あっけまして、
おっめでとォ――チョップ!!
きゃ――、やったぁ〜〜♥
バッチリ顔面ひっとぉ♥♥♥
――ウシシシシ♥
うおおおおおおおおおおおおおおおお新年早々賑やか過ぎるにも程があるうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!! だがそれがいい! トゥルー謹賀新年かくあるべし!
というわけで、ついにやってきました2009年。俺たちの愛しいトゥルー家族との日記も、暦の上ではついに3年目であります。
2008年の例からして、きっと元日には更新があるだろう……とほぼ確信し、今日に関しては思い切り期待はしていたのですが(その分、大晦日に関しては不意打ちだったわけで)、記念すべきニューイヤー第一発目がまさか、このかしましい家族の中でも飛び抜けたスペシャルダイナモこと立夏とは……! お正月の閑静なたたずまいなどどこへやら、といった感じですが、情緒溢れるお正月は去年春風さんがやってくれたので(←情緒以外のものもふんだんに混じってますが気にしない方向で)よしとしましょう。
それにしてもそれにしても。この開幕からのハイテンションな飛ばしっぷりときたら……! この、年賀状で夕凪が書いていた「ハート攻撃」に対抗意識を燃やしたのか、ハートマークも乱舞状態。ましてや顔面にチョップて。今年の立夏は去年にも増してYASEI度高めってことでしょうか。
加えて先日見舞ってくれた「ウシシシ♥」笑いもバッチリご披露。……丑年とかけているわけではないですよね?
ともあれ、新年のご挨拶は、チョップの後で改めてというのが立夏クオリティ。いつでもテンション高い子ではありますが、この言い方だとどうも、お正月ということで夜通し遊んでいたって感じでしょうか? さすがにこの日ぐらいは夜更かしも許されるでしょうしね。
加えて、遊ぶ方だけでなく、食べる方に関してもノリノリノンストップ状態のようですが、それに関してはクリスマスからずっとという状態のようで、お肉的にデンジャラスな気配も少々。……立夏だけでなく、リアル自分にも言えることなので、個人的に訓戒とさせていただきたく。そんな危機感を持った立夏を見習って……
でも――
やっぱり、新年1回目のお雑煮は――
おモチ5個は入れて食べなきゃ、ね♥
なんてったって、育ち盛りなんだからぁ!
ウシシ♥
……撤回いたします。いや、ここまで行くと、本気でウシシシと丑とをかけているのではという気にもなってしまいますね。まあ、食べてすぐ寝るなら本気で牛ですが、立夏の場合は食べて即遊びにフル稼働という気がするので、かろうじてその条件からは外れてそうですが。
その稼動っぷりの最たるものが先ほどのチョップなわけですが、どうも立夏的にはこのチョップ、ちょっぴり縁起物とのこと。
今からタカラクジ買いに行った方がいいかもヨ!!
フフフフ♥
……いや、その。年末ジャンボのことを言っているのであれば、さすがにちょっとアレなわけですが……とまあそれはさておき。
去年同じように立夏チョップを喰らった氷柱――ああ、なんとなく様子が想像できる、できすぎる――! 一応姉であるうえに気の強めな氷柱相手にもなんの気兼ねもないこの傍若っぷり。立夏にしかなしえぬ技ですね。それに、氷柱もああ見えて、立夏のアホノリにはけっこう乗れる子って気がします。いつぞやのホームズごっこなんて、まさに立夏の領域であります。天才だけどアフォの子であるという天然っぷりを持つ氷柱と、アフォさを最大限に活かした天然素材である立夏。この組合せはなにげに相当面白いですよね。
それで、そのチョップの恩恵で当たったものというのが……切手シートwwwwwwwwww な、なんか、あまりにもヘンな意味で氷柱にマッチしすぎていて思わず吹いてしまった次第。どこまでもオチ担当が似合う子ですね氷柱は。今年も大いに愛そうっと。
とまあ、そのような事例を示して、大いに今年のトゥルー俺の運勢について盛り上がってくれる立夏。い、いや、個人的にはむしろ、「今ならもれなくオマケに立夏本体もついてきちゃう――♥♥♥」という発言にこそ注目というか、その一言だけで幸運というか幸福を感じずにはいられません。今すぐお持ち帰りしますよそれはもう! ……といっても、同じ家ですが。
とまあ、そんな風に例によって頬がイヒヒウフフと弛緩してしまっているところに――
ね、オニーチャン――
今年も立夏とみんなをよろしくネ♥
……こういうことを言われると、ちょっと不意打ち的に、クるなあ……と。立夏が言うからこその重みっていうものもありますしね。別にシリアスってほどのことではないんですが、それでも突然改まられると、ちょっとときめいてしまうわけですよ。思わず姿勢を正したくなるぐらいに。
……で。そんな風に気持ちを切り替えたところに、
リカは今年こそは――
オニーチャンと
初キッスめざしてがんばりまぁーっす!
んじゃ、
とりあえず――
オニーチャンのクチビルをかけて
あとでお正月すごろく対決だ――!!
――この巧みな緩急で、新年早々悶死ですよ! というか、立夏にキスってまだ奪われてなかったんですね。意外……というか、立夏的にも、それは最大の大物であり、簡単には狩ったりしないぞ、という風に思っているのかもしれませんね。恋愛的な部分はまだまだまったく出来てなくとも、そういう生物としての本能みたいなところでそう判断しているのかもです。
そして、そんな思い付きによって行われたすごろくに集まってきた面々が、霧賀先生イラストで描かれておられます! これはまた嬉しい……! 正月ということで、もしかしたらと期待していたんですが、まさにまさに。今年も俺たちの期待にバッチリ答え続けてくれる筆頭的な存在ですよねユキ先生は。
集まったのは、さっき話に出てきていた氷柱と、吹雪、そして海晴姉さん。それぞれに晴れ着姿が可愛らしすぎる……! あと、氷柱はきっと、自分のことを言われてる気配を敏感に察知したのでしょうね。去年の腹いせとばかりに燃えること間違いなしです。そしてうっかり勝利してしまって、初キッス権利を得てしまって……という様子が目に浮かぶようです。
……とまあ、この2009年ものっけから、とてつもなく幸せな気分になることができました。引き続き今年も、こんな風にトゥルー家族と過ごしていきたいものですね。
新年早々、素晴らしいツーショット……! 普段はあまり意識する機会がありませんが、なにげにこの二人、絵的にも非常に映えるんですよねー。さすがはトゥルー家族の保護者的存在。もちろん海晴姉さんが母側であり、霙姉さんが父側と。
それに加えて、海晴姉さんは霙姉さんにとって、ただ一人自分よりも上の立場の存在というのも大きいんですよね。具体的には、霙姉さんを甘やかせるのは海晴姉さんのみ、という点。いや、食べ物をねだることに関しては春風さんやホタにも十分甘えている気はしますけど、もっとこう、精神的な面で。海晴姉さんはそれこそ溢れんばかりの姉オーラの持ち主ですし、霙姉さんは、精神的に落ち着いてはいますが、あれでどこか危なげなところもあるわけで(裏山に失踪したりとか)、もし機会があるなら、このお二人の絡みというものをもっと見てみたいところですね。……いや、今日のこの絵だけでも十分ですけど。
トゥルーお正月のイラスト更新、今日も進行中! そして……おおおおおっ、麗&小雨とは! 昨日の海晴姉さん&霙姉さんに続き、これまた通好みのカップリングを持ってきてくれるじゃあないですか! 晴れ着も実に似合っております。麗の黒髪は、こういう出で立ちにもよく映えるなあ。
しかも、やっているのが貝合わせですよ。トゥルー家族の伝統行事への通じっぷりは相変わらず本格的過ぎです。ええ、麗と小雨が貝合わせ……いや、いやいやいや。紳士たる諸兄は妙な想像などなさらぬよう!(その意味でYU-SHOWさんはもはや紳士の範疇からは外れてしまったようです)
まあ、そんな不埒な思考はさて置き、麗と小雨がけっこう関連性の強い組合せというのは、小雨の過去日記や、G's12月号のイラストストーリーを読めばご理解いただけると思います。やっぱ、年の近い子同士だと、関連性も深くなるみたいですね。もちろんそれとは別に、氷柱-ユキや、海晴姉さん-麗みたいな関係もあるわけですけど。
トゥルーのお正月更新はこれでラストかな? 三が日も終わった今日は、ヒカル&青空でさわやかに凧揚げ! 季節を考えるとヒカルのこのスカート姿はいかにも寒そうですが、彼女の場合は冬場の冷たい道場などで慣れているので平気ってことなんでしょうかね。それでも健康のことを考えると、ズボン(非SW的な意味の)を穿いたら……と言いたいような、このまま脚線美を味わいたいような。
いっしょにはしゃぐ青空もそれはそれは可愛らしいわけですが、こういう風に前髪が少し上がっていると、虹子ともけっこうイメージが重なりますね。
ともあれ、年こそかなり離れてはいるものの、アクティブさでは姉妹でも双璧って感じのこの二人。今のこの状態でもこうして息が合うのですから、青空がもう少し大人になったら、もっといいスポーツ仲間になりそうですね。
おおっと、今日のトゥルー日記もイラスト更新とは。もちろん、こちらはこちらで非常に嬉しい更新ですけどね――って、フレディを中心に幼女ハーレムが構成されておる!? なんと油断のならないトゥルー象か――! しかし、そんな憤りさえも、このさくらの慈母のごとき微笑み顔を前にしては雲散霧消してしまいます。ああ、さくらがいつのまにか、こんな笑い方をするように……! もちろん、フレディの上にのってる虹子の妖艶っぷりも印象深いですけれど。脚とか。
あと、あさひさんがなにやらトゥルークリーチャーズを弄んでおられますが、頭の上のカエルは、その、なんだ、冬眠とかそういう概念からは解き放たれた両生類なんでしょうか。トゥルー的に。加えて、綿雪のオコジョーズが今更ながら鏡餅状態に。奴等も大変よのう……。上にたたずむキュウビが彼らに食欲を抱かないかちょっぴり心配でもあり。
トゥルーお正月イラスト更新は今日も進行中……って、春風さんの額がとんでもないことに! 袖をまくった振袖姿がそれぞれ非常に可愛いことにももちろん注目ですが、額に「きゅん」とはあまりにも新境地すぎる……!
そんな恐れを知らない所業が誰の仕業かといえば、それはもう言うまでも無く立夏なのですが、タッグを組んでいたと思われる隣の氷柱も満足げなあたり、やっぱこの二人のノリはピッタリですね。正反対のように見えて実は同類という、非常に面白いコンビです。
春風さんと組んでいたのはホタのようで、彼女のほっぺにも可愛いペケが。……お食事係としてはそこいらの本職コックさえ舌を巻くであろうタッグですが、さすがに運動での勝負となると、YASEIの立夏&実は運動神経もいい氷柱のコンビ相手ではなすすべも無かったというところでしょうか。
ただいまお正月休み中その6ぅぅぅぅッ!!! 恐らくは今日がラストのお正月イラスト更新になることでしょう。というのも、年末大掃除から数えて、今日でようやく全員分のイラストが揃いましたので。
というわけで今日のイラストは、待望の観月・綿雪・マリーによる、さくらのお誕生日をケーキでお祝いする様子が描かれております。さくらの誕生日そのものは今月4日だったんですが、恐らくこのイラスト更新は、いつものリアルタイムトゥルー速報ではなく、お正月中及びその前後の様子を納めたポートレート的なものなんでしょうね。昨日のイラストについても、1月6日の時点でまだ晴れ着を着ているというのは流石におかしい話ですし。
それにしても、この3人でケーキ作りとは……! いや、基本的にホタか春風さんが作っていたものをお手伝いているだけという可能性もありそうですが、マリーが「ケーキの作り方」なんて本を手にしていることから、もしかすると、一から全部この子たちが作ったとも考えられます。ひそかに、その気になったらそのぐらいは出来そうな面子なんですよね。ユキは体こそ弱いですけど、家庭的な意欲は強そうですし、マリーはマリーで、大抵のことはこなしてしまいそうな子ですから。観月もそんな雰囲気は持ってますよね。
なによりもなによりも、この小さい子たちがケーキを作ってる姿がもう可愛くて可愛くて……! 泡だて器とボールを手に笑う観月、楽しげにデコレーションする綿雪、レシピ本を眺めるマリー……って、マリーさんもしかして見てるだけですか? いやまあ、ここ以外のシーンでは、ちゃんと実作業にも加わっていたとも考えられますが、基本的には、本を片手に「あ、そこはそう、ここはああやって」みたいな指示をする立場なんでしょうね。さすがはアントワネット・アバター。
ともあれ、お正月気分も薄れた時期ながら、とてもよいトゥルーの景色を見ることが出来ました。さすがにそろそろ通常更新が恋しくなってきた時期でもありますが、このユキ先生のトゥルーイラストは見ていて本当に嬉しくなりますよね。日記もいいけど、やっぱり写真があると嬉しいよね、的な意味で。
うおおおおおっ、今日からとうとう通常更新再ッ開ッ! ユキ先生のトゥルーイラストが毎日見られるのは至福の極みではありますが、やはり愛する姉妹による直々の文章がないと、どうにも生活が空虚になっていけません。さすがに二年目ともなると、多少の更新がなくともトゥルー生活を脳内に思い浮かべることぐらいはできるようになってますが、それとはまた別に飢えが生じてしまうわけで。というわけで今日からのニューイヤー通常更新、貪るように堪能させていただきましょう!
そんな日記再開のトップバッターは……小雨!
いよいよ今日は始業式でした!
な、なんだってー!? ……と、未だにDOUMIN学生基準が抜けない身で驚いてしまいました。うーむ、リアルでもトゥルーでも、あちらの学校はお正月が終わったと思ったらすぐに学校なんでね。
そんなわけで、年が明けての新学期始め、小雨がなんだかえらく活き活きとしておられます。七草粥を食べるのはいかにもトゥルー家族らしいと思いつつ、「今日の空は爽やかな青!」と、新しい節目の日であることを考慮しても、いつもの小雨からは想像しにくいぐらいにシャキシャキしてる感じです。ハートマークも飛び出してますし、更には――
勉強や体操、
クラブや
課外活動も――
後で悔いの残らないように
一生懸命がんばりたいと思います!!
