休日の山歩き 11 三頭山・笹尾根 Mitousan/Sasaone
[奥多摩] 三頭山(1531m)、槙寄山(1188m)、笹尾根 〜奥多摩湖畔から浅間峠まで縦走
2009年1月25日(日)
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笹尾根から三頭山を望む

【奥多摩を縦走する、富士山を見る】
前回、東京・埼玉都県境から富士山を見たが、やはりもっと近づいて見たい。また、奥多摩の尾根のうち、笹尾根は冬の間に歩いておきたいが、高さがもの足りない。そこで、三頭山と笹尾根を繋いで歩くことを計画した。長い歩行になるが、時間がなくなれば笹尾根の途中の峠からバス通りへ下りてもよい。奥多摩湖から三頭山までの登りの雪道が心配であり、ガイドブックのうち2冊は三頭山の1月を登山適期から外しているが、1冊は奥多摩湖側のコースを含め「日だまり」にしているから、大丈夫だろうと判断した。
三頭山は、10年ほど前の夏に家族で登ったことがある。車で五日市から都民の森に入り、三頭山に登り、帰りは奥多摩周遊道路を回り小河内ダムに立ち寄った。妻は鞘口峠からの厳しい登りに閉口し、以後、山に登ると言わなくなった。この時は富士山は見えなかった。
週末を前にして木曜と金曜朝は東京で雨が降り、山の上では雪だろうと思われた。

【奥多摩湖畔から三頭山を目指す】
日曜日の朝、前回より早い電車に乗るため、5時前に家を出て西武線の隣駅まで歩いた。真っ暗だが北天高く北斗七星が見え、今日も晴天が予想された。拝島で青梅線に乗り換え、6時51分に奥多摩駅に着き、6時55分の鴨沢行のバスに乗った。乗客は登山姿の男性5人ほど。小河内神社バス停で下りた。7時半、山の上の方に朝日が差している。未明に降った雪がうっすらと標識の上などに残っている。ドラム缶橋(麦山浮橋)の上ではワカサギを釣っている人が2人いた。対岸に渡り、奥多摩周遊道路に上がるとすぐ、道路脇に湧き水があり、一口飲むと冷たすぎずうまかった。しばらく歩き、三頭山登山口の階段を上り、杉林に入った。

麦山浮橋 三頭山登山口 ヌカザス尾根 イヨ山
浮橋 三頭山登山口 ヌカザス尾根 イヨ山
ヌカザス山 入小沢の峰 御堂峠から三頭山西峰に上がる階段 合成
ヌカザス山、ムロクボ尾根と合流 入小沢の峰 御堂峠から三頭山西峰に上がる階段

【ヌカザス尾根を登る】
程なく道はヌカザス尾根の尾根道になり、うっすらと積もった今朝の雪には、動物の足跡のほかまだ靴跡がない。やがて落葉樹林になり、イヨ山(979m)の標識は平坦な尾根道の途中にあった。一旦下り登り返し、滑りやすい急坂を木に捕まりながら登るとヌカザス山(1175m)に着き、ムロクボ尾根と合流した。この辺りから雪が多くなり、日を浴びて明るい雪原に前日までに付いた靴跡も分かるようになり、その上に今朝の雪がふんわりと積もっている。ツネ泣峠の標識のある鞍部で小休止し菓子パンを食べた。その先の急登でアイゼンを付け、ロープや木に捕まりながら登った。入小沢の峰では金風呂からの道と合流し、これより上は山梨県との都県境になるようだ。やがて尾根の左を巻く日陰の雪道を通ると、御堂峠に出た。10年余り前の夏来た場所だ。

【三頭山山頂】
三頭山の東西の山頂の鞍部になっている御堂峠は、五差路になっており、新旧の道標がある。まず右手の階段を登る。この方向は、古い道標が中央峰、新しい道標が西峰としている。登った先の山頂(1524m)では、南に富士山の素晴らしい眺めがまず目に飛び込み、北は、正面に鷹ノ巣山、左に雲取山など石尾根の眺望が圧巻だ。この山頂に着いたのは10時45分で、既に先客が1人おり、私の後に次々に登山者が到着した。一旦御堂峠に下り、新しい標識が東峰としている方に登ると、三角点(1527m?)とその先に展望台があり、御前山と大岳山が間近に迫り、東京の町並みが遠望される。再び西峰に戻り、弁当を食べた。登りにかかった時間はコースタイムより30分ほど短く、山頂で1時間余り過ごした。

三頭山西峰 三頭山西峰からの富士山 三頭山東峰からの御前山、大岳山
三頭山西峰 三頭山西峰からの富士山 三頭山東峰からの御前山、大岳山
三頭山西峰
三頭山西峰からの石尾根の山々など 三頭山西峰

【笹尾根に向かう】
11時50分に山頂を後にし笹尾根への道に就いた。ムシカリ峠に下る階段は、雪が消え土がぬかるんでいた。山の北面と南面で差が大きいようだ。再び雪道の登りになるとすぐ三頭山避難小屋があり、ここからも富士山の眺めがよい。
笹尾根の歩きは、浅間峠まで縦走して上川乗バス停に下りるとすると、コースタイムどおりでは5時半に着き、バスにちょうど間に合うが、かなり暗くなってしまう。
次の大沢山(1482m)の先の急な下りも土と落ち葉がむき出しになっており、ここでアイゼンを外した。三頭大滝への分岐などいくつかの分岐を過ぎ、一気に高度を下げた。槙寄山(1188m)山頂にはコースタイムより20分早く午後1時に着き、ベンチに腰掛け富士山を眺めていると、リュックサックを持たない10人余りの男女の団体が到着し、シャッターを押してあげたりなどして、前後して道を下ると西原峠で、彼らもリュックを背負い笹尾根に向かうというので、先に行かせてもらった。

