奥只見・只見川恋ノ岐川


1975.9.4〜7 佐々木、郷田

 9月4日(曇りときどき晴れ) 観光客でいっぱいの奥只見ダムから船で尾瀬口へ向かう。今月より船賃が上がったのではなはだ気分が悪い。遊覧気分に浸りながら景色を楽しむ。荒沢岳が天を突いているのが見える。予定時刻より早く尾瀬口へ到着し、すぐ出発。13時40分。林道をどんどん飛ばす。今日の幕場は恋ノ岐橋だが、時間があるのでゼンマイ小屋まで行くことにする。左岸につけられた踏み跡を行くと最初の徒渉地点だ。対岸に渡るとゼンマイ小屋があったが、我々は右岸の台地に テントを張る。16時。魚止のサンガイ滝はすぐ下流にあり、郷田が釣り糸を垂れるがあたりなし。

 9月5日(晴れ) 6時35分出発。明瞭な踏み跡をたどって、まず清水小屋を目指すがどういうわけか小屋を発見できないまま沢に下りてしまう。現在地がわからないのが気になるも遡行開始。沢に入ってまもなく浮き石に乗って、もんどりうって胸を石に強打する。ザックを背負ったままなので息がとまるほどだった。右足スネも3〜4センチほど深い擦過傷を負ったが、歩く分には支障はなかった。

きれいな岩床 大きな釜をもつ気持ちのよい滝を右から越えると、きれいなナメ床も現れる(写真)。小滝が現れ始め右に左に越えていけばやや沢幅が狭まる。左岸の踏み跡に従って少し大きく巻いた。右から水流のある三角沢が出合う。9時25分、熊ノ沢出合で大休止。その後も小滝がいくつも出てくるが問題ない。ミョウカンの倉はそれとは気づかずに通過してしまったようだ。水量の多いオホコ沢出合にはツエルトくらいは張れそうだ。ここからは大曲りといわれ、沢がくねくね蛇行する。砂地を水がゆったりと流れ小川の中をジャブジャブ行く感じだ。大きな釜をもつ小滝がいくつも現れると、淵状になったところには必ずイワナがいた。

 魚止滝を確認できないまま二俣に着く。16時30分。すでに日も暮れ始めるが、稜線まで出るつもりで左の本流にかかる滝を左から巻く。ザックずれが痛くてしょうがない。大滝はまだかと思っていると突然、数段の大スラブ滝が現れた。問題なく一気に直登してしまう。落ち口で休憩し、さすがに高度を上げたことを知る。大滝を越えたら急に疲れが出てしまい、20分ほど進んだ左岸の砂地にテントを張る。17時50分。姫ノ池までは行けなかったが、単調な沢歩きを10時間行動したので疲れてしまった。中ノ岳まで縦走しようなどと欲張った計画を悔やみながら眠りにつく。

 9月6日(晴れのちにわか雨) 6時10分出発。きょうも快晴だ。ザックずれの痛みをこらえながら、さらに小滝を越えていく。大滝を越えた段階で鷹巣尾根に取り付く予定だったが、そのまま本流を忠実に詰めてきたので、詰めのヤブがうっとおしくなる。水流が途絶え、スズタケが覆い被さってきたところで左側にヤブを漕ぎ始める。腕力のヤブこぎ30分で稜線に出て、待望の平ケ岳を見た。7時15分。姫ノ池はすぐそこだった。

 広大な平ケ岳からの展望を楽しんだあと、登山靴に履き替えて縦走に移る。剱が倉山へは鞍部からむき出しの岩稜をひと登りで着く。下りは松の根がうるさい。うるさいヤブの中に池塘が二カ所あった。やや歩きやすくなると尾根はやせてきて、張り出した岩峰をすぎると展望抜群の藤原山(1750m)に着いた。14時15分。頂上に幕を張り、夕暮れの奥利根源流の山々を飽きずにに見入る。越後沢大滝がはるかに望見された。

 9月7日(晴れのちにわか雨) 6時40分出発。1709m峰までは部分的にヤブがうるさい。大水上山の登りにかかるとベニヒカゲが舞っていた。最後の急登にあえいだ大水上山で中ノ岳まで行く気がなくなり、丹後山経由で十字峡に下山することにした。

 【コースタイム】 (9/4)尾瀬口13:40 恋ノ岐橋15:25〜40 ゼンマイ小屋16:00〜(9/5)6:35発 熊ノ沢出合9:25〜10:00 オホコ沢出合12:00〜20 上二股16:30〜40 大滝上17:15〜30 大滝上部17:50〜(9/6)6:10発 稜線7:15〜45 姫ノ池7:50〜55 平ケ岳8:20〜9:15 剱が倉山10:40 藤原山14:15〜(9/7)6:40発 1709m峰8:35 大水上山11:40〜12:20 西尾根分岐点13:05〜20 丹後山登山口14:52〜15:10 十字峡小屋15:45〜16:00 野中16:55


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