さあて、いよいよやってきてしまった二月ですが――とりあえず思い出されるのは、昨年の伝説的なトゥルーバレンタイン。ああ、思い出すだけで、色々な意味で身震いが……! ちょうど最新号のG'sでも、そのときの凄まじさをおさらいするかのような記事が書かれていたようですが、今年のバレンタインがどんなことになってしまうか、今から戦慄を禁じえません。
とはいえ、さすがに二年連続で全く同じような更新が行われるとは限らないわけですが、いずれにせよ、俺たちトゥルー兄にとって2月14日という日は、相応の覚悟を据えて迎えなければならない日である公算が大であり、すなわち二月に入った時点で、そのことはは否応無く意識せざるを得ません。――OKOK、どんな壮絶な愛され方をされようと、全力で迎え撃たせていただきたく!
……と、思わず気がはやってしまうわけですが、それより前に、二月にはれっきとした大イベント――そう、節分があるんですよね。最近ではやたらと恵方巻のCMが目立つようになったこのイベントですが、資本主義の流れがどうあれ、季節ごとの行事には何でも全力で執り行うトゥルー家族のことですから、こちらもおろそかにするわけがありません。
そんな行事の前日である今日、日記を書いているのは――観月。
……この子は、霊験あらたかな力と、それにまつわる知識を豊富に持ち合わせておりまして。今日は、そんなうんちくを語ってくれるようです。
古来、
鬼というモノは――
(中略)
じつに様々な意味を
持っておったのじゃ。
節分といえば、やはり鬼。……ということで、その概念や成り立ちについて説明する観月。うっかりすると、幼稚園児であることを失念しそうではありますが、さすがにそろそろ慣れても来ております。……染まったなあ、自分もとことん。
それはさておき……もともとの語源、すなわち中国にける「鬼」という言葉の意味って、霊魂全般を指す言葉らしいですね(ウィキペディア:鬼)。
そういう言葉が日本に伝わることで、観月が例に挙げているような、様々な意味を持つようになったようですが――
この豊葦原瑞穂の国に
おいて――
まつろわぬモノども、
祓われるべきものは
みな――
ある種のオニなのじゃ。
少々難しい言葉になりますが、まあ、そういうことなんですよね。このへん、メガテンとともに少年期を過ごした俺世代にはよく分かる概念ではありますが、最近の世代にとってはどんなものがあるんでしょうね? こういうオカルト知識の原初体験っていうのは。まあ、きっと俺たちの世代と、作品は違えど、何らかの形でそういう知識を仕入れているとは思うんですが――それはさておき。
しかしの。
この不思議な国では――
天神様をまつるように――
祟りはやがて神となる。
……さっき例に出した、女神転生的な観点からすると、神と呼ばれるものも、そもそもは等しく「悪魔」なんですよね。海外では、ユダヤ系一神教の力が圧倒的なので、こういう日本のようなファジーな解釈は行われ難いのですが、その点、日本は八百万の神の国。天孫降臨で駆逐された土着の神々も、いくらか貶められはしたものの、それらは今でもちゃんと「神」として認識されていますしね。
「何が正しくて、何が間違っているのか――」という前置く観月。それ自体は、非常に含蓄のある言葉で、思わず感心してしまいたくなります。
ですが、ここで観月がそんな前置きをして、何を言いたいのかというと……?
すなわち、明日の節分で――豆をぶつけられるオニも福の神も同じモノ……と。
そのような解釈を理解させたうえで、観月が続けた言葉。それは――!?
うむ。
というわけで――
トラジマのパンツは兄じゃに
よく似合うであろ!
……OK、理解した。
なんというか……いやね、オニ役をやること自体はある意味当然でもありますし、喜んでやろうとも思うわけですが。と、トラジマパンツとは……いや、いやいやいや。去年のハロウィンでのヒカルの気持ちを思えば、これとて回避できるはずもなく。表に出なくて(多分)いいというだけ、ずっとマシとさえ言えるでしょう。
それにしても、この観月のトゥルー兄に対する言いくるめよう。知識はさておき、こういう風に人を納得させようとする機転というか、詭弁の用い方というか、なんにせよ……精神年齢的には、姉妹の中でもトップクラスですよね。
まあ、そこまで言われてしまった以上、言うように覚悟は決めざるを得ないわけですが――
わらわも――
思いっきり!
豆をぶつけるぞよ。
フフフ。
楽しみじゃ――
(Oh!)(観月の)(お豆が)(トゥルー俺の)(素肌に――)(痛いほど!)
……ええ、分かってます。当日、着られるのはトラジマパンツ一丁しか許されないわけですね。ちょっと興奮……も、もとい! 覚悟して楽しみにしておきます! ちょっとゾクゾクしつつ!(←いくらか目覚めつつあるようです。)
in 節分! というわけで、トゥルー家族と共に過ごしていると、今までの人生では特に意識することも無くスルーしてきたイベントに対しても、きちんと意識を向けずにはいられなくなるという副作用が出てきます。ええ、恵方巻こそ買わなかったものの(スーパーに行ったらすごいことになってましたが)、ちゃんと豆は投げた後に摂取いたしましたとも。ついさっき、リアルで。
さてさて、昨日の観月のトラパン話があったので、今日は色々な意味で覚悟を決めてきたのですが――
今日は節分で――
幼稚園では節分祭の行事が
ありました
Oh、春風さんのターンでありましたか! ……それも、話しているのは、トゥルー家のことではなく、幼稚園――そう、さくらのことについてでありました。
そうなんです。去年の節分に日記を書いてくれたのが(節分当日じゃありませんが)、他ならぬさくらだったんですよね。で、どうやら今日は、それに関連している感じのお話のようです。
もっとも、トゥルー家族内での節分に関しては、ちょうど今月のG'sマガジンで、その様子がイラストで描かれていたんですよね。ゆえに、家族内での節分はそちらで堪能するべきということで、こちらの話が行われているんでしょうね。
ええ、今月のG'sマガジンはすでに手元にありますが、これはなんという星花天国――! コタツという空間がこれほどまでに甘やかなものになるのも、トゥルー家族の特権でしょう。ましてやそれに夕凪さんまで絡んできて――なんなんですかこのキャッキャウフフパラダイスは。ほんっとこの二人は仲が良くていいなあ、と思ったり、霙姉さんのどっぷり餡子状態に色々言いたいことがあったり、吹雪のアレはツノとして認識されるんだと感心したり、まあ色々と見所がありすぎたわけですが、まあそのへんについては後に。
肝心の節分の様子はどうだったかというと――よ、よかった。この季節に野外パンツ一丁という最悪の状態だけは免れていた……! とりあえず、ホタの金棒もって「がおー」状態が可愛らしくて死亡しそうでした。
……とまあ、トゥルー家族内における節分は、非常に楽しく過ごせていたと確認はできたので、それで良しとしましょう。
それよりも、今気にすべきは――
また、さくらちゃんが――
わんわん、わんわん
もう大粒の涙を
ぽろぽろぽろぽろこぼして――
大泣きに泣きながら――
……という、ただならぬお言葉。さくらが泣いてしまうのはいつものことで、まして節分、すなわち「オニ」なんて言葉が飛び交う日には、そんな風になってもおかしくない――と頭で分かっていても、思わず焦ってしまいます……が。
お家に帰ってきましたよ♥
ウフフ――とーっても、
かわいかった♥
……とまあ。春風さんがそんな風に構えてくれているので、俺の方もとりあえずは安心……というか、むやみに心配しても仕方ない、と落ち着いた気持ちに。
まあ確かに、詳しく説明を聞くまでも無く、だいたいの事情や状況は察せられてしまうわけですが……こういうとき、率直に慌ててしまうトゥルー俺と、「かわいい♥」とまで思えてしまう春風さんとで、やはり年季の差というか、母性度の差みたいなものが感じられてしまいますね。慌てるのはいつでも父親の方、的な。
もっとも、それだけではなく、春風さんのほうは、さくらの事情をもっと詳しく知っていたようで――どうやらさくらは、オニが怖いから、節分の日は幼稚園をお休みしたいと駄々をこねていたようなのです。二週間も前からということなので、きっと春風さんに前々から頼みこんでいたんでしょうね。
もちろん、立派なお姉ちゃんとして、母親的な役割もばっちりこなせている春風さんは、そんなズルはダメ、と諭してあげていたわけですが、それだけでなく、
お家でも鬼退治が出来るように、
さくらちゃんに幼稚園で
お豆さんをもらってきて欲しいなって
お願いしてみたりもして――
結局、なんとか説得したのだけれど――
ウフフ♥
……この、鮮やかなまでの言いくるめの手腕! いやあ、春風さん、超立派なお姉さんですよ。こんな風にうまく言って聞かせてあげられるのって、ちょっとやそっとの大人でもなかなかできないことです。それにきっと、さくらも春風さんやホタが、優しく言って聞かせてあげることなら、きちんと言うこと聞いてくれるんでしょうね。なんとなく分かります。
それに、春風さんって、子供の頃は、今のさくらみたいに臆病な子だったって話があるじゃないですか。もしかしたら彼女自身にも、節分のオニが怖かったって記憶があったのかも知れませんね。で、そんな経験があったからこそ、こういう上手い説得の仕方ができたんじゃないかな、とも。
ともあれ、春風さんのおかげで、節分のオニに立ち向かう勇気ができたさくら。……って、なにも立ち向かわなくても、とちょっと心配にもなるのですが、
そうしたらね、さくらちゃんも、その時は
お兄ちゃんやみんなのために、
オニさんをやっつけるお豆をもらってくる!
って――
おくちをとがらせて、ほっぺたをプルプルさせながら
お約束してくれたのだけれど――
……すいません。さくらのその様子を想像したら、可愛らしすぎて悶死しそうになりました。さ、さくらがんばる! うおああああ、そのほっぺとくちびるをプニプニッってしたい!
それはさておき、さくらって、あれで案外、臆病なところの奥底に、度胸もある子なんでしょうね。もちろん、家族のために、という愛情から来た気持ちが強いんでしょうけれど。あと、やはり子供らしい向こう見ずなところも。
で、結局は、そんな勇気を振り絞ったためか――幼稚園のオニに、つかまっちゃったようです。
そちらのオニはきっと、先生のだれかが行っていたんでしょうけど(ちなみに、この幼稚園で今まで名前が出てきた先生は、ももこせんせい、ヨーコ先生、そしてユリ先生。きっとどの先生も、ほどよく生々しい生活感の入り混じったセックスアピールを漂わせている大人な美人先生ぞろいであると勝手に確信しています)、それでもさくらにとっては、とてもとても怖かったみたいですね。
「お家のお兄ちゃんオニさんは平気なのにね♥」なんて、嬉しいことも言ってくれていますが――やはり、ここまで泣かれてしまうと、なんとか慰めてあげないと……と思っていたら、春風さんも思いは同じだったご様子。さっすが春風さんですね。
さて――そんな、優しい春風お姉ちゃんが、「さくらのために」。
そう、あくまで「さくらのために」、考えたこととは――
今夜は――
さくらちゃん達の寝ているお部屋に一緒に――
……
どうですか?
………………。
……えーと、その。その、「……」って間は、一体。
もちろん、春風も――
横で一緒に。
ね?
ウフフ――♥
―――やっぱり、新婚夫婦の「……(今夜)、どう?」的な意味を持つ間だったあああッ!!!
……い、いや! いやいやいやッ! こ、これはあくまで、さくらのため。さくらが怖い夢を見ないよう、お兄ちゃんとお姉ちゃんで優しく添い寝してあげるという、ただそれだけのシンプルかつ清純極まる愛情行為をこれっぽっちも逸脱した行為ではありませんッ! 神に誓って! ……は、春風さんに、誓えるか、どうか、は……。
……それにしても、なんというお姉さんなんでしょうかこの人は。いや、そりゃあ、さくらを真ん中に、川の字になってお休みする以上は、何かおかしなことが生じてしまう可能性だってほとんどないとは言えるわけですが――
とりあえず、今夜はさくらたちのいるお部屋に、春風さんとトゥルー俺が一緒におねむすることになるわけで。まあ、これだけ小さい子で賑やかなところで、「何か」が起きるはずもないのですが――
――枕元に、ティッシュの箱が不自然に置かれていたりしませんように……。
――超ひさしぶりの、星花・三国志談義!
いやあ、これは本当に久しぶりです。思えばこのべびプリが企画として発表されて、それぞれの姉妹のファーストインプレッションが刷り込まれた中、ある意味では一番分かりやすかったのがこの子なんですよね。そう――三国志っ子。
姉妹による日記が始まってから、星花もしばらくのうちは、常に三国志ネタが中心の日記を書くことが多かったのが思い出されます(参考)。
しかしですよ。初期のキャラ立てというか、自己アピール期間的な時期も終り、更には「ラブレター事件」という大きなヤマを迎えて以来、星花の日記における三国志色もしだいにその濃さを薄めていきました。もちろん、随所随所には色濃く散りばめられているのですが(関羽様毛布とか)、基本的にはごく普通の日記が中心となり、そんな中で、星花のもっと本質的な部分がプッシュされるようになってきた……と、そんな印象があります。
たしかにそのこと自体は喜ばしいのですが、ただ、やはりたまには三国志話が中心の日記が読みたいな……って思いが最近募ってきていたのもまた事実なのですよ。私事ではありますが、リアル俺自身は三国志大好きっ子ですからね。
とまあ、そんなわけで、今日の内容はまさにタイムリーという他ありません。さっそく見ていきましょう。
今日のお題は――いわゆる、「関羽千里行」です。
会いたい人のために――
野超え河超え。
どんな関所も乗り越えて――
遮るものはぶったぎり――
一途はせ参じるのって――
ロマンティックですよね♥
……む、む、む。……いや、確かにその千里行のシーンは、三国志の中でも有数の人気シーンですし、星花の言うような情緒があるのは間違いありません。間違い、ないのです、が……
……いや、ほら。形としてはどうあれ、「♂と♂により描かれるロマンティック」……って言い方を比較的ダイレクトに言われてしまうと。その……いやあ、なんというか。むしろそういう想像に走ってしまう俺達の方が汚れてしまっているんでしょうかね? まあ、どんな腐的な思考だって、その大元は穢れ無き憧憬の念から端を発しているわけですが。
まあ、思わずそういう方向を連想してしまいましたが、いちいちそんなことを思っていてはキリがないし、もし仮に星花がそちらの道にハマる素養があったとしても、今の時点ではまだ大丈夫だろうと思うので、考えないことにいたしましょう。
それより個人的にはむしろ、「野超え河超え」のフレーズで、アニメ版横山三国志のOPを思い出してしまいましたよ。そうそう、「時の河」。あれは間違いなく名曲でした。星花は観たことがあるのかなあ。
関羽将軍の千里行のくだりを
読むと――
星花の胸はいつもドキドキして――
躍り出したいような気持ちになります♥
急に思い出して読みたくなって――
今日も読んじゃいました♥
まあ、こんな風にハートマークを乱舞しつつドキドキされてしまうと、その可愛らしさでどうでもいい疑念なんて吹き飛んでしまいますよね。何かに憧れる女の子の姿というのはいつだって輝いているものなのです。
そんなわけで、千里の道を行く関羽の艱難辛苦に思いを馳せる星花。
……ところが、そのくだりの中で、星花的にはちょっと気になる――というか、見過ごせない部分がおありのようです。
それは、苦境に陥った劉備による、「そのまま曹操に仕えても責めはしない」という言葉。これはまあ、三国志に対し、特に劉備や関羽(あるいはもっと客観的な視点で)に対して、どういう思い入れがあるかで、受ける印象がだいぶ違ってくる事柄だとは思うんですが……
いくら劉備様でもヒドイと思うんです!
