第48回 : ニューヨーク近代美術館名作展(上野の森美術館)

いま上野では、MoMA(モマ)の愛称で親しまれているニューヨーク近代美術館からマティスとピカソを中心に、20世紀美術に足跡を残した24人の作家による75点が来ています。上野の森美術館でニューヨーク近代美術館の所蔵作品が紹介されるのは、これで3回目になるはずです。今回の特徴は、大作《ダンス》(第1作 1909年)をはじめとしてマティスの作品が18点も一挙に展示されたり、近年MoMAに遺贈されたというセザンヌやゴッホの作品が来ていたり、ピカソがまとめて11点見られたりして、そのうえ20世紀前半の美術の名作に出会えるところにあるとされています。

会期は、2001年10月6日(土)〜2002年2月3日(日)と121日の長きにおよんでいます。それも開催期間中は無休なのです\(^o^)/ しかも、木曜日〜土曜日は20:00(入場は閉館30分前まで)まで開館していますから、嬉しさ2倍といったところです。入場料は、大人(当日)が1500円です。忘れないうちに一つ情報を提供しておきましょう。今回バッグを持って入館するときに手荷物検査がありました。担当の方は「カメラとか万年筆などはお持ちではないですか?」と言いながら、手荷物の中を改めるのです。この美術館には何度も行っていますが、初めてのことです。入場する前にロッカーにしまう手もあるのですが、私は会場を歩いていてメモをとりたくなることがあるので、敢えていつものバッグをもって入館したのです。会場に入ってからも、警備の方から「荷物はクロークでお預かりしましょうか?」と言われましたが、遠まわしながら、大き目の手荷物を警戒ないしは敬遠しているのがみえみえでした。これもテロの余波というべきかもしれませんね。いい気持ちはしませんけれど、予め知っておでかけになるといいでしょう。

登場する作家は、ボッチオーニ(2点)、P.ボナール(1点)、C.ブランクーシ(4点)、G.ブラック(3点)、セザンヌ(1点)、シャガール(1点)、キリコ(2点)、ダリ(2点)、デュビュッフェ(3点)、デュシャン(2点)、ゴッホ(1点)、カンディンスキー(1点)、クレー(3点)、クーニング(1点)、レジェ(2点)、ルネ・マグリット(2点)、マレーヴィチ(1点)、マティス(18点!)、ジョアン・ミロ(3点)、モディリアーニ(2点)、モンドリアン(4点)、ピカソ(11点!)、ポロック(4点)、アンリ・ルソー(1点)で、おおむね良く知られている作家たちです(カッコ内はその作家の展示作品数)。

今回、私の場合は、20世紀前半の美術の歴史を俯瞰して見るというより、いくつかの印象に残る作品を楽しみながら歩くという結果になりました(事前にそうしようと思ったわけではありませんよ)。

で、一番印象に残ったのは、マティスの《ダンス》(第1作 1909年)。実に大きな作品です。ところで私の記憶にあったマティスの《ダンス》というのは、ロシアのエルミタージュ美術館所蔵のものでした(美術書で知ったのですけれど)。第1作があるとは知らず、あとでインターネットで両者を見比べて楽しみました。会場の第1作は、色彩の明るさと作品中に描かれた人物の躍動感に魅力を感じます。一方、インターネットで見るエルミタージュ美術館の作品は、色彩の明るさは後退しているように想像できるのです(こちらはインターネットで見ているので断定的に書けません)が、人物の描き方がより洗練されて(正面を向いている2人と画面右端の1人など特に顕著)います。確かに第1作は、少々粗さが残るものの、これ独自の良さをもっているなと思いました。

このほかに印象に残った作品を列挙してみましょう。
   アンリ・ルソー《夢》(1910年 油彩/カンヴァス)
   シャガール《誕生日》(1915 油彩/厚紙)
   デュビュッフェ《大ジャズバンド》(1944年 油彩、テンペラ/カンヴァス)
   デュシャン《自転車の輪》(1951年 アサンブラージュ:金属製車輪)


これらのうち2点、具体的には《ダンス》(第1作)と《夢》は、上野の森美術館のHPから「ニューヨーク近代美術館名作展」をたどって「ギャラリー」の項まで来ていただくと、見ることができます。開催期間が長いので、もう一回行ってしまうかもしれない展覧会でした。その時はまた、別の作品に惹かれたりして・・・(それもいいか、という感じですけれどね)。
【2001年10月21日】


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