第98回:第2回長谷川隆水彩画展(水海道市立生涯学習センター)

水彩画家、長谷川隆さんの個展が茨城県にある標記の会場で行われていました。会期は12月7日(水)〜11日(日)までで、すでに終了しました。長谷川隆さんは、実は私の大学時代の同期生。会社勤めの傍ら、日曜画家として水彩の風景画を描き続けてきましたが、何年か前に退社し画業に専念した方です。個展には、私は初めて伺いました。お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、長谷川さんはご自分の水彩画をホームページで公開されていて、拙HPでもリンクさせていただいています。URLは、

http://www1.odn.ne.jp/meray13-area/suisai/

です。今回は、85点ほどの作品が展示されていました。なんでも自宅から自転車でちょっと行ったところも描いていれば、ほかの場所もあるという話でしたが、現在この作家が住んでいる茨城県の風景画が集められていました。つまり、地元の風景画を地元の皆さんに見ていただこうというコンセプトが今回の個展にはあったようです。

話を続けるまえに、このあたりでちょっと脇道に・・・。私がこの個展の会場へ行くまでの道程についてです。JR山手線で日暮里まで、そこから常磐線で南千住まで、次につくばエクスプレスに初めて乗って守谷まで、そこからこれまた初めての関東鉄道常総線に乗り継ぎ水海道(みつかいどう)へ。このように乗り継いで行きましたが、つくばエクスプレスでは筑波までの道のりが楽になるなと実感し、常総線ではパスネットが使えないことにちょっと驚いたりもしました。つくばエクスプレスと常総線では、車窓から冬の畑が広がっていました。不思議なもので、その風景を見ていると妙に落ち着いた心もちになれました。

さて、当日見た作品の感想をまとめておきましょう。里山、農家、畑、川など身の回りに残された自然の景観を丁寧に描いた作品が、ずらりと展示されていました。ゆっくりと作品を見ることができましたが、どれも一日のどの時間帯が描かれているのか、そして一年のどの季節に描いたのだろうかという興味が湧いてきます。昼間や夕方ごろの絵を見ていると、子ども時代やせいぜい高校時代までならば、ときどき自分自身が放課後などに同じような陽の光を浴びながら遊んだり歩いたりしていた記憶がよみがえり、懐かしさを感じることもありました。いまは、そんな時間帯であれば職場の建物の中。それはともかく、懐かしさと同時に、もっと歳をとってから、いつかは多くの作品に描かれた日中や夕方の陽の光を見ながら散歩でもできるかなといった期待も湧いてくるのでした。

もうひとつ述べておきたいことは、身近に残っている自然の景観を描いた風景画は、実は何代も前から引き継いできた景観にほかならず、それがいつまで続いていくのだろうかといった思いが、ふと頭の中をよぎることがあったということです。きっと、こうした景観を将来にわたって残していくということは、意外と難しい一面をもっているに違いないと思えてくるのでした。つまり、まず農業をつづけていく皆さんがいつづけなくてはならないでしょうし、遺産相続などで農地を切り売りしなくてはならない事態に陥らないことも条件に加わってくるのかもしれません。それにしても、景観を残す意志があるのに残せないとしたら、そんな残念なことはありません。このようにして乏しい脳みそを絞っていたら、日が暮れていました。長谷川隆さんの第3回個展が近い将来に実現することを期待して、会場をあとにしました。
【2005年12月12日】


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