第2回: 日本人作品を集めた2つのコンサート

馬込勇ファゴット四大協奏曲の夕べ(5月19日、東京オペラシティ・コンサートホール)と「20世紀音楽の歩み V 日本の現代室内楽の夕べ」(6月2日、朝日生命ホール)を聴きました。前者は、その卓抜な着想に興味を覚え、後者はベテランと中堅のバランスの取れたプログラムでした。どちらもトークが付きました(5月19日は池辺晋一郎さん、6月2日は松尾祐孝さん)。
5月19日のプログラムは
・外山雄三: ファゴット協奏曲(1981/1982改訂)
・池辺晋一郎: ファゴットとオーケストラのための協奏曲「炎の資格」(1999)
・吉松隆: ファゴット協奏曲「一角獣回路」(1988)
・西村朗: タパス<熱>〜ファゴット、打楽器と弦楽のための協奏曲(1990)
の4曲で、馬込勇(ファゴット)に堀俊輔指揮の東京交響楽団が共演。当日はテレビ・カメラも収録に来ていました。旧作3曲に加え、5月1日に脱稿したばかりという池辺氏の新作を初演しました。4つの作品は違った個性をもっていましたから、聴いていて飽きることがありませんでした(個人的には西村作品のもつ熱気が気に入りました)。正直なところ、ファゴット協奏曲だけで一晩のコンサートが聴けるとは、一度も考えたことがありませんでした。、それを実現し成功させた演奏者の皆さんに拍手。

6月2日のプログラムは
・武満徹: ピアノ・ディスタンス(1961)
・湯浅譲二: クラリネット・ソリテュード(1980)
・松平頼暁: パリンドローム(1987)
・中川俊郎: デカルコマニー 〜 ソロの光彩
・松尾祐孝: フォノ VII 〜ヴァイオリン・ソロの為に(1996)
・三善晃: 螺旋状の視界 〜 クラリネットのための(1989)
演奏は松原勝也(ヴァイオリン)、菊地秀夫(クラリネット)、中川俊郎(ピアノ)。
”朝日生命ホールのひととき”というシリーズに日本の現代室内楽が登場し、日本現代音楽協会の事業部長・中川俊郎氏がプロデュースしたのだそうです。コンサートのキーワードは”ソロ”。重音奏法やダブル・トリルなどを駆使した湯浅作品(クラリネット・ソロ)、3人の奏者が揃って登場した中川作品、演奏の予定がないままに書き上げられ当日が世界初演となった松尾作品など印象に残るものがありました。

どちらも作品を聴くにあたってトークが役立ったように思います。
5月19日のオペラシティではスピーカーからトークのコトバを送っていましたが、1階や2階で笑いが起きているときでも、私が聴いていた3階のサイドでは、それがないのです。妙に反響してしまってコトバを聞き取ることができなかったのです。このホールでのトークは一工夫必要かもしれませんね。
【1999年6月5日・記】


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