テキーラ・サーキットの宴
70年代初頭のLAのミュージシャン志望の若者にとって、サンタ・モニカ・ブールヴァードとドヒニー・ブールヴァードの交差点にある「トルバドゥール」はまさに聖地だったのでしょうね。夜な夜なわずかなチャンスと夢を求めて彼等は集まってくる。のちにイーグルスとして成功をおさめるグレン・フライ、ドン・ヘンリー、ランディ・マイズナー、バーニー・リードンらもそんな彼等のなかのひとりだったのです。先輩格のリンダ・ロンシュタット、 イーグルスをサポートしていたジャクソン・ブラウン、J.D.サウザーもそんな仲間だったのですね。テキーラ・サーキットっていうらしいのですが、何でそう呼ばれるようになったのでしょうね?きっとテキーラばっかり飲んだくれていたのでしょうけど、どなたかご存じだったら教えてくださいね。 |
★ロングブランチ/ペニウィッスル★ 1969年 ![]() ロックンローラーのグレンにカントリー・ロックを手ほどきして、意気投合した彼等はデュオを組みロングブランチ/ペニウィッスルとしてレコード・デヴューしたのが、このアルバムです。 同居していたジャクソン・ブラウンのスーパーヴァイズのもと、アコースティックなフォーク調のナンバーを主体としながらも、軽快なロックン・ロールやメローなラヴ・ソングも聞かせてくれます。オリジナル曲がメインですが、ジェイムス・テイラーの「ドント・トーク・ナウ」がカバーされています。 地味な印象のアルバムですが、彼等ののちの活躍を考えると興味深いものがあります。なによりこのアルバムがなかったらイーグルスもなかったかもね。 |
★リンダ・ロンシュタット★ 1972年 ![]() ジャクソン・ブラウンの「ロック・ミー・オン・ザ・ウォーター」をはじめ、エリック・カズ、リヴィングストーン・テイラー、ニール・ヤング、エリック・アンダーソンらシンガー・ソング・ライターの曲を多く取り上げており、リンダの歌声とともに心暖まる一枚です。
![]() SHILOH(1970年)
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★ジャクソン・ブラウン・ファースト★ 1972年 ![]() デヴィッド・ゲフィンは、70年にジャクソン・ブラウンのマネジメント契約を結びレコード・デヴューを画策していたのですが、結局自らアサイラム・レーベルを設立してこのアルバムを出すことになりました。 72年にこのレコードが出る頃には、リンダ・ロンシュタットなどにカバーされていたりしてすっかり有名になっていて、サブタイトルの Saturate Before Using (使用前に浸透している)ということになるのですね。素朴な音ゆえに心に届く、かけがいのない珠玉の名作です。 |
★J.D.サウザー・ファースト★ 1972年 ![]() グレン・フライやネッド・ドヒニ−が参加したこのアルバムは、ロングブランチ/ペニウィッスルのナンバー「カイト・ウーマン」を再度取り上げたりしてはいるものの、格段の成長が感じられます。リンダ・ロンシュタットも取り上げた「ザ・ファースト・ワン」をはじめ土の香りのする繊細な感性がちりばめられた一枚になっています。 幸か不幸かランディ・マイズナーにイーグルス参加を反対されながらも、以後ずっと5人目の幻のイーグルとして自身の活動と平行してイーグルスのアルバムに貢献していくJ.D.ですが、ここにそのJ.D.(=パラレル・イーグル・サウンド)の原点があります。 |
★ネッド・ドヒニー・ファースト★ 1973年 ![]() ネッド・ドヒニーは、かなりのお金持ちのおぼっちゃまということもあり、ジャクソン・ブラウンやJ.D.サウザーに比べてハングリーなところがありません。サウンド的にもそこはかとなく都会的で洗練されており、その後徐々にゴージャスな路線へ向かっていく片鱗をかすかながら感じとることもできます。「ファイン・ライン」、「オン・アンド・オン」、「ハリウッドからの葉書」など数々の名曲を収録し、シンプルで粋なアレンジに載せて、ネッドの初々しいヴォーカルが甘酸っぱく漂う名作です。 |
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