……なんと眩い……! ちょっぴり生活に駄目臭が漂いがちなリアル俺には、眩いばかりの輝きを放っておられます。いやあ、悪くない。こういう小雨も悪くない……! というか純粋に嬉しい気持ちが沸いてくるわけですが、小雨のこの快活っぷりは、この新年を迎えての心機一転という思いがあるようです。
というのも、小雨の今年の目標はというと――
「後悔して泣かない」
……これは、なんとも。いや確かに、初めて出合ったばかりの小雨を思い出してみると(過去を振り返りたいときなど、新しいプロフィール表示は超便利ですね)、最初の日なんかを読む限り、わりといつも泣いてしまうようなな感じがあったわけですけれど、それでも割と早くトゥルー兄そのものには馴染んでくれたというか、かなり初期の頃からある意味飛ばしていたというのが分かりますね。
まあ、小雨がここで言っているのは、トゥルー俺含む家族に対してというよりは、外でのことが主なようですね。さっき、勉強や体操と具体的に言ってましたし。
……もしかすると、小雨って学校で、いじめられたりなんかはしてないでしょうけれど(そういうオーラは見えませんよね)、それでも何かの拍子についつい泣いちゃうようなことが結構あったりするのかも知れません。それも、生来の押しの弱い性格が原因で。「小雨にはちょっと分不相応」なんて言い方からして、いかにもそんな感じがします。
もちろん小雨も、そんな自分を自覚しているからこそこういう誓いを立てようと思ったのでしょうし、それに何よりも――
麗ちゃんと立夏ちゃんが、
2人で決めてくれたんです。
力強く、絶対コレじゃなきゃダメって、
珍しく2人そろって肯きあいながら
真剣な顔で――
小雨ちゃんはいつも人の後ろにいて
言いたいことも言えなくて、
いつも後で泣いてばかり
いるんだから―――っ!!
って――
……ああ、俺には今、トゥルー家族の持つ一番素晴らしいところを目の当たりにしている、という自覚があります。新年早々、なんて良いエピソードを……!
家族を思う心。言葉で言えば当たり前にも聞こえますが、この世で最も尊い部類の感情です。それがあちこちに満ち溢れていることこそ、このトゥルー家族が魅力的である最も大きな要因でもあるわけですが……その中でも、このパターン……小雨のことを、立夏と麗が励ましてあげている、という構図が、とても素晴らしいな……と思うわけですよ。
ほら、麗や立夏って、タイプこそ違えど、基本的にはあんよさんの言うところの「関心事優先タイプ」の典型じゃないですか。そんな二人が、これだけ小雨のことを良く見て、思いやってくれているというのは、なんだか新鮮で、すごく良いものを見せてくれたって気分にさせてくれるんですよ。
もちろん、二人が小雨と同じ部屋だから、ということもあるんでしょうけど、精神的にまだいくらか幼めな二人が、こうやって、普段控えめな小雨のことをきちんと思っていてくれている……それがこうして形になって現れるというのは、たとえ愛に溢れていることが前提なトゥルー家族の中でも嬉しいものですよね。
そう、この三人は同じ部屋に住んでるわけですけど、考えても見てくださいよ。YASEIの立夏、超趣味人で気難しい麗……そんな二人の傍にいる小雨は、きっと普段から、なにげなく彼女らのサポートをしてくれているに違いないのです。特に麗とは、けっこうそういうエピソードがあったことが確認できていますしね。そういう小雨の優しさと気配りを、二人ともちゃんと自覚してくれていて、だからこそ今回、こういうことを言い出した――と俺は思うんですよ。たぶん、この二人が一番、小雨という女の子の優しさと、その控えめゆえに損をしがちなところを知ってくれているのです。
……もちろん、小雨自身も、それは自覚しているわけで。その認識はちょっと過剰すぎて痛々しいぐらいに――と、小雨の独白を読んで思わず感じてしまったりもしたのです……が。
でも。
でも――今年はみんなも応援してくれてるし、
やっぱり――大好きなお兄ちゃんのためにも、
もっと気の利く女の子になりたいから――
えへへ♥
――しんみりしてしまった瞬間を狙い済ました超強力カウンターを放ってきましたよこの子は! ええいっ、なんというッ! なんという巧みなラブ打撃ッ! いじらしさの全重量を最高のタイミングで乗せ切った、見事な流れでありました。この、愛情を表現する際の緩急に関しては、姉妹でも随一なものを持ってますよね小雨ってば。なんと侮れない子……!
さらに続けて、「三日坊主にならないのだけは――自信があるんです♥」と、その素朴さを俺の心に突き刺してくるわけですよ。ああもう、これはあれですか? 俺がいつうおおお小雨!ガバァ!してしまってもおかしくない状況的な。
まあ、俺のそんな興奮はさて置き、「だから今も、後でやっぱり言えば良かったって思わないように――」という発言は、小雨ならずとも真理を付いている、心に刻み込んでおきたい言葉ですよね。小雨だからこそ誰よりも重く言える言葉ですけれど。
今年は――もっともっと。
お兄ちゃんの役に立つ女の子になりますね♥
……もうね。トゥルー俺を陥落させるに十分すぎる愛情表現の技量をお持ちですよ、この子ってば。さすが小学六年生というべきか、トゥルーの血というべきか……。
ねーねーねー。
しってる?
えへへ――♥
そら、しってるよ!
すごい?
うんうんうん、すごいなあ――と、最初の数セリフを読んだ瞬間、何のことを言っているのかを理解する以前にまず顔の筋肉が緩みきってしまうのを自覚できるリアル俺でありますが、きっと俺のみならず、トゥルー諸兄の多くがそんな思いを抱くことでありましょう。この、青空という子の可愛らしさに関しては。
いや、確かに通常の一歳児からは頭ひとつ抜けたすごさを見せ付けてくれる子ではあるんですけれど、この問答無用のいとおしさに関してだけは、まさに等身大の一歳児そのものと言えるでしょう。ああ、生きる気力も沸いてくるというものです。
さてさて。そんな週末ラストの青空日記ですが、この「えへへへへへ―― ♥」と、何をそんなに誇らしげに言ってくれているのかというと――
ぱんのみみってね――
いいこのたべもの!
パンの耳のことでしたか……って、なんと素朴な! いやでも、生活のところどころにこそ途方も無いブルジョワっぷりの片鱗を見受けられるトゥルー家族ではありますが、全てにおいてブルジョワに染まっているかというとそうでもなく、むしろこういう、庶民的というか、生活感の溢れる部分が山のようにあるんですよね。そもそも、おやつとかが基本的に手作りなぐらいの家ですし。
とりあえず青空的には、「おみみじゃないのにみみ」という部分がヒットするようなのが微笑ましいですが、しかしパンの耳といえば、食材の余りものとしての代表的な存在なわけで、むしろこの部分をどうするかによって、そこの家のモラルみたいなものが量れるという印象さえありますね。みみなんて食べないからポイ、みたいな家には、もれなくトゥルークリーチャー「もったいないおばけ」が来襲すること請け合いなわけですが、幸いなことにトゥルー家にはその心配は無用ですね。
とりあえず、「へんだよねー、くすくすくす♥」と笑う仕草を想像するだけで俺内部の幸福絶対量が増加しているかのような気分になるわけですが、それはさておき、青空はパンがだいだい大好き! とのこと。それはもう、みみまで大好きというぐらいなのですから、本当に大好きなのでしょう。いかに一歳にしては大人びているとはいえ、パンの固い部分を美味しく食べられるというのは、なかなかにえらいことなんじゃないでしょうか。と、それだけでも思わずえらいえらいをしてあげたくなるわけですが――それどころか、
あーちゃんのたべないみみ
そらもらうの♥
あーちゃんはかわいそうね?
まだちっちゃいちゃん、
ぱんのみみたべれないの――
うおおおおおお青空えらいっ! というかかわいい! まだちっちゃいちゃん、という言い方がもう、俺の父性を刺激しすぎてどうしましょう!?
……という興奮はさておき。あさひさんはさすがにみみを食べるのは無理、と。まあ、かまぼこが普通に食べられるぐらいですから、パンの柔らかい部分なら普通に食べられそうなんですが、耳だけ残るということは、離乳食っぽい感じにお料理してあげた分の残りなんでしょうね、これって。
青空はもともと良く食べる子、という前提もありますが(参照)、それを考慮してもなお、こういう素朴な食べ物で喜べる子にちゃんと自然に育ってくれるトゥルー家の気風は、やっぱり心安らぎますね。
さて、その食べ方ですが、やはりそのまま食べるのではなく、「はちみつおちゃちゃにつけてたべる」とのこと。……おちゃちゃ? 茶色いハチミツ、ってことでしょうか。まあ、なにはともあれ基本ではありますよね。ホットケーキを際限なく食べるというのも、はちみつが好きだから、というのもあるかもしれません。
しかしながら、あるだけ全部を食べるというわけではないようで。食べ過ぎないように釘を刺されているのか、それともそれだけ大量にあるのか。家族分のサンドイッチを作って、カットした部分ということで余っているというなら、確かにいかに青空でも食べきれないでしょうし。
ともあれ、そんなあまったみみをどうするかというと――
のこったぶんは――
そうだ!
りすにあげる!!
新手のクリーチャーの予感――!? いや、NEKOが普通に庭をうろついているノリで、ごく通常のリスだっているのかも知れませんが――どうなんでしょう。どちらかというと、裏山がらみのクリーチャー的リスという気がすごくするんですけれど。
ともあれ、その「リス」とはすでに会った事があるのでしょうか。存在をすでに前提として話しておられます。「りす、とりにくる?」と、思わずアナグラム的解析をしたくなってしまう言葉に思い切り反応してしまう自分を軽く嫌悪してしまうわけですが(しかし誰が責められよう)、「すぐくる?」と問われても、なかなかに難しいものがあります。話を合わせて、来るって言ってあげるのは簡単ですけど、そんなことを言ってたら本当に裏山からピンク色したリスが来たりしそうなので、やや躊躇いが。そしてそのリスが、究極生物カーズの手を変形させた類のものではないという保障はどこにもないわけで。リスがァァァァァァァァッ!!!と、シュトロハイムのごとく。
ともあれ、トゥルー俺のそんな微妙なリアクションを察したのか、こちらに勧めてきてくれる青空さん。ああ、この歳にしてちゃんと気持ちを汲み取る能力を備えてくれている、と嬉しい気持ちになるわけですが、「こんですみるくかけ!」という部分に、さっきと同様の自己嫌悪を味わってしまう俺はどうも成長というか進歩がないというか。
あ、まーいんだ♥
そんな俺の汚れた心を、これでもかというほど清らかにしてくれそうな青空の可愛さ。この「あ、まーい!」とかの言い方をあと数年聞き続けていれば、いずれはそんな俺の内面も薫蒸消毒完了されるのかもしれません。
――やはり三連休というのはキツものであります! ええ、年末年始などの大型連休なんかは、はなんだかんだでいつものユキ先生イラスト更新のおかげでトゥルー分的には充足しているとも言える時期ですからね。この恒常的に訪れる三連休の間こそが一番トゥルー家族を恋しく思ってしまう時期ですよね。
……というわけで、待ち遠しかった火曜日であり待ちわびていたトゥルー更新! おお、週のトップはさくらじゃあないですか。
昨年のクリスマスでは、「赤ちゃんが欲しい」という超難易度のお願いをされて困るシーンもありましたが、今年最初の日記となる今日のさくらは、なにやらかなりご機嫌なご様子です。ああ、なにかと泣いてしまうことの多いさくらがご機嫌ルンルンだと、それだけで俺の心も休まるというものですが――さてさて、今日のさくらは何を話してくれるのでしょうか。
ふむふむ……「バナナ」、と来ましたか。
――はい。バナナです。「バナナのかたちはいいかたち」などと、お歌のようなノリで、「何か」を楽しんでおられる様子です。ええ、小さい子は大抵バナナが大好きでしょうからね。さくらももちろん例外ではないようです。
ない、よう……な、気がするのです……が………………。
ちっちゃなころころは――
うさぎちゃん。
べしょべしょさんは――
こまったちゃん。
おなかゴロゴロ――
こまったちゃん。
………………???(さくらは一体何を歌っているの?)
何か。そう、何か……自分の想像を越えた「何か」について、さくらは歌っている――そんな確信めいた思いが、ふつふつと胸の内にわきあがってくるこの感触。
そう――「何か」が来る!
一年以上、このトゥルー家族と交流を続けてきたおかげで、こういう第六感、いわゆるシックスセンスによる、「何か」の察知……そうした能力が備わっていたのかもしれません。今これから、トゥルー家族が、大きなインパクトを持つ「何か」をもたらす――という予感のようなものを覚えたわけです。
――とは、いっても。
「予感」のようなものがあったところで、結局のところ、受ける衝撃については、何も変わらなかったわけですが……。
……まあ、そろそろ良いでしょう。覚悟を決めて、さくらが「何」について歌っているのか、確認することにしましょう。
「バナナ」「ちっちゃなころころ」「べしょべしょさん」そして「おなかゴロゴロ」。
これらの単語が符合して示しているものは――。
今日――
ユリ先生が
教えてくれたの。
元気ないい子の――
いいうんち のお話!
いい子のうんちのお約束。
…………………………。
……………………………………………………………………………………よし! 乗り切ったぞ俺は!