そんなお手紙もらったら、
星花だったら、なんていうかこう――
すっごくがっかりしちゃいます……
……おや? と。
私YU-SHOW、この星花の反応を見て、その是か非かはさて置き――ちょっと、おやって思うところがありましたですよ? それも、ちょっとときめく方向性で。
いや、何が言いたいのかというと――ここ、星花の女の子の部分が如実に出ているなあ……って。
ここね。まあ、人にもよると思うんですが……男の子的な視点だと、どっちかというと、劉備の心境にシンクロする部分があると思うんですよね。もちろん、関羽の忠義一徹な部分にも大いに感情移入するでしょうけれど、それと同時に、劉備が抱いたであろう、「この稀代の名将を、自分のような先の無い男に費やさせていいのだろうか……」という風な思いに、心のどこかで共感するはずなんですよ。ところが、星花のこの反応をみると、そういう部分はあまりなさそうなんですよね。
これは単に、まだ星花の感受性が子供だからという部分もあるでしょうが、これはもっと、それ以上のモノ――そう。女の子の恋心的な部分が強く出ているからこその思いって気がします。すごくします。
星花自身は、まだまだ特定の対象に恋愛感情を抱くような年齢ではないんでしょうけど、でも――恋心に憧れる時期としては、まさにジャストミートなんですよね。三国志のロマンチックなところに強く憧れるのは、ちょっと変わった形ではあるものの、まさにその表れともいえますし。
この千里行における劉備と関羽のやりとりには、男の子的――もっといえば、大人の視点でみると、もっと複雑で深い形で、そこに交錯された想いを見て取るわけなんでしょうが、それが星花は――
よりによって――
「キミにはもっといい人がいると思う」なんて
サイテーサイアクの断り言葉ですよね?
ぷんぷん!
……うん。まさに、恋に恋する女の子。
いや、これは悪いとか未熟とかそういうことではなく――なんというか、三国志ネタに理解のある兄としては、この妹の抱いた感情に、思わずニヤニヤウフフしてしまうというのが正しいあり方なんじゃないでしょうかね。いや事実、今の俺の顔がわりと他人に見せられないことになっておりますし。こやつめハハハ! 星花ってホント、こういう子供以上女の子未満なところを沢山見せてくれる子ですよね。そこが魅力なんですよ。
さて――そんな感想を述べて締めるのかと思いきゃ――バレンタインに絡めてきおったですよ!? な、なるほど……それで、いつも以上に乙女度が高い意見を熱く述べておられたわけですね。
星花はもちろん――
もう心に決めた人がちゃーんといるから
何にも悩むことはないですけれど――。
……ついさっき、子ども扱いしていたら、この反撃ですよ。ほとんど不意打ち的に。……いやごめんなさい、この一言にはすでに十分に「女の子の武器」としての威力が備わっていますよ星花さん。やや遠まわしに、それでいてストレートな愛情表現……相当な効果がありましたですよ。主に俺に対して。
おかぜをひいたこには――
はい、これ♥
あげる。
青空さん超タイムリィィィィーーッ!! ……あ、いやですね。実はリアル俺、昨晩あたりからなにげに少々風邪気味でありまして。まだ発熱や悪寒なんかはないのですが、これは明らかに流行性感冒症の兆しであると体内のリンパが俺に囁いてくるわけですよ。
とまあそんなわけで、ここしばらくはプチ安静にしていようかなと思っていたところなわけですが、そんなタイミングで僕らの愛しい一歳児・青空が何か気をつかってきてくれたわけですよ。これをシンクロと言わずして何といいましょうや? 今日のトゥルーとリアルは密接にリンクしておられます。
さてさて。青空です。たとえこの寒い季節であろうと、子供は風の子を地で行く勢いの元気っ子であるこの子は、風邪をひいているらしいトゥルー俺のために、「きいろいはっぱ」を庭から取ってきてくれたようです。うむむ、氷柱のネギは効果を及ぼさなかったのでしょうか。
それはさておき、なにげにリアルDOUMINである俺にとって、この季節に庭から葉っぱを取ってこれるというのは、なにげにショックオブカルチャーなわけですが、まあそれは単にトゥルーリアル関係無しに、HOKKAIDOが亜寒帯にある土地ってだけのことでありましょう。
さて、そのはっぱが、くしゃみの症状がすでに出てきてしまった俺に、どう働くかというと――「みたら、げんきになる?」とのこと。ええ、そりゃあもう、そのはっぱというか、「えへへ――♥」の青空笑いが見れただけで、栄養のある食事を貪ったのと同じぐらいには活力が沸いてまいりますとも。
えへへへ――♥
おにいちゃん、うれしい?
そら、いいこ
だもーんっ!
――さらに、駄目押し。
そりゃあ、ねえ。うれしいっていうか、至福っていうか――もう。この言葉だけで幸福ということの意味を実感できますとも。
そして、まだまだ俺を幸福にし足りないと思われる青空さんが、そのうえ更なる「えへへプレゼント」をお送りになろうとされております。「うふ♥」なんて言われたら、それが脱皮したヘビの抜け殻とかだって喜ばざるを得ないわけですが――
――「まめ」、でした。
……ああ、成る程。節分でしたからねとそれ自体はよく理解できるわけですが――
おにもにげてくし、
ばいきんもにげてくよ!
ばいばーい!
って。
ばいきん、ばいばーい!
って――
おててばいばい、
したらいいんだよ。
新説提唱! まめで逃げていくばいきん!
……後半部分の青空の説明に、いかにも「ばいばいきーん!」という、やなせたかし的表現を用いたいけど用いられないというこの世界そのものの苦慮みたいなものが感じられなくもありませんが、ともあれ青空にとってのイメージとしては、おおむねそんな感じなんでしょうね。
これは先日、観月が「鬼」について説明していたことの影響もあるかもしれませんね。風邪とは病魔の仕業、病魔というのはいわゆる「悪しきモノ」……その「モノ」というのは、すなわち「オニ」の語源であると、真・孔雀王あたりで学びましたリアル俺。まあ、実際にそういう悪霊というのは鬼みたいなものとして考えられてきたわけで、風邪の原因という意味においては、オニもバイキンも同じようなものってことになっちゃったのかもしれませんね。
まあ、その解釈自体は、わりと深くてツボをついたものでもあり、思わず感心してしまうのですが――
おにいちゃんにあげる。
そらいいこだもん!
ぱくってしたらいいよ。
はやく、ぱくってして!
……さて、どうしたものか。
「まどのせんろ」におちていた豆ということで、まあ、床に落ちていたものよりは汚くないかもしれませんが、普段ならともかく、風邪気味なこの状態で、青空の言うようにパクっといくのはちょっと気になるお年頃の俺。
……とはいえ、「そらいいこだもん!」などといわれてしまったら、その思いに答えないわけにはいかないじゃあないですか。ええ、いきますとも。くぱぁ……じゃなくって、ぱくぅ……っと。
――さてさて。
こんな風に、青空の日記はいつも幸福度高くかつ心穏やかに終えられていいなあ、と安心していたわけですが。
ぱくぱくぱくっ――は
げんきのこ。
でも――
そらのおかおはぱくしちゃ
めだよ――くすくすくす♥
――「そらのおかおを」「ぱく」「しちゃ、め――」
……す、すいません。青空さん。その、どこか艶かしい言い方は――!
いや。この子の一歳上のお姉ちゃんのことを思えば。青空がこういう言い方をする事だって、不自然でもなんでもないとは思うのですが――ねえ? ドキリとせざるを得なかった俺がアレなのか、ここの家の子がみんなアレなのか――どっちなんでしょうね?
まあ、どっちも、ってことにしておきましょう。……そらのおかおを「ぱくぅっ」って……(←どうも、前者の方が濃厚っぽいです)
ぼんやりと――
窓の外に薄い水色の青空が見えます。
大きなリビングの窓の外。
白いような
青いような
灰色のような――
冬の色。
このほのかに寂しさと切なさを漂わせる書き出しは高い確率で綿雪! ……と思うまでもなく、綿雪の日記でありまする。いや、そりゃあ、絵で一目瞭然なわけですけどね。ただ、単に文の雰囲気だけで判断するなら、ポエム大好きヒカルという可能性だってあるわけで――ってごめんなさいヒカルさんトゥルー俺を眺めつつ金獅子丸をこれみよがしにパシパシって手で音を立てるのを止めていただきたく。
いや、それはいいんですよ。今日の日記は綿雪です綿雪。
そう。綿雪――
乾いた風に
小さなカサカサの木の葉が
舞っていて――
とても寒そう。
……が、こんな風なことを口にするのは、確かにこの子のまとう雰囲気には、切なくなるほどに似合っていて――なんだか、胸騒ぎというか、とてもじゃないけど落ち着いてはいられない気持ちにさせられます。
いや、決してユキが悪いわけじゃないんですが――そういう風に、常に心配しなきゃ、心配しなきゃってオーラをまとってこの子に対するのも、それはそれで嫌な思いをさせることに繋がってしまうわけですからね。ほどほどにしようとはいつも思うわけですが――
しかしそれにしても。
今日はなんだか、ちょっと不安な気が――
こんな寒い日にでも、青空や虹子は外で元気いっぱい――それが羨ましい、という言い方も、ハートマーク交じりで笑ってくれては、「別に心配要らないから、大丈夫」というメッセージとして素直に受け取らないわけにはいきませんしね。
だからもしかすると、これもまた、そんなに心配することはないってことを示すため、あえて気軽に言ってみたことなのかもしれませんが――
――僅かながら、体の不調を告げる綿雪。
……言って即座に、「きっと気のせい!」と否定する綿雪。もちろん、それはそうなのかも知れません。ですが――
でも――。
もしものことがあるといけないから。
……こういうことを、きちんと弁えて、あえてそれを言わなければならない綿雪。
そういうことを、ちゃんと言っておかなきゃいけないという身として育ってこなければならなかった綿雪。
トゥルー兄としては、その気持ちにこそ、強く心を打たれてしまいます。本当はもっと、強がりたいのだろうに。多少体が不調だろうと、人に心配なんてかけさせたくないだろうに。そういうことが許されない体だから、きちんと言わなければならない――と。
氷柱お姉ちゃんや蛍お姉ちゃんに
見つかったら――
きっとすごく心配させちゃうから。
こういうことを聞くまでもなく、綿雪という子は、まず何よりも先にそれを心配してしまう子なんです。だから、その気持ちを思うと、いたたまれないのですが――ただ。
それを告げられたのが、他ならないトゥルー兄にだけ、というところが、ちょっと重くもあり、同時に嬉しいことでもありますよね。
これはすなわち、自分がどうするかを、トゥルー兄に全部委ねた……ってことで、いいんでしょう。もしトゥルー兄が、「それはダメだよ」といえば、素直に従ってくれるでしょうし、もし綿雪の気持ちを汲んでくれるなら――きっと、本当にダメかどうかを見極めつつ、綿雪のしたいところのギリギリまでを尊重してくれるんだって。そういう信頼が、痛いほどに感じられるわけですよ。
くしくも明日は――虹子のお誕生日。
せめてそれが終わるまでは――
ユキが病気で寝てたらせっかくの
お誕生日が台無しでにじちゃんがかわいそう――
…………………………………………。
……まあ、あれですよ。ドラゴンボールとかがこの世にあるなら、今すぐにでも探しにいきたいかなーとか。……そんな気持ちが。
まあ、あれですよ。
ドラゴンボールがなくても、できることはあるのか。あるんじゃないのか、と。できることを、探したいなと。なんにもできない身の中で、何かできることを――適切なことを。考えようよ、と。……そういうことでも考えなければ、この健気さの前に立っていられる自信がないわけです。……本当に。
今、できること。
誕生パーティまでにはまだ時間があって。ぼうっとしてきて、眠気を感じてきたという綿雪。
だから――ユキの手を握ってて欲しいの。
ユキが眠るまで――。
……こんなことしかできない、のではなく。そういうことを、してあげられる。そう考えようよ、と。リアル俺がトゥルー俺にそう語りかける、みたいな。
ただ、昨日までトゥルー俺も風邪気味だったということを考えると、それはそれでちょっと心配なんですが――
手が熱いのは――
みんなには内緒にしてください――
ね……
それはもちろん、内緒にしますとも、と。少なくとも……綿雪が今、眠りにつくまでの間は。
そういうユキの気持ちを十分に知ったうえで、それでも――海晴姉さんや霙姉さんあたりには、言っておこうとは思うわけですよ。悲しいかな、たかだか高校一年生のトゥルー男の子にすぎない身としては、なるべく綿雪の気持ちを尊重しつつ、その中で最大限にできることを探さないわけにはいきませんしね。
まあ――後で氷柱に怒鳴られるぐらいのことは、お安い御用とまでは行かなくとも。
……綿雪の、かすかな体調不良の訴えで終わった先週末。これはきっと、悪いことに、来週にも及んでくるであろうトピックになると、俺を含め多くのトゥルー諸兄は思っていたことでしょう。
――はい。結論から言うと、当たってしまいました。
しかしながら、綿雪自身の具合に関しては、少し熱が出た程度で収まったとのことで――それに関しては、とりあえず胸をなでおろすことが出来ました。まあ、いくらかつてとは比べ物にならないぐらい体調が良くなってきたとはいえ、まだまだ病弱な身の上ですからね。このぐらいに熱を出したりすることは、特にこの季節ならば、いくらかは覚悟しなければならないことなのでしょう。
まあ、なにはともあれ、一安心です。綿雪の調子がひどくならないでくれて、しあわせ、しあわせ。
……とか思ってたら、なにやら思いも寄らぬ事態を招いて来よったですよ!?
