第28回 : マックス・エルンスト展(東京ステーション・ギャラリー)

初めて東京ステーション・ギャラリーに行きました。
東京駅の丸の内中央口を表に出て、わきの方にある「←東京ステーション・ギャラリー」という表示を探しましょう。必ずある筈です。
入口を入ると2台の券売機があります。まず入場券を買え、というわけです。料金を入れると、電車の切符と同じサイズの入場券が出てきます(笑)。それをもって、少し先の受付に出すと、展覧会のチラシと、展覧会名や会期などが印刷された”まっとうな”入場券の本体を貰えます。先ほどの電車の切符と同じサイズのものは、いわばアチラでとっておく半券の役割を果たすのですね。
さあ、そうしたら階段を上がりましょう。いよいよギャラリーの展示室が目の前に!!

今回見てきたのは、マックス・エルンスト展です。「彫刻・絵画・写真 ― シュルレアリスムの宇宙」というサブタイトルが付いていました。エルンストは1892年、ドイツ人として生まれました。シュルレアリスムの画家として有名です。第二次世界大戦の時期、ナチに目をつけられて。ヨーロッパで活動ができなくりアメリカに渡ったようです。1948年にアメリカ市民権を、1958年にはフランス国籍を取得した、そんな経歴をもっています。

7月20日から始まったこの展覧会の会期は10月1日(日)までで、毎週月曜日が休館日です。入場料は、一般が800円でした。

もらったチラシには「マックス・エルンストの残した芸術上の功績の中でも、これまで彫刻作品についてはまとまった紹介はありませんでした」と書いてあります。油彩、版画、写真資料なども併せると全部で約130点が展示されていますが、今回の最大の特徴は、エルンストが本格的に彫刻の制作を開始した1934年ごろから晩年に至るまでの彫刻作品約60点が展示されていることです。

インターネットで探したのですが、残念ながら、私にはエルンストの彫刻作品は見つけられませんでした。彫刻作品は、単純な形を基本に据えながら、ユーモアのある表情を私たちに投げかけてくるのが特徴でしょう。私は、エルンストという作家に特別な興味をもっていたわけではありませんが、これまでもっていたイメージは大きく変りました。これまでのイメージを言葉で説明するのは、ちょっと難しい面もあるので、参考になるHPをご紹介しましょう。

Art Dossier; ERNST
http://www.artonline.it/edicola/artdos2/063/opere063.html

シュールな作品ばかりですが、よく見ると、形は比較的単純といえるでしょうけれど、ドロ〜ンとした色使いが私は苦手でした。これは絵画の話です。ところが、まとまった数の彫刻を見てみると、シンプルな形状とユーモアに満ちた表情が、一貫した特徴です。正直なところ、始めのうちは戸惑ってしまいました。それでも、一点一点見ていくうちに、ユーモアにあふれる作品に引き込まれていきました。たとえば、『月の魔力』(1944年 ブロンズ)、『二人のアシスタント』(1967年 ブロンズ)、『ピエロの友人』(1974年 ブロンズ)などを挙げておきましょう。

絵画では、アメリカで結婚したドロテア・タニングのために毎年一点ずつ描いたという「D−ペインティング」と呼ばれる作品の数々も展示されていました。絵画作品のどこかに「D」[ドロテアのDです]の文字があるのです。「ごちそうさま」と思いながら見ていくうちに、私は、ちょっとひっかかりを感じてしまいました。先ほどのHPに紹介されている作品にみられるような、アクの強さが影をひそめ、シンプルで分りやすいものに変化してきているように感じたからです。
これは円熟と捉えればよいのか、ある種の退嬰とみるのか? 私には、わかりませんでした・・・。
【2000年8月12日記】


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