休日の山歩き 12 武甲山・大持山 Bukousan/Oomochiyama
[奥武蔵] 大持山(1294m)、小持山(1273m)、武甲山(1304m) 鳥首峠から縦走
2009年2月15日(日)
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(左)大持山・小持山間の尾根から武甲山南面を望む
(下)東京から奥武蔵の山並みを望む
奥武蔵の山並み 障害物をよけるため写真を2枚重ね合成

【奥武蔵を縦走する】
冬の間に登っておきたい山として、奥武蔵の山を考えた。奥多摩と同様に身近であり、標高が低い分冬の厳しさも緩いだろう。奥武蔵の盟主である武甲山には過去に2回登ったことがある。1回目はまだ1336mの山頂があった1978年の秋、2回目は1998年の秋で、いずれも横瀬駅から歩いた。今回、武甲山に次ぐ標高を持つ大持山・小持山と組み合わせたコース取りを考え、やや長い行程になるが、名郷から大持山、子持山、武甲山と縦走することにした。週末の土曜日、2月というのに各地で4月並みの暑さになり、翌日も晴れて気温が上がることが予想された。

【名郷から鳥首峠を目指す】
日曜日の朝、6時に西武線の電車に乗り、所沢で乗り換え、7時に飯能に着いた。飯能駅からのバスは7時10分発が名郷まで行く朝1番だ。バスは順調に走り、8時に名郷に着き、登山姿の5〜6人が降りた。バス停周辺にはハイキングコースの案内図やトイレがある。
ここから道がいくつかに分かれるが、川沿いに鳥首峠・妻坂峠の方向に歩く。大持山へは2つの峠のどちら経由でも行けるが、東京からも望めるこの付近の山並みの中で、鳥首峠の下の石灰石採掘場は大きく山肌の傷として見えるので、どんな場所か見ておこうと鳥首峠への道を選んだ。川沿いに車道を歩いてキャンプ場を見送り、車道は白岩の採石工場に突き当たって終わるが、山道が工場の脇をかすめて始まる。ここで早くも暑くなりジャンパーを脱いだ。廃屋が数棟ある場所を過ぎると杉林のジグザグ登りになった。同じコースを他に2人の男性単独登山者が前後して歩いている。この道を登山者のほか林業、採石業、電力会社などの人々が仕事として歩いているのが判る。やがて出た鳥首峠は、道が十字に交わり、祠がある。ここを右折して尾根道の縦走になり、いくつもピークを越えていく。この間、双方向のかなりの数の登山者と出会うことになる。

名郷 大場戸橋 白岩 採石工場 白岩 採石工場
名郷から鳥首峠・妻坂峠の方向 両峠の分岐 白岩の採石工場 工場脇の登山道入口
白岩・鳥首峠間 鳥首峠 鳥首峠 石灰石採掘場 ピーク
杉林の道 鳥首峠。右写真左前方が大持山方向 石灰石採掘場 こずえ越しに大持山か

【鳥首峠から大持山・小持山に登る】
尾根を歩いていくと右手の樹間に白岩の石灰石採掘場の白い地肌が見えた。鞍部の稜線を送電鉄塔の基部がまたいでいる。周りの木は針葉樹林のほか、落ち葉で覆われた広葉樹林や常緑低木も現れ、岩場もある。前方右手の展望が開け、妻坂峠と大持山を結ぶ稜線の上に武甲山の頭が見え始めた。次の鞍部はウノタワで、落ち葉が敷き詰められた広い場所だ。次の登りは落ち葉に覆われた広い斜面で、踏み跡も分からず、木につかまりながらの直登になってしまった。横倉山の標示のある場所を過ぎ滑りやすい下りを経て、次のピークは妻坂峠からの道との合流点で、右手から尾根道が登ってきている。ここでは10数人の団体が立ち止まって何やら相談していた。ここから一登りで大持山の頂上に着いた。西側に長沢背稜の一部と思われる稜線が見えるが、あまり展望が良くない。先ほどの団体がやってきて、狭い山頂で全員の記念写真を撮るのに一騒ぎして戻っていった。まだ先が長いので、素早く空腹を満たして出発した。
大持山の北面の下り道で、初めて雪の残りがあった。岩場の一角に左手に突き出した所があり、南から西にかけて東京・埼玉都県境の尾根や長沢背稜が一望でき、右端に両神山も見える。その先で、前方右手に武甲山が大きく見え始めた(このページ冒頭の写真)。武甲山は見慣れている北側の姿と違い、南側からは無傷で樹木に覆われた美しい姿だ。ただ、これから歩くことになる稜線を境に右側は針葉樹林、左側は葉の落ちた広葉樹林で、今の季節だけの姿だろうが、2色のまだら模様になっている。小持山の頂上でも休憩はそこそこにして先を急いだ。

ピーク ウノタワ 大持山頂上
大持山(左)への稜線の上に武甲山が ウノタワ 大持山頂上。背景は七跳山付近
大持山の北 合成
大持山の北の尾根から東京・埼玉都県境の尾根、長沢背稜を望む
小持山 小持山 シラジクボ シラジクボ
小持山から大持山を望む 小持山から武甲山を望む シラジクボ、武甲山への登り