TSURARA! その名は氷柱! そうです。綿雪といえば氷柱、氷柱といえば綿雪という方程式さえ出来てしまいそうなぐらい、綿雪に関わることに関しては敏感な、トゥルー家族が誇るグレートシスコンお姉ちゃんこと、氷柱さんが、なにやらとんでもないことを言い出してきてくださいました!
……いやもう、氷柱の綿雪好きっぷりというか、執着っぷりに関しては、純粋な愛情を通り越して、ある意味では依存とさえ言える側面が生じてきているという気もします。まあ、それはそれで健全ではあるんですけどね。むしろ氷柱ぐらいの年の女の子が、完全にバランスの取れた情操を保っていられることのほうが珍しいわけですし。だから、そういう依存の側面自体は、異常だって揶揄したり、直すべきだって諭したりする類のことではありません。そこんところは、前もって主張しておこうかな、と。
その前置きをしたうえで、おもむろに、氷柱の言い出したとんでもない主張について見ていきましょう――
いくらユキが頼んだからって――
「不適切」っていう言葉をしらないわけ?
不適切!? ……さ、サーセンwwwwwトゥルー兄としては不適切極まる性癖の持ち主でどうも申し訳ないっ! ……と、こうやって前触れもなく怒られてみれば、ついつい頭が下がってしまう後ろ暗さを常に抱えるリアル俺ではありますが、ここで言っておられるのは、そのことについてではない模様。……というか、そういう部分が問題視されてるなら、そもそもトゥルー家族と一年間も過ごすことが許されなかったでしょうし。
「箸にも棒にもかからない下僕の分際で」と、罵倒の表現も思わず極上のMであるところのリアル俺を喜ばせんばかりに冴え渡っているわけですが、なんでこんなに理不尽におかんむりなのかといいますと――
風邪を引きかけてたユキのそばに
ずっとついてたなんて――
危険すぎるわよ、
この身の程知らず!
……とのことです。
さすがは氷柱、綿雪のことに関すると、ただでさえ低い沸点がさらに極端なことになってしまうんだな……などとのんきに思っている場合ではありません。
まあ、事情はおおむね分かりますよね。確かにトゥルー俺は、先日氷柱本人からネギを手渡されるぐらいには体の調子を崩していた身。つまりは風邪キャリアの疑いがあったわけで、そんな身でデリケートな綿雪の傍にい続けることに、リスクがなかったかといわれると、それはまあ、確かにちょっとはありますよね。
ただまあ、あえて言わせてもらうならば、いくら綿雪のことを考慮しても、それはさすがに考えすぎというか、言いがかりに近いレベルであると――氷柱本人には言わなくとも、この場の感想としては主張させていただかないと。
というか多分、言ってる氷柱自身も、自分の主張が言いがかりに近いってぐらいは承知していると思います。ただ、わかってはいても、言わずにはいられないのが氷柱であり、彼女の複雑な部分なわけで。
何が複雑なのかというと……まあ、氷柱の一番深くてデリケートな部分に触れてしまうことなので、よく出来たトゥルー兄としては、むやみな言及は控えたいところです。トゥルー兄ではれば、語るよりもまず感じて欲しい部分ですね。氷柱という子を分かっているなら、難しいことでは何もないはず。
それはひとまず置いといて――軽い発熱ですんだ綿雪の調子ですが、それでもトゥルー俺を責めずにはいられない氷柱。いっしょにいることで、遊んで熱が出てしまった――という主張に関しても、それはまあ、まったくの否定は出来ませんが、しかしながら、綿雪の体が悪いのに、無理に遊んだりなんてさせないよ、という言い訳ぐらいなら可能なんですが――今の氷柱を前に、揚げ足取り的な反論はノーグッドで。トゥルー兄は、それこそ並の大人以上の精神年齢の持ち主でなくてはならないというのが、リアル俺にとってのトゥルー流儀であります。いや、でなきゃ、19人姉妹みんなに愛される突然の追加家族(しかも男)でなんていられないでしょうしね。高校一年生にしては完璧超人なんじゃないかと思われるぐらいの人間でないと、逆にリアリティがないんですよ。非リアルの中での中途半端なリアルは、むしろリアリティーを破壊する要素なのです。あくまでも、トゥルーに即したリアルでなければ。
そんなわけで、綿雪が言ってくれていた「お兄ちゃんのおかげですぐに治った」なんて嬉しい言葉を偶然扱いされたとしても、それはそれとして、氷柱の心境もきちんと汲み取ってあげられるトゥルー俺であって欲しいと、リアル俺は思うわけです。
いや、「ユキがあんまりいい子だから、きっと神様が――」という赤面発言は決して見逃しませんが、それに関してはむしろ全力で同意したいぐらいですよね。まあ、それはそれとして。
――ここで、トゥルー俺が強く認識しておかなければならないのは、綿雪も氷柱も、等しくトゥルー俺の「大切な妹」だってことです。そのことを一瞬たりとも忘れてしまっていたら、トゥルー兄でいるための資格が不十分といわざるを得ません。
ええ、何が大事かって、「等しく」って部分なんですよね。
そこのところを注視して、深い部分を考えていれば、以下の発言の本当の意味も、なんとなくではありますが、理解できるのではないでしょうか。
すなわち――
だいたい――
なんでアナタが1番最初に
ユキの不調を知ってるわけ?
そんなのっておかしいじゃない!
私に内緒で――
ユキと下僕が――
……ね? 何度も言ってるように、氷柱のデリケートな部分に触れないよう、詳しく説明したりはしませんけど。
俺が思うに、氷柱っていう女の子の魅力は、その感情や内面のアンバランスさにあるんだと思うんですよ。たとえば、綿雪の例を見るとおり、誰よりも綿雪のための力になりたいと思っている反面、具体的に綿雪にとって何よりの力になっていそうな存在には、反撥心を隠せないところ。立派なお姉ちゃんでいたいと切磋琢磨している傍らで、昔からお兄ちゃんが欲しくてしかたがなかったという点。勉強家で優れた能力を誇っていながら、わりと素でアフォなところが垣間見られる点。……これらの部分は、どれも彼女をいとおしくて仕方ない存在に彩ってくれているわけです。
だからまあ、「よくできた」トゥルー兄としては、そんな氷柱のかわいらしいところを、そのまんまの形で愛してあげたいなという気持ちは強くあるわけです。
あるわけなんですが……、
気に入らないわ――
今日からユキとは面会禁止よ!
私が許さないから!
……オオウ。
さすがに、そこまでされてしまうと、気持ちの上ではどうあれ、他の姉妹たち(特に綿雪自身)とのかねあいもあって、どうにかしなければならないという状況になってしまいました。
それはまあ、言葉で「バカ!アホ!トンマ! この――でしゃばりの役立たず!!」って罵られるだけなら、むしろ花京院のハイエロファントの如く「狂い悶えるのだ! 喜びでな!」ってな具合なんですが、コレは少々やりすぎですよね。いかに感情が昂ぶりすぎただけって分かっていても、いくらかたしなめるべき発言です。まあ、言われた本人がそうするよりは、氷柱より上のお姉ちゃんたちの方が適切かもしれませんが――しかししかし。
まあ、氷柱自身がそもそも良い子なので、本人自身、言ってる傍から反省したいってぐらいの気持ちになってる可能性も十分にあるわけで、今回に関しても、むしろ叱るとかよりは、ちゃんと氷柱のことを分かってあげているって部分を教えてあげたいところなんですが……それはそれで直接やると押し付けがましくてかえって逆効果……っていうか、ある意味最悪ですしね。だから氷柱相手には、言葉ではなく、何か行動で示してあげたいところなんですが……良い方法が思いつかず。
しかしながら――そんな悠長なことを言ってる場合ではなかったりもします。
なぜなら……!
はん?
バレンタインなんて――
しるもんですか――!!
!!
――我が酒池チョコ林の夢があぁぁぁぁぁっ!? オオウなんということでしょう。そうでした、今週土曜日に控えるのは、トゥルー世界での最大イベント・バレンタイン! これは何か対策を――というかというか。
……ともあれ。今年のバレンタインも、ひたすらに「熱そう」ですね。
今度は氷柱がバレンタインを抜けるのか――
フフフ。
そ、その笑い声は霙姉さん! ――と思わず反応してしまいましたが、いやあ、時期的にはまさにナイスタイミングという他なく、きっと今日あたり来てくれるんじゃないかなって思っていたところなわけですよ。ほら、昨日、今回の件を収めるには、誰か姉さんたちの力が必要だって。
普段は海晴姉さんがその役割を果たすことも多いのでしょうが、麗の時には、海晴姉さんとでこじれたのでヒカルがその頼れるお兄ちゃんっぷりを発揮してくれました。では、今回は――ということで、順番からいえばやはり霙姉さんでしょうね。春風さんもいいお姉ちゃんなのですが、どっちかというと揉め事の仲裁は得意じゃなさそうってイメージもありますしね。本当にいざとなれば、それを押してでも力を尽くしてくれるでしょうけど――ともあれともあれ。氷柱バレンタインデー離脱については、霙姉さんの力があればなんとか乗り切られそうです。ホント、頼りになる人ですよ。
ともあれ、その頼りになるっぷりを早速拝見させていただきましょう――!
前に日記を抜けると宣言した麗に続いて――
今度は氷柱。
フフフ♥
ほぅら、やっぱり、
私が言ったとおり――
似ているだろう?
クスクス。
そうそう、言ってました……って……あー、あれ。ツララとウララ。
……なんか、いきなり暗雲が立ち込めてきた気もしなくはないのですが、だ、大丈夫! 霙姉さんが妙にノリノリなときは、いつも以上に頼りになるときの姉さんなのです! ……多分。一人で言って一人でツボに入るあたり、いかにも頼りになるって感じじゃあないですか! ……いや、理屈的に無理があるのは承知ですが。
まあ確かに、その冗談はさて置くとして、猪突猛進なところは似ていますよね。その本質まで見てみると、氷柱のほうがより複雑なところがあるわけですが、ついついへそを曲げてしまうというところにおいては、ね。
さてさて。そんな風に呑気に達観(&自ギャグでツボ入り)を構えておられる霙姉さんですが、それもそのはず、この事態についてはあまり深刻に考えてはおられない様子。これは確かに、姉妹のことを恐らくは霙姉さんの次によく知っているがゆえの余裕ってものなのでしょう。トゥルー俺など、オロオロするしかないって状況だろうと、長年この家族の中で過ごしていれば、とりたててどうということもないってことも、きっと数多くあるんでしょうね。
それどころか、最近は色々あって面白いとばかりに、宇宙的な表現を用いて説明してくれていますよこのお人。それはまあ、霙姉さんの基本みたいなものなので、特に何か言ったりはしませんが――って言うタイミングで、「いや、氷柱のことは心配しなくても大丈夫だ」……と。そりゃあ、ねえ。霙姉さんにそのタイミングで言われてしまったら、頷くしかありません。
放っておいても――
蛍かユキが上手く泣き落とすだろう。
麗とはまた違った意味で
単――
……
まあ、いいか。
……あえて最後まで言わない霙姉さん。いや、氷柱のことをおもんばかってというのは分かりますが、かえって逆効果っていうかなんというか! まあ、完全に同感なのでなにも言いませんが。
それよりも問題発言としては、「蛍か綿雪の泣き落とし」って部分ですね。あ、あの二人が……!? 二人とも、降ったばかりの雪みたいに純粋な女の子ってイメージなのに!? ……って動揺するのは、所詮トゥルー俺も夢見がちな男の子ってことでしょうか。
しかし言われてみると、この二人に泣き落としなんてされたら、氷柱でなくとも抵抗できませんよね。俺なら泣かれそうって気配を感じた時点で絶対肯定or服従に回ります。それはいいとして、当事者である綿雪については、確かに納得。……っていうか、氷柱相手なら、わりとしょっちゅう泣き落とし的なことをしている気もしますね。ほら、お外で遊びたいとかそういうことを頼むときなど。今回に関しても、トゥルー俺と面会遮断とか言われてしまったわけですが、それを綿雪当人が是とするわけもないですしね。むしろ今までの中で最大の抵抗としての泣き落としを試みた可能性すらあります。
で、もう一方の、ホタの泣き落とし……いや、ホタだったら、泣き落とすまでもなく、普通に頼んだ時点で、家族の殆どは抵抗できないような気もするわけですが、それでもヘソを曲げた氷柱相手には、そのぐらいのことが必要ってことでしょうか。それにしても、ホタの泣き落とし……あわわわわ、女の子の最終兵器ですよこれは。想像するのが恐ろしいぐらいです。あのホタが小悪魔に徹したとしたら……それはもう、どれほど恐るべきプリティデビルになることか。
まあ、その恐るべき泣き落としの小悪魔さんたちの様子を想像するのは、後日及び同人関係に委ねるとして、氷柱について。
イベントは仕切るたちだから――というのが、霙姉さんが安心している論拠の一つ。たしかに、ホームズごっこのときのノリノリっぷりを見ても、そうしたイベントに全力を尽くすタイプであることは想像に難くありませんね。
そして。単に張り切るだけでなく、「氷柱がいないと夕凪や立夏やマリーが暴走して騒ぎになるときも多い」、という意見が。いや、これは……なるほど。「怒りんぼ」って評しているように、氷柱って、この穏やかな子の多い家族の中で、数少ない「怒る」役割を果たしてる子なんですよね。その役割を自負している部分と、単純に素の部分との両方があるんでしょうが、そういう氷柱がいないことで、小さい子たちなんかが暴走したときに、歯止めが利かなくなることがあるっていうのは、すごく頷ける話です。
そういうところはエライやつなんだ、
まったく――。
盾になるのをいとわない、戦う女だ。
……霙姉さんにとっての、氷柱という女の子の評。これは……本人はもしかしたら嫌がるかもしれませんが(逆に「かっこいい!」って喜ぶ可能性もありますけど)、ある意味では最大級の賛辞って思えるのですが、どうでしょうか?
