩み寄り、看板に出ていた「Morning Special! Two Eggs style $2-$6」(朝特別の卵料理、2ドル〜6ドル)を頼んでみる。以下その店で英語で交わしたやり取りを、日本語に翻訳して載せる。

(店員)「朝食はいくらのやつか?」

(作者答える)「パンと卵だけのやつ」

(店員再度尋ねる)「だからいくらのやつなんだ?」

(作者答える)「あ・・・そうか、2ドルのやつ。」

(店員呆れて尋ねる)「中で食うのかテイクアウトか」

(作者イラついて答える)「卵はスクランブルで」

(店員いささかキレかかって尋ねる)「だから中で食うのか外で食うのかどっちなんだ?」

(作者意地になって答える)「中で食べる。だから卵・・・」

(店員「とっとと食って出てけ」という表情で)「出来たぞ、税金込みで2ドル」

(作者)「んっ」(無言で卵焼きが挟まったパンを受け取る)

全然会話になっていません。

これまで「英会話」「ヒアリング」なるものの勉強をサボってきた付けが、こんなところで出てしまう。なんだか「北朝鮮よりTOFELの試験成績が悪い、お馬鹿な日本人」をさらけ出しているようで、すこし憂鬱になる。でもまぁ、こんなお馬鹿でもニューヨークで一人で行って五体満足で帰ってこれる、ということで、この話は締めたい。

ちなみに、夕食のサンドイッチをデリで頼んだり、マクドナルドで注文する時は、欲しいものを指さして「This.」。これだけで済んだ。

 

成功例1〜ボーイさん

これまで泊まっていた「Quality Hotel」はこの日限りでチェックアウト。精算を済ませ、よく荷物を預けることから顔馴染みになった黒人のボーイ氏に、「今日チェックアウトだけど荷物を2個昼まで預かってくれるか?大きいのは荷物置き場へ、小さいのはパソコンだから別預かりで」と英語で言って荷物を渡す。ホテルの中だからかもしれないが、人なつっこい眼で「O.K.」してくれる。

たったこれだけ(しかもホテル内)だが、これだけでも結構嬉しい。

 

成功例2〜動かぬ地下鉄

そのホテルを出て、1・2・3線地下鉄の96丁目駅から電車に乗ろうとしたが、構内放送が喧しいだけで全然電車は入って来ない。どうも地下鉄の運行が狂っているらしい。

待っていても電車は動きそうになかったので、少し考えた後、セントラルパークのすぐ横を走る別の路線で南へ向かうことにした。ヒイヒイ言いながら荷物を担ぎ上げると、乳母車を押した若い女性に「地下鉄に何かあったのか?」といきなり英語で訊かれる。

なぜ彼らアメリカ人は旅行者丸出しの人間に道を訊くのだろうか?(こういうことが結構あるので注意されたし)普通の日本人旅行者に訊いても何も答えは帰ってこないのに。

しかし話題は「ニューヨークの地下鉄」、自分は現地在住の人を上回るくらいの「自信」を持ってしまっている。多分自分の考えは大きく間違ってることはないだろう。身振り手振り併用で「ここの地下鉄は止まっているようだから、96丁目通りをまっすぐ横断するバスで移動し、セントラルパークと交わるところで他路線の地下鉄に乗る」と、これから自分が取ろうとする行動を説明した。女性はウンウン頷き、「It's good idea.」とも言ってくれた。そして。

自分がセントラルパーク付近の駅に降りて振り返ると、彼女も乳母車を押して後を付いてきたのであった。

「Yes!!」。思わず心の中でガッツポーズをした。

 

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更新日 2004.05.23
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