第2回: ピカソ展(上野の森美術館)
6月14日(月)に終了する展覧会があることに気づきました。私自身が見たのは3月24日のことなのですが、急いで書きとめておくことにします。
作品はパリ・国立ピカソ美術館から、絵画を中心に85点ほどやってきました。うち、30点ほどに音声ガイドがついていました。そればかりではなく・・・、そう、それだけで終わらない工夫が音声ガイドに加えられていました。いうまでもなく、ピカソは、女性に大モテの画家でした。生涯を通じて、フェルナンド・オリヴィエ、オルガ・コクローヴァ(最初の妻)、マリー=テレーズ・ワルテル、ドラ・マール、フランソワーズ・ジロー、ジャクリーヌ・ロック(2人目の妻)といった女性たちと恋愛をしたり結婚をしたりしました。愛人が同時期に2人いたこともあったといいますから、女グセが悪かったという言い方もできるでしょう。音声ガイドは、フジテレビの女性アナウンサーが何人も出演し、たとえば小島奈津子さんがマリー=テレーズを、深澤里奈さんがドラ・マールというようにと役を割り振られているのです。これら6人の女性についての紹介も音声ガイドで聞けました。解説はピカソの友人だったというピエール・デックスが協力し、野間修平さんがデックス役で声を受け持ちます。こうして、ほぼ年代順に展示された作品群は、ピカソの女性とのかかわりというもう一つの側面から照らし出されて、いっそう興味深く見ることができるのです。
印象に残った絵を1枚挙げると《海辺を走る二人の女(駆けっこ)》(1922年)。ロシア・バレエ団によるバレエ『ル・トラン・ブルー』のための緞帳のデザインに用いられたそうですが、鮮やかな青い空と海を背景に、海辺を走る二人の女は腕も足も丸太のように太く健康そのもの。この種の絵をピカソはほかにも描いていますが、走る勢いが画面いっぱいに溢れ出ているようで、そのエネルギーをもらって帰ってきました。
ほかに、ピカソが自分の子どもをモデルに絵を描くと、なんと生真面目に描くことか。その意味では、ちょっとルノワールを思い出してしまいましたけれど、思い過ごしというヤツでしょうか?
【1999年6月9日・記】



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