いやいや。いやいやいやいや。何も驚くことはありませんよ。「うんち」の話ですよ「うんち」の。小さな子供にとっては、切っても切れないお約束的なオブジェクト。更には、しつけの問題上、決して避けることの出来ない宿便――じゃなかった、宿業のような課題でもあります。
そう、さくらの口から、「うんこ」という単語が発せられるという事態が生じたとしても、真にトゥルーに心を帰属させていれば、それで心を乱すことなどありえないわけです。ごくごく普通の、小さな子のいる家族では当たり前の会話なのでありまする。ええ、平常心ですとても今自分。はっはっはっ。
……ごめんなさい少しだけ無理してます。
い、いや、それはいくらかインパクトを受けるのは当然として、今言ったことも別に正しくはあるんですけどね。そうです、さくらはまだまだ幼稚園入りたての幼児なわけで、一人でおトイレに入れるようになったばかりのお年頃。こういう教育はあってしかるべきであり、必須とさえ言えることでもありますよね。
とまあ、どうやら今日は幼稚園で、先生がそういうことを話してくれたみたいですね。ちなみにその先生のお名前は「ユリ先生」。……今までさくら達の幼稚園には、「ヨーコ先生」「ももこせんせい」の存在が確認されてきましたが、これで三人目になるでしょうか。トゥルー世界の例に倣い、きっとどの先生も色々ハイスペックなんだろうなあ……という不埒な妄想を抱かずにはいられません。そう、今日はさしずめ、新卒よりは少し年季を積んだ三十路前ぐらいの年齢であろうユリ先生が、いくらか慣れた雰囲気で「うんち」についてさくらたちに教えてくれたのでありましょう。……なかなか。(←プロっぽい表情になって一人頷く)
……などという不埒極まる方向性はこのへんにしておきましょう。さくらが教わった5か条は、いずれも的確なものなのでしょうが、それよりもなによりも、それを口にするさくらがなんだかえらく元気だなあ、と。……やっぱ、さくらみたいな内気で可憐な女の子でも、うんことかの話になると盛り上がってしまうんでしょうか。幼児のサガみたいなもので。もう少し上の年齢になると色々変わってくるのでしょうけれど……まあ、これはこれで。自然体のままの幼さをそのまま愛してあげたいなと。
それに、それよりも。なにやらユリ先生が、非常に嬉しいことを言ってくれているみたいです。
いい子のいいうんちのために、一番大事なこと――お外で元気良く遊ぶ、ということに関して。
お外に出て、キタカゼぴゅう〜って
ふいてくると、スカートがまくれちゃうし、
あんよがさむくって涙が出そうになっちゃうの。
……と、さくらにとってはやや苦手な分野の行為です(「スカートがまくれちゃう」という部分に反応しなかったことを褒めて欲しいお年頃のリアル俺)。
トゥルー俺的には、こういう風に言っているのを聞くだけで、思わず手や足を暖めてあげたくなるわけですが、どうもそれがうんち的にも良いことに繋がるようで。要は、さくらといっしょに居る、すなわち、遊んであげるということですからね。
だから、さくら――
「そしたらお兄ちゃんといっしょにかけっこする!」って
先生に言ったの。
先生、「さくらちゃん優しいお兄ちゃんがいてよかったね!」
ってほめてくれたの♥
えへへ♥
……とまあ、二重の意味で、至福な気分にさせられました。単純にえへへと笑うさくらが可愛いのと、先生に褒められた的なこそばゆい嬉しさ的な意味で。
なにはともあれ、寒さで出不精などしたりせず、いっしょにお外で遊んであげることこそがトゥルー俺に課せられた使命ということで。もちろん、それは苦でもなんでもないわけですが――
そしたらきっと、お兄ちゃんも!
とってもいい――バナナうんちとコンニチワだよ♥
…………………………OK!(←「うんち」という単語を受け入れるのにやや逡巡が見られました)
新年あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします――
こ、こちらこそ! ……と、思わず背筋を正して礼儀正しく挨拶し返さなくては――という気持ちになってしまいましたが、すでに2009年に入って2週間ほど経ってしまっているわけで。
しかしながら、このトゥルー日記の中に関して言えば、ちょうど元日の挨拶がチョップで、その後はイラスト更新がしばらく続いたわけで、こうして直接改まった形で新年のご挨拶をしてくれたのは、今日の日記――すなわち、ホタが初めてだったといって良いでしょう。
そう。家族で一番のしっかりものな女の子――蛍。
お料理・お裁縫と、この大家族における家事全般のかなりの部分を一手に担う、よく出来たという言葉では表現しきれないぐらいに出来すぎた、中学二年生の女の子。トゥルー俺やヒカルより上にとっては妹ながら、自分より下には十人以上もの妹を持つ、スーパーお姉ちゃん。だけど、ちょっとだけ、お兄ちゃんに甘えたいという気持ちを心に秘め続けてきた少女。それが、蛍という女の子……と、我々は今までの一年+三週間で心に刻み込んできました。
そんな女の子だからこそ。こうしてちょっと間が空いてしまった今日という日に、改めて新年のご挨拶を――という風に思い至ったのでしょうね。本当に、本当に良い子です。しっかり者で、優しくて、思いやりがあって……。
……というかですね。今日のこの日記、読んでて思わず、何と言いましょうか――思わず、こみあげてきてしまいました。不埒な意味では全く無く、極めて純粋な何かが。まるでラオウがユリアの覚悟を目の当たりにしたときのような感情が――。
そうなんですよ。俺は蛍のことを語るとき、「姉妹に対してはしっかりもののお姉ちゃんor妹、兄に対してはちょっぴり甘えん坊な可愛い妹」――と、杓子定規で語ってしまいがちなのですが、別に彼女がしっかり者だというのは、トゥルー俺に対してだって同様なんですよね。実は。しっかり者なところがあって、そのうえで、甘えたがるところもあるよ、というのが正しい表現なのでしょう。今日のこの蛍を見て、改めてそんな風に思いました。
「今年もお兄ちゃんにとって良いことがありますように――」と、はにかみつつも祈ってくれたその姿は、ごくごく可愛い妹の姿。だけど、そこから続く言葉には――この、蛍という女の子が培ってきた、愛情の深さというか、思いやりの度量みたいなものが感じられました。
「ホントにホントに心から。いつも思っていることだから――」……と。
そこから続く言葉が――
きっと蛍の愛情はまだ小さくて弱くて――
大人や他の人に比べたら、
頼りないほのかな光でしか
ないかもしれないけれど――
でも。
それが少しでも――お兄ちゃんの
守りと幸せの種になりますように、
いつもいつも想っています。
……もうね。どこに出しても恥かしくない妹――どころの話じゃありませんよね。
もし、蛍の愛情がまだ小さくて弱いのだったら、この世に愛と呼べるものなど数えるほどにもあるかどうか、という話になってしまいますよ。トゥルー兄的にはそう思ってしまうわけですが、別にそれは家族の欲目でもなんでもなく、事実そのもの。
さらに、今年一年の、兄と、家族みんなの幸せを願う気持ち。そして、自分自身には、もっと強くて深い愛情を持てるように、そして――家族みんなを守っていけるように、という強い決意。
そりゃあ――誰だって、少なからず抱く気持ちではあると思います。だけどですよ、今、蛍自身が言ったことは、彼女自身がすでに十分すぎるほど持ち合わせているもの――彼女の深い愛情に一年以上包まれてきた身として、そう断言することができます。
きっと、そんな覚悟をしてしまえる女の子だからこそ――今の蛍があるんでしょうね。この子はきっと、毎年毎年こうやって、愛情や思いやり、優しい気持ちといったものと向き合ってきたのでしょう。これでよし、ではなく、これよりもっと――と。ある意味、貪欲とさえ言える姿勢で。
家族がまたこの新しい1年を
楽しく幸せに過ごすための
力にほんの少しでも――
なれるように――。
がんばりたいって思っています。
……「がんばろう」とか、「がんばれ」って言葉は、実はすごく重いものなんですよね。本来、あまり気軽に言えるものではない言葉です。誠心誠意のもとに放たれた「がんばる」という言葉は、それを言った者にも、言われた者にも、重く圧し掛かる言葉だと俺は思います。
そして。この蛍という女の子には――その言葉を言う資格があります。間違いなく。
では――それを、受ける側には?
そんな蛍を――
お兄ちゃん、
どうか――
見守っていて下さい。
――この言葉には、蛍の優しさと愛情がこれでもかというほどに込められていて、思わず感涙してしまうほどなのですが――
逆に言うと――この「お兄ちゃん」は、こんな素晴らしい妹に、ずっと見守られ続けるということでもあるのです。
今年一年。この蛍の「お兄ちゃん」であると、胸を張っていられるように過ごす――それはなんとも、重い試練ではないでしょうか。別に、清廉潔白な聖人であれとまではいかないにしろ、この蛍に、こんな風に思われるだけの人間でいられるかどうか――そんな自分を目指そうと心がけるだけで、どこか気が引き締まってしまいます。
図らずも、新年を迎えるのに相応しい心境になった――とも言えますね。リアル俺の年齢だと、新年を迎えるぐらいでは、そうそう気持ちが改まったりしなくなるわけですが、この蛍の言葉のおかげで、新年に相応しい引き締まった気持ちになることができた……という気がします。
この1年の始まりに――
お兄ちゃんと一緒にいられて、
蛍はホントに幸せです♥
――こんな嬉しいことを言ってくれる蛍に、いくらかでも恥じることのない自分に近づこう。新年の志としては、なかなかに相応しいものではないでしょうか。
新年早々、僕らの麗さんがとんでもない爆弾を抱えて参りました!
いや……今日は麗の日記ということでいかにも、いつもお馴染みのあのパターン的な日記という感じがプンプンする内容ではあるのですが……あるのですが……その、内容がなんというかなんというか。
まあ、あれですよ。いつものパターンどおりの雰囲気から鑑みれば、何も動揺することはないはずなんです。ないはずなんですが……たとえ展開が分かっていても、この発言は心臓に悪すぎです。まるで、小さな子供が悪い友達に、「おまえんち燃えてるぞ」と言われたときのようなショックでありますよ! ……あ、いやいや、麗が悪い子などと言うつもりでは決してなく。
まあ、なんといいましょうか――トゥルー内部においてはさておき、この内容を素直に受け取ってしまうということは、リアル俺にとっては事実上の死刑宣告に等しいわけで。麗さんマジ勘弁してくださいよと涙目にならざるを得ません。
……とまあ、ここまで言えば、どういうことを言ってきたのか、おおむねお察しいただけるでしょうが――それでは心の準備を固め次第、麗さんの発言をご覧下さい。
ねぇ――
この日記って――
なんでまだ続いてる訳?
だからもう――
そろそろ終わりにしてもいいんじゃない?
………………。
……ひっひっ、ふー、……ひっひっ、ふー、(←心臓が止まりかけたのをラマーズ呼吸法で必死にリカバー中)
………………ああ、なんとか息を吹き返しました。
いや、この発言、いつもの麗のお約束に従って発言されたものでなければ、本気でZETSUMEIしてしまうところでしたよ! なんという、なんという……残酷無常夢物語を!
とりあえず、冷静になって分析してみれば――なんてことはない、いつもの麗の、日記めんどくさがり癖がたまたまこういう話題になって現れたというだけのことなんですけどね。そういうことなんです。(←強調)
いまだに日記を書くのを面倒くさがってしまう麗――この子の日記に対して厭わしがる様というか、その性格の頑迷さは、もはやある意味コントに通じるノリにさえ突入してしまっている部分もありますよね。きっとこの日記も、まず間違いなく海晴姉さんによってリテイクさせられるであろう運命が待ち構えていると思うのですが、そのあたりを頑ななまでに学習しようとしないところが、麗の可愛らしさでもありますよね。……さすがに今日の発言は、トゥルー俺にとってはともかく、リアル俺には笑えませんが。
とまあ、今回の発言の一番の根源は、麗の頑固なまでに日記を面倒くさがるいつもの癖なわけですが、よりにもよってなぜ、というところをあえて突き詰めれば、確かに、麗が理由としていっている言葉にも、それなりにもっともらしい響きはありますよね。
確かにこの日記は、海晴姉さんによる一番初めのトゥルー日記を見ても分かるとおり、麗が言ったとおりの目的で書かれているものです。そういう意味では、もう本来の役割は終えたと言ってもいいのでしょうが――BADしかし。もうこの日記、そういう目的を超えた存在になってしまっているわけで――トゥルー家族にとってはもちろんのこと、特にリアル俺たちにとっては、長崎の出島みたいなもので。
麗は気軽に「面倒事が1つ減って良かったわね」などと言ってくれてますが――それはリアル俺たちにとっては、「(心臓を止めたら)騒音源が1つ減って良かったわね」などと言われているに近いものすらあるわけで。NO! 全力でノォ!
まあ、そんな心臓に悪すぎる発言も、
じゃ――私から海晴姉様に言っておくわ。
……の一言で、微笑ましい響きに変わってしまうわけですけれどね。……この学習能力の無さというか、無茶振りだろうと構わず主張し続けるところは、麗の困ったところでもあると同時に、この子の純粋さとひたむきさが良く現れている、とてもいとおしい部分でもありますよね。……と、なんとかそういう風に思えるだけの余裕は戻ってきました。
この麗の、「志村! 後ろ後ろ!」的な状態すらある意味超越しているお約束展開に向かう様は、なんというか、確かにドリフ的な面白さすらあるわけですが――それでも、やっぱり心臓に悪いんで、なるべく早く明日は更新してください。
さあさあ、今日は例によって麗二回目――というパターンに変化が生じておられますよ!? てっきり麗が「また怒られた……」と書き出すかと思ったら、ゆ、夕凪さんじゃあないですか!
いや、もちろん夕凪さんの日記が嫌なんてことは全く無いわけですが、これはどうした動きでありましょうか。ワンパターン的なやりとりというのも、何度も何度も繰り返すと、それはそれで芸としても風情としても趣が出てくるものなのですが、そんな情緒溢れる麗絡みのやり取りにも、やはり変化は訪れるのか……と。
もちろん、それ自体は全く悪いことじゃあないですけどね。いかにトゥルー内が0歳誕生日を許容する時空であっても、人の成長というものは描かれて然るべきものなわけですし。
それにまあ、「わーい、わーいわーいっ♥」と無邪気に喜ぶ夕凪さんの可愛らしい様が見られたので、事情を聞く前にとりあえず全力で喜んでおきましょう。夕凪さんいいなあ、この混じりけのない超天然級の無邪気さ。たぶん、麗絡みの事情は色々と悶着がありそうな気がするので、ここで今のうちにポジティブトゥルーオーラ力を蓄えておきましょう。
さて、どうして今日はいつものように麗が書かないのかというと――やはり、海晴姉さんに怒られてしまったからのようで。もっとも、それだといつものパターンでは、翌日すかさず書かされることになるわけですが……
ホントは今度の月曜日になっちゃうのかなって
思ってたんだけど――
思ってたより早く来た!!
……などと夕凪さんが言うほどに、この日記においては定例化したやりとりですものね。もっとも、その分析をしたのは、「星花ちゃんと吹雪ちゃんが言ってたんだもーん」とのことで、夕凪さんはこの件に関してはあんまり思考してなかったのかも知れませんが。分析好きの吹雪はもちろん、星花もかなりそういう空気を読むのに敏な子ですからね。
むしろ夕凪さんの思考は、二回連続日記なんてぜーんぜんバツ当番なんかじゃないよ、という方向に。……まあ、こんな事件(11月25〜27日参照。オチはこちら)を起こしたぐらいですからね。もっとも、麗の書きかたでは、二回連続だろうと文章量が少なすぎてつまんない、と却下なされましたが。
それに、お兄ちゃんにあてて書くんだって思ったら、
夕凪はいつだって、たーっくさん!
