Winged-White 雑感 2003/04 Notes
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【Sin-Century23〜無間地獄の狢たち】 2003/04/26

 おめでとう『北』の皆さん♪
 今からあなた方は核兵器を持った(と言った)ことにより――全員っ♪
 全員が、攻撃の対象になっちゃいました〜。
 (――それでいいの?)
 排他的で抑圧的な政権を持ってる責任はぁ〜、民衆にありま〜す。
 (――これでいいの?)

 なお、物理的にそれに携わることのできない方は、攻撃の対象ではありません。 少なくとも日本国内にいて、この政権に加担していない方々への嫌がらせはやめましょう。

 ……てゆーか、やめようよ。 こうゆうのは。
 民意は政権とかけ離れたところにあることくらい、分かってるし。

 もちろんのことながら、やせた土地に必死でトウモロコシ作ってるオッチャンやオバチャンを好き好んで憎んだり、平気で彼らを巻き込む兵器を用意する・使用することなんて、今後ともありえない。 ありえないんだよ!

 「我々は恐れない」、「屈しない」、「強い」――そう言いつつ踏み込むところが、どれだけ恐ろしく、屈辱的で、無力感を味わうところか。
 ただ一つ得るものは、憎悪・憎悪憎悪――楽しい?

 謗法を犯す者・和合を乱す者が堕ちる地獄は、無間地獄だ。
 そしてプルトニウム式の無差別殺戮で長崎を阿鼻叫喚の巷と化したのは、他でもない、北朝鮮(の地方を牛耳る政権)が憎悪する『米帝』だ。

 同じ穴の狢(むじな)になるとは、相当ガッカリな話だな。

【Sin-Century24】 【Sin-Century22】

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【Sin-Century22〜デカルチャー】 2003/04/25

(別題:【インド連発】 その16.5.【清らかな音】)

その16.5.【清らかな音】 1996/08・列車内

 バルランプル(祇園精舎最寄の駅)からゴラークプルに戻る電車の中だった。  同席した現地の老人は、突然僕にインド文化の偉大さを力説し始めた。  口角泡飛ばすとはまさにこのこと、ほとんど怒っていたようだった。 周囲のインド人も呆れ果てていた。

 しかし、僕が苦しまぎれに「オーム」という言葉への質問をすると老人は一転、柔和な微笑みを見せた。

 「神聖で、清々しい言葉じゃ。 さ、君も唱えてみなされ」

 と、右手を上に上げ、前に解き放った。
 喧しいはずの車内に、静かに――
 澄みきった老人の声が響いた。

 その晴ればれとした顔、遠く天上を望むキラキラした瞳は、今でも忘れられない。



 ヒンドゥ教徒の、アーメンだ。
 もし宗派がキリスト教系だったなら、教団名は「アーメン真理教」になる。
 大乗仏教系なら、「ナンマイダ真理教」
 日本神道系なら、「ハラタマ・キヨタマ真理教」
 イスラム教系なら、「インシャラー真理教」……。

 信心深い人なら怒り出してしまうかもしれないが(ゴメンナサイ)、悪い冗談で言ってるわけじゃない。  つまり、それほどまでに――「ヒンドゥ教徒が心から尊ぶ言葉を、あの教団はムチャクチャなイメージにしてしまった」、と言いたいのだ。 (もちろん、歴とした宗教には決して他意はありませんヨ。)

 アーメンほどには日本に根付いてなかったので、なお始末が悪い。 元々は密教の真言「オン(口へんに奄)」と同じで、日本人にも馴染みのある言葉だったのに。

 余談。 今は亡き恩師(認知言語学の教授)が、西欧のアーメンと東洋のオームについて、おもしろい談話をしてくれたことがある。
 「西欧の聖音は高らかに『ア』で始まり頭に響く。
  東洋の聖音は低音の『オ』で始まり体に響く」
 東西の精神文化比較をする際、非常にシンボリックな一例かと思う。



