第15回 : 日本の作曲 21世紀へのあゆみ・1999 半ばまで来ました(紀尾井ホール)

日本の作曲 21世紀へのあゆみ・1999は、9月18日(土)にスタートし、9月29日(水)と10月7日(木)と回を重ねてきました。時々コックリしているのですが、楽しみにして足を運んでいます。。

9月29日(水)テープ音楽の始動
黛敏郎:ミュージック・コンクレートのための作品"X, Y, Z"(1953) [制作:(財)日本文化放送協会]
諸井誠+眉墨敏郎:7のヴァリエーション(1956) [制作:NHK]
武満徹:ヴォーカリズム三部作(1956)[新日本放送]
長谷川良夫:瓶の中の世界(1956)[制作:NHK]

当日、ステージの上には大きなスピーカーが2台置かれ、その間にオブジェが一つ天井から吊り下げられていました。通常は演奏者がステージに登場して、これから演奏が始まるとわかるものです。しかし、この日ばかりはそうはいきません。そこで林光さんが少し話をなさって、それが終わるとスピーカーから音が流れてくるという仕掛けになっていました。
武満徹の「ヴォーカリズム三部作」の中に「木・空・鳥」という作品があります。空は、ソ ?ラと抑揚が下がり、鳥はト ?リと上がります。木は音を伸ばすわけではないのですが、キ→と、抑揚はフラットになります。これら3つのコトバがさまざまな声色、高さ、スピードで組み合わされて発声されていくのを聴いていると、イマジネーションが自由に広がっていくような気がしました。
戦後のテープ音楽のことは、辛うじて活字で読んだことがありました。でも、実際にこれらの作品を聴いたのは初めてで、貴重な体験になりました。

10月7日(木)「実験工房」の時代
武満徹:妖精の距離(1951)
鈴木博義:ヴァイオリンとピアノのための音楽(1953)
鈴木博義:2つの声(1955)
湯浅譲二:7人の奏者のためのプロジェクション(1955/56)
佐藤慶次郎:ピアノのためのカリグラフィー(1960)
福島和夫:エカーグラ(1957)
黛敏郎:プリペアド・ピアノと弦楽のための小品(1957)

「実験工房」は新しい試みを追求したグループで、テープ音楽の回にも登場した黛敏郎の作品は、ここではプリペアド・ピアノを用いています。これも、当時は極めて斬新だったに違いありません。ヴァイオリンとピアノのための2作品(武満と鈴木)も興味深く聴けました。
【1999年10月11日記】


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