第19回 : シスレー展(伊勢丹美術館)

世界各国の美術館や個人所蔵の作品からシスレーだけを一ヵ所に集めて、個展を見られたのは、幸いでした。

アルフレッド・シスレー(1839−1899)。印象派の画家の一人として知られていると思いますが、モネやルノワールほど見る機会に恵まれないような気がしませんか? 印象派という枠組みで展覧会が企画されると、いくらか作品が見られるのでしょうが、少なくとも今回のような回顧展は、日本では15年ぶりらしいです。内容は、ほとんどが油絵で、一部、版画やデッサンが含まれています。

会期は2000年3月2日(木)〜4月17日(月)、会場は新宿にある伊勢丹美術館で、会期中無休です\(^o^)/
それから、来るはずの作品がいくつか来なくなったという理由で、入場料は一般が800円(当初の発表では1000円だったそうです。喜んでいいかどうかは別ですけど・・・)。

今回の展覧会から読み取れた特徴をまとめると、次のようになります。
1.風景画ばかり
2.色彩のバランスが柔らかく、穏やかな印象を受ける
3.人物が描かれていても、あくまでも風景が主、人物は従の関係にある
4.風景が平板ではなく、たとえば川(の水)と空、その間にある木々や建物など、一つの画面の中に流れや運きが見て取れる
しかも、いずれも田舎の風景というのも一つの特徴です。さらに、同じ場所を、季節や描く角度を少しずつ変えながら、何度も描いているのも、ものの本に挙げられているシスレーの特徴で、それも容易に認められました。

私は、これらの作品を飽きることなく見ました。それにしても、100年以上昔のフランスの田舎を描いた風景画が、なぜこうも自然に受け入れられるのか、見ているうちに不思議に思えてきました。ふと思ったことは、先ほど挙げた4.の項目と関係するのですが、自然がもつ生命力と呼べるようなものを画面から感じ取っていたのだろうな、ということです。穏やかに見える作品ばかりなので、ボーっと見て帰ってくるところでした。

没後100年を迎えた画家を記念するのにちょうどよい、好企画といえるでしょう。
なおインターネットで今回見た作品がないかを探したのですが、残念ながら、ちょっと見当たりません。しかし、ウェブ上で見出せた画像も、今回見た作品群と同じような特徴を見ることができます。参考までにご紹介すると、
WebMuseum: Sisley

(おまけの情報)
来る4月27日(木)〜5月22日(月)にかけて、伊勢丹美術館では「エリック・サティ展」が開催されます!!
チラシは、できていませんでしたが、すでに前売券は発売中(前売料金は、一般800円)。チケットに印刷された字句をひろっていくと、
エリック・サティ展 サティと共にパリの日々を過ごした芸術家たち
〜ピカソ、コクトー、マン・レイ、ピカビア・・・・〜
とあります。どんな催しになるやら、ちょっと楽しみにしています。
【2000年3月22日記】


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