Old Fashioned Rock Wave

Rock Around The Eagles

J.D.サウザー〜イーグルスに最も近かった男

 「ドゥーリン・ダルトン」、「ユー・ネバー・クライ・ライク・ア・ラヴァー」、「ジェイムス・ディーン」、「ベスト・オヴ・マイ・ラヴ」、「ニュー・キッド・イン・タウン」、「ヴィクティム・オヴ・ラヴ」、「ハートエイク・トゥナイト」、「ティーネイジ・ジェイル」、「ザ・サッド・カフェ」、J.D.サウザーがイーグルスと共作した曲はざっとこんなところでしょうか。この他リンダ・ロンシュタットのアルバムにもJ.D.サウザーの曲はよく取り上げられています
 グレン・フライとのデュオ、ロングブランチ/ペニウィッスル以来ジャクソン・ブラウンなどとともにイーグルスをサポートしながらも、マイ・ペースでソロ活動(一時期サウザー・ヒルマン・フューレイ・バンド)を続けてきたJ.D.ですが、84年の『ホーム・バイ・ドーン』以来オリジナル・アルバムを出していません。最近は、俳優業に手を出してるそうだけど早く戻ってきてほしいですね。そういえば、ローウェル・ジョージのトリビュート・アルバムには参加しているのですよね。 

LONGBRANCH/PENNYWHISTLE
ロングブランチ/ペニウィッスル
1969年
 ビートルズに憧れていたグレン・フライが、恋人を追っ掛けてデトロイトからLAに出てきて出会ったのが、その恋人の姉とつき合っていたJ.D.サウザー
 ロックンローラーのグレンにカントリー・ロックを手ほどきして、意気投合した彼等はデュオを組みロングブランチ/ペニウィッスルとしてレコード・デヴューしたのが、このアルバムです。
 同居していたジャクソン・ブラウンのスーパーヴァイズのもと、アコースティックなフォーク調のナンバーを主体としながらも、軽快なロックン・ロールやメローなラヴ・ソングも聞かせてくれます。オリジナル曲がメインですが、ジェイムス・テイラーの「ドント・トーク・ナウ」がカバーされています。
 地味な印象のアルバムですが、彼等ののちの活躍を考えると興味深いものがあります。なによりこのアルバムがなかったらイーグルスもなかったかもね。


JOHN DAVID SOUTHER
1972年
J.D.サウザー・ファースト
 ジャクソン・ブラウンの紹介で、このJ.D.サウザーもアサイラムからデヴューすることができました。
 グレン・フライやネッド・ドヒニ−が参加したこのアルバムは、ロングブランチ/ペニウィッスルのナンバー「カイト・ウーマン」を再度取り上げたりしてはいるものの、格段の成長が感じられます。リンダ・ロンシュタットも取り上げた「ザ・ファースト・ワン」をはじめ土の香りのする繊細な感性がちりばめられた一枚になっています。
 幸か不幸かランディ・マイズナーにイーグルス参加を反対されながらも、以後ずっと5人目の幻のイーグルとして自身の活動と平行してイーグルスのアルバムに貢献していくJ.D.ですが、ここにそのJ.D.(=パラレル・イーグル・サウンド)の原点があります。

THE SOUTHER HILLMAN FURAY BAND
サウザー・ヒルマン・フューレイ・バンド
1974年
 デヴィッド・ゲフィンの計らいにより、ソロ活動がパっとしなかったJ.D.が結成したスーパー・グループ。もとバーズ、フライング・ブリト−・ブラザースのクリス・ヒルマン、もとバッファロー・スプリング・フィールド、ポコのリッチー・フューレイをフロントにジム・ゴードン、アル・パーキンス、ポール・ハリスをバックアップに迎えた強力な布陣のユニットでした。メンバーの個性以上に気負いのせいかロック色の強いサウンドになっています。

TROUBLE IN PARADISE/THE SOUTHER HILLMAN FURAY BAND
トラブル・イン・パラダイス
1975年
 S.H.F.のセカンド・アルバム。ファースト・アルバムの気負いがなくなりいい感じになってきてます。メンバーそれぞれの持ち味が発揮されていて、リラックスしたナチュラルなサウンドが心地よいのですがバンドとしては何かが足りない...。この頃は、さすがにJ.D.もこちらのバンドで手がいっぱいでイーグルスの『呪われた夜』には、曲を提供していません。


BLACK ROSE/JOHN DAVID SOUTHER
1976年
ブラック・ローズ
 J.D.のソロ・セカンド・アルバム。S.H.F.では、名前こそ売ったものの音楽的にはたいした成功をおさめられなかったJ.D.ですが、今作では、ピーター・アッシャーのもと素晴らしいアルバムをつくりました。セールス的には、次作『ユア・オンリー・ロンリー』におよばないものの、J.D.のアーティスティックな面が発揮された傑作といえます。
 イーグルス、アティテュード、ブリンドルなどのメンバーらのほかリンダ・ロンシュタット、デヴィッド・クロスビー、アート・ガーファンクル、ネッド・ドヒニーらが参加していて多彩なアルバムになっています。ストリングスを取り入れたり、スタンリー・クラークをベースに迎えるなど新境地にも挑戦おり、「シンプル・マン、シンプル・ドリーム」など名曲のいっぱいつまった名盤といえます。


YOU'RE ONLY LONLY/JOHN DAVID SOUTHER
1979年
ユア・オンリー・ロンリー
 御存じ「ユア・オンリー・ロンリー」の大ヒットによって一躍J.D.サウザーの名を高めた名作。 タイトル曲にもみられるようにノスタルジックなナンバーが多く、J.D.のちょっと枯れたあまい声がアーシーな曲調にマッチしています。バックのほうもワディ・ワクテル、ドン・グロニック、ケニー・エドワーズ、リック・マロッタを固定して、ゲストにダニー・クーチらをむかえるというバンドのまとまりを気にしたものになっています。
 タイトル曲の他、グレン・フライとの共作「ラスト・イン・ラヴ」、リンダ・ロンシュタットが歌った「ホワイト・リズム&ブルース」、S.H.F.時代の「トラブル・イン・パラダイス」など話題曲も多く、素朴ながらいいアルバムになっています。


HOME BY DAWN/JOHN DAVID SOUTHER
1984年
ホーム・バイ・ドーン
 J.D.のソロ4作目。基本的に前作『ユア・オンリー・ロンリー』の延長上の音ですが、よりシンプルにパーソナルになっています。ジャケットにも見られるようにJ.D.流のラヴ・ストーリーが全編にちりばめられた哀愁あふれるアルバムになっています。
 もともとはドラマーだったJ.D.が今作では全曲ドラムを叩いており、デヴィッド・ハンゲイトのベースとリズム・セクションを構成しています。リンダ・ロンシュタット、ドン・ヘンリー、ティモシー・シュミットらが応援している曲もありますが、無名のミュージシャンを多く起用しています。
 佳曲が多く個人的には、J.D.のなかでは最も好きなアルバムなのですが、巷ではあまり話題にのぼらなかったみたいですね。今作を最後にオリジナル・アルバムから遠離っており、俳優業などにうつつを抜かしているようですが、新しいアルバム聞いてみたいものです。

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