第3回 : 木村かをり連続リサイタル(紀尾井ホール)

「木村かをりピアノ連続リサイタル」第3夜に行きました(6月14日<月>紀尾井ホール)。この連続リサイタルは、今年の2月を皮切りに4月、今回、9月、11月とほぼ2ヵ月おきに同じホールで催されます。私は意欲的なプログラムに惹かれて、前回(4月19日<月>)、初回(2月15日<月>)ともに聴きました。
第1夜は<ドビュッシーの先を求めて>。ドビュッシー、武満徹、メシアンからなるプログラム。いかにも連続リサイタルの幕開けを告げるような内容でした。第2夜は<始源からの飛躍>と題してリゲティ《ムジカ・リテルカータ》、ブーレーズ《ノタシオン》、野平一郎《挑戦への九の逸脱》が聴けました。野平作品はピアノとリアルタイム・コンピュータのための音楽で、両者のかけあいに興奮を覚え、「こんな体験もあるんだなぁ」とわれながら驚いて帰宅した、そんなコンサートになりました。
さて今回。<ケージとの対話>と題して、前半にジョン・ケージの《プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュ−ド》より9曲を、後半はケージに師事した一柳慧《雲の表情》全10曲が演奏されました(第10曲の<雲・空間>はこの日の新作初演でした)。一柳作品は始めの3曲が作られたのが1985年、そして少しずつ追加されて、第10曲が今年の作曲ですから、1985〜1999年にかけての息の長い作曲です。聴いた印象だけを言えば、何よりも木村さんの身体の中から、自然にこの曲が出てくるような演奏だったことです。第2夜とは違った色をもったコンサートになったことは言うまでもありません。この種の連続リサイタルで、各回のテーマを明確に演奏に示している演奏者の努力に敬意を払いました。
蒸し暑いこの日、会場の冷房はよく効いていました。言いにくいのですが、聴衆がめっぽう少ないことも冷房効果に貢献しているようで、ちょっと残念。

次回は9月16日<木>(紀尾井ホール)。<新ロマン主義の発展>と銘打ってヴォルフガング・リーム《ピアノ曲第6番「バガテレン」》、ジョージ・クラム《マクロコスモス第1巻より》、西村朗の《三つの幻影》と委嘱作品が予定されています。
最終回は11月25日<木>(同)。<湯浅譲二が観たもの>と題してバルトーク《ミクロコスモス第6巻より》、湯浅譲二《スリー・スコア・セット》《内触覚的宇宙 U》《夜半日頭に向かって》、ジョリヴェ《マナ》が演奏される予定です。
チケットの料金も4000円と2500円の2種類が用意されています。私はもっぱら安いほうで行っていますが、これは余計な付けたしでしたか・・・
【1999年6月16日】


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