東北・焼石岳・胆沢川小岩沢左俣〜夏油川本流下降


1996.10.5〜6 永瀬、佐々木、阿部、小林、坂田

 10月5日(晴れ) 出発の日、ワンゲル先輩のEさんが谷川で遭難したと、同期のTから連絡が入り気が滅入りそうになる。新宿から高速夜行バスで一関まで行き、タクシーで小岩橋へ。だが実際は小岩沢の二つ手前の沢に架かる橋だった。小岩沢のほうは「大岩橋」なのでややこしい。大岩橋まで10分歩き、左岸の踏み跡から沢に下りる。このあたりはゴルジュで花崗岩だ。風窪沢を分けると5m滝が現れる。釜の深い2m滝は左岸から2段8mとともに巻く(永瀬氏は右岸から)。3m滝を越えたら平凡な沢筋になってしまった。

小岩沢大滝 巨岩帯を過ぎると、右岸が崩壊して沢はガレに埋まっている。側壁が高くなってくると、そろそろ地形図の滝記号あたりかと期待する。5m滝を二つ越すとスダレ状の8m滝。念のためザイルを出す。水流左を快適に登れた。明るく開けた沢となって、さっきの8m滝が地図上の滝かなとがっかりしていると、不意に20mの大滝に出会う(写真)。滝はノッペリしているが、周囲の紅葉と相まって素晴らしい限りだ。右岸の小沢から高巻き、ぴたり落ち口に下りる。

 分流したり苔むした流れを進むと、小川のように蛇行していく。両岸が笹の段丘となってきたので、そろそろかなと思って上がってみると案の定、キツネ色の草原が一面に広がっていた。焼石岳(1548m)に抱かれるカールのようでもある。予想以上の別天地の発見に、ザックをおろしてしばらくの間ボーッと景色を眺めていた。ほとんど荒らされていないものの、やはり物好きがいたらしくキャンプ跡があった。焚き火用の薪は、右手高みから枯れたハイマツを担ぎ下ろす。満天の星の下、小岩湿原との出会いに祝宴を上げる。

 10月6日(晴れ) きょうも素晴らしい快晴。詰めは屈強な灌木帯から岩塊を抜けて、1時間で焼石岳頂上に着く。見下ろす色鮮やかな小岩湿原は箱庭のようだ。小沼をちりばめた胆沢川源頭も魅力的だった。東焼石岳までは山稜漫歩を楽しむ。分岐から牛形山への尾根に少し入って夏油川へ下降する。泥ルンゼから1時間も下ると左岸に崩壊地を見る。赤い河原歩きで左俣を合わせると、右岸はピナクルをもつ大岩壁で、その先S字状のゴルジュとなる。

 次の屈曲でゴーゴーと滝の音がする。本流唯一の悪場である豪快な6m滝に阻まれる。左岸から10mの懸垂下降をする。続く2m滝も釜が深く右岸から懸垂。単調な河原歩きに飽きるころ堰堤が現れ、夏油温泉に至る林道が左岸に下りてきていた。内緒?の露天風呂がつくられており、車で入りに来ていた。夏油温泉では沢岸の露天風呂に浸り、湿原と紅葉と温泉の三拍子そろった沢旅を締めくくった。

 【コースタイム】 (10/5)大岩橋7:30 小岩沢出合7:40〜8:10 大滝下11:20〜30 小岩湿原14:45〜(10/6)7:45発 焼石岳8:50〜9:20 東焼石岳9:50〜10:00 牛形山分岐11:15〜20 赤い崩壊地12:30〜45 二俣13:25〜35 林道14:45 夏油温泉15:45

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