 昨日、その教団の(元?)教祖が求刑された。 被害者の無念・迷惑は言うに及ばず、一つの真言・インド文化の入り口さえも汚染した罪は重い。 この汚染は、遺族や後遺症被害者の苦しみと同様、そう簡単に除去できるものじゃない。  デカルチャー(byマクロス)この上ない。
 異文化理解が叫ばれる昨今、ひどい足枷を日本に残してしまった。 「宗教性の微塵も無い」――検察側の論告に何度も現れた以上に、「文化性の微塵さえも無い」犯罪だったと付け加えておこう。  サンスクリットのオン字(\)もいい迷惑だ。


 しかし、実際の話――地下鉄サリン事件当時は、それどころじゃなかった。
 この事件は、機に乗じてパニックを煽ろうとした卑劣な意図が見えみえだが、どうしても震災の背景がなければ、僕には思い出せない。

 当時の僕を含めた周囲の率直な感想で、ひとまず筆を止めておこう。

「これだけ人が死んでるのに、なんでまだ人が人を殺さなあかんねん?」

 イエス様までヘルメットをしてがんばってた――そんな時だった。

(2003/05/11:一部割愛しました。)




※ 2003/04/26: サンスクリットのオン字は「WingDingsフォント」が無い場合、ただの「¥」マークになります。 ごめんなちゃい。
(ネットスケープの場合、4.7はOKだけど、6.2では三重丸になります……なんでだろ?)
 「WIN標準で同梱されたフォントにもある一般的マーク」、つまり「あの教団の専売特許じゃーないっ!」ということを直に確認してほしかったので、敢えて画像化してません。  どうせだから他の宗教マークも載せておきましょ。 僕もなるたけ公平を期したいし。

HTML(WIN/IEのみ)での宗教マークの出し方(抄・コード順):
V」  : <font face="WingDings">V</font>
Y」  : <font face="WingDings">Y</font>
Z」  : <font face="WingDings">Z</font>
[」  : <font face="WingDings">[</font>
\」  : <font face="WingDings">\</font>

 仏教の「」は、あらぬ誤解が生ずるからだろうけど、「WingDingsフォント」では存在しません。  コード順序も西欧的だし、十字架は他にも3つあったりします。
 あ……。
 もし「\」や「」マークを見て、気分を害された方がいらっしゃいましたら、心よりお詫びいたします。 「嫌がるものを見せよう」という掲載意図はまったくありません。

【Sin-Century23】 【Sin-Century21】

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【マーキング】 2003/04/17

 気持ちワルイ話だなぁ。
 さっきニュースでやってたけど、表札付近に貼られていることがある謎のシール(緑のシールとか)って、公的機関にまったく関係ないんだって。
 訪問販売グループの世帯情報になっている可能性があるんだって。
 今年に入って、わが吹田の警察署には50〜60件の相談・苦情があったんだって。

 とりあえずウチには貼られてなかったけど。 ホッ。
 (てゆーか、相手にされてない??)
 訪問販売より、シール情報の売買とか、組織的宗教勧誘とかがイヤだよ。
 でも、あんな簡単なマークなら……元々地図に書いた方が、犯罪にもならないし安上がりだと思うんだけどな〜。  貼られたシールの面積を合計したら、けっこうデカイ「落書き」になりそうな。
 営業バイトの監視用で、「オリエンテーリングのチェックポイント」みたいなものの可能性もあるなぁ。  情報を付帯すれば、後で再利用も可能ってか。 ちと人騒がせな話ですな。

 わざと表札付近をシールだらけにしたら、やってる人は相当困るのかな(謎)。〔2003/04/21:窃盗団のマーキングという説も有り、これだと冗談は通じないな。〕
 ま、今後自分の家で見つけたら、即剥がすことにしますので、ヨロシク。

(2003/04/17) 戻る

【Sin-Century21〜イラクの財産】 2003/04/14

 イラクは四大文明の地のひとつだけど、長らく一般旅行者が踏み込めないところだった。  この地への往来が自由化されてゆくことは、それだけでも一理有りとは認めるんだけど……。

 博物館を略奪させるなよーっ!!!!
 ハムラビ法典の石版まで奪われるとは、どういうことだ???

