書くためのデジタル技法 二木麻里/中山元 著 筑摩書房(ちくま新書320 2001 217p.) ISBN 4-480-05920-2 ¥700(抜) |
これまでにも論文作成法やレポートの書き方といった類の書物は何冊もありました(私も少しは読みました)。この手のものを暫く読まないあいだに、原稿をワープロ打ちして提出すればこと足りる時代は、とっくに過ぎ去っていました。そんな時に登場したのが本書だ、といえるかもしれません。ものを書くときのインターネットやコンピュータとの付き合い方が整理され、示唆に富んでいます。目次からご紹介していきましょう。
■目次■
はじめに タイプライターとコンピュータの、身にしみるちがい 007 第1章 「デジタル」と「紙」で資料をそろえる 011 1 サーチエンジンでテーマと資料さがし 012 2 雑誌記事と論文をさがして紙の文献を読みこむ 045 3 デジタルツールで書籍をさがす 068 第2章 ものを書く道具としてコンピュータをととのえる 101 1 ウィンドウズを通じてコンピュータを知る 102 2 ものを各道具としてコンピュータを整備する 108 3 ワープロソフトから不必要な設定をはずす 125 4 ワードに必要な設定をくわえ、つかいこなす 132 5 原稿を送るしたくをする 154 6 インターネットで原稿を送る 165 7 海外から原稿を送る 172 第3章 さて、じっさいに書いてみる 179 1 文献をつかいこなして原稿を書こう 180 2 原稿を仕上げるためのさまざまな知識 190 3 仕上げた原稿を発表する 198 本書で紹介した主なサイト 207 項目索引 215
■内容その他■
本書の目次は、上の紹介よりもずっと詳しく書かれています。ふだん私は、できるだけ細部まで目次を紹介するよう努めているつもりですが、今回はそれを諦めました。とはいえ、大まかな流れはつかんでいただけるだろうと思っています。さて本題に移りましょう。
「原稿を書く」という行為はプロのもの書きだけのものではありません。では、ある最低基準を確保しながら「ちゃんとしたものを書く」にはどうしたらよいのか? というのが本書のテーマです。
第1章では、さいしょに行なう資料集めについて書かれています。「紙の文献」を探すことはもちろんのこと、同時に「デジタルの資料」を探せないと最新の文献が入手できないと注意を促しています。「1 サーチエンジンでテーマと資料さがし」は、主なサーチエンジンの特徴や演算子の話が、とても具体的に出てきますから、自分なりのテーマに当て嵌めて試してみたいところです。また、専門誌に掲載された論文が読める英語のサーチエンジンの話や、分野別のそれらにいたるまで、新書本ゆえに簡潔に、しかしその分わかりやすく書かれています。ふだんやっているよと思っても、こうして整理して書かれたものを読むと「目からウロコ」という部分が多々ありますね。「2 雑誌記事と論文をさがして紙の文献を読みこむ」では、基本的に有料のデータベースの紹介が、「3 デジタルツールで書籍をさがす」では多くの図書館のOPACの使い方にくわえ、オンラインの新刊書店や古書店についても触れられています。参考になることでしょう。
第2章は、コンピュータじたいを「ものを書く道具」として整える種々の方法や、ワープロソフトから不必要な設定をはずしたり必要な設定をくわえて使いこなす方法について書かれています。読んでみると、私は、わかっているつもりでも怠ってきたことなどがありました。そこで今回は読むだけでなく、ワープロソフトに初期値で設定されている不必要な設定を、忘れないうちにはずしました。気分爽快(?)といったところでしょうか。「5 原稿を送るしたくをする」「6 インターネットで原稿を送る」「7 海外から原稿を送る」といったあたりも参考になりました。
ここまでくれば第3章は比較的容易に読めました。索引の作成や仕上げた原稿の発表の仕方なども、実際的で役に立つことと思います。
【2002年8月23日】
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