第91回 : 「北方の鼓動」(2000年12月24日)
11月の初旬「早坂文雄展」を見たあとで、早坂のコンテンツをもつ「音楽の世界」というホームページを見つけて、貴重な情報を補ったことがありました。そして、11月に釧路で早坂と伊福部の作品を集めたコンサートがあることも同時に知りました。それらのことを、多少でしたが、第86回の「コーヒーブレイク」で書かせていただきました。実は、今月に入って、このコンサートを企画なさった森さんからメールをいただき、さらに当日のプログラムと解説書を送っていただきました。今回は「北方の鼓動」と題されたコンサートについて触れてみたいと思います。


↑ 解説書 ↑ プログラム
このコンサートは「北方の鼓動」第1回〜室内楽演奏会 早坂文雄 伊福部昭の世界
レクチャーコンサート〜といいます。11月18日(土)、北海道立釧路芸術館で行なわれました。プログラムをご紹介しましょう。
伊福部昭 ピアノ組曲<1933>より(T「盆踊り」 U「七夕」 V「佞武多」)
波塚三恵子(ピアノ)
早坂文雄 君子の庵< 1934>(T「水鏡」 U「日永鳥」 V「庭眺」)
波塚三恵子(ピアノ)
片山杜秀「早坂・伊福部作品の解説と曲目紹介」(レクチャー)
早坂文雄 ヴァイオリンとピアノのための二重奏<1950>
山本聖子(ヴァイオリン) 波塚三恵子(ピアノ)
片山杜秀「日本人作曲家の歩みと曲目紹介」(レクチャー)
伊福部昭 サハリン島土蛮の三つの揺籃歌 <1949>(T「ブールー ブールー」 U「ブップ
ン ルー」 V「ウムプリ ヤーヤー」)
菊地江(ソプラノ) 波塚三恵子(ピアノ)
早坂文雄 弦楽四重奏曲 <1950>
テラ弦楽四重奏団(山本聖子、山本泰子(vn)、岩田貴子(va)、中川恵美(vc))
ご覧のとおり、前半で早坂・伊福部両氏の若い時期の作品が、後半では戦後になってからの作品が並んでいます。演奏者は、皆さん北海道在住の方たちです。そしてレクチャーは、東京から片山杜秀さんが駆けつけたのですね。
プログラム表紙に写っているのは、1938(昭和13)年当時の早坂文雄だそうです。この年、今回の企画を進めてこられた森重雄さんは、初めて早坂のもとを訪れ、作曲の道を薦められたとのことです。そして、いま森さんの手元には、多くの日本人作曲家の楽譜の原稿があるのだそうです。すぐれた日本の作曲家と、その作曲家の手になる埋もれた名作を知って欲しいという思いが、今回のコンサートへ向けての出発点で、お知り合いと話すうち、類は友を呼ぶ状態となって支援者の輪が広がってきたのですね。息子さんの克樹さんも、パソコンが苦手とおっしゃるお父様を助けて一緒に活動なさっています。
11月18日のコンサートは大成功を収めたそうです。おめでとうございます。そしてコンサートはシリーズ化されていくようで、すでに2001年11月16日(金)
に第2回の開催が決定していて、歌曲を中心としたプログラムになるそうです。それと、2001年2月末に十勝の音更町で開町百年記念事業の一環として、今回とほぼ同じプログラムのコンサートも開かれるそうです。こうして、日本人作曲家のコンサートが道内で展開されてゆくことになるのでしょう。ご苦労も多かろうと思いますが、嬉しいニュースです。
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