南アルプス・野呂川扇沢


1990.9.1〜2 高野、佐々木

 9月1日(晴れ) 7月下旬の徒登行山岳会例会で扇沢の計画を話したら、高野さんも9月に予定しているという。それじゃというわけで、ついでに藪沢も片づけようかということになった。

3段25m滝 前夜、広河原に車を止めて軽く飲んで仮眠し、朝6時出発。スーパー林道は吊り橋の先でゲートがあり、一般車は入れないようになっている。北沢峠へのバスが通るときだけ開けるのだろう。工事用の車両がどんどん追い越していくのでうるさい。路肩が崩れてはそのたびに復旧工事というイタチゴッコとなっているようだ。踏み跡をたどって扇沢出合に下る。出合着7時35分。

 すぐゴルジュ状となり5mCS滝を右から巻く。明るいゴーロと変わり、左からガレ沢を入れると20mのヌルヌルした滝だ。右から慎重に越す。中間部に残置ハーケンがある。高野さんにはザイルを下ろす。ゴロー製の固い渓流シューズでは登りずらいらしい。

 平凡な小滝をいくつか越え、右に沢が曲がるところに3段25m滝。連瀑帯の始まりである(写真)。右の乾いた岩を快適に登る。正面は大ガレで本流は左に曲がる。10m滝は左ルンゼから巻き、2段10m滝は右から登る。

 次の二段10mは右から巻くがトラバースが少しいやらしい。傾斜はいよいよ強まり、二段25m滝はザイルをつけて左から登る。水流を横切りハーケンを打ち右へ移るが、かぶり気味のところでつまる。左の水流には確実なスタンスがなく、右手上にガッチリとしたホールドがあるのでハーケンを打って左足をごまかしながら登り切った。

 さらに4m、二段8m(左からトラバースして水流を登る)と続く。このあたり連続しているので一つの大滝のようでもある。いったんゴーロと倒木で滝はとぎれるが、その上はナメ状の四段15mに始り、10m、五段60m(緩く快適)と明るい楽しい登りとなる。2210mの奥の二俣を過ぎると8m、三段20m、8m滝となり、最後のハイライトは10〜15段200mの連瀑だ。難しくはないので機械的に手足を動かして登っていくのみ。高度をグーンと稼ぎ一気に源頭となった。

 ハイマツの生えるリッジで休んでいると「藪沢はやめましょうか」と高野さん。もとより藪沢はどうでもいいのであっさり同意する。小太郎山からの展望は抜群。この頂上に立っただけでも価値があるというものだ。仙丈岳、甲斐駒ヶ岳はいつ見ても立派だが、稜線続きの北岳の勇姿は一際だ。四尾根のスカイラインがくっきりと見える。できればこのピークに泊まってみたい気もする。踏み跡を草すべりの下降点に向かう途中、何度も小太郎山を振り返り、いい山だと思う。大樺沢右俣のサイト地(二張分)にツエルトを張る。右俣には水は流れておらず、高野さんが雪渓まで汲みに行った。

 9月2日(晴れ) 今日も好天。のんびり広河原へと下った。

 【コースタイム】 (9/1)6:00 扇沢出合7:35〜8:25 奥の二俣11:40〜12:05 小太郎山14:05〜15:00 草滑り下降点16:20〜30 大樺沢二俣17:07〜(9/2)7:45発 広河原9:00


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