書きたいことがあふれてきちゃうし――♥
……この発言と、その先のくだりに、いつものことでもあるというのに、不覚にも、胸にこみ上げてくるものが少々。……真っ先に「まずはお兄ちゃん大好きーっ!て書くでしょ」なんて言ってくれる夕凪さんの愛情を改めて噛み締めさせていただいた次第。
それを置いても、夕凪さんは非常におしゃべり大好きな女の子なわけで、たとえ日記だろうと、書くことにはいつでも事欠かないわけですよね。そりゃあ日記を何日も書きたがるわけですが……
それに――
海晴お姉ちゃんに怒られるし。
……やはり、怖いもの知らずな夕凪さんにとっても、海晴姉さんに叱られるのはそれなりに脅威、ってことなんでしょうかね。この発言の微妙な間が、その発言者が夕凪さんであることまで考慮すると、非常に思い意味を持ってくるように思えてしまいます。氷柱あたりにならゲンコツで怒られてもケロリとしてるのが夕凪さんですが、そのへん、やはり海晴姉さんの長女としての貫禄は伊達ではないってことでしょうね。
……さて。そんな海晴姉さんに先日、まさに自分から率先して地雷を踏みに行くようなノリで、とんでもないことを直に申し出に言った麗ですが――
なんかね――
麗ちゃんは日記抜けるんだって。
海晴お姉ちゃんが言ってた。
――案の定、事件発生ッ!
ああああああもう麗はッ! そのときの様子が手に取るように想像できてしまいますよもう! あの子特有の頑固っぷりを最大限に発揮して、売り言葉に買い言葉という感じであったに違いありません。
海晴姉さんも思わず、「もうそんなにオウチャクするならやめちゃいなさいっ!」と宣言してしまったようなのですが……こういうやり取り自体、そもそも麗が甘えん坊である証みたいなものなわけで。それも、ちょっと悪い形での。海晴姉さん的には、このぐらいのことは言わないといけないというのは分かりますよね。
とはいえ――さすがに、家族全員が仲良く日記を続けていく中で、麗一人が外れてしまうというのは、トゥルーの流儀に反します。
問題は、麗が本気で日記を書くのが嫌なのかってことなんですが――。
麗の、この日記に対する思いというのは、昨年12月のこの日の発言が一番分かりやすいわけですが、これはちょっと、額面どおりに受け止めるわけにはいかないことなんですよね。
日記を書くのは苦手――だって、うまく書ける気がしない、私が書く内容なんて、誰も興味がない――と。麗にとってはそれがネックになっているわけです。
ところが、麗がいざ筆を動かしてみると、それはもう――テツの専門知識ばかりながら、とことん「好き!」って気持ちが溢れている、いい内容になってるんですよね。興味のない俺にさえも、見ていてその愛情や愛着は好ましく思えるぐらいです。
まあ要するに、本質的に麗は日記を書くのが嫌いなわけじゃなくて、それを人に見せることに自信を持てないだけ、と思えるわけですが――心理的な部分も大きく関わっているので、そう一概に言い切ったところで、問題は解決しなさそう。
とりあえず、来週以降にもこの件は、家族みんなを巻き込んで話し合われることになると思うので、それに従って色々と考えていこうかな、と。
さてさて――そんな麗の事件を受けて、夕凪さんはといいますと。
麗ちゃん、早くあやまっちゃえばいいのにね!
夕凪なんてあやまるのすっごい得意だよ!
本人にそれを言おうものなら、反発している時間が間違いなく延長されること間違いなしでしょうが――まあ、麗にとって苦手な行為なのは間違いなさそうですからね。
逆に、夕凪さんのそれはそれで問題というか、気軽過ぎです夕凪さん。かわいいけど! 一応トゥルー兄としては、少し釘を刺しておきたい気分も沸いてきてしまいますが……でもまあ、個性の範囲内でしょうかね。そこまでうるさいことを言わなくても、なんだかんだで、本当に謝らなければならないことや、頭を下げることの大切さみたいなものは、自然と学んでいくものでしょうし。少なくとも、謝らないよりはずっといいわけですしね。
いやまあ、「夕凪代わりにあやまったげよっかな――」というのはさすがに注意するとしても。
ずっと――言いたかったことがある。
……と、なにやら一行目にシリアスな雰囲気を漂わせた今日の日記――それを書くのは、あの霙姉さん。
むむ、と思わず身構えたくなってしまうこの空気――ほら、親に叱られる前に、一言いいかと訪ねられたかのような張り詰めた雰囲気――みたいなものを感じてしまいますよね。
霙姉さんという人は、かなり深い人です。
この特殊な家族の次女であること。終末思想を持っていること。すごい大人な人な風にも見えて、すごくお茶目で抜けたところもあるような――と。どこかとらえどころのない人であり、そういうところが深いなあ、と思わせる魅力のある人なわけです。
そんな人に、改まって「言いたかったことがある」――なんて前口上を言われた日には、それは身構えてしまうのも無理ないですよね。まして今は、麗の日記抜けという大きな事件があるわけですから。
だから、次に放たれる言葉はきっと、麗に関わる、何か重要な事柄。現状の報告か、それとも何かの助言か。あるいはお叱りか――恐らくはそのいずれかが言葉として続くであろう。そんな風に誰もが思うはずです。
しかし――霙姉さんは、俺たちが思っている以上に、「大きな人」だったのです。
……色々な意味で。
あろうことか、続く言葉が――
あの、さ。
ウララ、
と
ツララって――
……
似ているよな?
……………………。
……………………………………………………………………どう、リアクションしろと?
そのあらゆる意味での唐突っぷりに、思わず膝カックンを受けたかのような脱力っぷりに襲われてしまったわけですが……霙姉さんはまだ止まりません。
フフフフフ♥
昔から――思っていたんだ。
まるで――
まるで――
ダジャレみたいだ!
って――。
………………………………( ゚д゚)ポカーン
……ちょ、ちょちょちょ、霙姉さんが何かおかしく! いや、なんか唐突過ぎて面白いという以前に可愛いんですけど!? なんなんですかこの唐突なはしゃぎっぷりは。端が転んでもおかしい年頃の女の子というにはややギリギリの年齢じゃないですか……って、それ以前に普段とのギャップが! ギャップが……って、いや、確かにこの人は、底知れぬ大人のように見えて、こういう稚気めいた部分が確実に見え隠れしている素敵人でもあったわけですけれど、それにしたってこの勢いは! トゥルー俺を困惑させるためにやってるのだとしたら、それは凄まじすぎる小悪魔っぷりなわけですが――
いやまあ、確かに、ツララとウララで、そう思ったことが無いわけじゃないですけれど! しかし、それを単純に指摘しておおはしゃぎするのが許されるのは、せいぜい夕凪さんぐらいの年齢ぐらいまでだと思うんですよ。立夏は例外的にそこに含まれるとして。
いやまったく、恐ろしい人ですよ。唐突にこんな稚気めいてトゥルー俺を困惑させ、なんとなく可愛く思わせることで魅了する――そうしたことを多分無意識の内にやってのけてしまっているわけですよこの人は。ああもう、この人見てたら確かに、面倒見てあげたくなるというか、包み込まれつつお世話をしてあげたいって気持ちにもなろうってものです。
そして――そしてそして。ここまで盛り上がっておきながら、その直後に、「私はダジャレは――嫌いだ」などと発言するその胆力! もうね、勝てません。色々な意味で勝とうと思えなくなります。
それはもちろん、この霙姉さんの天衣無縫な発言のノリに負けたというのもあるのですが――それ以上に。
この「あなたは一体何を言ってるんだ」的論旨の奥に秘められた、実に大人らしい目論見を薄々感じてしまったからであり――まあ、この発言だけを見ていても混乱するだけなので、先のことを見ていきましょう。
世に言う最低クラスの冗談を口にして「くすっ」と笑いつつ、それらを「宇宙の塵、いや隕石の燃えかすほどの価値もない」と断ずる霙姉さん。
ただその部分だけを見れば、もはや悩乱の域に達せられたかと思わざるを得ないわけですが――いやいやいや。霙姉さんは、そういう稚気めいた部分がたとえ本当にあったにしても、その奥にはちゃんと、さらに深い部分をお持ちのすごい器の人なんだなあ、と。
妹たちの名前は大事なものだから、ダジャレなんかに使うべきではない――と。なるほど、小雨の例を見ても、ここんちの子たちはみんな、自分の名前に強いこだわりを持っていますからね。まあ、それを実際に使ってしまったわけですが――
誤解されても困るし、な。
私の頭の中がまさかそんなことに
侵されているなんて――
……
……………………。い、いや、特に何も言いませんよ!?
まあ、それはさておき。じゃあなんで、そんな冗談を言ったかというと。――麗がもう、日記を書くのを止めてしまったから……と。
とはいえ、それは当然、言葉どおりの意味ではなくて――
氷柱はそういうことに怒らない子、という霙姉さんの指摘は、確かに正しいですよね。氷柱はあれでけっこう茶目っ気マンマンなところがありますし(例)。自分に自信があるというの確かでしょうし、単にそれだけの精神年齢も備わっているということでしょう。「は? この美しい名前がそんなワケないでしょ?」とか、まさに言いそうな台詞ですよね。もし仮にトゥルー俺が弟だったら、高貴な姉だから姉貴と呼びなさい、ぐらいの理論はかざしそうなところがありますし。……この、一見アフォともとれるおおらかさがが氷柱の性格の特徴であり魅力です。
では、麗のほうはというと――
でも麗は――まだまだ子供だからな。
くすくす♥
きっとすごく怒るんじゃないか?
怒って日記に書き込まずには
いられないくらいに――
…………いやあ。まあ、なんといいましょうか。
――おみそれしました。
大人……いや、本当に大人ですよね。霙姉さん。この家の精神的な大黒柱は、やっぱり間違いなく霙姉さんだと思うんですよ。この策士――というよりは、しっかりとみんなの様子を的確に見ている大きさが。
いや、自分も麗に対して、こういう系等の方法を考えなくはなかったんですけれどね。天岩戸とか、北風と旅人みたいな絡め手で、とりあえずでも日記に戻ってもらって、そこでじっくり話し合う、と。
麗の性格は堅物なぶん単純ともいえますから、多分こういう方法が有効だろう――そう思っていた矢先に、自分のキャラクター性のギャップを大いに生かす形で、率先して行ってくれた霙姉さん。やっぱりこの人は頼りになります。
いやまあ、だからといって、このジョークセンスに関しては、色々思うところがあるというか、この人の持つある側面に対する認識がより強固になったこともまた事実なのですが――まあ、それはそれで。
とりあえず今度、霙姉さんの目に付くところに、何気なく「ダジャレ大全」みたいな本を置いておくことにしましょう。そして影から様子を見ることに。
……まあ、そんな霙姉さんのおもしろ素敵なところはさて置き。
この手が上手く行くか――麗のことだから、思い切り釣られるんじゃないかという期待が強いわけですけれど――いずれに転ぶにせよ、フォローは必要でしょうから、ソレに備えてトゥルー俺はスタンバっておかなければ。軽くブチギレ状態になってることも考えられますし。
てをあらおー! ……と、ちょっと昔のあずまんがポスターを思い出してしまいましたが、今日の日記は、虹子のおてあらい日記のようです。
――と、その前に。
先週から続く、麗の日記外れ事件について。ええ、さすがに今はそちらが気がかりですので、一応先に。
昨日の麗姉さんこそ、あの人ならではの巧みな撒き餌的な日記で、麗のことをカバーしてくれておりましたが、さすがにまだ二歳の虹子にはそこまでは無理なのか、今日の日記は、とりたてて麗に触れられていない、いつもどおりのもののようです。とりあえず、俺が読んだ限りでは。
リアル俺の心境としては、麗との交流をほぼ断絶された状態に近いので、この状況はいてもたってもいられないわけですが――しかしながら、トゥルー内部においては、麗自身が日記を書かないだけで、そのほかの面では全くいつもと変わらない日常を過ごしてもいるんですよね。そりゃあまあ、海晴姉さんと麗の間はやや険悪になってる可能性もありますけれど、表向きはそれだけのことで。
もちろん、姉妹はみんな、麗が日記を書かないと宣言したことを気にしているとは思いますが――でも、その他の生活では、ごく普通に接して暮らしているんですよね。
そのあたり、リアルとトゥルーの壁ってやつを感じずにはいられませんが――まあ、この一軒については、すぐにどうにかするというよりも、麗も海晴姉さんも少し頭を冷やす時間が必要なんじゃないかな、と思うわけですよ。だからまあ、今日明日と麗のことにかかりきりっていう必要もないんじゃないかな、と改めて思った次第なのです。……というか、そうやって自分を納得させるように務めました。
いや、気にはなるんですけどね。もちろん。家の施錠を忘れたまま外出してしまったときの心境ぐらいには。
でもまあ、こうやっていつもどおりの日記を楽しく書いているというのも、それはそれで、麗に再び戻ってきてもらう効果はあるんじゃないかと思うわけですよ。
麗が先日言ったように、もう当初のトゥルー日記の目的は果たされてしまっているわけですけれど。でも、それは今では、もっと別の意味――そう、家族みんなが楽しく暮らすために、この日記が具体的に役立っているのだ――と。そして、それは他の姉妹だけではなく、麗が書く内容によっても、さらに楽しさが増してくれるのだ――と。
そういうことを麗には、なるべく近いうちに、ちゃんとわかって欲しいなと思うわけですよ。もちろん、急いで教えられるならそれに越したことはないわけですけれど、いっしょに暮らしているんですから(トゥルー内部では)、焦る必要だってないわけですよね。いずれにせよこの日記、本来なら一人が一度書いたら、次まで1ヵ月ぐらいは間が空いてしまうわけですから。もちろん、あと1ヵ月もあのまま音沙汰なしの状態が続くというのは、リアル俺的には辛すぎるのを通り越しているので、そういう意味では急いで欲しいんですけどね。
とまあ、麗のことに関しては、ひとまずそういうことで――
――ということで、改めて虹子の日記を見ていきましょう。いやはや、こういう心配ごとで気疲れしてしまっているときには、虹子たち小さい子に癒されるに限るのかもしれませんね。
ごしごしごしごし――
てをあらお♥
……と、歌う姿が頭に浮かべるだけで、幸福感と満足感みたいなものが心に満ちていくのがわかります。「あらいのこすとイタイメみるぞ!」という部分に、うっかりある種の反応を起こしてしまった自分は、ちょっと特殊なMなんじゃないかと自覚してしまうわけですが、それはさておき。
「えへへ♥」と、自慢げにうがい&おてあらいを見せてくれた虹子。……これって、歌ってるだけじゃなくて、実際にトゥルー兄の前で見せてくれていたんですね。ううむ、なんと可愛い。
この歌を教えてくれたのは、ホタのようです。虹子はまだ幼稚園にも行ってませんしね。ホタから多くのことを学んでいるのでしょう。……うーむ、なんという実質的お母さん。
しかしながら、この季節にうがいてあらいが重要なのは、小さい虹子に限らず、全人類共通のこと。以前、観月が水ぼうそうをやったときにも大騒ぎになりましたが、これがもしインフルエンザなんかが入ってきた日には、もっと大変なことになりますからね。そういう意味でも、この家ではそうした予防は重要です。
そんな重要なことをきちんと身につけさせるためには、ホカホカココアが用いられているとのこと。そりゃあホタのホタホタココア(←意図的に書き間違えました)が飲めるならば、俺だっていくらでもうがいてあらいしますとも。イソジン&ミューズで念入りに!(必要以上にうがい薬などを使いすぎると、かえって喉の無害な菌まで殺してしまい、風邪にかかりやすくなるようですご注意) 虹子自身も、「きゃーあったか」と、なんだか可愛らしい喜び方を。
ともあれ、見事に手を洗うことが出来たのを見て欲しいようで、虹子が――
せっけんのいーい匂いするでしょ?