【武甲山に登る】
疲れも出てきた。尾根を下り、最低鞍部かと思うとその先にまた下りがあり、大きく下りきった所がシラジクボだ。ここから最後の力を出して武甲山への登りにかかる。道の両側の木の違いを写真に撮ることも忘れひたすら登ると、あっけなく山頂下の十字路に着いた。約10年ぶりの見覚えのある山頂周辺だ。御嶽神社の右奥の展望所を目指す。西側の第1展望所で弁当を食べしばし休憩する。眼下の石灰石採掘場の先に秩父市の町並みが一望だが、空気がかすんできて遠くの山並みは見えにくくなっており、両神山は左端に見える。この展望所には方位盤のほか四角柱の標石があり「1336-41+9」と刻まれている。「1336m→1295m→1304m」となり、山頂が削られたことにより三角点は1336mから1295mに移動したが、最高地点は1304mだぞ、ということを意味するのだろうか。午後になり、展望所を訪れる人も三々五々だった。十分休憩して下山にかかる。木立に囲まれた山頂の一角に綺麗なトイレの建物があるが、冬季は凍結防止のため休止している。山頂下の十字路に戻り、大持山・小持山の姿を見納める。

武甲山山頂下十字路 武甲山山頂第1展望所 武甲山山頂第1展望所 武甲山山頂第1展望所
山頂下の十字路 武甲山山頂の第1展望所
武甲山山頂第1展望所 御獄神社 武甲山山頂下十字路
第1展望所から秩父の町並み 御嶽神社 大持山(左)と小持山(右) 十字路から

【横瀬駅に下山する】
下山路はここから東西どちらも取れるが、表参道の生川に下り横瀬駅まで歩くコースは、過去2回とも登りに使ったので、今回この表参道で下りることにする。急な階段を下り杉林に入っていく。分岐があり、下から登ってくると丁字路で左が階段コース、右が一般コースとなる形状だ。先ほど山頂と十字路の間に左に下りる下山路があったが、これが一般コースとなってここで合流するようだ。この分岐より下で丁目石が四十二丁目から始まったから、これより上の丁目石は一般コースの方に付いているのだろう。もはや登りの人と出会うこともなく一人静かな歩きだ。大杉の広場も過ぎどんどん高度を下げ、不動滝の水場で水量豊富な水をいただいた。道は川沿いに下り、その先で車がどうにか通れそうな車道になった。車道は右の方へ、一般車通行禁止の林道として登っている。その先で右からシラジクボからの道が合流する。生川の集落に入り、登山届提出箱のある場所、民家や養魚場、林道分岐と続き、妻坂峠への分岐を左折すると、あとは下りの一本道で、採石工場の横を通って横瀬駅までの長い歩きだ。途中、山肌を削り取られ悲壮な姿の武甲山を見上げた。
今日はやや長い歩きだったが、武甲山南面の美しい姿、言い換えれば普通の山の姿を堪能できたのは良かった。5時少し前に横瀬駅に到着、程なく電車が来て、飯能、所沢と乗り継ぎ、6時50分頃帰宅した。

武甲山山頂手前 大杉 不動滝の水場 武甲山北面
武甲山山頂手前の分岐 大杉 不動滝の水場 武甲山北面を見上げる
杉 杉 武甲山北面
路傍の杉の木 杉の雄花 武甲山北面を見上げる

【余談 花粉症】
今年も花粉症の季節になり、この登山をする4〜5日前から花粉症の薬を飲んでいた。杉林の真っ只中を歩き抜けた訳だが、テレビで見るような黄色い粉が漂うこともなく、鼻のセンサー?が特段反応しないので大丈夫だろうと思いながら歩いた。ただ、横瀬駅への途中の路傍に杉の木があり、葉の先に雄花が沢山付いているのを見てしまい、いやな予感がした。果たして、帰宅後の夜、目と鼻に激しく花粉症の症状が出た。

【行程】
西武線⇒所沢6:31発(西武池袋線)⇒飯能7:01着=飯能駅7:10発(湯の沢行バス)⇒名郷バス停8:02着

8:06名郷→8:19大場戸橋→9:37鳥首峠9:40→10:21ウノタワ→10:43横倉山→10:57妻坂峠からの道と合流→11:05大持山11:26→12:02小持山12:10→12:36シラジクボ→13:00武甲山山頂下十字路→13:09第1展望所14:00→14:07山頂下十字路14:10→14:19分岐→14:34大杉→14:58不動滝・水場15:08→15:22生川登山口・登山届提出箱→15:33妻坂峠への分岐→15:37鳥居・生川基点→16:34斜め左に→16:57横瀬駅

横瀬17:08発(西武秩父線)⇒飯能17:58発⇒所沢18:25着⇒西武線

(所要時間) 約8時間50分

(高低差) 名郷330m→武甲山1304m→横瀬駅250m=約+970m−1050m

【参考 武甲山の行程】
表参道からの登り(1998/11/21土)
10:00横瀬駅→11:10妻坂峠への分岐→11:20生川→11:50不動滝→12:20大杉→12:50十字路→13:00武甲山山頂→14:00十字路→14:30長者屋敷ノ頭→16:00浦山口駅

【参考資料】
山と高原地図「奥武蔵・秩父」(1998年版)、関東日帰りの山ベスト100(実業之日本社2006年)
武甲山・大持山

2009/2/21整理、3/6修正

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