そう。氷柱って子は、遠慮も容赦もないかわり、自分の身を庇うこともないんですよ。いつだって全身全霊。そのせいで、綿雪とトゥルー俺とが仲良くしていれば、それに対して全力で気持ちをぶつけずにはいられない。本当の気持ちというのは、彼女自身、自覚したりふれたりはできないところがあるでしょうから……つまりは、それが彼女のウソ偽らざる気持ちなんですよね。自覚している限りでは。本当、もしかしたらこの姉妹の中で、一番素直な女の子って言えるかもしれません。「自分の今抱いている気持ちに」って前書きがつきますが。
しかし、だからこそ、家族の中では頼りになる……というか、なくてはならない存在なんでしょうね。
という風に、氷柱がそういう女の子であると前置きしたうえで、霙姉さんが安心する根拠がもう一つ。すなわち、「敵前逃亡だって思われたくないだろう」という点。
氷柱は努力家であり、頭は凄く良い子です。走るのが速いということで、運動も恐らくは得意でしょう。しかし……「家事とか裁縫があんまり――」と。
氷柱の性格を考えると、きっと家事なんかについても、上手になろうと努力していた時期はあったと思うわけですよ。ズボラとかそういうことではなく。ただ、それでもなお今だ苦手なままっていうことは……根本的に向いていない、というほかないのでしょう。氷柱にとっては、もしかしたら、アキレス腱的な部分なのかも知れませんね。
そして、それこそが――霙姉さんが示した、解決方法でもあるわけで。
いくら下僕がどうこうと言ってみたところで。
きれいにチョコレートを作るのが苦手で――
バレンタインを逃げ出したとは――
思われたくないんじゃないかな?
とくに小さい妹たちには――ね。
フフフ――
――ああ、今の霙姉さんは、まるで諸葛孔明のよう――!
いやあ……流石。姉妹のことを熟知しているがゆえの、見事な狙い。いや、単に氷柱が単純な子(この場合、むしろいい意味ですね)ってことでもあるんですが、それにしてもこの狙いはなんというか……おみぞれしました。(←なんか流行させたい表現)
と、このように、バッチリ頼れるところを示してくれた霙姉さんですが……果たして氷柱は、バレンタインデーまでの残る数日をどう過ごすか。まだまだ予断を許しません。
うれしいなっ♪
俺もなんだか嬉しいな♪ って、夕凪さんがなんだか新必殺技「♪」マークを引っさげて登場なさいましたですよ!? いや、もしかしたら以前に使ってたことありましたっけ? 俺がうっかり忘れているだけかもしれませんが、とにかくときにものすごい乱舞っぷりが見受けられる「♥」マークに比べれば、レア度が高いことは間違いなく、それだけ今の夕凪さん、ひいてはトゥルー内における全体的なテンションが高いということを示しているのではないでしょうか。
だって、ホラ――バレンタインまであと二日ですよ!? 今年のバレンタインは土曜日ということで、会社や学校もお休みであり、チョコの売上が落ちるのでは、ってニュースでもやってるぐらいですが、それはこのトゥルーにおいても……否、土日が休みなトゥルー日記だからこそ、深刻な状況と言えるでしょう。
まあ、トゥルー家族にとってバレンタインデーは、それこそ一年で一番大事な日といっても過言ではないぐらいの大イベントになることが去年のあの日に決定付けられたわけでして。……ええ、あの日は思いきり平日だったんですよね。仮にもし、またあんな朝八時から24時まで1時間ごとに更新するなんて狂気の素敵沙汰が行われるのだとしたら、土曜日というのはむしろ好都合とは言えるかもしれません。
そんなわけで、祝日を挟んでしまった今週は、残る通常日記が今日と明日しかないわけですよ。バレンタイン当日にも何かあるとは思うんですが、今回はホラ、単に当日の準備ってだけじゃなくて――ね。氷柱の一件がありますので。情報や時間は少しでも多く欲しかったりするところです。
とはいえ、焦っても仕方ないので、ここはひとつ、夕凪さんのほにゃらーっとした空気と、このバレンタイン前の浮ついた空気の甘さを堪能することにいたしましょう。
そう、今日はそんなバレンタイン前というシチュに加えて、ホタの誕生日でもあるんですよね。すなわち甘い空気の素も倍増されているということになり――
もう、夕凪――
お口の中につばがいっぱいたまっちゃうよ〜♥
こぼれて、ヨダレがたれちゃう!
姉妹の中でも有数の、ヨダレが似合う子――って言ったらさすがに怒られそうですが、しかし本当は「夕凪さんのつばのほうが甘そうですよねウヒヒヒ」などと思っていたりするということは話さないので問題はありません(←リアルとトゥルーを使い分ける卑劣漢)。
とはいえ、夕凪さんが言ってる通り、毎月誰かの誕生日が必ずあって、そのたびにホールケーキを食べられるって言うのは、なかなかに特殊かつブルジョワジーな環境ではありますよね。今更ながら。
ケーキは作ることもあり、買うこともある……と。そりゃあケーキ作りは重労働ですからね。小雨の一番最初の日記がおやつのケーキを買いに行ったときの話だったこともあって、トゥルーでもケーキはけっこう買うことが多いって印象です。おやつすら手作りが多い家ではあるんですけどね、そこはそれ、バリエーション豊かに、と。
ともあれ、このホタのお誕生日は、バレンタインが直後に控えているということもあって、甘い空気が倍増中。それこそが、夕凪さん言うところの「2月のハートの甘〜いマ・ホ・ウ、だよ♥」ってことなんでしょうね。
さらに言うには――これは、去年から始まった新習慣、とのこと。……言われるまでもなく、トゥルー俺が来てからという意味ですが、それ以前にはもしかすると、あそこまで派手なバレンタインはやらなかったのかもしれませんね。まあ確かに、いかに女の子が多いとはいえ、たとえ家族とはいえ男の子要素が全くないと、そこまで盛り上がるような気持ちにはならないのかもです。これまたトゥルー俺の特権というか運命的な存在力の強さを噛み締め、幸せに浸りきれるって気分を実感したわけですが。
まあ、そんなことよりも夕凪さんにとっては――「夕凪はチョコもクリームもだーい好きっ!」って言葉が最優先なんでしょうね。うんうん、それでこそそれでこそ。
夕凪さんが言ってるホイップる、こなぷんとは、ともに実在のお菓子作り系おもちゃの様子。……(c)マークが必要だったりするでしょうかもしかすると。ともあれ、リアル俺たち的にはせいぜい日曜朝八時半タイムのCMぐらいでしか見受けられないアイテムが、まさに夕凪さんにはターゲット直撃の商品ってことを実感した次第です。
しかし、おもちゃはおもちゃで良いとしても、やはりより好きなものは、ホンモノであるとの夕凪さん。
ペロッってお指でとってなめちゃえば、
誰にもわからないもーんっ♥♥♥
えへへへへへ――♥
乱舞乱舞! ……ただ、夕凪さんの場合、ハートマークの乱舞は、テンションが高まっているときにはもちろん、照れ隠しというか何かを誤魔化すときのノリを表現するためのものって感じもありますね。いや、それはそれで超かわいいわけですが!
加えて、なにやら女の子が好きそうな用語をも乱舞させつつ、バレンタインの準備にお浮かれのご様子の夕凪さん。……どうやら、小学生組は小物調達係ってことらしいですね。それぞれチョコも用意はするんでしょうけど、手のかかる調理なんかはやはりお姉ちゃんたちってことでしょうか。トゥルー兄やヒカルあたりは、飾りつけ担当になりそうな予感。
とにかくとにかく。楽しいバレンタインを前にして、大いに期待を膨らませる夕凪さんとみんなでありました――って、なにやらメッセージが?
あ、お兄ちゃん――
今年はリッカちゃんも調理班に仲間入りで、
氷柱お姉ちゃんがそーとーケーカイしてるから、
つまみ食いは――やめといたほうがいいよ?
氷柱が!? ……と、やはりこの名前には反応してしまいましたが……しかしこの分だと、氷柱もわりと普通にバレンタインの準備には加わっている……っぽい? 氷柱の係は、調理班所属・対つまみ食い防止委員ってところでしょうか。
立夏が真っ先につまみぐいを警戒されているのは、まあキャラ的に言うまでもありませんが――いやいやいや。それだけではありませんよね。氷柱には去年、チョコをさくらにつまみぐいされてしまって、ましてそれが一ヵ月後まで後を引くという事件があったわけですから。二度とそのような事態は起こすまい――って意気込みを感じます。
……いや、っていうか……本当にごくごく普通にバレンタインに復帰しておられますね氷柱。やはり、霙姉さんの策がてきめんだったんでしょうか。まあ、それがあろうとなかろうと、氷柱の性格上、あの一瞬だけカッとしても、こういうことをほっぽりだしてしまうってことは考え難いですからね。あれで責任感も強いお姉さんでもあるわけですから(だからこそ、内面に抱える「甘えたい妹」の部分とが相反して、激情となってしまうわけなんでしょうけど)。
もちろん、トゥルー俺に対してはまだプンプンしていると思うのですが、ともあれ普通に参加してくれていることが分かったので、とりあえずは一安心です。良かった良かった。
まあ、恐らくは当日、これでもかというほど食べることになるトゥルー兄が、わざわざつまみ食いすることは考え難いのですが――
なんかね――ワナしかけてたって
星花ちゃんが言ってたよ――
……なんか、大事になってますよ?
いや、星花が言ってたという部分で、石兵八陣的なトラップを連想してしまうわけですが、それは星花が教えてくれたってだけで、トラップを仕掛けたのは氷柱ってことなんでしょうね。つながり的に。
まあ……さっきも言った、去年の例がありますから、警戒する気持ちもわかるんですが……そこまでするとは。去年の犯人だったさくらは、もうやったりしないでしょうし、となると危険なのは、やはり立夏(チョコの代わりに餡子なら、霙姉さんも警戒対象に含まれるかも)。確かにあの子を止めるには、そのぐらい必要って気もしますが……。
氷柱が今、何を思っているのか。
なによりもそれが今一番知りたいですね。
このバレンタイン直前という土壇場の日にあさひさん更新とは――ッッ! いやまあ、バレンタイン前のみんなの様子とか、特に氷柱がどうしているか(ワナとか)など、知りたい情報がいくらでもあるというタイミングなわけですが、そういうときにこそ、この満0歳レディは日記に降臨なさいます。……これも一種のYASEIの勘ってヤツなんでしょうか。トゥルーの血筋に伝わる。
加えてもう一つ……というか、こちらのほうが更に重要なのですが。
前日にあさひさん登場――ええ、去年のパターンと同じなわけですよ。これは非常に恣意的というか、トゥルーを司る運命率みたいなものを感じずにはいられません。
だからといって、去年とまったく同じような怒涛更新があるとは限らないわけですが――それでなくとも、「何か」があることだけは確実なわけで。リアル俺たちのほうも、今夜のうちから万全の体制で明日を迎える覚悟みたいなものは整えておくべきでしょうね。
――さてさて。そんな前置きはひとまず置いておき、あさひさんの言語を解読していくところから始めましょう。
あーたん、
むーちゃ♥
あぱぱっぽ、
あっだばー!
にゃーにゃ、
あっぱ?
ぼぼあっぱー♥♥♥
……さすがに当方も、「あーたん」と「にゃーにゃ」ぐらいは分かるようになってきていますが、他はさすがに。ここ最近のパターンだと、「(何かを)食べれ!」的な、何か非常に豪胆かつきっぷのよい大物っぷりを見せ付けてくれているのが常でしたが、今日は一体どういうことを話しておられるのか。
それではさっそく、トランス先生にお願いいたしましょう――まずは前半部分。
あさひ、
しってる♥
おいしいものは
じぶんでとる!
――あさひさんは今日も豪胆だった!
な、なんとYASEIの掟に従う0歳児――! いやまあ、人間が一番獣に近い時期というのが乳児期なわけですし(大人になって性衝動に突き動かされている瞬間などを除けば)、そもそも立夏の例をあげるまでもなく、このトゥルーの血筋には、YASEIの力が比較的強めに備わることが多いのかも。
常においしいもの、食べられるものを求めてやまないあさひさんにしてみれば、これはあたかも、ピクルが自分より強そうな獲物を求めるが如き本能的衝動なのでありましょう。もちろん、あくまで赤ん坊視点での見方なので、俺たちの認識とイコールで結んではいけないのでしょうが、それでもなお、この貪欲な肝の据わりっぷりを見ると、彼女の将来を色々な意味で期待せざるをえません。
まあ、そんな頼もしい姿勢は素直に誇りに思うとして、気になるのは、一体「何を」取るおつもりなのか。
その答えを求めて、後半部分を見てみると――
おにいちゃん、
これほしい?
黒いのとってきた、あげる♥♥♥
――すでに、獲物はゲット済みのご様子。
さ、さすがはあさひさん、気持ちのうえだけでなく、実行を伴っておられる……! 0歳児にしてすでに立派な食料ハンターでありますよ。
しかも、それを真っ先に「食べれ!」とばかりにトゥルー兄にプレゼントしてくれるというきっぷの良さ――何度も言いますが、明らかに彼女は将来大物になります。戦闘力で言うならば最低でも和田アキ○クラスに。
……などと、喜んでいる場合ではなかったりするのですが……。
「黒いのとってきた」
……「黒いの」、と仰られましたか。
この2月13日の夜に、恐らくは食べものと思われる「黒いの」と言われて。いかに愚鈍なリアル俺とはいえ、それがまさかかりんとうと思ったりはいたしませんとも(霙姉さんあたり、意表を付いてかりんとうを作ってたりする可能性がないわけでもなさそうですが――)。
つまりは。この状況を冷静になって分析すれば――
……誰かのチョコを、とってきちゃってますね。
昨年に続き、なんという事態! いや、去年のあさひ自身は、ちゃんとママと思われる人物が止めてくれていたわけですが、昨日までも言っていた通り、他の子による事例が――
で、誰のチョコが被害にあったかといいますと、それはやはり、フラグ的に言って――ねえ?
……しかし、ですよ?
今年の氷柱の状況はというと、昨日の夕凪さんが教えてくれた通り、「相当警戒している」とのこと。加えて、ワナまでしかけてあるという情報まで入ってきているわけで。
この経過いっぷりに関しては、まだ確報こそありませんが、去年の氷柱がチョコをさくらに食べられてしまい、それが一ヵ月後のホワイトデーにまで後を引いた事件が影響しているというのは、まず間違いないと思われます。
それを防ぐために、ワナまで用意した警戒態勢を敷いた氷柱。その意気込み自体もすごいですが、それ以上に「なんてお約束の神様に愛された子なんだろう――」と思ってしまうのが、今日のこのあさひさんによる「黒いの」ゲット事件。
これはそれ以上に確証がありませんが――話の流れ的に言えば……でしょうね。恐らくは。
ワナまで敷いて警戒して、それでいてチョコを取られてしまったのだとしたら――どれだけ氷柱がうっかりお約束系なのか、それともあさひさんが規格外なのか。いずれにせよ、超トゥルー的自体というほかなさそうです。
ともあれ、今のところは、予想の範疇を出ないことしか言えませんね。
この事件の顛末が気になることまで含め、今年一番のどきどきわくわくな夜を過ごすことになりそうです――明日よ早く!