 米軍も油田ばっか守ってんじゃねえよーっ!!
 1に市民生活の安全、2に文化遺産、油田は、その後だろーが!!!
 独裁者どもの抜け殻なんぞは適当に分けワケすればいい(しかし、多くは車のオーナー以上の階層が略奪しているようだが)。  今後半世紀ほどは石油も大事な財産だろう。  でも――ハムラビ法典の現物なんて、(ルーブル蔵の完全品には及ばないようだが)イラク人の、いや人類の永遠の財産じゃないか。

 もちろん一握りの心無い実行犯が一番悪い。 恥を知ってほしい。  しかし、取り締まりもせず看過していた米軍もひどい。  NYのメトロポリタン美術館の警備を数日無しにしても、結果はまるきり同じになる。 ましてや混乱時の市民の良識に委ねられないのは、分かりきったことだろ?  せっかくの文化・教育・観光資源をむざむざ四散させてしまうなんて。 (一縷の望みは、これが米軍または有志による秘密裏の一時的財物避難作戦だったという線――これなら絶賛できるんだけど、他の財物を荒らしてるしほとんど可能性は無い。 バーミヤン・タキシラ・バグダッド。 今世紀に入ってアジア中西部の文化遺産は本当にヒドイことになっている。)
 バグダッド市民の反米感情を刺激したくない、と? 武力行使を強行した威勢のよさはどこへ行ったんだ。 なんて中途半端な。

 武力行使前に報道されていたイラク人小説家の言が頭をよぎる。  彼はフセイン政権によりイラクを追放された人だったが、フセイン大統領よりもブッシュ大統領を危惧し、「彼は我々の文化をも破壊しかねない」と言っていた。
 こういう形で現実化するとは思いもよらなかったが……確かに、フセイン政権の打倒どころか「人類の記憶たるメソポタミア文明」の摩滅にさえ及んでいる。  空襲で奪われた人命とは比べようもないが、同じ世紀を生きる人間として非常に恥ずかしい。

 開戦直後、新聞に掲載されていた70代の方の投書も思い出される。  概略は、「この不景気にいつまで続くか分からない復興を約束するくらいなら、派兵する方がまだましだ」  一見極端かもしれないが、さすが戦前・戦中を生きた方のシビアなご意見だ。 実際、過酷な風土と複雑な支配民族の変遷が生んだリアルな民族性、それを統治するために厳格な法典や宗教が育まれてきた推移を考えると、先が思いやられる――独裁政権の百害は周知の通りだが、一利も無しとは、言えない。

 非人間的な戦闘形態で、ちゃんと統治できる頭数も無く突っ込んでしまったツケだろうか。 バグダッドには生身の人間が500万人も――混乱に怯えつつ少しでも蓄えを増やし生き延びようと、暮らしている。 何か奇怪な計算があるのかも知れないが、元警官達が治安を求めてデモしてるなんて状態はどうにも異常だ。
 米軍が当てにならないなら、なんとか市民同士で自警してほしい。
(反対に、民族自決の主張が民主的にできる、非常に良い国を建て直す機運も何か感じられる。 皮肉にも……反米基調のまま……?)

 ウル・ウルク・バビロン・ニネヴェ・クテシフォン、そしてバグダッド――地名を挙げるだけで(※)ため息がもれる。 古来栄光あまねき地、この圧倒的な文化遺産は誰にも譲れないイラク人の真の財産だ。 そこに生きる誇りは、決して失わないでほしい。
〔※ 2003/04/21:おっと、人類最古の農耕遺跡、ジャルモを忘れてた。〕
 何年後か、何十年後か――晴れてイラクを訪れることができた時、「ありがとうアメリカ!」と少しでも思えるだろうか、それとも低い声で罵るだけなんだろうか……? 間違っても一生行けないような場所には、しないでほしい。

【Sin-Century22】 【Sin-Century20】

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【Sin-Century20〜公開処刑】 2003/04/10

 石田三成と島左近との間にこんなエピソードがある(以下は要約)。
 三成が大坂城の天守閣に登り、大坂の繁栄ぶりを眺めて豊臣秀頼の人気を称えた。  側近たちはみな首肯したが、左近は一人「都心が繁栄するのはどこでも当然で、豊臣家の徳とは無関係だ。 ここから目に見える城下町を少し離れれば、飢えた民があふれている。 とても豊臣家が安泰だとは言えない」と、たしなめたという――