お兄ちゃんがチューってしちゃっても
だいじょうぶなんだから♥
ウフフ♥
――気を抜いたところにこの誘惑ですよ!
や、やられた――! いや、今日は、麗のことが気がかりだったのと、この季節的にはとても大事なことでもあったので、ついついこの子の「いつものあれ」について気が逸れてしまっていました。そう、この虹子さんは、二歳児にして、いつでも大の男をドキリとさせてしまう幼児型小悪魔なのでした……! ああもう! この最後の「ウフフ♥」の間が!
とまあ、そんなことを言われてしまったら――ねえ? お、おててにチューとかであれば、べ、べべべ、別に、とりたててやましいことなどないわけですし、ちょっとぐらいなら――(←その態度自体こそがやましいです)
も、もしくは、まだうまくできないというぶくぶくうがいの方法について、より具体的な実演方法で直接的に教えてあげるというのも――と。
ふと思ったのですが、こういう兄として相応しくないHENTAI的なことばかりを書くことで、麗を怒らせて日記に戻らせるって方法は駄目でしょうか? ……駄目どころか、二度と戻ってきてくれなさそうな気がすごくするので、自重します。ハイ。
このタイミングであさひさん更新ご到来ッッ!!
いやあ、以前から思っていたのですが、こういうすぐには解決しない事件が生じているときって、あさひや青空たち、幼児組の日記が入って、いい感じのワンクッション&情報統制の役割を果たしていることが多いですよね。
ああいう小さい子たちの限られた視点で語られることにより、出てくる情報が断片的になり、焦らされるとともに、適度な間を作り出しつつ、さらにはそこで語られる断片的な情報が非常に印象的になる、という効果もあります。さらには、小さい子たちによる癒し効果もありますよね。つくづく、良く出来た構成――ならぬ、トゥルーの運命率、とでも表現すべきでしょうか。
まあとにかく、トゥルー内部のことを知ることの出来るのが、日記内という、極めた限られた範囲内だというのは、リアル俺たち的にはもどかしいのと同時に、それがまた味にもなっているのだなあ、と改めて思いました。
……と、それはさておき。
今日のあさひ日記でありますが……今日のは何か、部分的にですが、なんとなく分かりますよね。ちょいと全文引用しますが――
うーたん、ぺっぺ――
あっぱっぱ♥
あーまん、ぷっぷ――
あっぱっぱ♥
あーたん、ぺっぺ――
あぱぱぱぱぁ〜♥
……ああ、なにやら歌っていらっしゃる。
とまあ、それよりもなによりも。冒頭の「うーたん」という部分――これに関しては、なんとなくですがこれは多分、「麗」のことだと分かりますよね。
むむむ、なるほど、「あーたん」……これはヘタをすると、霙姉さんの「ツララとウララ」よりも遥かに挑発効果が大きい呼び方かも知れませんね。いやまあ、今日に関しては、発言者があさひなので、さすがの麗も怒ったりはしないでしょうが、これが立夏あたりが、「うーらら、ウララ♥」なんて面白おかしく歌っていようものなら、きっと怒髪天を突くこと間違いないでしょう。もっとも、立夏はいたずら好きでも、あの性格のせいか、あまり他の姉妹に本気で起こられるようなことは少なそうな気はしますけどね。海晴姉さんあたりは教育的立場上、わりと叱ることも多そうですけれど。
ともあれ、麗が立夏を本気で怒ったりするのは、あまり考え難い光景だったりします。麗に対しては、彼女の繊細な部分を承知しているせいか、立夏もひそかに気をつかうところがあるように思えるんですよ。それも、露骨にじゃなくて、さりげなく。
……と、話が逸れました。
ともあれ、麗のことを歌っているんだというのは分かりましたが、やはりそのほかの部分は、歌であることが分かる以外にはお手上げなので、いつものTRANSLATION先生お願いします。
うららのほっぺ
たこやきさん♥
あかーくぷっくり
たこやきさん♥
おいしそうだからあさひが
たべちゃおうっと〜 ♥
……ああ、なるほど。
やはり、麗のことを言っておられました――と同時に、案の定というべきか、大変おかんむりなご様子であることも発覚しました。ああ……霙姉さんの日記を読んで怒っているのか、それとも今日再び海晴姉さんに何かを言われたのか、それともあの日以来ずーっとこんな感じなのか……情報が断片的過ぎて、妄想が多岐に広らざるを得ません。
あるいは、表面的には「もう日記なんて絶対書かないから!」なんて主張していても、無意識では、「なによ、日記に戻って来いって言わないわけ……?」って、トゥルー俺に怒りの念をぶつけておられるのかも知れません! いや、自意識過剰かなとも思いつつ、その可能性はけっこう高いかも知れませんよ? いずれにせよ、怒りの矛先がトゥルー俺にも向けられてるであろうことは間違いありませんね。麗が怒るのは、ある意味甘えの裏返しみたいなものでもありますから――
もちろんトゥルー俺的には、今すぐ何とかしてあげたいという気持ちもあるんですが、今回の件は、少し頭を冷やす期間があってもいいかなって感じの状況でもあるのと、それと同時に、海晴姉さんの問題にもなっている点があるので、事件発生後、ただちに解決に向かう――というよりも、やはりこうやって間を置いた方が、なにかといい方向に向くんじゃないかなと思っていたりするわけです。いや、トゥルー俺の思考なのか、リアル俺の思考なのか、ちょっとこんがらかりそうですが、まあ、リアル俺とトゥルー俺は、生き写しのパーソナルインカネーションみたいなものなので。
まあとりあえず、麗の様子はわかったので、それは置いておきましょう。
それよりも、麗のふくらませたほっぺを見て即座にたこ焼きを連想し、食欲をもよおされるあさひさん……! 赤ん坊の食欲(=なんでも口に含みたい欲)はそれこそ無尽蔵であるとはいえ、「よし、食べれ!」も記憶に新しいこの子が言うと(翻訳にせよ)、なにやらある種の迫力すら感じてしまいます。
しかしまあ、あれですよ。いかに麗とはいえ、あさひの前で怒りをあらわにするのはさすがに躊躇うでしょうから(ここんちの子はみんな良いお姉さん、甘えん坊な麗も例外ではなく)、こういう風に怒りに打ち震えているときには、あさひ達に接せさせるのが一番かもしれませんね。
よおし、あさひさん。そのまま麗のぷっくりほっぺを食べてあげるんだ! ……の、残った片方は、俺が処理しても――(仮)
来たッッ!! 今か今かと待ちわびていた、海晴姉さん直々の日記がついに来られましたですよッ!!
ええ、なんだかんだで、この今生じている事件の当事者であり原因そのものでもあるこの人がちゃんとお話をしてくれないことには、どうにも解決のしようがないですからね。
もちろん、あまり極端に急いで解決することはない――と以前には言いましたが、それはある一面では正しくとも、それはそれとして、やっぱり、家族の中に不和なものが残っているまま過ごすというのは、精神安定上よろしくありませんからね。
他の姉妹たちもきっと相当気を使っていたことでしょう……と思ったら、今日の日記を読んでみると、案の定。詳しくは後で触れますが、やはり実質的に家長である海晴姉さんが頑ななままだと、他の家族は不安で仕方ないですよね。
――とはいえ。今、実質的に家長、という表現をしましたが、確かに海晴姉さんは普段、そのぐらいしっかりしたお姉ちゃんであることも事実ですが、それでもまだ実質的には社会に出たばかりの女の子でもあるんですよ。常に大人らしい大人な態度を求めることも、それはそれで無理があるわけで――
だーかーらー!
もう――
私は悪くないんだってば!!
ほら。この怒り方……というか、言い方からしても、海晴姉さんだってまだまだ、ほんの少し前に大人になったばかりの人ってことがよく分かりますよね。海晴姉さんは時としてやたらと稚気めいたお茶目っぷりを発揮することもありますが、それは「あえて」やっているという部分があるのと同時に、「素」な部分もまたあると思うんですよ。
海晴姉さんの実年齢がいくつなのか――それは、0歳の誕生日以上のタブーである気がするので追求はできませんが、ともすると、この人の精神年齢は、実年齢よりも低いのかも――って、今回の件で思うようにもなりました。そう、18人も妹がいる分、凄くしっかりしているところがあるのも間違いないんですが、その「しっかりしている」のと、「精神面が成熟している」というのは、必ずしも比例しないのではないか、とも思うわけですよ。なまじしっかりしたところがある分、かえって見えなくなるところだってあるでしょうしね。
それに、海晴姉さんの場合――18人も妹がいても、自分自身には姉が1人もいないわけですよ。それはつまり、妹による理不尽はたくさん味わってきても、お姉ちゃんから受ける理不尽みたいなものには、思いが至らないんじゃないかと。そういう部分で近視眼になってるところは、どこかにあるんじゃないかな、と。
もちろん、海晴姉さんにそういう大人気ないところがあるからといって、責めたり欠点だと思ったりはしませんけどね。これっぽっちも。
ただ、何が言いたいのかというと――やっぱり海晴姉さんって、麗と似ているんじゃないかなあ、って。ほらこの「私は悪くないんだってば!!」なんて言い方、麗に通じるところがあると思いませんか?
麗は麗で、実年齢より押さないところがある――と、今日の日記で海晴姉さんが直々に言っているわけですが、それに関しては、海晴姉さんも案外どっこいどっこいなんじゃないかなあ、とも。
……とまあ、思うところは後で思う存分語るとして。待ち望んでいた海晴姉さんのお話に目を通させていただきましょう。
どうやら、麗の一件があって以来、海晴姉さんは麗に対して、頑なな態度をとったままのようです。多分、先週の金曜に「もうそんなにオウチャクするならやめちゃいなさいっ!」って怒鳴って以来、そんな感じなんでしょうね。
あれから、みんなが心配そうな顔で
「まだおこってる?」って聞きに来たり、
むやみに明るく振る舞って
私のご機嫌を取ろうとしたり、
大事な大事なナケナシの自分の分のオヤツまで
ちょっぴり分けてくれようとしたりして――
……と、姉妹のリアクションもさまざまのようですが、みんな程度の差はあれ、息苦しく思っていること、気を使っていることは間違いなさそうですね。
「まだおこってる?」って聞きに来たのは、ひらがななことから、虹子あたりでしょうかね。むやみに明るく振舞ってるのは多分、星花とかヒカルでしょう。ナケナシの自分の分のオヤツを分けてくれようとするのは、霙姉さん――ではなさそうですね。いや、色々な要素からそう推測を。案外、立夏あたりじゃないでしょうか。あるいは夕凪。
ともあれ、そんな優しい姉妹達に、愛情を再確認して身悶えしてしまう海晴姉さんですが――
これじゃあ私が鬼姉みたいじゃない?
でも――チ、ガーウの!
……とりあえず、青空の口癖(「あ、まーいの!」など)はどこから来たのかが分かりましたね。いやいやいや、海晴姉さん、そのノリノリお姉さんを通り越して、ちょっと子供っぽくすらあるこの口調……なんだか可愛いですよね。素で。ある程度まで自覚して、分かってやっているという部分はあるでしょうけど、それ以上に「素」で子供っぽいところがあるというのは、多分間違いないです。そんなところが海晴姉さんの魅力なんですよね。
――ただ。今回の一件がこれだけこじれてしまったのも、そのあたりに原因があるんじゃないかとも思ってしまうわけですが。
もちろん、海晴姉さんにも、麗のお姉ちゃんとして、彼女より人生経験の長い大人として、そう怒るだけの立派な理由はあるわけです。それに関しては、確かに間違いなく、麗のためということが切に伝わってきます。とりあえずはそれに触れましょう。
それは――海晴姉さんには、小さい頃、クラスの男の子にいじめられたことがあるってお話。
とりあえず……そのお話については、本文を読んでもらうということで、ここでは置いておきましょう。――そうでもしないと、また青龍刀を持ってきたくなってしまうので。もし今、俺の体にタイムリープの回数が残っているなら、間違いなくそれを手にして高いところから跳躍していることでしょう。そして無双乱舞。有象無象の区別なく、私の青龍刀は容赦しないわ。
とはいえ、そのお話については、一応男の子でもある俺にとっては、痛いほど良く分かるお話でもあります。
「引っ越したら手紙ちょーだい」――と。海晴姉さんは、意地は強いところはあるでしょうけど(もちろん黙って引き下がりはしなかったけれど、とか、きっと相当派手なことをしてくれたに違いありませんよ)、優しい心根の人であることも言うまでもないので、もしかしたら……一度か二度ぐらいは、手紙を書いてあげたんじゃないかな、とも。
……とまあ、そんなお話をふまえたうえで、海晴姉さんが麗にいわんとしていること。それは、世界を狭くしないで、もっと広い視点をもつこと。……要するに、そういうことなのでしょう。
ただ、俺としては……なんというか。
何より大切な趣味を持って、頑なになってる子に、「他にも好きなこといっぱい作らなきゃ♥」なんていうのは、かえって逆効果なんじゃないかなあ……とも思うわけですよ。
というのも、多分俺自身が、そういう言われ方をされたら、きっと反撥するだろうなあ、って気がするので。たとえ、そんなつもりがないと分かっていてもなお、その言い方はちょっと「刺さる」というか――それを好きでいることにケチをつけられた気分になるんですよね。たとえ、直接的に否定されておらず、続く言葉で肯定さえされていたとしても。
もちろん、そういう言い方をする海晴姉さんを責めたいわけじゃありません。そういう子に対して向けるものとしてはごくごく当たり前の、愛情に満ちた言葉ですからね。
ただ、それこそ海晴姉さんが言うように、「愛情表現って難しいわよね?」――と。
でも――
今あの子に必要なのは
もっと素直になる事。
そして素直な愛情表現を学ばなきゃ――
伝わるものも伝わらないんだから――
……というのは、確かに麗には絶対に必要なことだというのは間違いないんですけれど。ただ、それと同時に、海晴姉さんにも、もしかしたら必要なんじゃないかなあ――とも。
俺が思うに、海晴姉さんは、麗のことが好き過ぎて、そして同時に、あの子の保護者でいなくちゃ、ちゃんと導いてあげなくちゃ――という思いが先に出すぎて、適切な愛情表現ができていないのかも……って気がするんですよ。
だから、そういう意味では今回、こうして海晴姉さん自身の怒っている気持ちが表に出てきているのは、ある意味いいことなのかもしれません。麗は麗で、海晴姉さんに甘えすぎていて(あの学習能力のなさは、実のところ、海晴姉さんに対する屈折した甘え方なんですよね)、互いの正しい気持ちの伝え方ができにくくなってしまっているわけで。
もしかしたら、程度の差はあれ、麗にとっては海晴姉さんが、子供の頃の海晴姉さんをいじめていた男の子と対して変わらないように思えているのかも――。もちろん、余所の子と、家族同士の絆があるこの二人とでは、事情が全然異なるわけですけれど、たとえそれが分かっていても、いざ怒りや思い込みに心を捕らわれてしまうと、そういうことさえ見えなくなってしまうこともあるんじゃないかなあ、と。
麗に、日記を書いて欲しい。麗の描いた日記が、読みたい――
――多分、今の麗に対して一番適しているのは、こういう言葉なんじゃないでしょうか。それも、うわべだけではなく、心からの願いとしての。
麗が反撥を感じているのは多分、苦手なことを義務として押し付けられている、という思いがあるからなんですよ。そして海晴姉さんは今回たぶん、それを「家族の義務だから」ということを発端に、そこから麗の本質的なところにまで踏み込んで叱ろうとしてしまっているわけですよ。それが悪いわけではないんですが、それはそれとして、きっともっと麗には、必要としている言葉や思いがあるはずです。それこそ、「素直な愛情表現」ってやつなんじゃないでしょうか。
……
もう――
わかっただろ?
