第13回 : 日本の作曲 21世紀へのあゆみ・1999スタート(紀尾井ホール)

「日本の作曲・21世紀へのあゆみ」が今年も始まりました。昨年から始まったこのシリーズは、何と2006年まで毎年5回のコンサートを9年間ものあいだ続けようという壮大なもので、来年までがシリーズ第1期に当てられ、1945年〜1960年ころを対象とした企画となっています。
今年は、
9月18日(土) 「地人会」の人々 (済み)
9月29日(水)テープ音楽の始動
10月7日(木) 「実験工房」の時代
10月15日(金) 新しい合唱の息吹
10月26日(火) 新世代の登場 II

という内容です。私は、戦後日本のテープ音楽などは活字でしか知りませんし、合唱のコンサートでは守田正義、原太郎、吉田隆子、宅孝ニ、芥川也寸志の作品が並んだ凝ったプログラムが組まれていて、興味をそそられました。

さて、9月18日(土)の話です。プログラムは
貴島清彦 ヴァイオリンとピアノのためのソナタ(1951)
ヴァイオリン:小林健次、ピアノ:野平一郎
高田三郎 チェロとピアノのための小奏鳴曲(1950)
チェロ:河野文昭、ピアノ:河野美砂子
平尾貴四男 オーボエ・ソナタ(1951)
オーボエ:若林圭介、ピアノ:野平一郎
安部幸明 弦楽四重奏曲第7番(1950)
ニューアーツ弦楽四重奏団
でした。

どの曲も1950年から1951年にかけて作曲されたものばかりです。「地人会」に集った皆さんは、当時のモダニズムを排し、ヨーロッパ音楽の伝統から音楽的な糧を得ながら、自分たちの音楽を作ろうとなさったようです。今回紹介された作品から挙げれば、1楽章冒頭でチェロが静かに音を奏ではじめ、やがてピアノが加わり、ゆっくりとしたテンポのなかにどこか宗教的な雰囲気が感じられる、高田三郎先生の『チェロとピアノのための小奏鳴曲』が印象に残りました(なお、この作品は2つの楽章でできていました)。
なお「地人会」には、ほかに小林福子、島岡譲のお二方も加わっていらしたそうです。

次回は、また趣の違うコンサートになるはずです。異なる傾向の作品が生み出されていたことを実感できるこうした企画は、貴重だなと思います。
【1999年9月19日記】


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