第4回 : 大ザビエル展(東武美術館)
フランシスコ・ザビエル(1506−1552)。信仰分裂のヨーロッパにあって、1540年のイエズス会結成時に、そのメンバーの一人でした。そしてほどなく東洋宣教のため船でインドへ。そこで日本人アンジロー(またはヤジロー)と出会い、日本にやってきました。1549年のことです。ちょうど今から450年前のことになります。その記念の企画展がありました。まあ、よく行く展覧会のような面白みに欠ける嫌いは、ありましたが・・・。
6月26日に「大ザビエル展」に行きました(東武美術館、1999年7月20日<火・祝>まで)。
会場に入ると、まず「西洋の古版地図」が展示されています。当時のヨーロッパが製作したものを、ほぼ年代を追って見て行きます。日本が地図の上で少しずつ正確に描かれるようになり、地名も増えてゆきます。Tanba(丹波)、Tango(丹後)、Bungo(豊後)といった当時の地名が読めますが、当時の都、京都はKyotoと表示されるのではなく、Meyacoといった具合に書かれていました。北海道は、しばらくあとの地図にならないと描かれないのも、当時の状況を照らしているようです。
<ザビエルとキリスト教の伝来>が次に続きます。ザビエルの生涯が、「イエズス会の結成」と「東洋への宣教」に分けて展示されています。前者はイエズス会結成の立役者、イグナティウス・デ・ロヨヤ(1491−1556)などと一緒に書かれている絵が複数見出せます。後者では、海水を真水に変えて船員に飲ませた逸話などが絵にされていました。
今回出会った絵の中で、妙に私の印象に残った一枚。それは、アンソニー・ヴァン・ダイク(1599-1641)による『豊後大名大友宗麟に謁見する聖フランシスコ・ザビエル』(1641頃)で、日本人の大名がヨーロッパの若い王侯貴族みたい描かれているのです。思わず「ウソー!!」と叫びそうになりました。価値がどうこうということではありませんが、ちょっと忘れられない絵になりました。
<ザビエル崇拝><ザビエルの聖遺物><ザビエルの布教七つ道具>などと続きます。『サカラメンタ提要』や、リスボン科学アカデミーが所蔵する小型のオルガンなども展示されていました。楽器のほうは今回の展覧会にあわせて修復し、音も出るようにしたらしいので、楽器の音や小品を演奏したテープを会場に用意してヘッドフォンで聴けるようにしてもらうとか、ミュージアム・グッヅとしてテープでも市販してくれるともっと良いと思いましたが、欲張りというものでしょうか。
幾枚ものザビエルの絵画が続きます。さらに、ザビエルの後輩の宣教師たち。中に、彫像で「ルイス・フロイス像」がありましたが、解説には、図像的な確証はない、と書かれています。この辺りが美術作品の難しいところですね。
<キリスト教禁教>のコーナーは、踏絵の板や、禁教のお触れ板などが見られます。間近に見ると改めて驚きが走ります。<海を渡る交流>では、「日本のキリスト教絵画」や、いわゆる"南蛮"の文物が展示されて往時を偲ばせます。
【1999年6月28日】
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