一連の麗騒動に、とうとう締めモードが! ……いや、まだその後の話なんかはあるんじゃないかと思うんですが、とりあえず今日は事件発生二週目の金曜日ということで、落しどころとしてはまさにちょうどいいタイミングでもありますよね。こういう近しいもの同士の言い争いって、落しどころのタイミングこそが一番大事って気がします。
――で。
そんな大事なタイミングに、満を持して登場してくれたのが――トゥルー俺が来るまでは、ずっと家族の「お兄ちゃん」役だったであろう、ヒカルでありました。
いやあ……今日のヒカルは、なんというか……カッコイイですよね。
ヒカルって子は、別に特別大人びているってわけじゃありません。ボーイッシュで、ちょっと男女の距離に関しては鈍なところはありますが、高校一年生という歳相応のメンタリティを持った女の子だと思います。すなわち、子供といえば子供ですが――お姉さんといえば、お姉さん――って感じの。自分の身の丈にあった、責任感とか、気配りを備えている子だと思うんですよ。
今までは、トゥルー俺の存在と、その存在による彼女の揺らぎや、ハプニングなんかを見る機会のほうが多かった気がするので、ついつい「乙女な部分」にばかり注目してしまっていたのですが、それだけじゃありませんよね。
ヒカルの今までの日記を改めて読むと――確かに、プロレスごっこや制服取替えっこなんかのインパクトが強いわけですが、それとは別にもう一つ、「家族のことを、よく見ている」という部分にも気が付くと思います。この間の夕凪の件なんて、典型的ですよね。
海晴姉さんみたいに、ほぼ全面的に責任のある保護者というわけではなく、だけど、みんなを見つめる上の立場――特に、男手がいなかった家族の中で、「お兄ちゃん」としての役割を意識してきた彼女にとっては、そういう身の振り方というか、自分が家族の中でで何をなすべきかということに関して、なにげなく敏感なんじゃないでしょうか。そう、なにげなく。
……とまあ、何が言いたいのかというと。
今日のこの、海晴姉さんと麗との間を取り持つヒカルは、とても頼もしく見えるなあ……ということです。
そんなヒカルの頼れる様子、具体的に見ていきましょう。
「この日記はきっと――ダレカさんも読んでると思うから」なんて、書き出しからして、優しいというか、空気を良くしてくれているというか。そんな、日記を読んでくれるあの子の存在を前提としつつ、ヒカルが口にしたのは――
あの2人はさ、似てるんだよ、すごく。
……と。
これは今までも、海晴姉さん本人がそう言っていましたし、何よりもトゥルー俺たち自身が何度も何度も指摘してきたことですが……改めて、他の姉妹の口から言われると、その重さが全然違ってきますよね。思い込みや主観の要素がなく、そのうえ誰よりも二人を見てくれている人の意見ですから。
姉妹だから、似ていて当然、だけどその中でも特別に近い二人。だからこそ、仲直りにも時間がかかる――と。本当……すごく良く、そして優しく、二人のことを見てくれてるんですねヒカルって。
自分たちだったら、きっと海晴姉さんみたいには叱らなかった……とありますが、この中で、あえて叱る役に適しているのは誰かと言われたら、それはやはりヒカルなんですよね。ホタは優しすぎるし、心の中には歳相応に幼いところもあるといえばあります。霙姉さんは、大きな父性ともいえるもので、みんなを包み込んではくれますが、どっちかというと、さりげなく救い舟を出してくれるタイプです。
では、ヒカルはというと――これはきっと、頭ごなしに叱ったりせず、かなり適切に人を諭すことが出来る子なんじゃないかと思うわけですよ。今日の日記を読んで、それを確信しました。
考えてみれば、ヒカルは体育系の部活をこなしているので、そういう部分は家の外でも磨かれているんでしょうね。中庸というか、人と人との距離のとり方、人の気持ちの見極め方――そういうのを、運動部などの中で、きちんと身に着けてきたのでしょう。
そんなヒカルだからこそ。
今日の日記の最後に――今、一番必要とされている言葉を、あんなにも優しく口にできたのではないでしょうか。
……それはまあ、最後に見るとして。
先日からずっと、たこやきのようなほっぺでむくれているであろう、「あの子」について、フォローを入れてくれるその言葉も、ヒカルの「上手な」優しさが伝わってきますよね。
日記を書きたくないのは、本心なんかじゃない、と。……これは、その書きたくない原因であるトゥルー俺には、そうだと察していても、なかなか口には出せないことなんですよね。あの子のお兄ちゃんであるけれど、なかなか手が届かないところ――そんな部分に、今までずっと「お兄ちゃん」をしてきてくれたヒカルが、手を差し伸べてくれたわけですよ。これは、嬉しいのと同時に、トゥルー俺だって、まだまだお兄ちゃんレベルが足りないなあ……と思わされてもしまいますね。
そして、さらに嬉しいこんな言葉――
大切なたった1人の「お兄ちゃん」を――
あの子が大切に思ってないわけがないじゃないか。
……この一言で、ヒカルがトゥルー俺を、救ってくれました。
いや、誇張でもなんでもなく、これはきっと、トゥルー俺的に、誰かに言ってもらいたかった言葉なわけで――ちょっとね、ほろりときてしまいました。わりと本気で。
そりゃあね。いくらトゥルー俺が、この家族にとって無条件に受け入れてもらえる存在だって前提があっても。麗みたいに、反撥してくる子に対して、どう接したらいいのか――そりゃ、悩むのは当然なんですよ。踏み込めない部分だってあるし、察しようとしたって、それが行き届かないところだって出てきてしまうわけです。
トゥルー俺と同じ年の「お兄ちゃん」で、姉妹たちをよく見てきてくれていたヒカルが、それを補ってくれた――今の言葉は、そういうことです。
「きっとまだ、(男嫌いのせいで)慣れないだけ――」と。鉄道ネタの問題もあるんでしょうけれど、一番根本的なことは、きっと、それなんでしょうね。いくらもう一年も一緒に暮らしてきたとはいえ、見に染み付いたことが、そうそう簡単に消えるわけも無いんです。
俺なんかは、色々と理屈を述べて、うまい解決策を――なんて思ってしまっていたわけですが、これに関しては、もっとゆっくり時間をかけて、少しずつ慣れてもらう、というのが一番なんでしょうね。
さて、もう一方の問題である、海晴姉さんについて。
姉妹の中でも比較的年長で、海晴姉さんの小さい頃も見知っているヒカルが、一つ教えてくれました。
それは――
海晴姉はさ――まだ麗くらいの頃。
まるで今の麗が鉄道を好きみたいに――
お天気情報が大好きな子だったんだ。
……あ。そうか、それで、「鉄道好きもいいけれど、もっと他にも好きなこといっぱい作らなきゃ」……だったんですね。
これに関しては……その。俺の方が、幼稚な反撥だったというか……麗のことを笑えませんね。いや、それはまあ、ある意味では海晴姉さんもなんですが。でも、海晴姉さんは、そういう反撥心を分かった上で、言ってくれていたことだったわけですよ。
にしても、そんな勢いでお天気好きだったとは……。確かにそういうきかっけのエピソードは本人自ら話してくれてましたけど、小さい頃の海晴姉さんって、きっと今とはだいぶ違う印象の子だったのかも知れませんね。今では普段はかなり悠揚な雰囲気ですけど、小学生ぐらいのころには、もっとカリカリしていた部分もあったのかも。いじめっ子のエピソードからも、そんな姿がなんとなく想像できます。
ともあれ、そんな鑑写しな二人であることが、ヒカルのおかげで良く分かりました。
……で、問題は。
そんな二人に対して、どうするかなんですが……
……
早く戻っておいで、麗。
海晴姉はもう怒ってなんかないから。
麗が抜けて、みんなが――
さみしい思いをしているよ――
……これは。
なんというか……もう、トゥルー俺の出番なんか、ないかもですね。
ヒカル――お兄ちゃんです。
すごく立派に、お兄ちゃんしてくれています。
思わず、こちらまでじわりと来てしまいそうな、愛情に溢れた言葉――そしてきっと、今の麗が一番欲していたであろう、包み込むような優しさ。
ヒカルという女の子の魅力が、これでもかというほど理解できたのと同時に、同い年であるトゥルー俺に、この家族のお兄ちゃんとしてあるべき姿というのを、教えてくれたという思いがわいてきます。
いつもは、ちょっとドキドキしてしまうことなんかの多いヒカルの姿ですが。今日のこの姿は――見習うべき先輩の背中、って感じですね。
――おかえりなさい、と。今はただ、それだけで。
もうね。これを書いてるときの「あの子」の様子を想像するだけで、幸せがこみ上げてくるかのようですが。
月曜日まで、待ってます。
……予定通り、実に予定通りです。
いやまあ、あそこまで素直に――といっても、無記名でしたが――ごめんなさい、ありがとう……って言えた以上は、もう何も心配することなんてなかったですけどね。
ずっと待ってた――というほどの時間ではありませんでしたが(二ヶ月近く更新がない子が出ることもしばしばですし)、やはりああいう雰囲気のままというのは、家族的には実によろしくないことなわけで。
ですから、今日の日記を「あの子」……改めて名乗るまでも無く麗ですが、この子が書いてくれたことを、大いに喜ぶことにいたしましょう。
さて、そんな復帰直後という、色々と気まずい思いもあるであろう日に、麗が一体何を書いたかというと――
週末は――
ヒカル姉様の
誕生日パーティー。
すごく寒かったけど――
楽しんでもらえたみたいで
良かったわ。
そうです。先の土曜日は、ヒカルの誕生日だったんですよね。
ここの日記ではおおむねそうなんですけど、金曜日にヒカル自身が書いた日記では、おくびも触れられていなかったわけですけれど、トゥルー家族内においては当然、大イベントになるわけで。
家族みんなが顔をあわせて、誕生日を迎えた子をにっこり笑って祝福すべき日――そこに、気まずい空気を持ち込むべきではないってことを、ヒカル自身が逆手にとって、あえてあの日に日記を買って出たのかも知れません。そういうところ、ヒカルは本当、人間的には大きいですよね。
事実、自分に対してとてもいいことを言ってくれたヒカルの誕生日ということで、麗も気合を入れて、パーティの準備に打ち込むことができたようです。集中すべきことがあれば、気まずさも紛れますからね。それに、
今回は企画のメインはユキちゃんだったんだけど――
私――頼んで。
ちょっとだけ――
手伝いさせて
もらったから――
……麗は、感情表現が不器用です。でも、不器用だからこそ、かえって、その真心が伝わるという部分もあるんですよね。それを見て、ヒカルはもちろん、姉妹のみんなが、麗の気持ちをちゃんと理解してくれたことは間違いなさそうです。
――ところで。
当のヒカルは、もちろん大いに喜んでくれたようですが、それはひとまずいいとして――「アナタと並んで――ロウソクを吹き消して――」という部分。きちんと明言された表現でこそありませんが、これは素直に考えると、トゥルー俺とヒカルが一緒にバースデーケーキのロウソクを吹き消した、ってことなんでしょうかね。
つまり、ヒカルとトゥルー俺の誕生日は同じ1月24日。すなわち――
……まあ、同学年のきょうだいということであれば、むしろそうでなければ不自然なぐらいなんですが、これは恐らく、各トゥルー諸兄の中で、特別に別の誕生日を設定している(したい)という人以外には、ヒカルと同じ日を、トゥルー俺の誕生日にすべし、ということを示唆しているんでしょうね。
とりあえず、YU-SHOW的には、とりたてて他の設定が望みというわけでもないので、「なんとなく」なレベルではありますが、この1月24日をこそ、トゥルー俺の誕生日として考えておこうかな、と思います。あくまで「なんとなく」ですが。
まあ、そんな風につつがなく楽しげに行われたであろう誕生日については以上として。
口下手な麗が――きちんと、向き合おうとしてくれています。トゥルー兄としては、心から傾聴しなければ。
あんまり――
いろんなこと言うの苦手なの。
ありがとう、とか――
ごめんなさい、とか――。
……まあ、確かに。
麗自身が言っているように、そのこと自体は、本人に言われるまでも無く、知っていること……ではありますよね。間違いなく。
そういう意味では、「そんなこと、言わなくても――わかってるでしょ? って――つい。思っちゃう。」と思う麗の気持ちも、よく分かるんですよ。
ただし。仮に、それらが言うまでも無く通じていることだからといって――それを直接口にすることの大切さは、変わらないわけですよね。
心がちゃんと大人になれば、それはきちんと理解できること。でも、それはある意味、大人にとってでも……面倒くさかったり、恥かしかったり。あるいは、気まずかったりで、大変なことではあります。間違いなく。ましてや、小さい子にとってはなおさらのことで――
なんで言えないのか自分でもわからない。
なんでか――
その、「なんで」を乗り越えられるなら。もういつでも立派な大人になれるんだ――って言えると思います。人の心の、一番大切な部分においては。
だから、少なくとも。
今日ここで、「なんで言えないのか」という言葉を言うことの出来た麗は、その分だけ、大人に近づくことが出来たのだと思います。そして――
さみしい、なんて
そんなことも――。
口に出して言うことじゃないと――
思ってた。
……本来なら、それはとても悲しい言葉です。でも、麗の場合は――この、あまりにも優しさに溢れすぎている家族の中で過ごしてきたがゆえに、そういう風に思うようになってしまったのだと思います。だから、この言葉はきっと、幸せの贅沢病……みたいなものなのかも知れませんね。そう、子供の心にだけかかる、幸せの贅沢病。
