第69回 : クライネス・コンツェルトハウス Op.14(東京文化会館小ホール)

2月9日(日)は、暖かい一日となりました。ドイツ・ロマン派の隠れた室内楽の名曲を2曲、ほかにショスタコーヴィチを1曲聴けるというので、午後、標記のコンサートに行ってきました。プログラムは、

C.ライネッケ クラリネット、ホルン、ピアノのための三重奏曲 変ロ長調 Op.274
山根公男(Cl) 藤田乙比古(Hrn) ラファエル・ゲーラ(Pf)
D.ショスタコーヴィチ A.ブロークの詩による7つの歌曲 Op.127 [ドイツ語訳]
浅野公子(ソプラノ) 三戸素子(Vn) 小澤洋介(Vc) ラファエル・ゲーラ(Pf)
Z.フィビヒ ヴァイオリン、クラリネット、ホルン、チェロとピアノのための五重奏曲 ニ長調 Op.42
三戸素子(Vn) 小澤洋介(Vc) 山根公男(Cl) 藤田乙比古(Hrn) ラファエル・ゲーラ(Pf)

どうですか? たしかに珍しいプログラムが並んでいますね。ライネッケの作品は、クラリネットとホルンの音色がとてもよく合い、気持ちよく聴きはじめたのですが、食後の睡魔に襲われてしまいました。というわけで、語る資格なし、です m(__)m

ショスタコーヴィチの作品は、<オフェーリア野歌><予言の鳥 ガマユーン><二人は一緒だった><街は眠る><嵐><秘密のしるし><音楽>という7曲からできています。正直なところ、やはりロシア語で聴きたかったなと思いますが、浅野さんの熱唱が光っていました。ヴァイオリンもチェロも、演奏は難しそうに聴こえました。重音奏法などで音程が定まりきらない箇所が散見されましたが、そうした箇所がその曲の要(あるいは要の一部)になっているように思われ、2、3の曲では、やや残念な思いをしながら聴きました。

大きな収穫は、フィビヒの《五重奏曲》でした。フィビヒ自身はチェコの作曲家ですが、ライプツィヒやパリで勉強した人だといいます。以前、LPレコードで《ロマンス》(ヴァイオリンとオーケストラの曲)を聴いたことがあるくらいですから、私はほとんど初めて聴く作曲家でした。全4楽章からなるこの作品は、チェコの民族色がたっぷりと聴こえてくる内容ではなく、構成力がしっかりした作品だと思いました。変則的な編成に見えますが、クラリネットとホルンが弦楽器やピアノの添え物としてではなく、対等に扱われていますし、それだけに面白く聴けました。ホルンがたっぷりと旋律を吹き、それを他の楽器が受ける箇所なども、音のバランスがよく、各楽器の音色も自然に溶けあって心地よい響きでしたし。この曲、好きになりましたね。このグループのレパートリーとなって、ときどき聴けるといいと思いました。

単に珍しいプログラムを並べて聴かせたというにとどまらず、また聴いてみたくなるような作品を聴き手に示してくれたコンサートだったと思います。贅沢な午後のひとときを過せて、満足しました。
【2003年2月11日】


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