第72回 : 新しいCD「山田耕筰 弦楽四重奏曲」(2000年6月7日)

昨年の3月、山田耕筰の若い時代の室内楽を聴くコンサートがありました(弦楽四重奏曲ほか)。当日は、ライブ・レコーディングとビデオ撮影が行なわれることもアナウンスされ、会場には予約票まで用意されていました。ところが詳しい事情はわかりませんが、結局その時のライブ録音はCDやビデオにならず、演奏団体を変えて、スタジオ録音を行い、世に送り出されたのが今回の新譜というわけです(あ、CDだけですよー!)。

どこが出したかを先にご紹介しましょう。それは、ミッテンヴァルトです。そう、いつかこのコーヒーブレイクでも取り上げたことのある、池袋のクラシック専門のCDショップです(その時の記事は、こちら)。ここの店長、稲原和雄さんは音楽プロデューサーでもあり、ミッテンヴァルト・レーベルをお持ちなのですね。
では、CDのご紹介。

山田耕筰 弦楽四重奏曲  (MITTENWALD MTWD99003)
収録曲:
 1. 弦楽四重奏曲第1番 ヘ長調 未完成
 2. 弦楽四重奏曲第2番 ト長調
 3. 弦楽四重奏曲第3番 ハ短調
 4. 弦楽四重奏のためのメヌエット ニ長調
 5. ピアノ五重奏曲「婚姻の響き」 ハ長調
 6. ピアノ曲「からたちの花」
 7. ピアノ曲 哀詩「荒城の月」を主題とする変奏曲
 8. ピアノ曲「クランフォード日記」

演奏: YAMATO弦楽四重奏団(第1VN:浜野考史 第2VN:石田泰尚 VA:榎戸崇浩 VC:阪田宏彰)
     ピアノ: 井田久美子

価格: ¥2858(税抜き)

1.は3楽章から成りますが、未完成とあります。音を聞くと、落ち着いた響きが印象に残ります。作品自体は習作期のものだなという感じですが、伝わってくる作品の若々しさはいいですね。2.は単一楽章で演奏時間4分30秒。3.は第1楽章のみで、しかも後半部分は演奏不可能な状態らしいです。演奏時間2分20秒。4.の演奏時間は3分4秒。5.は山田の友人多久寅(おおの ひさとら)と、新婦フクの婚姻を祝って作曲したもの。続いて、ピアノ曲。これらは昨年のコンサートでは演奏されなかった曲です。特に8.はアメリカ滞在中の1918年に書かれたという3曲からなるピアノ曲で、とても珍しいように思われますが、同時にとてもロマンティックで聴きやすい作品です。

さいきんは大手のCDショップで、もっぱら割安のディスクを買うことが多かったのですが、実に久しぶりに普通の価格のCDを買い求めました(笑)。満足感は相当なものでした。


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