はしかや水ぼうそうを、小さなうちにかかって抵抗をつけるように、心を少しずつ大人にしていくことで、こういう気持ちにかからない強さを身につけていく……と。今日の麗を見ていると、そういう風に思えてきます。
そして、麗の心に、強くなるきっかけを与えてくれたのは、もちろん――
優しい人って――強い人ね。
…………そう。まさに、そうですよね。
そして、もう一つ言うなら――そういう理解にたどり着けた麗という子も、間違いなく、優しくて、強い子になれるってことです。それが理解できたのならば、やがてはそこに、たどり着けるはず。
――向かう方向が、はっきりと分かったわけですからね。
ヒカル姉様は
まるで――鉄道みたい。
強くて真っ直ぐで――
ちょっぴりN700系に似ている気がする。
私もいつか――
あんな風になれるといいな。
「なれるといいな」。……そういう思いは、可能性という意味で――「そうである」ことすら超えるものだと、俺は思うんですよ。
大好きな鉄道にすら例えられるんだから、ヒカルの背中は、どこまでだって追いかけることができるでしょうね。
俺にはあいにく、誰かを鉄道で例えるというだけの知識がありませんが――きっと、今の麗に相当する未来の鉄道みたいなものが、この世のどこかにあるに違いありません。近い将来、立派に走ってくれるであろう、麗の憧れる鉄道みたいに。
一連の事件も無事に幕を下ろし、心機一転となった今日の日記――書き手は、この季節には何かと心配な子・綿雪でした。
そういえば、先日のヒカルお誕生日は本来なら、綿雪が準備の担当だったみたいですね。たぶん、それほど肉体的に大変な仕事ではないのでしょうけれど、そういうことをきちんと行えているということは、この季節であっても、綿雪の体調が崩れたりしているということはなさそうです。なによりも、こうして元気に日記を書いてくれていますしね。それの事実だけで、何か安心というか――嬉しくなってしまいます。この綿雪という女の子に関しては。
そう。トゥルー俺が来てからの綿雪は、基本的に、かつてないほど元気なのです。
それが何故か、ということに関しては、G's本誌で語られた、辛かった頃の綿雪の話を思い出せば、なんとなくながらも分かる気がするわけですが――この子の背負ってきたものの重さと共に。
そういう経緯があるからか、綿雪が日記で語る言葉も、その多くは、どこか人の心を打つようなものばかりでして……今日の日記についても、その例外ではないようです。
今日の日記の内容は。
綿雪の、夢について――
小さい頃の夢は――
病院のお外に出て、
みんなと一緒に遊んだり、
お勉強したり――
ふつうの子みたいに
なることでした。
「ふつう」――であること。病気に苦しんでいた頃の綿雪が願った夢、なりたかった自分の姿。
……この発言について、いかに家族とはいえ、その当時――病気がひどかった時代の綿雪のことを直接には知らないトゥルー俺が、その心境を、どのぐらい理解できてあげられるというのでしょうか。
概ね平和な日本に住むリアル俺たちにとって、水と安全は無料、という揶揄の意味がほんとうには理解できないのと同じように、こんな願いを夢に思っていた綿雪の辛さや苦しみは、きっと本当の意味では理解できないことなのだと思います。
ただ一つ、救いというか、なんというか……そのことで今のトゥルー俺が苦しまないですむのは、それがすでに、過去形で語られていること。他ならぬ、綿雪自身の口から。もし仮に、この言葉が、今現在の綿雪の口から放たれていたものだとしたら、それは――まあ、あえて考える必要の無いifですけれどね。
ともあれ、今。綿雪という子の体は、元気になりつつあるのです。だからこそ、今、こんなことも語れている、と。つまり、幸せなのだと。幸せを掴み取ろうとしている最中なのだと。……そう思うことにしましょう。
ただ、それでも……小さい頃に、「あれもダメ、これもダメ」と言われ続けてきた頃の綿雪を思うと、たまらない気持ちが湧き出て押さえられなさそうです。
いや、なにがたまらないかって――
きっと――お姉ちゃん達は
ユキのことわがままな子だって
思ったかな――
だってユキ、おビョウキは他の誰でもない、
ユキのお体のことなのに――
なんでユキだけお外に出られないの?
なんでユキだけおさしみが食べられないの?
なんでユキだけお家に帰れないのって――
そんなことばかり言っていた気がするから。
…………………………いや、あの。
ちょっと、すいません。(←YU-SHOWさんがいたたまらなくなって、思わず席を外しました)
……失礼しました。
その、まあ。昔の話、なわけですから。今、トゥルー俺に対して、言われた言葉というわけではないですから。だから、だいじょうぶ、平気。
俺という人間にとって、辛くて耐えられないことの中に、妹が苦しんでいるのに何もしてあげられない、という事がその筆頭として存在しているのですが、そんな俺にとって、この言葉は――
ただ、それとは別に、どうしてこんな綿雪が苦しんでいるときに、トゥルー俺が傍にいてあげられなかったのかという思いも同時にあって、なかなか複雑でもあります。
とりあえず、おさしみがダメだったというのは、まあ、医学的な問題なので詳しい理由は分かりませんが、なんというか……あまりにも生々しく具体的で、辛いです。……いや、聞くだけで辛いなんていってたら綿雪に失礼ですが。ちゃんと全部真正面から聞きますとも。
でも。そういう思いを小さい頃からしてきたおかげで、今のユキが、これほどまでにいい子になってくれたのだと思えば、それすらも、やがては感謝できることになるのかも――知れませんね。少なくとも、綿雪本人には、そういう傾向が出てきそうな気がします。
だって、この「おビョウキは他の誰でもない、ユキのお体のことなのに――」なんて発言。老成した大人だって、ここまで成熟されたものの考え方はそうできませんから。それがはたして、綿雪本人にとっていいことなのかどうかは分かりませんが――大人になりすぎるというのは時として不幸でもあるので――少なくとも、家族としては、その立派さを誇りに思ってあげたいですよね。
「こうしてお家にいられるようになって。ユキはそんなわがままな子じゃなくなりました♥」という言葉も、心を打ちます――この子にいずれ、いい意味での「わがまま」というものを教えてあげたい、と思った瞬間です。
――さて。そんな小さい頃の夢のお話がなぜ出てきたのかというと、今日の授業で、将来の夢の作文を書いたからのようです。
その内容を「ちょっぴり恥かしいけど」と恥かしそう、かつ嬉しそうに語ってくれるユキの可愛らしさに思わず正気を失いそうにもなりましたが、それはさておき、綿雪の将来の夢とは――お話を書く人になること。
「世界中のビョウキの女の子が元気になれるような、そんなステキなお話を作る人になりたいです」――という言葉を聞くまでもなく、そういう夢を持つに至った経緯は想像できるわけですが……
そして――
優しいお姉ちゃんやカッコイイお兄ちゃん、
それに可愛い妹たち――
ユキの大切な大切な家族のことをステキなお話に書いて、
世界中の人に読んでもらいたいです。
ケンカをしてもイタズラしてもいつだって仲良しで――
しあわせしあわせなユキの家族。
この気持ちを世界中の人に伝えられたらいいなと
ユキは思います――
この、聞いてるだけで、感極まってしまいそうなユキのお言葉。
これを聞いてふと、俺たちが今、直面しているトゥルー世界のお話とは、もしかすると――すっかり元気に、そして大人になった綿雪が書いた物語の中のことなのかも――という風にも思えてしまいました。
ちょいとファンタジックすぎる思いではありますが――でも、そうであればいいなあ、という気持ちも強くあります。なぜならそれは、綿雪の夢がきちんと叶ったって事ですからね。この、しあわせしあわせなトゥルー家族は、未来の綿雪が思い出している回想の1シーンなのかも……と。その中にいる俺たちには知る由も無いことですが……
――できあがったら、お兄ちゃんに
1番に見てほしいな♥
もし、そうだとするなら。その願いは、真っ先に叶ったということですよね。
ゴッドが――
――いつものように
危険な球を――
――投げてきた!
……というわけで、警告させていただきました。い、いやいや。いつもと同じ、トゥルー姉妹――今日は吹雪――による、なにごともない日常の出来事を書いたハートフルな日記ですよ今日も。
ええ、そうです。今日の日記は吹雪です。昨日の綿雪とはうって変わって、この季節には実に活動しやすそうな印象のあるこの子なのですが――それでもやはり、この寒さのせいで、ちょっといつもと様子が変わってしまう……ようなことって、あるんでしょうかね?
いや、いやいやいや。それは風邪を引くとか、そういう話ではなく、もっと間接的な――たとえばたとえば。許容できる快適な寒さを超えてしまい、人のぬくもりを求めたくなってしまうとか、そういう方向に思考のベクトルが傾いて、いつもよりももっと、大胆なことを、意識してかそれとも無意識のうちに……その。「求めて」、……しまう、とか。そういう話の――
……少し落ち着きましょう俺。
興奮だけしていても話が続かないので、とりあえず、順を追って話を見ていきましょう。
大変な流行で――
今日から私たちの学年は
週末まで休みになりました。
そう――吹雪のそもそもの話は、インフルエンザ。この季節の風物詩ではありますが、深刻な脅威でもあり……こと、この小さい子供の多いトゥルー家族にとっては、そのリスクも通常家庭の比ではありません。
吹雪のクラスは学級閉鎖になってしまったようですが、トゥルー家はそもそもの人数がちょっとした学校のクラス並みの大所帯ですからね。それも小さい子ばかりの。
先日の虹子の日記を読む限り、家庭内における予防の躾けはしっかり行われているようですが――吹雪の言うとおり、それだけで100%防げるようなものでもありませんからね。
それになによりも。学級閉鎖までしてしまったクラスに所属している吹雪こそ心配です。吹雪自身も、「うがいや手洗い、加湿といった基本的な感染予防策はもちろんとっていますが」、とのことですが――
もしかしたら――
もうすでに
私も感染しているかもしれません。
あの小さくて強力な、
インフルエンザウィルスに――。
………………!!
(吹雪の体が――)(感染)(あの、小さいからだの)(隅々まで)(インフルウィルスに――)(蹂躙――)(可愛らしい咽も)(リンパも)(――そして)(入っては、イケナイところまで――)(情け容赦なく――)(好き放題!)(「犯されて」)(犯され――)(犯されてしまって――!!!)
……すいません。取り乱しました。
しかし。しかしですよ。今日の吹雪の発言は、なんだかこの時点で、なんといいましょうか……何か、いやに生々しい表現をいつもより多用していると感じたりはしないでしょうか。……俺が病気なんでしょうか。この表現を聞いただけで、「ちいさくなーれ」を使って吹雪の体内に潜入し、マクロファージを退治しなければ! って思ってしまうわけなんですが。
いやまあ、この時点でそこまで考えてしまうのは、さすがに病気の謗りを受けても仕方が無いとは思います。思います、が――
ウィルスとの濃厚接触があったら、
もう――
遅いかもしれません。
濃・厚・接・触――
……い、いや。これも別に、特別な言葉ってわけじゃないはずなんです。吹雪的には、家族の小さい子たちに感染させたりする自体を憂慮してるから、こうして神経質なぐらいに気にしているというだけで! ……きっと。
そんなわけで、吹雪はその知識を活かし、ウィルスの感染経路について詳しく説明してくれていますが――
ですからこのように家族として――
同じ家に暮らしていれば。
廊下を通りすがる時にでも――
唾液や鼻水といった体液の交換が
双方向に発生しうることや、
粘膜への接触が不可避である事は――
自明のことです。
体・液・交・換――!
――粘・膜・接・触!
……い、いや。いやいやいやいや! そ、そりゃあ確かに、当たり前に発生しうることではある……少なくとも、言葉の上ではありうることだっていうのは間違いないわけですが!
しかし、しかしそれにしても――「体液の交換」「粘膜への接触」という単語は……単語は……
そう、吹雪はその知識の豊かさと、クールな性格の弊害というべきか、本来日常的に使うのには躊躇いがもたれる単語を平気で口にしてしまうというところがあるのは、諸兄はご承知の通りでしょう。それはある意味、年齢不相応の知識を得た子供であるがゆえの、歳相応の可愛らしさなんじゃないかと思ったりすることもあります。あります……が……今日の単語は、ちょっとその余裕を持たせてくれないです。
いや、その「体液の交換」「粘膜への接触」という単語で思い出されるのは……どうも、性感染症とか、そんな類の症状なんかがどうしても浮かんできてしまうわけで。さらには、普通風邪とかインフルエンザの説明なんて、せいぜい「飛沫感染」ぐらいの単語しか使わないというのに!
……まあ、それでも。ここまでで話が終わるのでしたら、一部の単語に敏感に反応してしまうというだけですむ話ではあるんですが。吹雪さんのある意味幼さは、そんな容赦を与えてはくれなかったのです――!
ところで――
私はまだインフルエンザにかかったことがありません。
なるほど。吹雪はまだ、「体液の交換」「粘膜への接触」などは未経験、と。……あ、あ、当たり前じゃあないですか!(←何故かムキに)
しかし、潜伏期間を考慮して、それでもなお心配してしまう吹雪。そんなこの子が口にしたのは――
こんなことをしていたら――
キミにも――
やはりうつってしまうのでしょうか?
――「こんなこと」ってどんなこと!?
そ、そんな、「体液の交換」「粘膜への接触」が行われてしまうようなことって――俗に言う「ふぶふぶする」って行為以外考えられないんですけど!?