 先ほどバグダッド中心部のフセイン大統領像の破壊が中継されたが、僕にはいかにも下品に思えて仕方がない。
 フセイン大統領を支持するつもりはないし、いずれは破壊されるべき偶像だったのかもしれない。
 しかしこれは――公開処刑と同じレベルの映像ではないだろうか。

 映像自体は一見バグダッド『解放』の象徴に見える。 しかし『公開処刑』の構図だと、全然見方が違ってくる。
 公開処刑をわざわざ見に来た観衆が、処刑を楽しまないワケがない。
 『民衆が望んでいた』にしては、それほど多くの人間は集まっていなかったように思う。 穿ってみればフセイン不支持の人達だけが中心に集まっていて、それが米軍監視の中なら、やることはアメリカ支持・打倒フセインに決まっている。
 「静かな奴もいただろうが、喚き散らす奴の声のほうが目立つのでこれは仕方がない」 広場から道路を挟んでちらほら見えた人々は、とくに喜んでもいないようだった。


 もし仮に、あの人々が大方のバグダッド市民を代表していたとしても――
 昔、秀吉の侵略に対して一部地域の朝鮮民衆は初め喜んだ。
 マニラ市の華僑たちも日本軍の進撃を『歓迎』した。
 その日本人だって(「ご聖断」という特殊な事情はあるが)、「ギブ・ミー・チョコレート」だった……。
 圧倒的な「力」で来る者に、民衆は友好的な態度をとるしかない。
 もちろんそれでいいのだ。 「逃げることを知る」イラク兵も、それでいい。  命を粗末にしないことや恥を忍んで生き残ることは、人間にとって大事なことだ。
 (一昨年のカブール解放も……あるいはそうだったのだろうか。 あの時僕は、バカされたのだろうか? であれば、洞察の浅さを猛省しなければならない。 が……どうもあの時の安堵感溢れる笑みと今回のこれとは、全く種類が違うような気がする……単に僕の偏見からかも、しれないけれど。)


 元々映像は全体の一部の外見でしかなく、視野外の広がりやその内実までは伝えない。 これは仕様がない。 僕も見てきたわけではないので、後は他の情報と推測で埋め合わすしかない。 しかしその欠点がたくみに利用され、シャドーロールと化す事態は、公平な態度に基づくべき現代情報文化の力への屈服を意味する。
 首都陥落にしては、画期的に犠牲者の少ない、短期間の戦闘だったのは間違いない。  しかし裏腹に、今回のイラク戦争の映像・報道で、戦争を是とする考え方にはよけいに賛同できなくなったのも、否めない。

 この映像もまた、その一つではと疑っている。
 全世界に中継された?  この映像で、かつて戦争反対を唱えた世の人々が、映像中の民衆同様「イラク解放バンザ〜イ!」と、唱え始めるんだろうか? この四角い枠の中から、『アメリカの人気』を称えることは、今後果たしてあり得るんだろうか??
 この映像によって今確実に言える事は、フセイン政権が崩壊し、米軍がバグダッドを陥落したということだけだろう。

 ちなみに、現在同時に報道されているのでややこしいが、政府施設から略奪して喜んでいる連中をして、『解放の喜び』と混同しないようにしたいものだ。(個人的には、「火垂るの墓」の主人公が空襲を機に火事場泥棒をし、B-29に向かって「やれやれ、もっとやれー!」と叫ぶシーンを思い出し、かえって非常に悲しい。)


 ――さて、冒頭の島左近の諫言には続きがあり、「ただ繁栄を驕り兵を繕うのではなく、民を徳を持って撫育することこそ先決だ」と説いたのだそうな。
 (いくら天下の剛雄とはいえ、なんとも無礼なエピソードだなぁ。 うーん眉唾。)
 これは今のアメリカにも言えることだ。
 まずは一方的な武力行使により生じている現在の首都の混乱、早く収拾してほしい。  銅像の公開処刑で喜んでちゃいけない。  今のバグダッドで組織として機能し、治安を維持できるのは――もう米軍だけだろうから。

【Sin-Century21】 【Sin-Century19】

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