第54回 : 「洋画」のいろいろ ― 収蔵作品大公開展(練馬区立美術館)

練馬区立美術館はオープン以来、今年で17年目を迎え、いまでは日本画・洋画・素描・版画・彫刻・工芸など1200点以上の作品を収蔵しているといいます。今回は、地元の同美術館が収蔵してている「洋画」をいくつかの切り口で展示してみせるもので、どういう作品を持っているのかという興味も手伝って行ってきました。

会期としては去る2月23日(土)からスタートしていて3月24日(日)に終了します。3月13日(水)から一部展示替えをすると書いてありました。休館日は毎週火曜日(多くの美術館は月曜日の場合が多い)ですからお間違いないように。観覧料は300円(← ホントですよ!)でした。

さて、会場の構成に話を進めましょう。
静物 − 動物と植物 − 風景 − 人物 − 夢と幻想 − 水彩 − 素材 − 色と形・抽象 − コラージュ
という9つのセクションから成っています。

私が強く惹きつけられたのは「風景画」のセクションでした。たとえば田崎廣助《武蔵野の早春》(1940年 油彩・カンヴァス)では、木々や地面に見られる光の加減がとても柔らかく、足を止めて見入ってしまいました。また、森田信夫《水と風と建物(十間堀にて)》(1994年 油彩、グワッシュ・石膏パネル)に感じた画面構成の面白さも書き止めておきたいと思います。ほかにも岡本唐貴《石切場》(1960年 油彩・カンヴァス)、野見山暁治《崖》(1961年 油彩・カンヴァス)、楢原健三《お濠端の灯》(1983年 油彩・カンヴァス)等々近づいたり離れたりして見た作品がいくつもありました。

「夢と幻想」というセクションも面白かったですよ。斎藤長三の《わが旅への誘い》(1935年 油彩・カンヴァス)と同じく斎藤の《窓から》(1936年 油彩・カンヴァス)などは戦前のシュールレアリズムの作品ですが、いま見ても古さを感じませんでした。

ちょっと注文をつけたいのは図録です。今回は練馬区立美術館収蔵の作品で構成しているため、特別な図録が用意されているわけではありません。『練馬区立美術館所蔵品図録 T 絵画(日本画、洋画、素描等)2001年度版』をそのまま販売していて、それを購入したのですが、1ページ(A4サイズ)に10作品を詰め込むため、1枚1枚の図がとても小さく、見ずらいものもできてしまうのです。諸事情はあるのでしょうが、残念な気がしました。

練馬区立美術館は西武池袋線・中村橋駅で下車。ほんの数分歩いたところにあります。こんな作品もあるんだな、といった発見ができるかもしれません。
【2002年3月14日】


トップページへ
展覧会の絵へ

前のページへ
次のページへ