いや、ふぶふぶはさて置くとしても。それにしても何故、吹雪はあえて、「体液の交換」「粘膜への接触」なんて単語をわざわざ持ちているのか。
……先ほど、性感染症の感染経路に用いる言葉と言いましたが、かくいう吹雪自身にも、恐ろしいことに――そういった知識はバッチリ備わっているはずなんです。つまり吹雪は、性に関するカタログ知識は完全に備えている小学二年生なのであります。ソレに対して感じることは、さすがに二次性徴前というべきか、表向きは何もない……という感じなのですが……。
――仮に。寒さか何かのせいで、今日の吹雪がいつもよりちょっぴり大人な――具体的には二次性徴後のような――情操意識を抱いてしまっているのだとしたら?
いけません――
早く離れましょう。
こうしている間にも、私とキミの間に
体液の交換が成立してしまうとしたら――
「いけません――」
「私とキミの間で」 「体液の交換が成立してしまう――」
…………吹雪って子は。一体、どこまで「意識的に」発言してくれているんでしょうか…………。
少なくとも、カタログ上の性知識が身についてしまっている、ということが、俺の心の内から離れてくれません。
ただ、一つだけ言えることがあるとしたら。
女の子に、「ダメ」って言われることは、男をかえってその気にさせてしまうということまでは、吹雪は知らないってことでしょうか――
――いや。もし、 そ れ す ら も 知 っ た 上 で、「 あ え て 」そう言っているのだとしたら――
……ち、ちょっと、イソジンでうがいしてきます!(←体液および粘膜接触にそなえて)
マリー更新! なにげに二ヶ月近く間が空いてましたが、これはまあ、年末年始を挟んでという事で、この子に限った話ではないかもですが、それでもやはり、間が空けばあくほど、その子の日記が来たときのカタルシスは高まるというものです。
さて、今日の更新はというと、ここのところ色々な意味で精神力を使う内容が多かったので、ここはひとつマリーらしくkごく微笑ましいながらもマリーらしさにゾクゾクできる日記がいいなあ……と思ってたら、まさにそんな感じのが来てくれましたですよ!? さっそく拝見させていただきまして候。
真璃曰く、「マリーが世界一美味しいと思うものは――」と。
ええ、それはもう、彼女の日記を最初に読んだ瞬間、クグロフって単語をぐぐる先生に尋ねたことは記憶に新しく。それ以来、マリーのためにも自分のためにも、スィーツ関係の知識は割と貪欲にかき喰らう日々が続いてきましたから。
まあ、いっぱいあるんだけど、という前置きどおり、次から次へと横文字を並べてくれるその発言に、思わずリアル俺体内の血糖値も急上昇しそうな勢いでしたが――しかしまあ、俺の内部にある真璃データベースは、しっかりと去年の日記の内容も記憶しているわけでして、最後には当然、クグロフの名前が出てくるわけですねウフフ……と勝ち誇った気分になっていたら――
そうね、最近1番気に入っているもの
って言ったら――
キラキラの金色のラメがいーっぱい入った
フワフワキラキラのコットンキャンディ!
かな。
歯がイタくなるくらい
甘ーいやつっ♥
――君子は豹変す!? ……い、いやあ、まさにその言葉の意味を実感いたしました。なんという歯痛スィーツ!?
……と、どうやらトゥルー俺のほうも、そんな思いが表情に出てしまっていたようで、そんな愚民めいた俺たちに、マリーが乙女の嗜好について、ありがたい説明を賜ってくれました。
曰く――
やだ♥
んもう、バカね、フェルゼンたら――。
乙女心の流行は西風より早いのよ?
それに――
女王様はいつだって気まぐれなんだから!
乙女! 女王様! おおお、なんともマリーらしい……! そんな発言されたら、思わずグラ……もとい、ミスター・ブシドーばりのテンションで昂ぶらずにはいられないじゃあないですか! ああ、この小さくておしゃま、だけどどこか賢さを漂わす幼女(しかも妹)に弄ばれることの、なんという愉悦……! 「今日も好きとは限ら・な・い・の♥」なんて台詞で、一体幼稚園児何人分の嬉しションを催させることでしょうか。(単位:mre)
いいこと、フェルゼン?
それがマリーっていうも・の・よっ♥♥♥
ま、そんな風にドンカンなところも
かわいいけど――
――ほおおおおぉぉっぉぉぉっぉぉっ!!!
……しかしまあ、一年経った今でもなお、これだけこういう言葉使いで弄ばれてしまうトゥルー俺というのもどうかと思うのですが、それもひとえに、この子の纏ったオーラというのがそれだけ特別ってことなんでしょうね。本当、一番等身大な子供に見えるくせに、その等身大の中で一番おませ度が本格的な子っていうのは、すごいと思います。
まあとりあえず、「まだまだシュギョウが足りないわね――ウフフッ♥」のウフフ部分で悶え転げつつ、今後はより一層のシュギョウに励もうと思います。先回りの。
とまあ、そんな言葉の前戯――いやホント、「言葉の前戯」って表現がこれほど似つかわしい子も他にいないと思います――はさておき、そんなスィーツの話が出てきたのは、やはりというか、幼稚園でのお店屋さんごっこ絡みだった様子。
やはりマリーは、「幼稚園であって出来事」の比率が高いですよね。それだけ社交的だってことは前にも述べたとおり。
わたあめ屋さん――といっても、作り物のわたあめを用いた、ごっこ遊びの様子。観月とさくらと組めたってことは、幼稚園全体での催しだったんでしょうね。小規模ながら幼稚園での文化祭みたいなものだったんでしょうね。自分もそういうイベントにかすかに覚えがあります。
しかしながら、ごっこ遊びといっても――マリーが説明すると、なにやらずいぶんと本格的っぽく見えますね。いや、説明している工程自体は特別でもなんでもないはずなんですが。これも真璃の持つオーラの影響なのかも。
「幼稚園一の売り上げ女王を目指すのよっ!」なんてところは、子供らしくもあり、マリーらしいという感じもありますが――
さ、フェルゼンも手伝って――
よくできたらフェルゼンにも1つあげるからね♥
――いずれにせよ、そんなマリーを前にしては、トゥルー俺も忠実なフェルゼンでいざるを得ませんとも。愛の言葉、全てマリーに!(←戦術鬼のノリで)
金曜日の女王・氷柱! ……いえね、いつもトゥルー日記を見ている諸兄ならば今更言うまでもありませんが、氷柱が日記を書くのが、かなりの勢いで金曜日に集中しているわけなんですよ。プロフィール欄に過去日記が出来たので、こういうとき一覧で見るのが非常に便利ですね。とまあ、ご覧の通りです。
それでも最近は、その法則も外れてきていたわけですが、今日はたまたまか、それともやはり週の最後の日というのが本質的に似合うのか、久方ぶりの金曜日登場であらせられます。
……この傾向って、金曜日が特別というよりも、もしかすると単に目立ちたがりで、いいタイミングにちゃっかり現れたいという自己アピールの表れなのかもしれませんね。ほら、去年最後のクリスマスもそうですし、後は全体的に、他の姉妹に生じた事件があると、真っ先に顔を出してくる傾向が見られます。これは姉妹思いで行動的って側面でもありますし、やはり目立ちたがり屋なんじゃないかなーという気も少々。
まあ、そういう分析は後にゆっくり行うとして、今日の日記を見ていきましょう。
今までだと、氷柱の金曜日更新だと、何か大きな事件があるorあったのでは、と身構えてしまいたくなるところがありましたが、今日はどうやらそこまで差し迫ったようなことではない模様で……?
風邪の――季節ね。
そうです。先日の吹雪の日記を受けてか、それともこの季節だからと自発的に思い立ったのかは分かりませんが、今日もまた日記のお題は、風邪について。先日から言ってるように、この家においては一大事ですからね。気をつけるには越したことが無いわけですが――氷柱的にはやはり、綿雪のことなどがあるので、この話題には人一倍敏感になるのでしょう。ほら、氷柱の最初の日記を思い出すと、トゥルー俺とてそれには頷かざるを得ませんとも。
しかしながら、今年の綿雪は今のところ健康を保っている状態。そういうことで、心配する対象をを見失ってしまった氷柱のはけ口として――ええ、まるで当然のようにトゥルー俺が選ばれた模様です。
相変わらず、バカバカ下僕と罵ってくれる氷柱ですが、風邪を引かない理論を真っ先に挙げてくるあたり、やっぱこの子の思考回路はコッテコテですね。実にいい意味で。このトゥルー家族内においても、決してお約束を裏切ってくれない子No.1だと思います。
そう。氷柱といえば、お約束の子なのです。上記のものは、いわゆるコメディ的部分におけるお約束ですが、それだけではなく――
アナタが風邪ひいて寝てたって、
きっと誰も同情なんてしてくれないし。
……ええ。内心で思うところがあって、ついつい思っていることと反対のことを口走ってしまうのも、まさにお約束と言えましょう。
いやあ――「きっと誰も同情なんてしてくれないし」――この台詞を聞くだけで、ニヤニヤが止まりません。この己の願望がちょっと歪んだ形で表に出てきてしまうところ、いつものことながら、可愛すぎるにも程がありますよね。
無粋なので、あえて説明しようとは思いませんが――もしトゥルー俺が風邪をひこうものなら、一家総動員体制で面倒を見てくれるであろうことは確定的に明らかなわけで。それをあえて、こんな風に言ってしまうのが氷柱なんですよ。
下僕として役立ててやろうっていう気が
みんなにもあって、
それでアナタのことあんなに――
チヤホヤしたりするんだと思うんだけど!
……まあ、あれですよね。氷柱にとっての「下僕」という言葉には、日本語に訳すると、「なんでも言うこと聞いてくれて、いくらでも甘えさせてくれる、ずっと傍にいて離れないお兄ちゃん」ぐらいの意味がありますよね。
確かにその解釈でいえば、他の姉妹みんなが、「それで」チヤホヤする、という文脈も、間違いというわけではないんですよね。少なくとも、氷柱の内面においてはそう説明できるわけで。
そういう前提をしっかり頭に刻み込んで、以下の言葉を聞いてみると――
でも、風邪ひいて何の役にも立たない
下僕なんて――
本当に本当に――
何の役にも立たないものね?
……
フフフ――
良かったわね、バカで。
たまにはいいこともあるものね?
……単純に、この部分だけを抜き出してみると、その本質を理解するにはなかなかに難度が高いとも言えるでしょうが……ねえ。ここはほら、一年以上の経験がありますから。この子の愛情に触れ続けてきた一年という濃厚な時間が。
具体的には、「本当に本当に――」と、「……」の部分の、間に込められた感情を想像してみること。あと、さっき述べた解釈での「下僕」という言葉を受け、その下僕が、「何の役にも立たない」という状況は、どういうことを意味するのか。そこまで深く考えてみると、その後に続く、「フフフ――良かったわね、バカで」というのが、実質的には嫌味でもなんでもなく、むしろ心からほっとしているんだということが分かります。氷柱にはそういう、素で天然なところがありますから。間違いなく。
……なんというか、「よくわかる! 初級氷柱語講座」の講義を行っている気分になってきましたが、実際には、一見すると分かりにくくとも、本当はわざわざ講義なんて必要ないぐらいに分かりやすい子なんですよね。もっとも、これを「ツンデレ」とだけ述べてしまうと、間違いではないものの、細かいニュアンスが伝わらないので、俺が教師なら減点の対象にしますけど。単純といえば単純だけど、深いといえば深いですからね。それが妹心っていうものです。
まあ、ソレは置いておいて。さっきの「風邪にネギ」話を受けて、それをチンパンジー相手に試してみたら効果があったという話を唐突に持ち出してこられました。
「チンパンジーの方がよっぽど高尚よね?」というからかいはさて置くとして、今、わざわざこの事例を持ち出したのが、後になって伏線になろうとは……氷柱という子のある意味恐ろしさを味わいました。詳しくは後に。
さて、やっぱりというか――風邪の話題を出した以上、綿雪の話が出てくるのは当然ですよね。俺たちですらまっさきに心配するぐらいですから、氷柱が神経質なぐらいに気を使うのも無理はありません。ほら、去年の今頃ぐらいはまだ結構辛そうでしたから。
トゥルー俺から感染ることを心配する氷柱ですが、さっきの「バカ風邪」理論では不十分、と注意を喚起します。……まあ、トゥルー俺自身が平気だったとしても、「体液の交換」や「粘膜の接触」で、菌に犯されてしまっている可能性は否定できませんからね。……いや、その……心当たりが、少々。
まあ、それはいいとして――
いい――わかった?
今年は――絶対に入院なんてさせないんだから!
……この一言に、改めて。
氷柱の中の、炎のように熱い愛情があるんだってことが伝わりました。愛情表現は不器用だけど、本当、心の優しい子ですよね。兄としても、誇りに思える妹ですよ氷柱は。
だから、ちょっとぐらい悪口みたいなことを言われても、その気持ちはしっかり汲んで、綿雪のために協力しあおう。……そう、心に誓おうと思ったのです。シリアスモードで。
……で。
そんな素晴らしいタイミングに、氷柱が恐らく、全 く の 無 意 識 に放った言葉が――
――ほら。
手を出して。
仕方がないから――念のため。
ネギを1本あげるわ――
…………………………。
…………素、ですね。これは。間違いなく。
間違っても、嫌味とか、狙ってやったとか、そういう類の言動じゃありません。
これは間違いなく――恐らくは、風邪のマスクとか、うがい薬を貸し与えるのと全く同じ気持ちで、この初音ミクが持ってるような一本ネギを、ダイレクトに手渡ししてくれたと。そういうことなのでしょう。
ちょっとその、氷柱がぶっといネギを大真面目に渡してくれた姿を、脳内でリアルに思い描いてみましたが……その。なんというか……「絶対に笑ってはいけない」シリーズばりの威力があるような気も、逆にあまりにもシュールすぎて硬直してしまうという気もします。……とにかく、リアクションに困る行動ということだけは間違いありません。……どうしろと!?
いや、そりゃあ、チンパンジーの例の通り、ネギを食べれば風邪予防の効果はあるでしょうけど。でもそれって、体の菌を退治するとかそういう類のことじゃない気もしますし、それより何より――直に渡されても。
この、頭がいいのは間違いなくても、実際の言動が実に、実に――アフォの気を濃厚に帯まくっていることこそ、氷柱の持つ最も強力な「お約束」なのかも知れませんね。
……まあ、とりあえず。ネギはきちんと美味しく頂くことにしましょう。氷柱の愛情であることは間違いないですし。ええ。ツインテールにネギって、相性いいんだろうか……。
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