――はい。今年もまた、トゥルーバレンタインでした。
だいたい1時間置きぐらいに壮絶更新が行われ……無事終了。
当日の日記を追っかけてる感想は、下のリンク先に全てまとめてますので、そちらにて。
→ バレンタイン日記へのリアルタイム追っかけ感想を読む
それにしても――去年と同じような更新をしつつ、明らかに去年のバレンタインを上回る素晴らしい内容でしたね。トゥルー兄以外の人が見ても、この流れの面白さは必見だと思います。興味がわきましたら、ぜひぜひバレンタイン当日の、朝の更新のほうから読んでいただきたく。
バレンタイン後の燃え尽き症候群などなんのそのッ! 今日よりこうしてトゥルー日記が再び始まろうともなれば、それはもう即座にテンション↑↑(←アゲアゲ、と読ませたい、最近ちょっと若者言葉についていけない感を覚えるリアル俺)で参ろうというものですよ! ……いや、少しばかり疲れが見えてるかもですが大丈夫へいきへいき。トゥルー俺は現在大絶賛高校一年生中ッ!(リアル俺に関してはそろそろ痛々しい時期なので聞かないであげてください是非)
そうッ、そんなことを言ってられないというか――麗ですよ麗。この子が話を持ってくるときは大抵、俺たちに大きな衝撃をもたらすことになるわけですが、今日も案の定というか……
家族ならハグするのなんて当たり前だって――
立夏ちゃんが小雨ちゃんに言ってたわ。
すごい言い訳。
――ハグ?
何言っちゃってんの?
――大変感情を昂ぶらせておいでです!
っていうか! やっぱり尾を引いていた! そう、それはもちろんバレンタイン! あの日あの時あの場所で立夏にハグらーれーなかったなーらー、なんてトゥルー姉妹ではせいぜい海晴姉さんにしか通じないであろう替え歌で表現している場合ですらなく、そう……例の……。
そうですよ。あの日、あの……その……(思い出すだけでいてもたってもいられなくなりまして候)と、とにかく! 立夏と、まあ……ハグハグだったわけですがっ! それを小雨に見られて麗に怒られて、という流れもまた、その衝撃とともに体と心に刻み込まれているので御座います。
確かにその後、小雨とはお話ができて、そのうえ彼女の前向きなところを知ることが出来たので、思わず人心地ついてしまっていたわけですが――あの、男という性に過剰反応する麗のことですからね。チョコの交換はさておき、頭では家族愛の延長(家族愛と男女愛は必ずしも相反しないという理論)と理解できていても、気持ちの上ではやはり、色々引きずってしまうのでしょう――
しかしとりあえず、いわゆるアメリカ人的親愛表現であるところの「ハグ」だったんだヨ、などと立夏は説明したらしく――案の定、即刻却下。いやまあ、そりゃあねえ。気持ちは分かりますが。「私たちは――日本人よ!!」なんて言われるまでもなく。
……しかしですよ? なんというかなんというか……あのときのハグ。立夏的には、あくまで「家族の」ハグだったのかというと……。少なくとも、麗にはそう説明しているみたいなんですが……む、む、む?
いや、そこで立夏が、「モーチロン、女の子としてのハグ♥ ……だヨ?」なんて、気軽に返していたのなら、麗もそれで、全くもう――って言うぐらいで済んでいたような、いややっぱり済まなかったような……って、まあそれはともかくとして。
まあ、何が言いたいのかというと――立夏が想像以上に、あの日のことを意識してしまっていたんだなあ……と。それはもちろん、あの言葉にドキドキしてしまった身としては大いに嬉しいことなのですが、それにともなって、色々と大変なことも……そうたとえば、この目の前にいる麗とか。
とはいえ、麗も少し冷静になって――というか今日は最初から、激情しているというよりは、どうにもムズムズした感情を抑えられないって感じの雰囲気ではありましたが――その立夏のことについて説明しているわけですが。
それはあろうことか――
私知ってるわ。
立夏ちゃんはね――
最近ちょっと。
頭に――春風が吹き始めたのよ。
何かそういう――匂いがするの。
これで第3号だわ。
頭に春風! それも第3号――!
い、いやあ……使われるのは二度目ですが、何度聞いても強烈なインパクトの表現――! っていうか、これは春風さん素で怒っていいいレベルなんじゃないでしょうか。
それはさておき、このところ――特にバレンタインの立夏に関しては、確かにまあ、その表現を用いたとしても仕方ないぐらいの桃色オーラを迸らせてましたよね。まあ、あの日はみんな、多かれ少なかれ桃色空気に冒されていた感じですが……。
でも。でもですよ?
あの魔力の領域にすら達していたんじゃないかと思われるバレンタインデー補正を抜きにしても、立夏はホラ、中学一年生。まさに、そういう風な「目覚め」みたいなのは、当然のように起こりうる年齢なわけで。ちょうど漫画版の絶チルみたいなことになっていたとしても、なんの不思議もないとは思います。
だからまあ、あの立夏の……その、ハグハグは、決して一過性のものなんかじゃない――って覚悟は、トゥルー兄はしておくべきだと改めて思った次第です。
とまあ、それはそれとして……第3号ですと?
まあ、第1号に関しては、それこそ名前の時点で言うまでもないですが(いわゆる超大型きゅんきゅん性高気圧)、では、第2号はというと……?
麗が言うには、バレンタインの前の日に超大型の春風があったようなのですが……これって、何かの比喩? それとも、純粋な気象現象としての風? これがちょっとよく分からないのですが……
とりあえず、「前日」と限定して、しかも具体的に電車を止めたって表現があるので、氷柱のこと――を言ってるわけではないという気はします。麗って、そういうところはそこまで過敏じゃないというか……氷柱みたいな繊細な子の内面を覗くことに、気後れとかおびえを感じてしまうタイプって気もするので。ともあれ、個人的には本当の風のことを指しているのだと理解しました。
ともあれ、その風が、立夏に乗り移ったから、と麗的には理解したようです。
そういうところ――なんていうかひどく――
動物的な人だから。
もはや立夏のYASEIは家族の中でも常識とばかりに――! まあ、その理屈だと、気象条件の激しさで思わず、というノリであり、いかにもYASEIだなあとは思うので、麗の理解としてはしっくり来るんでしょうね。
しかしながら、やはり麗は(当たり前ながら)奥手というか、そういうことに帯絵があるというか――
そういうことを意識する、っていうのは……あれですよね。小学生特有の「照れ」というかなんというか……。
私――私が。
もしあなたとハグなんてしなきゃ
いけないなんてことになったら――
私――
……
私は絶対に死ぬもん!
G's本誌以来久しぶりの「死ぬもん!」来たああああああああああ! いや、その、この言い方あまりにも可愛すぎて、むしろ聞いてるこっちが死ぬもんって感じなんですが(←興奮過剰による過呼吸とか心拍停止とか、いわゆる「萌死」の症状で)、しかししかしこれはアレですよ。
別にそんなことを考える必要なんてないはずなのに、わざわざ自分からそういう想像を行ってしまうっていうのは……いやいやいや。別にトゥルー俺がどうとか、そういう自惚れた話ではなくてですね。なんというか、麗もお年頃なのだなあ……と、顔のニヤニヤがそろそろ筋肉痙攣の領域になるぐらいに抑えきれなくなりそうです。
今日は虹子! さてさて、先日の熱気もまだ冷めぬうちではありますが――
もうすぐ――ひなまつり。
バレンタインデーが終わったらもうすぐひな祭りでござるの巻! いや、季節の流れや行事に関しては、リアルもトゥルーも姉妹の誕生日以外には変わらぬはずなのに、トゥルー世界の中では、次から次へととてつもない勢いで季節のイベントを迎えてゆくって気分です。この家ではそれだけイベントごとを大事にしてるってことなんですよね。
というわけで――次のビッグイベントは、3月のひな祭り。まだまだ二週間ほど間がありますが、大きなイベントの場合、もう一週間前には準備が始まりますからね。ましてやひな祭りといえば、
ひなまつりは――女の子の日なの。
ウフフフフ♥
とーってもたのしみ!
そう、女ばかりのトゥルー家族にとっては、バレンタインやクリスマスに準じる一大行事といえましょう。それはもう、準備にも一週間以上前から大忙しですし、リアル側視点としても、当日にはユキ先生のイラスト更新だって望めようというものです。
そして、この19人姉妹の中でも、最も女の子度――なんといいましょうか、纏ってるオーラというか、仕草や思考といったものを総合した雰囲気な――が高いと思われる虹子でありますから、こうして他の姉妹に先んじて、真っ先に話題を出してくるというのも頷けようというものです。
そう、まだ二歳児ではありますがー、この虹子こそが、上で述べた「女の子度」的に、この家族の中で一番濃厚なものを持っているのではないかと思うのですよ。
みんなそれぞれに可愛らしく魅力溢れる女の子ではあるのですが、こと「ガーリッシュ」な雰囲気という一点において判断すると、やはり名前が挙がるのが、春風さん、ホタ、小雨、綿雪、マリーといったあたりだと思うのですが(大人っぽさや元気度、性格の穏やかさなどを考慮。さくらはまだガールというには幼いんですよね)、そのあたりのお姉さんと比べても、さくらより年下な二歳児である虹子は、全く遜色もないどころか、もっとも際立った女の子度を持っているような気がするのですよ。
まあ、その判断基準は、あくまで「個人的にそういう気がする」という以上のものではないのですが――しかしですよ。
あの最初期の「おちんちん」発言以来、その奔放な男の子顔負けの元気っぷりを見せ付けてくれている青空。この子が男の子になりたいと言っているのは、俺たちも何度も耳にしているわけでありますが、そんな意見に対して、虹子はというと――
でも、にじこは――
ぜーんぜんっ!
女の子がいい♥
にじこはぜったいぜったい、
女の子!
ずっとずーっと女の子!
……大事なことなので、何度も何度も言いました! いや、これは本当に、「女の子」っぽさというものに、一方ならぬ執着があるんですね虹子って。
そりゃ、小さい子であれば、女の子らしさに憧れるのは当たり前ではあるのですが、ただ、まだ二歳の子ですからね。このぐらいの時期だと、まだまだ男女の意識差なんてほとんど無くって、それこそ程度の差はあれ、青空みたいな意識な子がほとんどじゃないかって思うんですが――そこはそれ、虹子の超二歳児っぷりということなのでしょう。
虹子の超二歳児っぷりといえば、それはもちろん――その歳からは考えられないぐらいの、「女の子」らしさ。……ええ、この一年二ヶ月の間で、どれだけこの小さい小さい小悪魔さんに、年甲斐も無くドキドキさせられたことか。
そういう、もはや「妖しい色香」とさえ言えるようなオーラが、どうしてこの歳で身に纏えているのかといぶかしく思うこともしばしばだったのですが……それはどうやら、このあたりに根源がありそうですね。まあ、ぶっちゃけた話ですが――「女の子でうれしいもん♥」、と。そういう気持ち何よりも大事だって、明確に思えているからなのでしょう。
絶対に男の子になんてならない、と明言されてしまい、ごく一部のおちんちんランドに住まう住人達は涙目かもしれませんが、まあそれはどうでもいいとして。
そんな虹子の「女の子っぽさ」へのモチベーションとなっているのは、やはりおしゃれ。イラストを見た時点で、もう明らかに、二歳児ってレベルじゃない華やかさを放ってますからね虹子って。フワフワのスカートに、お花のかんむりというのは、すでに今の時点でさえ身に着けているオシャレアイテムなわけですが、それに加わるのが、ちょっぴり子供らしいお菓子屋さんと――そう、お嫁さん。
なんというかもう、お嫁さんって口にした時点で「エヘヘ♥」と、花のようにはにかんでしまわれるわけですが!
にじこはぜーったい、
大きくなったら
お兄ちゃんのお嫁さんになるの!
お兄ちゃん――
にじことケッコンしてね♥
嗚呼……! ベタといえばベタだというのに、なんと心をときめかす喜びワード……! それもこれも、発言者が他ならぬ虹子だからですよ! そう、極めてあどけない発言と思わせつつ――次の瞬間には、大の大人をドキリとさせる言動を放ってくれる、魔性の二歳児であるがゆえに。
ずいぶんあったかい――
春みたいな日が続いたと思ったら。
また急に――
寒くなってきたな。
季節の話題とともにヒカル登場! いや、季節の話題というのは、親しかろうと、つい今あったばかりの人だろうと、およそどんな関係の人にも通じる万能話題ではあるのですが、このトゥルー日記においては、それに加えて、トゥルー内とリアルの季節感をシンクロさせるという重要な意味をも持っていたりしますね。
あと、この内容からすると、案の定、時間の移り変わりのみならず、リアルの今現在における気象情報をもばっちりと組み込まれた天気がトゥルー内でも広がっているようで。以前からこのトゥルー日記には、書きだめなどせず、その日その日に書いた内容がアップされているとの噂がありますが、そのことを改めて認識した次第。
さてさて。今日のこの日は、暦の上ではさておき、まだまだ冬として認識される時期ですが、もうそろそろ、季節の変わり目といってもいい時期かもしれませんね。それゆえに、天気もこんな風に荒れ模様なのだと言えるのかも知れませんが……。
そう。季節の変わり目といえば――乙女心がセンチメンタルになる時期。
それはすなわち。
ヒカルのポエマーな一面が、顔を覗かせるかもしれないという期待がもたれるわけで――!
なんだか――
こんな日は、
ふいに。
……
心細くなる。
……これは、なかなか来てますね。ヒカルの乙女チックなセンチメンタル感情が。
過去のヒカルのポエムっぷりに関しては、去年の3月、桜の季節の頃に見せたこんな一面を思い出していただければと思います。
そう、注目したいのはこの、「誰かの手に少しだけ――すがりたくなる」という、俺たち的には爆弾並みとも言える破壊力を持ったこの締め文。お、乙女だ……!(←小熊っぽく)
加えて、間髪入れずその翌日、こんな照れ隠しを書いてくるというのがこれまた高得点というか! ああ、この極めてハイレベルかつ高濃度なニヤニヤ誘発空気……! 一発や二発殴られたぐらいじゃ、忘れようにも忘れられるはずがありません! いやあ、実に実に良き乙女っぷり。
……とまあ、このような経緯がありまして。ヒカルが季節の変わり目に、センチメンタルになり始めたというのはすなわち、またこんな風な一面を見せてくれるのでは、という強烈な期待感を俺たちに与えてくれるのですよ! 期待、期待せずにはいられませぬ!
ましてや、あの頃から比べても、もはや一年近くが過ぎており、その間、トゥルー俺とヒカルとの間には、より強い絆――そう、弟でも兄でもない、ちょっと特別な存在として――が築き上げられてきたわけですよ。だから、一年前より、もっと大胆な……と。そんなことまで考えてしまうというのも、先日のバレンタインでのみんなの様子(特に立夏)を思い出す限り、無理からぬことでありましょう!
