35回 : 日本の作曲・21世紀へのあゆみ 2000 はじまる(紀尾井ホール)
「日本の作曲・21世紀へのあゆみ」のシリーズが、今年も9月23日(土)から幕を開けました。このシリーズは、9年にわたって開催される予定で、今年は3年目にあたります。シリーズ全体は、
シリーズ第1期(1945年〜1960年)T〜V
シリーズ第2期(1961年〜1975年)T〜V
シリーズ第3期(1976年〜)         T〜V
と区分けされています。毎年5回、全45回のコンサートが予定されていて、オーケストラ作品を除くすべての作品の中からプログラムが組まれます。しかも、毎回のテーマが設定されていることも書き留めておかなくてはならないでしょう。このようにして過去2年間に、「現代音楽」試演会、新生「日本現代音楽協会」、民族派といわれた人々、「新声会」の人々、新世代の登場T・U、「地人会」の人々、テープ音楽の始動、「実験工房」の時代、新しい合唱の息吹、といったコンサートが、行なわれてきました。
毎年、その年のオープニング・コンサートでは長木誠司さんが聞き手をつとめるプレトークがセットされます。私の場合、おととしは2回しか行けず、プレトークも聞き損ねました。昨年、会場で配布されたプログラムの終わりの方に、おととしのプレトークのインタビュー記事が採録されていて大いに喜んだものです。今年も、昨年の分が読めます。また昨年、一昨年と聴きそびれてしまったり、プログラム(力作です)をなくしたり棄てたりして後悔しきりという皆さんは、会場で過去のプログラムを500円で入手することができるようです。
さらに、おととしの分が昨年に、昨年の分が今年(それも最近)、CDとして発売されています。東京コンサーツが発売元なのですが、一般のCDショップでも入手できるのかどうか? もし難しい場合は、
    電話  03−3226−9755(東京コンサーツ)
に問い合わせると良いでしょう。ともあれ、演奏の記録が蓄積されていくのも楽しみな限りです。

さあ、今年です。
  第11回(2000年9月23日)  日本歌曲の展開
  第12回(2000年9月29日)  新世代の登場V
  第13回(2000年10月5日)  「現代邦楽」への道
  第14回(2000年10月13日) 合唱音楽の展開
  第15回(2000年10月24日) 劇場音楽のいとなみ
という5回の演奏会が組まれています。

9月23日の「日本歌曲の展開」では、
  中田喜直: 六つの子供の歌(西条八十、竹久夢二、小川未明ほか・詩)・1947
     平松英子(ソプラノ) 安藤友候(ピアノ)
  團伊玖麿: わがうた(北山冬一郎・詩)・1947
     山口道子(ソプラノ) 青島広志(ピアノ)
  清瀬保二: 歌曲集「土の歌」第一巻(中村孝助・詩)・1947
     清水良一(バリトン) 松山優香(ピアノ)
  宅孝二: 女の24時間(野上彰・詩)・1949
     小川明子(メゾ・ソプラノ) 山田啓明(ピアノ)
  芥川也寸志: 車塵集―支那歴朝名媛詩鈔(佐藤春夫・詩)・1949
     小泉恵子(ソプラノ) 池本純子(ピアノ)
  間宮芳生: 日本民謡集 第一集 ・1955
     波多野睦美(メゾ・ソプラノ) 野平一郎(ピアノ)
の6曲が演奏されました。このシリーズでは、日本歌曲だけで1回のコンサートを組むのは初めてのはずです。どれも丁寧に歌いこまれていて、それにひきずられて、じっくり聴くことができました。中でも、宅孝二の「女の24時間」というのは、<朝><午后><手紙><夜>という4曲から成り立っていますが、初めて聴きました。朗唱やナレーションなども交えた作品で、1952年の演奏会初演以来、しばらくの間はたびたび採り上げられた曲だそうです。ということは、今日では比較的演奏されることがなくなったと思われますが、こうした作品に接することができるのも、嬉しいことです。
【2000年9月25日記】


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