東北・神室山地・禿岳・荒雄川火ノ沢〜同下降


1978.5.4 佐々木(単独)

 5月4日(晴れ) 古川から陸羽東線で鳴子へ。バスで田野原まで行き、鬼首高原へ向かう。鬼首高原キャンプ場にはテントが一張りあった。禿岳(1262m)の残雪がまぶしく輝く。火ノ沢には堰堤が造られ、現在も工事が進められていた。その上で火ノ沢の雪渓に立つ。日はすでに高く、雪も腐りかけている。沢上部は左に屈曲していて見えないが、正面の右俣は稜線まで見渡せる。

 単独ということに加え、ブロック雪崩が怖いからか、気持ちは妙に高ぶっている。先月も丹沢・仏沢で、亡くなった後輩の遺品回収の際にKが落石で骨折したばかりだ。と思いだしている矢先に、右岸のルンゼ上部から大音響(本当に嫌な音だ)とともに、一抱えもある岩が落ちてきて自分の20m下まで達した。肝をつぶし、早く曲折部まで上がってしまおうとあせるものの、デブリのため歩きにくい。

 沢が左に曲がると傾斜は一層増したが、落石もブロックもあまりないようなので、快適にキックステップで登っていく。雪上訓練にもいいところだ。左岸から融水が滝となっているところが2カ所ある。クレパスが開きかかっているところもあったが、まだ危険な状態ではない。あとはそのまま頂上南側の雪田に導かれていく。

 頂上から西望すれば、神室連峰が予想以上の白い姿で連なっているのに驚かされる。須金岳から虎毛山にかけては、こちらから見る限りのびやかな丘陵にすぎない。禿岳南峰には祠があり、お賽銭の10円、5円玉がいっぱいあった。雪田で1時間ほど5月の風に吹かれてのんびりすごし、再び火ノ沢を下ることにした。グリセードをまじえながら軽快に下りると、あっという間に堰堤の近くまで下りてしまった。時間もあるので再びザックを下ろし、リンゴをかじりながら充実感を味わった。

 【コースタイム】 田野原8:25 火ノ沢堰堤9:25 曲折部10:30 禿岳11:15〜25 火ノ沢源頭11:30〜12:35 火ノ沢堰堤手前13:00〜14:00 田野(鬼首局前)14:45

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