そんなわけで、今日のヒカルがぽつぽつと漏らす言葉を、ちょっぴり不埒な期待とともに追ってしまうトゥルー俺なのであります! い、いや、不埒といえば不埒ですが、一体誰が責められるというのでしょう。こんな同い年の異性の家族を相手に、ちょっとした女の子らしい反応と、求めかけに期待してしまうというのは、ごく自然な心の働き。……とまあ、言い訳はいいとして。
「体に穴が開いたよう――」と、ヒカルの言葉はどんどんおセンチ色を濃くして来ております! これはいい傾向……と思った矢先に、「なにか温かいもので埋めたくなる」と、まさに期待通りと、夜神月ばりの微笑みを浮かべたくなる展開に!
……と、そこまで言った後、少しはにかみつつ、落ち着きを取り戻したような様子になるヒカル。曰く、こんなときの特効薬を知っている――と。お、俺も! 俺もなんとなくその特効薬に心当たりが!
こんな時には――。
……
温めてもらうに限るんだ♥
私の大事な――
大事な――
……
――来た! 来た来た来た来たッ!
い、いやヒカル、もちろん暖めてあげることはあげられるけど、そんな照れも無くいきなり――と、トゥルー俺の精神もパニックを引き起こしそうな勢い間違いなし。とはいえ、ここで逃げるほどにヘタレ野郎ではないのがトゥルー俺のトゥルー俺であるがゆえんであり、すなわち紳士としての覚悟を瞬時に定め、ぬくもりを求めているヒカルのことを、両手を広げて受け入れようとするわけですが――!
小さな妹たちを抱っこして、
今日は寝よう――
……………………ですよねー。
あー、い、いや。その。あまり小さくもなく、兄でもなければ弟でもないものを抱っこするっていうのは……って何でもありませんごめんなさい主に生まれてきたことに対して。嗚呼、トゥルー俺の頭にも春風が吹いております。
……とまあ、ちょっと心情的には、思いきりアレなことをしでかす寸前だったわけですが……ちょうど去年のヒカルも恥かしい思いをしたのでお相子かな、とも。いや、もしここで、トゥルー俺がもっとアクティブかつ勇み足なアクションを取っていれば、ヒカルの態度も全く違っていたでしょうけど、それはあくまでifの話。……っていうか、家族ですからねー。紳士、常に紳士であれトゥルー俺よ。
というわけで、個人的にも非常に寒い思いをしてしまったので、この際だからヒカルにつきそって、今夜は小さい子たち部屋にて幼児布団を心行くまで堪能させていただきたい気分です。……はっ、この状況を上手く活用すれば事実上、間接的ながらもヒカル肉布団ということと同意義かも!?(←言った傍から紳士の心情から外れがちなYU-SHOWさんを誰か正しく導いてください)
吹雪日記! 今日は吹雪日記――なのですが。
……こ、これ……は……?
……吹雪の日記のタイトルは、その多くが、なにやら難しい科学用語が用いられています。これこのように。ここで初めて聞く類の言葉も多いですよね。
しかしながら、それ以外にもちゃんと、ごく普通な――というか、そのまんまの意味に取れるタイトルの日もあります。ラブとか無限なんて、ごく普通の単語ですよね。
……で。今日のタイトルはというと――
『オーバーホール』。ええ、意味は分かりますよね。ぐぐる先生に尋ねるまでも無く、機械の再組み立てを伴う調整や清掃作業などを施すことです。まあ、具体的な意味を知らなくとも、なんとなく中身が通ずる言葉ですが――はて。このトゥルー家で、何かオーバーオールする必要のある存在があったのでしょうか……?
昨日は――
検査の日でした。
……吹雪、の……?
いえ、とくに何か
問題があるわけではありません。
風邪もひいていません。
ただ――
私の体は定期的に
検査が必要なのです。
……………………。
……………………いや、なんといいましょうか。人体に対して「オーバーホール」という単語を用いるのが、適切かどうかはさて置き。ここで言われていることだけを見れば、別段、それほど不自然なことはありませんよね。
ええ、吹雪はご存知の通り、ちょっぴり熱に弱い眩暈持ちの子です。体が弱い……という表現が適切かどうかは、寒い日でも薄着で快調というあたりもあって、良く分かりませんが、ともかく、その体には色々と問題の――あくまで医学的な問題があるということは、間違いなさそうなことは、残念ながら事実です。
具体的には、去年の3月5日からの数日間の流れを見直してみれば分かりますが――
……いや、まあ。色々と思い出すことが――それも、疑念の類の――あるかもしれませんが。その件に関しては、自分としては、「吹雪が大丈夫なようなら、別にいいかな」ってスタンスを取ると心に決めておりますので、改めて言及したりはしない方向で。
というのも、他ならぬ吹雪自身が、これはあくまで、医学的には一般的なこと、と認識しているので、少なくともこの子の前で、そういう疑念を浮かべたりするのはバッドなことだと思うわけですよ。深い事情を知っていそうな霙姉さんが、いずれもっと詳しいことを教えてくれるかもしれませんし、そのときまでは、特に大きな問題でも生じない限りは、吹雪の認識にトゥルー兄としてもあわせていこうかな、と。
だからですよ、
けれど――
なぜか。
検査の翌日はとても爽快で
調子がよいのです。
……このような、何かを思わせるような発言も、吹雪自身が言ってるように、あくまでプラセボ効果の類であろうと、トゥルー兄としては自分に言い聞かせるべきって思うわけなのです。
それに、理由はともあれ、吹雪がなにやら元気そうにしているのは、素直に嬉しいわけですよ。密かにかなりレアな状態でもありますしね。しかし、MRI後に気分が良くなるって……いやまあ、プラセボ、プラセボ。
それに、そんなことよりも重要というか注目なのは――!
大変に気分がスッキリとして、
ひどく行動的になるのです。
フフフ――♥
ふおおおおおお吹雪ハートマークッッ!! いや、つい先日のバレンタインでも見ることが出来ましたが、それはあくまで可愛らしいくしゃみの効果だったわけで、素のまんまの吹雪がこんなハートっぷりを、いかに気分爽快な状態とはいえ、自分から見せてくれるとは――!
いや、それよりも重要なのは、この「ひどく行動的になるのです」という、爆弾のような威力を持った文字列ですよ。こ、行動的とは……い、いったいどのような方向性に!?
……と、その一言だけで思わず興奮し、妄想の翼を大いにはためかせてしまう俺でありますが、それどころか、吹雪のその具体的な行動的っぷりを、すぐにも体感できることに……ッ!
非科学的ですが――
告白します。
今なら空も飛べそうだと思うほどです。
さあ、私の手を取って下さい。<br>
一緒に空を――
飛びましょう――
空も飛べるはず!!! ……っていうか、吹雪がトゥルー俺の手を自らお求めになっておられるッッ!! なんと積極的な――と、その具体的な申し出に興奮してしまいましたが、実は今までの日記も、直接的ではないものの、十二分なぐらいに積極的というか兄を強く求めている内容ばかりだったことに改めて気が付いたり。ああ、吹雪の思いに答えてあげたい気持ちが強く強く――具体的にはハグ。それも、麗なら「死ぬもん――!」ってレベルの。
ただ、それは――もしかすると、せっかく調子のよさげな吹雪を、再びオーバーヒート……的な(←あくまで「的な」ということで)ことにさせてしまうのではないかという懸念もあって、手放しには喜べないのが少しばかり残念というか。
吹雪が倒れたとき、霙姉さんが言ってたことを思い出すわけですよ。「このまま行けば、倒れるだけではすまないことも有るかもしれない」……と。
まあ、だからといって、家族として当然なレベルのスキンシップまで気をつけなければならないというのは、さすがに完全には無理な話ですし、なにより今の吹雪は調子が良いわけですから、そこまで心配しなくても……とは思うのですが。でも、改めて、トゥルー家族の中にも、ちょっとした危うさみたいなものはあるのだなあ、と心した次第です。
とはいえ、実のところ本質的な意味においては、その危うさって、吹雪に限った話ではないんですよね。要するに、トゥルー俺がいることのドキドキが原因、と言う意味では、バレンタインのときなんて、ちょっとヒヤヒヤしてしまいましたし。
吹雪の場合は、そのドキドキが、心だけでなく体に直接響いてくることになる――と。そのことを覚えておけば、トゥルー兄としてはOKかな、と。
しかし、それにしても――
この後、吹雪はトゥルー兄の手を取って、実際に庭を走り回ったりしてみたのでしょうか。吹雪のそんな、兄に絡んで元気いっぱいな姿っていうのは、想像するだけで、ちょっと……俺を幸せ死させる気ですか! ああもう。また眩暈を興してしまうかもしれませんが――そんなかわいい吹雪に、さわってみてもいいですか?(←それこそ吹雪っぽく)
お兄ちゃんに――
なぞなぞをだします!
――うおおおおおおおおおおおおッッ、さくらのなぞなぞッ!?
……と失礼。なにやらさくらがのっけからテンションも高めかつ楽しげに面白いことを言ってくれてきたので、こちらのテンションも否応無く高くなろうというわけなのですよ。
しかしこれは、なかなか面白いというか、このトゥルー日記の中でも、わりと珍しい催しではないでしょうか。いや、たとえば夕凪さんの南の島事件みたいな、日記のシチュエーションそのものがミステリーでありある種のなぞなぞ的様相を呈していたことは何度かあったと思いますが、ここまで直接的なものは珍しいかもです。
しかも、それを言ってくれているのが、普段は少し内気で気弱なさくらなのですから、それはもう、盛り上がろうという俺の気持ちも多くのトゥルー諸兄がご理解いただけることかと。……といっても、内気ではあっても、控えめってことはないんですけどね。さくらの場合、歳が歳なので、まだまだいい意味で遠慮するということを知らないというか――ああ、さくらにやたらめったらとかまってもらいたがられることの、なんという至福か――!
……とまあ、そんな感傷に浸るのは後でもいつでもできるとして、家族に対しては、全幅の信頼があるためか、本当に子供らしく、遠慮をしたりはしない子ですよね、さくらって。
今更ながら思うのですが、さくらの一番最初の日記を見てくださいよ。特にこの、「さくらはお兄ちゃんが来てくれてから、毎日いろんなことがんばろうっていう気持ちでいっぱいです」っていう部分。このときはまだ、さくらの顔と名前を知ったばかりだったので、あまりその意味の本質を理解できなかったわけですが――今、こうして改めて見ると、さくらにとってトゥルー兄の存在がどういうものだったかが分かりますよね。恐らくは、さくらのまだ短い人生の中で、これが何かを決意するっていう初めてのことだったんじゃないでしょうか。
だから、さくらのこの、いい意味での子供らしい無遠慮さも、その積極性の中には、単なる子供としての衝動だけでなく、ちゃんと頑張ってお兄ちゃんと仲良くなろうって決意の気持ちが含まれてるんじゃないでしょうか。
……まあ、ちょっと考えすぎかもですが、今なんとなくそんなことを思った次第です。
……と、話が逸れすぎました。なぞなぞですよ、今日の本題は!
「あててね?」と念をも押されていることですし、さっそく頑張りたいと思うのですが――その、内容とは。
ちいさくて――
ふにゃふにゃしていて――
かわいくて――
みるとチュってしたくなっちゃって――
さわるとしあわせになるもの、
なーんだ?
…………………………。
……なーんだ、と、言われても……。
実のところ、この質問文を読む限り、俺の認識の範囲内では、すぐにでも出てくる答えがあるわけなんですが――
それはまあ、なんだ、アレですよ、アレ――さくら自身、としか。……ええ、ベアード様に許可を貰うまでも無く、そちらの側の人間の属性を持っているといわれても仕方ありませんが、それは全トゥルー兄に通じることでもあるので、特に恥ずべきことではないでしょう。えっへん!(だからといって、誇るべきものかというと、その)
まあ、さくらに限らず、このトゥルー家族の中では、およそ「ちいさくて」って表現が出来る子なら、間違いなく全員がそこに含まれるとも言えるわけですけどね。ただ、中でもさくらのイメージが一番近いかな、とは間違いなく思います。たとえ、発言者本人であることを考慮しなくとも。
ただし――さくらが考えたなぞなぞという時点で、さすがにこの答えはペケだってことは分かりますよね。……いや、社会的にももしかしたら大ペケかもですがそれはさて置き。チュってしたくなるとか、さわるとしあわせとか、それはもう!
しかしながら、さくら以外となると――ダメだ、もうどうしても、この答えをトゥルー家族の中からしか絞れなくなってしまっていますよ俺の脳が! できることなら、大部分のトゥルー俺がそうだと願うばかりです。
まあ、そんなわけで、トゥルー家族の中から、さくら以外にあえて挙げるとすれば――ヒントは、さくらがそう思う対象ってことなので――やっぱ、あさひさんでしょうかね。青空や虹子は、さくらから見れば、そこまでちっちゃくはないですし。
ともあれ、出してくれたヒントが「はだいろ!」という時点で、この答えをトゥルー家族の外から考えようという発想は消滅いたしまして候。さてさて、答えは一体――と、気になってもいるわけですが、
お兄ちゃん、あてられたらすごーいの!
えへへへへ――♥
……この、さくらのえへへへ笑顔ハートマークつきを見てしまったら、もうその時点で幸福すぎて、なぞなぞへ向ける思考力すら低下しそうになる次第です。かわいいなあさくらは。
――申し訳ないッッ! 「赤さん」とか言われたら、当然のように外道ベイビーどころかビリー・ヘリントンの股間モザイクしか思い出せないような兄で本当申し訳ないッッ!!
まあそれはともかくとして、今週もさっそく俺たちのトゥルー日記が始まりました。ええ、例のさくらのなぞなぞが控えていたので、いつも以上に待ち遠しかったりもしたわけですが、それの解答編を担当するは、幼児にしてものの風情や趣を解する才女、観月であります。
とまあ、なぞなぞの答えは気になるのですが、それはひとまず置いておくとして、日記の方を見ていきましょう。
とはいえ、書き出しの内容から、大方のことは察せられてしまうわけですが――
……というのも。
赤子というものは――
不思議なものじゃ。
まあ、のっけからの話題(というかそもそもタイトルの時点で)からして、「赤ちゃん」についてなわけですからね。とはいえ、今の時点では結論はとりあえずは置いておくとして。
「かわゆらしくて――」って表現が、それこそ観月らしくてかわゆらしいな――とも思うわけですが、確かに言っている通り、赤ちゃんの魅力というのはそういった感じですよね。
……と、ここで、さりげなく観月が放った言葉の中に――
前におばあが言うておった。
…………………………………………おばあ?
