第66回 : メトロポリタン美術館展 〜ピカソとエコール・ド・パリ〜 (ザ・ミュージアム)

11月の下旬に上野の森美術館で「ピカソ 天才の誕生」と題する展覧会を見たところですが、渋谷のザ・ミュージアム( http://www.bunkamura.co.jp/museum/index.html )で12月7日(土)〜2003年3月9日(日)までの会期で開催されている「メトロポリタン美術館展 ピカソとエコール・ド・パリ」にも出かけてきました。正月をまたぐ展覧会となりますが、元日だけ休館して、あとは無休です。入館料は、一般(当日)が1300円。

会場の構成をみておきましょう。

  T 19世紀から20世紀へ
  U フォーヴの画家たち
  V キュビズムの画家たち
  W 伝統と変革
  X 1920年代
  Y 1930年代
  Z エピローグ

今回は、ニューヨークのメトロポリタン美術館( http://www.metmuseum.org/home.asp )の所蔵品から、「ピカソとエコール・ド・パリ」の時代、すなわち1895年から1930年代までに焦点を当てて、絵画72点が来ています。これらの作品を作家別に数えてみると、ピカソの9点を筆頭にマティス6点、ボナールとブラックが5点、以下3点展示されている作家がモディリアーニ、ドラン、ヴァロットン、スーチン、バルテュス、2点がメッサンジュ、ユトリロ、ルオー、エリオン、デュフィ、レジェ、パスキン、ほかに1点のみの作家も多数いるといった具合です。いずれもパリで、アカデミズムと対抗するような画壇を形成していたといえますが、もちろんその作風は一様ではありません。なお、41点が日本初公開といいますから、そうした点からも見ておきたい展覧会といえるかもしれません。

ただ、この種の展覧会を何回か見ていると、いくら半分以上が日本初公開といっても、逆にこれまでに見たことあるような絵だなあという作品もあって(たとえばピカソなど同じようなタイトルをもち、似たような構図の作品があるためでしょうか)、新鮮味はいま一つ足りないとの印象をもちました。とはいえ何点か気に入った作品がありますので、挙げてみましょう。

「U フォーヴの画家たち」からは2点。アンドレ・ドランの《釣舟、コリウール》(1905年)とアンリ・マティスの《若い水夫》(1906年)です。前者は一瞬ゴッホかと錯覚してしまいました。スペインに近い南フランスのコリウールという港に碇泊している舟が描かれているのです。後者は、やはりコリウールで働いていた若い水夫だといいます。「X 1920年代」からは1点、ジョアン・ミロの《じゃがいも》(1928年)を採りたいと思います。画面真ん中に大きく描かれたのは女性のようです(!)が、じゃがいもは、その右手のバックに描かれた茶色(土でしょう)からまっすぐ伸びて地上に伸びているのがそうでしょう。女性の顔の両サイドに飛んでいる(?)のは何なのか、不明です。でも、つい微笑んでしまうような味があります。やはりミロですね。「Y 1930年代」からも1点、フランシス・ピカビアの《リュシー・デスノス》(1940年)を挙げましょう。まるでステージ上の歌手を、下からのアングルで描いているかのような作品です。リュシー・デスノスって誰なのでしょうか(解説書を買わなかったので不明なままです)? 

数点ではあっても気に入った絵に会えて良かった、私にとっては、そんな展覧会でした。
【2002年12月25日】


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