三頭山避難小屋 南面の下り 槙寄山 西原峠
三頭山避難小屋 大沢山南面の下り 槙寄山 西原峠
槙寄山からの富士山 笹尾根からの御前山 笹尾根からの大岳山
槙寄山からの富士山 笹尾根からの御前山 笹尾根からの大岳山

【笹尾根を縦走する】
ここから先の笹尾根は、アップダウンと檜原、上野原の両方向に下る分岐を繰り返しながら、徐々に高度を下げていく。ピークを巻く道は多く左側についており、北斜面で雪が残っている。前回、埼玉県境では南側に巻き道が付いていたのと対照的だが、東京側に付いている点では共通か。笹尾根の名前の由来とも思われる笹原もあった。道の左手には御前山と大岳山がこずえ越しに見えており、三頭山が見える所もあった(このページ冒頭の写真)。一方、右手は、尾根の真ん中を通る道や南面が切り開かれた峠で眺望があり、富士山は大きく現れたり、山並みから頭の先を少しだけ覗かせたりした。
丸山の山頂は木立の中だったが、ここでコースタイムの予想より30分早いことが分かり、先の見通しがついてきた。もはや出会う人もなく、惰性でひたすら歩くような感じになり、尾根道の途中に少し開けた雪原があると思ったら、そこが土俵岳で、針葉樹の間からうっすらと富士山が見えた。
日原峠には石仏が尾根の先の方を向いて置かれていた。ここからは浅間峠まで一区間を残すだけになった。道が左折し、平坦な林にふかふかの積雪があり、高度が低い割に良い所だと思ったら、次に日当たりよく土がむき出しの急な登りになり、また林間の雪道、落ち葉の尾根道と、めまぐるしく変わった。この間、ピークや鞍部に山や峠の名前が付いていない。やがて、雪と落葉樹の小ピークを下ると、東屋のある浅間峠に出た。

笹尾根 笹尾根 数馬峠・上平峠 数馬峠・上平峠からの富士山
ピークの北斜面を巻く道 笹原 数馬峠・上平峠と、そこからの富士山
笛吹峠付近からの富士山 丸山 土俵岳 土俵岳からの富士山
笛吹峠付近からの富士山 丸山 土俵岳と、そこからの富士山
日原峠 笹尾根 笹尾根 笹尾根
日原峠の石仏。右は人里へ 積雪のある平坦な林 土がむき出しの登り 北斜面に雪が残る尾根

【浅間峠から下山】
案内板によると、縦走路はなおも東京・山梨・神奈川の3都県が接する三国山という所に向かって続くようだが、日原・上野原駅方面と檜原・上川乗バス停の両方に降りる道が始まっている。ここから、上川乗バス停に向かい杉林の中を下る。午後4時を回り、夕日も林の中までは差してこないが、杉の木の下枝が切り払われているせいか、暗くない。やがて車道に出て、南秋川橋を渡り、檜原街道を少し下ってバス停に5時少し前に着いた。
緊張の三頭山北面登り、絶景の山頂、漫遊の笹尾根と、長い一日だった。
汗をかいた体が冷えていくのを感じながらバスを待った。携帯ラジオで朝青龍と白鵬の対戦を聞き、西空に宵の明星も耀きだした頃に、17時44分の数馬方面からのバスが来た。乗ると、西原峠で別れた10人余りの団体も後の方に陣取っていた。35分ほどで武蔵五日市駅に着いた。折り返しの電車に乗り込み、発車を待つ間ドアを閉めて体を温め、拝島と立川でタイムリーに乗り換え、国分寺経由で午後7時半に帰宅した。

浅間峠 浅間峠からの下り 上川乗バス停
浅間峠の東屋 杉林の下り 上川乗バス停
【行程】
西武線⇒拝島5:40発(青梅線)⇒奥多摩6:51着=奥多摩駅6:55発(鴨沢行バス)⇒小河内神社バス停7:24着

7:24小河内神社バス停→浮橋→7:42奥多摩周遊道路→7:52三頭山登山口→8:38イヨ山→9:23ヌカザス山→9:26ムロクボ尾根分岐→9:33ツネ泣峠9:42→10:02入小沢ノ峰→10:42御堂峠→10:46三頭山(西峰→11:03東峰11:08→11:15西峰)11:52→12:00ムシカリ峠→12:01三頭山避難小屋→12:10大沢山→13:00槙寄山13:08→13:12西原峠→13:40数馬峠・上平峠→14:09笛吹峠→14:27丸山→15:14土俵岳15:18→15:28日原峠15:30→16:10浅間峠16:14→16:57上川乗バス停

所要時間 約9時間30分(三頭山への登り3時間22分、山頂移動・休憩1時間、笹尾根5時間)

高低差 小河内神社バス停(540m)→三頭山(1531m)=+約990m、三頭山→上川乗バス停(400m)=−約1130m

上川乗バス停17:44発⇒武蔵五日市駅18:20着=武蔵五日市18:37発(五日市線)⇒拝島⇒立川19:08発(中央線)⇒国分寺⇒西武線

【参考資料】
山と高原地図「奥多摩」(1998年版)、関東の山歩き100選(昭文社1998年)、東京都の山(山と渓谷社2005年)

2009/1/30整理、2/21修正

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