……い、いや……お、落ち着け、落ち着くんだトゥルー俺よ……! いかにトゥルー家族が極めて特殊なトゥルー的存在とはいえ、当然ママンは実在するし、そのママンとて、人の身である以上、そのまた上にママン――いや、あえて言うなればババンがいらっしゃることは道理……慌てる必要などはどこにも……(←トゥルーの時空が乱れるかのごとき衝撃を受けておられるようです)
いやまあ、そういえば前に、G's本誌か日記かは失念しましたが、蛍あたりが、おばあちゃんがどうのという話をどこかでしていた記憶がありますね。しかしそのときは、アルバムか何かの話だったと思うので、姉妹と直接面識があったかどうかは確認できていなかったような――と、このへん記憶があいまいです申し訳ない。
しかしながら、ともあれこれで、この観月の言っている「おばあ」が、この家の祖母にあたる人物であるとするなら、姉妹とその「おばあ」はちゃんと面識があるということになります。……このトゥルー家族にも、田舎と呼べる場所が存在しているってことでしょうか……?
加えて言えば、ここでたとえ祖母の存在に触れる記述があったとしても、もう一方の「祖父」についてはノータッチなのではないかな、という確信めいた予感も少々。まあ、姉妹の出生問題に直接関わる「パパ」とは事情が違うので、そこまで厳密にアンタッチャブルにしなくてもいいかもしれませんが、まあ一応。トゥルー家族の女系っぷりが筋金入りだってところのアピールにもなりますしね。
それにしても、どんなトゥルーおばあちゃんなのか、ちょっと想像がつかない……というか、想像するのが怖いような……。
まあ、それに関してはまたの機会に色々と妄想をめぐらせたいなと思うわけですが、観月がその「おばあ」から言われたことで、その人となりに関しては、いくらか見えてくるものもありますね。
曰く、「赤さんにはいつだって、特別な守りがついている」――と。
だから赤さんのそばにおれば、
おぬし――わらわのことじゃ、
わらわにも――
悪い気の近寄ることなく
守られておることができる、と。
だから、いざとなったら――
赤さんのそばにおるように言われた。
……なるほど。もしかすると、観月のこの、霊験あらたかな古式ゆかしい個性って、その「おばあ」ゆずりのものなのかも知れませんね。
これは単なる想像なのですが――観月は今までの人生の中で、ある程度の期間、この「おばあ」の元で暮らしていた時期があるのかもしれません。そんなに長い時間ではないでしょうけど、いずれにせよ、何らかの事情で。生まれたて霊感が強すぎて、その道に強い祖母――あるいは、特に血縁のない人なのかもしれませんが――に、そういう力を持ったままに生きるための術を教わったとか。いずれにせよ、とても想像の広がるエピソードです。とにかく、観月のこの霊感的な個性と、この「おばあ」なる人物とは、関連性を強く感じた次第です。
まあ、その「おばあ」と観月の関係については、いずれまた話してもらえる機会があるかもしれませんし、このへんで。とにかく、観月はその「おばあ」に言われたことはしっかりと覚えていて、何かと行動の規範としているようですね。
それに加えて、見識の豊富さというか、感性の深さというか――
人がみな、いつまでも
生まれたばかりに赤さんの
ままのようでいられたら――
どんなにか幸せなことじゃろう。
……観月のこんな、大人で、落ち着いていて――そして、優しい感性。この子がこういうものの見方を身につけられるようになったのに、誰かの力があったのだとしたら。それはとてもありがたいことだと思うわけですよ。人と人とのつながりがもたらすものに、改めて感謝と敬意を。
――とまあ、その関連についてはひとまず置いといて。そうした理由も手伝ってか、観月は赤ちゃんが大好きとのこと。あさひを見ていると、触りたくなるし、特に寝顔なんかはは幸せすぎて、つい眠くなってしまう……と。
フフ――。
そうか、わかったぞ。
兄じゃは赤子に似ておるのじゃ!
……ってことはつまり、観月はトゥルー兄を見ていると、つい触りたくなってしまう……と。あ、いや、それに関してはすでに実体験で知っていますよね。観月は実に手を繋いで歩きたがる子ですから(過去日記参照)。
オーラの色が違うということで、全く同じではないようですが(それはそうです)、そこまで思い至って、なにやらなるほどと納得しておられる観月。
はぁ――すっきりした!
そうであったか……
兄じゃを見ていたら、
どうしたって――
……
うむ。
……「どうしたって」……何?
えーとですよ。触りたくなる、見ていて(幸せで)眠くなってしまう……と、そこまでのことに納得したのは、この「すっきりした」より前に理解しているわけですよね。
つまりここでは、その二つ以外に何か、得心の行った事柄に思い至った、と考えるのが妥当なわけですが。いや、これは……気になります。かなり気になります。
そこで、ごくごく素直にその内容を推理するとしたら、
そういうわけで――
さくらのなぞなぞの答えは
もちろん「あさひ」じゃ!
……とのことなので(やったね!)、その絡みから、「兄を見てたらどうしたって――」の中身を探れるということなのでしょう。
ってことは――「兄=赤ちゃん」の線で、昨日のなぞなぞを思い出してみると……?
>ちいさくて――
>ふにゃふにゃしていて――
>かわいくて――
>みるとチュってしたくなっちゃって――
>さわるとしあわせになるもの
……とりあえず、上三行に関しては当てはまらないとして……
>みるとチュってしたくなっちゃって――
>さわるとしあわせになるもの
……なんだか、とてもうれし恥かしいような答えが導き出されそうな気がするので、き、今日はこの辺で。(←超照れてます) さ、さくらのメダルが楽しみだなあ! ……とか言いつつ、微妙に観月にほっぺを向けないこともないご様子。
もういよいよ、
終わりだネ……
うわぁ―――ん!!
すわ! トゥルーの一大事か!?
いや、立夏ですよ。あの先日のバレンタインの熱い記憶もまだ新しい、トゥルー家族のいろんな意味でのダイナモであるところのあの立夏に、のっけからいきなり泣き出された日には、それを見た時点で緊急体勢をしかないわけには参りませんトゥルー俺としてッ!
……とまあ、開始早々思い切り動揺させられてしまったわけですが、一体何が起こったというのでしょうか。「ちょーさみしい。ナミダ出ちゃう」とまで言わしめるほどのバッドイベント、このトゥルー日記においては、過去に何度か前例があるだけあって(ほぼ未遂なのはさておき)、不安にならざるを得ませんが……って、「離ればなれ」ですと!?
このワードが出た瞬間、去年の暮れの日記終了イベント(実際には二冊目に突入しただけですが)のときの恐怖が蘇り、いよいよいてもたってもいられなくなるリアル俺のテンション。おお、またも立夏がチャオ言ってるよ、なんて感慨にふける気にすらなれず(と言いつつ注目してますが)、ちっちゃなカワイイ自動車で、まさか家の誰かが連れられてしまうのでは、という恐怖に襲われたわけですが――と。
ここでふと、不意に脳内に鳴り響くドナドナのテーマ。すなわち、かわいーい小象ー、売られていーくーよー……的な。……まさかッ、「フレディが何か暴挙 → もうこんな象ウチでは飼えません! → トゥルー動物園に売却」という流れが!?
……などと、この書き出しだけで、様々に妄想を膨らませてしまったわけですが、
これでまた1年のサヨウナラ――
リカの冬の1番の大好物の、
焼き芋……
――と、わりと綺麗めなオチがつきまして候。
って、いやいやいや。これこそ今日の日記のテーマであるのですが!
そう、焼き芋! 女の欲望番外地の代表的存在であるところの、冬を代表する天然スイーツであらせられるサツマポテト様でございますよ!
それはもう、トゥルー家族一の食欲魔人であるところの立夏が、これを大好きであろうことは、もはや改めて言われるまでもなく想像がつきますが――ええ、この力説っぷり。チョーチョーチョーと、大事なことなので三回繰り返しました。
焼き芋の美味さをとつとつと語る立夏。ああ、そんなことを言われると、聞いてるリアル俺まで思わず食したくなってくる……!
YASEI力のすこぶる高い立夏的には、味のみならず、その販売形態も、お気に入りポイントの一つのようです。あの放送が聞こえると同時に、体が動き出すという超反応! その匂いでエモノの方向を感知するあたり、女の子的欲望とYASEI力とをブレンドした超バーストと言わざるを得ません。まさに立夏にしかなせぬワザ!
……っていうか、その現場目撃したいなあ。そりゃあ、各おねーちゃんズが喜ぶのも分かろうってものですよ。いちいちお金ちょーだいとせびってから、獣のように猛ダッシュする立夏の姿を想像するだけで、なんというか幸福すぎる気持ちになれます。
エヘヘヘ――立夏の食い意地で誉められるコトなんて
あんまりないからね
だから焼き芋はやっぱり――ちょーヤバイッ♥♥♥
……で、密かにここがポイントなんでしょうね。立夏はその明るさで誰からも愛されるキャラですが、そのエネルギッシュすぎるところで、けっこう注意とかもされてると思うんですよ。表向きにはそれが見えてきたりはしないでしょうけど、心の奥底で、そのことを気にしてる部分もあるんじゃないかなーと。
そんな立夏にとって、そのYASEI+欲望パワー全開にした行為で褒められるって言うのは、一際特別な意味があるんじゃないかって思いますね。加えて、美味しい思いもできるとなればなおさら。焼き芋の季節が終わるのが寂しいっていうのは、そういう部分まで含めての気持ちなんでしょうね。
そんな寂しさは表向きに発散しつつも、残りの日々を楽しもうとすぐに前向きになるところは、さすが立夏というべきか。
あ。
リカ、大きくなったらオニーチャンと一緒に
焼き芋やさんになろっかな?
焼き芋を売りながら冬を追っかけて世界中を回るの。
うわ――それってチョー楽しそうだネ、オニーチャン♥
などと、可愛らしいことを言ってくれもしていますが――はっ、それを実現するとなると、立夏と事実上、FU-FU関係にでもならないと難しいかも!? それはそれで――おおおっ(←まだまだバレンタインの告白のインパクトが胸に刻み込まれて消えません)
バレンタインパーティーも終わって、
気がついたらもうすぐ――
3月!
早いものね――。
イィヤッホォォォウ海晴姉さぁぁぁんッッ!!! ……って……えっ!? もう3月!?
……と失礼。思わずリアル俺の方が不意に驚いてしまいました。ええ、気が付くともう3月なんですね。お、おかしいなあ……ついこの間、正月だったばかりのような……いやしかし、確かにもうバレンタインデーはもう二週間近く前のことで……って、なんという時の流れの速さか!
いやあ、歳を重ねると、時の流れが速く感じられるようになるというのは本当ですね。リアル俺はそのことをつくづく実感してしまいますが、この気持ちはきっと海晴姉さんも……ってなんでもありません。そうですよ、そんな加齢臭ただようトピックなどとは、全然関係ありませんよ。俺たちの海晴姉さんは、いつだってピチピチなのだから!(←この表現自体がある意味失礼です)
すでにトゥルー家族はひなまつりの準備に忙しくなりつつあるようで、いやでもこの季節の流れの早さというのは実感してしまいますね。トゥルーに関しては、去年のみんなの進級進学を最後に、サザエさん時空に突入しそうな気配が濃厚ではありますが――(例:0歳の誕生日)
とまあ、それはさておき。海晴姉さんの場合は、やはり気象予報士であることもあってか、季節の移り変わりには敏感なのでしょう。仕事柄ってだけじゃなく、そういうことがよく気に止まるからこそ、その仕事を選んだって言いかたもできますしね。
さて――もうすぐひな祭りともなれば、それはもちろん、その後には間もなく春の訪れが待ち受けているということでもあり、思わず気分も高揚してしまいそうになるわけですが……むむ? 「でも――私はこの季節はちょっぴり苦手なの」ですと!?
うぅん、べつに卒業式に告白して
痛い失恋をした思い出があるとか、
そういうことじゃなくて――
……い、いや、いくら俺たちでも、その一言でいきなりそこまで連想したりは――って、間をおかず言われたからそう感じただけで、なにか思わせぶりに「春は苦手なの……」なんて言われたら、そう思ってしまっていたかもしれません。さすが海晴姉さん。トゥルー俺のことを熟知したグッドな配慮! ……なのでしょうか。もしかすると、単に海晴姉さんにはそういうシチュエーションに憧れがあったのかも? ううむ、海晴姉さんの高校生時代……そうぞうすると、これはなかなか……。
とまあ、それは今度じっくり考えるとして。なんで春が苦手なのかというと――「さくら!?」 今この場に我がトゥルー家の大切な十六女であるところのさくらがいたら、間違いなくビクッってしまっていたことでしょう。海晴姉さんも人が悪い――って、さくらの目が無いことをしっかり確認したうえでの発言なのかも知れませんが、日記ゆえ、あとで読むような気も……。
とはいえ、「さくらと花粉」って言われれば、さくら本人だってさすがに、自分のことではないと分かるとは思いますが。って、あー。なるほどなるほど。と、思わず納得してしまいましたが……そりゃあ、気象予報士ですものね。今まで想像したこともありませんでしたが、確かに、「すーっごく気を使う時期なのよね……」と言われているとおり、大変そうな時期です。
観光業などに携わってる人なら、桜の開花時期がビジネスに直撃するなんてことは身に染みてるでしょうし、一般的にも花見などのスケジュール調整は大変なわけで。花粉症についてはいわずもがな。
さすがのお気楽ノリノリおねーさんであるところの海晴姉さんも……
どっちも外すとクレーム電話がいーっぱい
かかってくるんだもの――ぐっすん。
私が悪いワケじゃないのに。
私なんてまだ見習いの、ただただテレビの前に
たってるだけのニコニコお姉さんで、
本当の予報をしているのは中の人なのに。
……ぐっすん、と言い方こそ軽めではありますが、責任ある社会人の、それもテレビという厳しい目に晒される媒体での厳しさというのは、痛いほどに伝わってくるわけで。
海晴姉さんは、愚痴なんていわないほう――ってわけでもないとは思うんですが、でもでも、家族に心配をかけさせたくないって点においては、ガチなわけで。そんな海晴姉さんが、これだけこぼすっていうのは……ううう、よく出来たトゥルー俺がなすべきことは……
……と、脳の力をフルに振り絞っているところに、やはりというかなんというか、海晴姉さんらしいフォローが。
「なーんて、ちょっぴり言い訳」……と。いや、それはまあ、社会人でテレビ関係の仕事である以上、愚痴ったって仕方ないことではあるんですが、ホント、まだまだ見習いの海晴姉さんにも容赦なく世間の厳しさというのが向かっていると思うと、いたたまれないというか……いや、そうやって思うこと自体、立派な社会人である海晴姉さんに対して失礼に当たるかもしれませんが。一応こちら弟なわけで。
とにかく、色々と複雑な気持ちを抱いてしまうわけですが――
でも――聞いてくれてありがとう!
