インターネットで文献探索 2000年版
伊藤民雄著 実践女子大学編
日本図書館協会 2000  xviii, 189p.
■目次■
概説 p.i-xiv
本編をお読みになる前に p.xv-xviii
第1章 図書の探索 p.1-125
第2章 新聞・雑誌の探索 p.127-142
第3章 新聞・雑誌の記事・論文探索 p.143-179
第4章 紙媒体以外のメディア p.181-187
補遺 p.188

■内容■
文献を手に入れたいという場合、まずは文献探しから始めますね。図書を例にとりましょうか? 図書を入手するといっても、書店で買う、古書店で買うなどの選択肢もありますが、図書館を使うというのも一つです。政府刊行物や学位論文といった、いわゆる灰色文献が欲しい時もあるでしょうね。雑誌や新聞に目を転じると、雑誌や新聞のタイトルもさることながら、それらに収められた個々の記事や論文を探したいという時も出てきます。

インターネットをどのように役立てるか、あるいは楽しむかは、人それぞれに違いありませんが、本書は、インターネット上で文献を探すためのサイト(それも原則として無料で使えるもの)が、系統だって紹介されているのです。上に挙げた目次から想像がつくかもしれませんが、特に図書を探すサイトをまとめた第1章は、読み応え充分です。

というわけで、第1章「図書の探索」について、もう少し具体的に見ておきましょう。<近刊・新刊・本の流行情報><販売書誌><オンライン新刊書店・古書店><灰色文献><図書館蔵書目録(OPAC)><オンライン図書>などについて、国別にまとめています。私は、自分が図書館員であるためか、ついつい図書館蔵書目録(OPAC)に頼るのですが、しかしこれでは限界があるのです。たとえば古くからの蓄積があるかわりに新しい情報に弱いです。オンライン新刊書店の目録は、新しいものに強い代わりに、そう古くまでは探せません。どうですか、いくつかの目録を組合わせて使うことで、古いものから新しいものまで視野に入れて、図書を探せるようになります。国別にまとまっているのも、いいですね。再販制度を認めていないアメリカなどでは、オンライン書店で同一図書の販売価格の比較までできるようです。また、ブリティッシュ・ライブラリーのOPAC97を例にとれば、イギリス時間の午前0時から4時まで(日本時間の午前9時から午後1時まで)は、利用できない時間帯となります。こうした時に、日本との時差が記されているのも助かります。このように実際に読んでみると、なんと行き届いた記述かと驚かされます。第2章以降は、国別の記述が第一優先ではなく、その章に適した構成がとられています。

■インターネット版■
インターネットを使うための本ですから、インターネット版もないのかなと思った方、いらっしゃいますか? そう、あるんです。

実践女子大学図書館につなぎ、Newsの中から「実践女子大学図書館刊行物『インターネットで文献索2000年版』のお知らせ」をクリックします。ページが出てきます。ここでは、紹介されているサイトに直接リンクが貼られていますから、これを試してみたいと思ったとき、容易に目的のサイトにいきつくことができるのです。

では、図書として刊行された『インターネットで文献索2000年版』は意味がないのかというと、決してそうではないと考えます。パソコンがないところでも、本書を開き「ああそうだった、これは知らなかったな」などと、自分の知識を整理することができます。こうした冊子体の良さは、やはりあるのです。
【2000年11月27日】


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