第13回 : 芸大美術品所蔵名品展 ―― 近代日本美術の原点(東京藝術大学 大学美術館)

10月9日から三連休だった皆さん、よかったですね。私なんか、9日は一日中仕事。なーんて言うと、ひがんでいるように聞こえるかもしれませんね。確かにそうで、ちょっと損した気分です。でも、いつか取り戻せる時もあると思います。
10日は、たいしたこともせずに過ごし、11日の午後、上野が私を呼んでいるような気がしてでかけました。行き先は、芸大の美術学部の正門を入って右手にある、できたばかり(だそうです)の美術館です。

私は午後2時40分頃着いたのですが、入場するまでにザッと20分ほど待ちました。ちなみに、11日の夜、NHK総合テレビで「巨匠たちの卒業制作〜東京芸大青春群像」という番組が放映されましたから、逆にこの日に行っておいて正解だったのかもしれません。
会期は1999年12月5日(日)までで、月曜日が休館日です。入場料=大人1000円。)

入館すると、まず地下2階まで降ります。そこに展示室1と2があります。そこを見終わるとエレベーターで3階まで上がって、展示室3と4を見て退出です。入館時に、出品リストを貰っておくといいでしょう。展示室をどう回ったらいいか、図示してあります。もっとも私は帰ってきてから、その図に気づきましたけど…(^_^;)。
さて各展示室は何があったかというと、次のとおりです。
展示室1:日本画T・彫刻T
展示室2:古美術・工芸
展示室3:日本画U・西洋画U・彫刻V
展示室4:西洋画T・彫刻U

展示室4と展示室3の一部に、明治期の西洋画が展示されていて、私はこれらを見たくて行きました。
高橋由一の『鮭』と『花魁』、小山正太郎の『川上冬崖像』、百武兼行の『ブルガリアの女』、松岡寿の『凱旋門』、山本芳翠の『西洋婦人像』、五姓田義松の『操芝居』、原田直次郎の『靴屋の阿爺』、、浅井忠(あさい・ちゅう)の『収穫』、そして原撫松(はら・ぶしょう)の『裸婦』といった絵画が展示室4に、展示室3にある明治期の絵画は黒田清輝の『婦人像(厨房)』、久米桂一郎の『寒林枯葉』と『桂川』、和田英作の『渡頭の夕暮』、白瀧幾之助の『稽古』、藤島武二の『池畔納涼』と『イタリア婦人像』、岡田三郎助の『西洋婦人像』、赤松麟作の『夜汽車』。いずれも画集や、いや教科書で見たことのある絵も含まれていると思います。これだけまとめて見ることができて、私は来た甲斐があったと思いました。
日本画では狩野芳崖の『悲母観音』、菱田春草の『水鏡』、上村松園の『序の舞』(いずれも展示室1)などが、私の印象に残ったものです。彫刻では竹内久一(たけのうち・きゅういち)の『神武天皇立像』(展示室1)。これは顔がやけに生々しく、音声ガイドを聞いてみるとモデルは明治天皇とのこと、そして長らく公開されなかった作品なのだそうです。
展示室2の内容は、私にはあまり興味がありません。飛ばして見ようかと思ったほどですが、もとを取らねばと思いなおし見ていくうちに、奈良時代8世紀の『絵因果経』が今でも鮮やかな色彩を保っていて目を引きました(経の方はわかりませーん)。

もちろん作品は明治期だけではありません。
人それぞれに楽しめる展覧会になっていると思いました。
【1999年10月12日記】


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