ウフフ――うれしいな♥
こんなこと――家で言えちゃうなんて。
……この一言だけで、そんな思い悩んだことが全部、良かったと思えるのだから、やっぱ海晴姉さんはすごいなあ、って思うしかないですよね。
そう、海晴姉さんにこういうことを言ってもらえることこそが、トゥルー俺としての最高の勲章なんですよ。さっきも言ったように、家族に心配をかけさせないというのが海晴姉さんのモットー。特に姉妹の子はみんな、繊細で心優しい子ばかりですからね。海晴姉さんがそんな傷ついたところを見せ付けたら、かえって海晴姉さん以上に傷ついてしまうことでしょう。
そんな事情もあって、海晴姉さんはきっと今まで、外での愚痴なんて家ではほとんど語れなかったのでしょう――。霙姉さんやヒカルあたりになら、それなりに語れていたかもしれませんが、それでもやっぱり彼女達だって、海晴姉さんにとっては、「守らなきゃいけない大事な妹」であることには変わりありませんしね。
でも――男の子ならば、と。
……もうね、この「男の子」って言葉が、これだけ嬉しくなることもありませんよ。そう、海晴姉さんに頼ってもらえるというただ一点のみで、この性別に生まれてよかったと断言することができますとも。
……とまあ、そんな誇らしさに、胸を打ち震わせているわけですが――それどころの話ですらなくなってきましたですよ!?
フフン♥
やだ、今日はなんだか
なつきたくなってきちゃったな――♥
ニャオン、ごろごろ――♥
アおッオっ雄ッオッォッオォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!?
――こ、殺しにかかってこられたッ!?
ぼ、某アニメの朗報で心の動きが散漫になっていなければ、この文字列を見た瞬間に萌死していたところですよ間違いなく!?
ま、まさか、ちょっぴりお酒が入っておられるのでしょーか? いや、年齢的にも、愚痴ったりするテンションといい、ありえない話でもありません。それでもたぶん、妹達の前で呑んだりはしないんでしょうけれど、これも「頼りになる男の子」の前でならいいかなーって判断であれば、それはある意味、この殺人級の破壊力を持つニャオニャオそのもの以上のインパクトがあるという気もいたします! 具体的には――俺の前でなら、だらしないところも、恥かしいところも見られちゃっていいんだもーん、とかそういう!!
ね。
ちょっとだけ、ぎゅーってさせて?
――喰われるッッ!?
この、NEKO科動物特有の、甘えと愛情ををはらんだターゲッティング……間違いありません。捕食されます。――されたいです!!!(←興奮のあまり予測と願望が区別できておりません)
もうすぐひな祭り。
幼稚園では、ひな人形作りに
みんながんばってるわ。
迫り来るひな祭りの影! ……と無理に煽りタイトル風に言う必要はないのですが、もう来週には迫ってきているわけですからね。男の子の身としてはいくらか身の置き所に困る――いや、お内裏様という定位置が用意されている気もしますが――女の子のお祭り。この家に住むトゥルー俺としては、少しでも盛り上げなければって気持ちがあるわけなのですよ。
さて、そんなこの日に日記を書くは、我らが姫君マリーなわけですが――うむ、やっぱりこの子は、幼稚園での出来事を書く日が圧倒的に多いですね。
この、学校及び幼稚園であったことをそのまま日記に書く子というのは、実のところ、あまりいないように感じます。一年以上読んできた限りにおいては。もちろん、たまには学校のことも書きますけれど、みんな、家の中であったことをメインに書くんですよね。その点マリーは、日記のその殆どが、「幼稚園でこんなことが――」的な内容になっているわけですよ。(参照:真璃) 改めて読んでみても、真璃の日記で幼稚園以外のことを書くのは、夏休みなどのお休みの日か、観月が水ぼうそうになった日のような非常事態があったときぐらいなのです。
これは前にも言いましたが、それだけマリーが社交的・外交的なところを持っているってのを示しているんですよね。別にマリーも書こうと思えば家の中のことだけでいくらでも書けるんでしょうけれど、それだけ気持ちのベクトルが外へ外へと向かいやすい子なんじゃないかなーと改めて思った次第です。
それはさておき、そんなマリーの幼稚園でのお話を早速ご拝聴。
恐らくは現在トゥルー家でもそうしているのでしょうが、幼稚園においても、ひな祭り用のお飾り作りは真っ盛りの様相を呈しておられるようです。まあ本来なら、こういうのって幼稚園が一番盛り上がりますからね。こういうお遊戯作業こそがお勉強みたいなものですし。そういう意味では、トゥルー家のイベントへのこだわりっぷりは、情操教育上非常に良い効果があるんだろうなあともなんとなく思うわけですが――
こういうのってやっぱり――
燃えるわよね♥
幼稚園での飾り作りにも、こんな頼もしいお言葉を放ってくれるマリー。おお……これはかっこいい。そりゃあ、同じ幼稚園の男の子がこぞって従おうってのも分かりますとも。しかし嬉ションは美人揃いの先生たちが後片付けに大変なので禁止の方向で!(←マリーたちの幼稚園のセンセイが美人揃いというのは、俺の勝手な思い込みですが、しかしながら極めて真実に近い事柄であると確信している次第です)
で、そんな男の子たちの作業は案の定、雑で――……(白い)(……ドロドロ?)……って、いやいやいや。まだそういうの作る機能なさそうですから!(←何の話をしていますか)
とまあ、なにもマリーに関わらず、女の子の仕事とは比べ物にならないようです。それはまあ、ひな祭りの飾りですからね。これが鯉のぼりとかになれば、男の子ももっとはりきりそうな気もしますが――まあ、そういうのを抜きにしても、こういうことに決め細やかなのはいつだってどの世代だって、女の子なのであります。
絶対絶対、だれのが1番カワイイか――
命かけてるんだもの!!!
絶対にゆずれないオンナの戦いよっ!
……おおお……これまたカッコイイことを……! そう、女の子の人生はいつだって戦いなのです。多分(←知ったかぶり)。
とまあ、そんな意気込みの中、マリーが作る「マリー&フェルゼンびな」は、実に洋風……というか、ある意味前衛的にすらなってそうな装飾が施されてそうな感じですが、でもマリーが作るものだから、ド派手なくせに、案外しっかりとカッコよさや可愛らしさは表現できているのだろうなあ……と、マリーの芸術的センスを思い出して想像した次第。やはりあの手のキラキラシールは立夏が大量に持ち合わせているわけですね。
ともあれ――
お家に持って帰ってきたら、
フェルゼンも絶対に見てほめてね?
すっごいリキサクだから――
うーんとうーんと誉めてくれなきゃ
ダメなんだからっ♥
わかった?
うおおおお……! この、「うーんとうーんと」って部分が、真璃にしては珍しく歳相応以上に子供らしくて、なんかツボりましたッ……! いつもトゥルー兄ことフェルゼンを手玉に取ってばかりなマリーですが、たまに垣間見られるこういうところで、さらに兄心を奥深く絡み取るわけですね。この無意識にしてなせるワザ、これぞ王女的兄心掌握術というべきか……!
さて――ひな祭りのお人形のいわれについて、色々と初耳事項があったらしい真璃。あー、あれってやっぱり、水に流す風習もあるんですか。さすがに人形そのものは流せないけれど、もともとは、ああいう流しモノの行事の流れを汲んだ祭事ごとなんでしょうね。
トゥルー兄としては初耳なので、「知ってたよ」なんて大きな口はたたけないわけですが、さすがに観月はこういう知識はバッチリ押さえていた模様。日本の伝統行事に関する知識については、男塾の雷電ばりに頼りになりそうな感じです。
その、紙とはいえ、せっかくのお人形を川に流してしまうことに、さびしさを感じてしまうマリー。こういうところ、さすがに女の子って感じですが――
でも――フェルゼンの魔除けになるなら、
まぁ――いいか。
……この割り切りのよさ。ますますもって、頼もしいというか、女の子の強さっていうのを感じますね。マリーってけっこうタフそうです。精神的な面が特に。だからこそ、ガンガン外交的な面が育っていくのでしょう。
そのぐらいの気持ちがあれば、自分の作った流しびなが見事すぎて、「これで1年イイコトづくしよ!」とも豪語できるのでありましょう。いや、実際に見事な出来なんだとも思いますし。
マリーに感謝なさい――
フフフ♥
イエス! マイ・マリー!(←ギアスにかかった人のような目つきで)
気になる、
気になる――♥
ウフフ♥
――いきなり強い春風が吹いております!
い、いや、春風さんですよ春風さん。確かに今は、春風が吹くのに相応しい季節ではあるんですが――こ、コレは一体。
去年の今頃、この年中きゅんきゅんしておられるのではないかと思うほどの春風さんの舞い上がりっぷり、ときめきっぷりを見て、麗が「頭に春風が吹いちゃってる」という名言を残したのも、まだまだ記憶に新しい――というか、もう一生忘れないだろうという類のインパクトがあったわけですが、今日の春風さんはなにやらその言葉を改めて思い出させるかのような雰囲気が――いやもう、とにかく開幕から得体の知れないきゅんきゅんっぷりを発揮しておられます。い、一体何が気になるというんですか!
さすがに、こんな前フリをされてしまったら、いかに妖しい桃色の空気が濃厚に待ち構えていようと、春風さんの大事な家族であるところのトゥルー俺は、何が気になるのかと尋ねないわけには行かないわけですが――いやいや、先に話を振ってくださいました。「あの。春風――」と、なにやら意味深な間を含ませつつ――
私の王子様に――こんなこと
聞いてもいいのかしら?
きゃっ♥
………………このセルフな舞い上がりっぷり。
突風です。突風の春風を感じます。今日の日記は間違いなく、春一番という表現が相応しい嵐になる――!
とまあ、そんな予感に打ち震えたところで、春風さんの話すその「気になること」を見ていきましょう。
それは、観月や綿雪、吹雪たちの間で流行っている、占い――についてのようです。
おや、占いと吹雪っていう組み合わせは、なんだか意外って感じが。いやまあ、要は統計学、という割り切った見方をすれば、むしろ科学的なものの見方をする吹雪にとっては相性の良い分野のことなのかもしれません。観月については、まさにまさにといったところ。ユキは普通に女の子らしく似合いますね。
他の子たちは、占いとかについてどう思ってるのかなあ――と、気になるところではあるのですが、とりあえず春風さんが鋭敏に反応されるということだけは分かりますね。今日のこの日記をもって。
「とてもよく当たる」とのことで、観月が行うかなり本格的な占いなのかな……と思っていたら、占い手はどうやら綿雪の模様。それも、ごく普通のトランプ占いらしいのですが――ともあれ、そのような女の子的トピックには非常に弱そうな春風さん、さっそく占ってもらったようです。
で――
そうしたら、春風ね――
何度占っても♥
未来の旦那様には、
もう出会ってるっていう
結果がでて――
きゃ――♥♥♥
………………突風性春風の発生源が特定できました。
いや、なるほど。これならこの頭に春風乱舞もうなづけようというモノ――ああ、なんということでしょう。春の風の勢いにちょっとおののきつつも、その一方で顔がニヤけてしまうトゥルー俺も確実に存在してしまっております。
ただ、この占い――もしかすると、わりと都合の良い解釈というか、占い手がユキということを考慮すると、占ってあげる相手にわりと配慮した結果を導き出そうとしているフシがあるのではないかと、ちょっと思った次第です。ユキは人の心の動きにかなり敏感そうですし、「配慮」ということも十分行える精神性を持っているんじゃないかなあって気がするんですよ。まあ、考えすぎかもしれませんが、わりと手軽なトランプ占いということで、そんなこともあるかもなあ、って心にちょっと思った次第。
まあ――その占いの過程がどうあれ、大事なのは結果のほうであり――すなわち、春風さんのハートが今、このうえなくきゅんきゅんしておられるという事実こそが肝要なわけで。
さて、そんな結果を告白してくれた春風さん、自分の周りには家族のほかにそんな対象となる相手などいないと、間髪入れず強調してくださりました。い、いや、それはまあ、分かってますが……と答える余裕すら与えてくれなさそうです。
そして、追い討ち――というか、ここぞとばかりの駄目押しの一言が――!
ただ――大好きな人は
いますけど。
――きゅぅぅうん♥

YU-SHOWくん ふっとばされた!
……き、効いたァッ……! この超突風――!
威力で言うなら間違いなく、吉良監督のブラックボールで鍛えた脚で放たれたネオ・タイガーショットに比肩します。くっ、きゅんきゅん分が足りすぎているッ……! 今日の冒頭で感じた予兆が、ものの見事に当たったということを実感いたした次第です。
ただ――このきゅんきゅん突風もさることながら――
本当に、心に来るのは、そのあとの部分かも知れませんね。
そう、この占いについて確証を得るために、春風さんがトゥルー俺を誘導しようとして口走ったこの言葉と……
王子様は――
好きな人っている?
……
あ、あ、あ――
いいの。
やっぱり言わなくていいです!
……
……この「間」に込められていたであろう、春風さんの、女の子で、お姉さんで、そして家族でもあるという部分の切なさが――そう、ちょっとだけ。
本当にいざとなったら、春風さんはヘタレ……っていうより、「踏み込んではいけない」っていう、強い理性をきちんと持ってる人でもあるんですよね。それはある意味、悲しいこととさえ言って良いぐらいに。
春風さんが普段、ちょっと引いてしまいかねないぐらいに春風を吹かせてきゅんきゅんしているのも、それはある意味、そういうどうにもならない現実を意識しないためのテンション上げって側面があるんでしょうね。……い、いや、「素」の部分も相当にあるでしょうが……
と、とにかく。この春風さんの、思わず我に返ってしまうというか、気弱な部分が見えてしまうと、一気にこの人に心が傾いてしまうわけなのですよ。まさに「北風と太陽」というか。
――まあそんなわけで、そういう一面を見せられてしまったら、それはもう、春風さんの望んでいる通りのことをしてあげないわけにはいきませんよね。
すなわち、トゥルー俺が同じ占いをしてもらって、同じ答えが出てくれば、それは互い以外の可能性を消去できるっていうことであり――
ウフフフフフフ――
……い、いやあ。やっぱり今日は、春の風が強いです。
強烈だけど、こんな風にいつでも感じていたいな、って思います。
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