Preface/Monologue2022年 10月


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茶ノ木平付近からガス漂う中禅寺湖越しに高山、日光白根山(奥)

ここまでのCover Photo:茶ノ木平付近からガス漂う中禅寺湖越しに高山、日光白根山(奥)

2 Oct 2022

紅葉の大雪山を巡る番組が流れていた。

山中に展開する広々とした高原はハイマツの緑とエゾナナカマドの赤が入り乱れ、好天の空の下を行くのは快適そうだけど、その平らな場所に辿り着くまでがたいへん。ガイドマップを広げて「いまこの人たちはここにいて…」とか確認しながら見ていた。

4 Oct 2022

10月だというのに 東京の最高気温が真夏日に迫るほどの暑い日。昼過ぎの天園ハイキングコースを建長寺から辿る。


平日だからか、秋冬の土日であれば常に前後に人がいるような山道はじつに閑散としていた。そもそも北鎌倉から寺への道のりでも人影がほとんどなく、道沿いの店はほとんど閉まっていた。

最高点の大平山に登り着くと、目の前のゴルフ場のクラブハウスが建て替え工事中だった。ハイキングコースとの境にあった木々はとうとう全て伐り倒されてしまって影もない。ススキの原となった平地を抜けて天園へ。

天園からはいつもは洋光台方面に出ることが多いのだが本日は久しぶりに瑞泉寺側を目指す。茶屋を出たあとの道幅が狭くて、かつて何度も歩いたのに本当にこのコースでよいんだっけと思えるほど記憶が薄れている。瑞泉寺を示す標識が出てきて一安心。

十二所バス停に向かうコースを左に分けるところ(標識なし)では、見下ろす急斜面にあってだいぶ昔にさんざん伐られた木々がひこばえを随分と成長させ、眼下にある住宅街を見通せないほどになっていた。


建長寺の拝観料は500円になっていた(だいぶ前かららしいけど)。寺域内にある回春院に初めて立ち寄ったが、大きな池もあって開けている割りには山深い趣でなかなかよい。かわりというわけではないが、方丈の庭園を見ないでしまった。見たら見たでのびやかな庭園の眺めにのんびりしてしまい、歩く気がなくなってしまったかもだけど。

11 Oct 2022

通販の商品レビュー欄に「綺麗な状態で届いた」とか「破損したのが届いた」とか、または「みな知っていることばかり」とか書かれているのをよく目にする。

いずれも自分自身を語りたいだけで商品の評価にはなんの役に立たない。前者は出品者の評価であり、後者は自分自身の知識ないし体験の報告にすぎない。書いた人々は、自分が買おうかどうしようか考えている商品についてほかの人が同じような書き方をしていても違和感がないのだろうか。


映画『ラム』を観た。セリフは少なく、説明は必要最低限。物語は単純に言えば因果応報だが、しかしその因果を発生させたものはなんだったのだろう。見た目は超自然的なものだが、子供の簒奪は許されるものではないという教訓ものにも読み取れる。

主人公たちが暮らす草原の背後には画面いっぱいに広がるアイスランドの巨大なU字谷の絶壁。稜線は細かな針峰が立ち並び、とても「ちょっと登ってくる」というものではない。荒涼感がありすぎて、長く暮らしたいとは思えないと感じつつ観ていた。

13 Oct 2022

朝の高崎、見上げれば一面の曇り空で、重たい雲が榛名山にまで下ってきている。そんな日に群馬県の吾妻川南方に高まる管峰・高ジョッキをそれぞれ須賀尾峠から往復。山頂近くに色づきはあるものの山腹の紅葉はまだの平日、いずれの山でも誰にも出会わず、静かな上にも静かな山。


これら二峰に加えて丸岩を歩こうと計画し、まずは一番時間のかかる管峰から。山頂までは概ね歩きやすい道のりなのだが登りでも下りでも道がわかりにくい箇所がいくつか。登山口と山頂以外では標識一切なし、踏み跡と赤テープと地図とGPSが頼り。主稜線に乗る直前の20分ほどの急登は滑りやすく手がかりも少なめで、登山口の案内板に「歩きやすい」とあったのは「そうでもない」と思えること一度ならず。

山頂は広く木々に囲まれ小笹に覆われ、三角点と立木に括り付けられた小さな山名標識があるのみ。曇天と相まって展望はなし。しかし広葉樹の林床は明るく、腰を下ろす場所に迷うものの雰囲気はよかった。


峠に戻り、次は高ジョッキ。丸岩よりは時間がかかるし山道はやや険しいのでまだ体力のあるうちに。かつ、昼もだいぶ過ぎたので雲が上がって展望が少しはよくなることを期待して。丸岩は展望がないらしいので後回し。

登り出しから高度を稼ぐ。登り着いた主稜線はところどころに岩塔を突き出す歩きにくいもの。短いものの両手まで使う岩場を攀じ上がって到着した山頂は大展望。雲で遠くの高い山々は見えないものの、吾妻の谷を挟んで対峙する王城山が全身を現して見応えあり。反対側の切り開きに出てみると管峰が荘厳なまでに大きい。浅間隠山が雲の中だったので余計に存在感があったからかも。


峠から管峰を登りだしたのが10時半、高ジョッキから下り着いたのは4時過ぎ。この季節は5時には暗くなる。王城山も管峰もガスに覆われだし、細かい雨も降り出してきたので丸岩は断念。まぁこちらはどちらかというと眺める山だしと自らを納得させつつ、登るとしたらどういう計画で来ればよいか、未訪のあの山と併せれば・・・とか考えつつ峠を後にした。

26 Oct 2022

群馬県長野原を再訪し、丸岩に登る。

吾妻線長野原草津口駅から須賀尾峠へ徒歩で上がり、2週間前に行き損なった丸岩を往復。駅から峠手前の丸岩登山口までは2時間ほど。丸岩往復は1時間。おおむね水平移動が多い道のりだけど、途中の岩だらけの部分は歩きにくくて困った。山頂はほとんど眺め無し。梢越しに眼下のダム湖が見えるくらい。

この日は浅間隠温泉に泊まる予定としており、須賀尾峠に戻ってもまだ午時、天気はよいし時間はあるし体力もまぁ残っているので高ジョッキを再訪することにする。山頂での展望は文句なし。遠方まで晴れ渡った本日は王城山、高間山の左後方に前回はまったく見えなかった草津白根が悠々と広がって爽快の極み。榛名山も赤城山も姿を現し、なにより明日登る予定の浅間隠山が遠望できて言うことなし。しかし本日最大の絶景はダム湖を足下に草津白根を背景として見下ろす丸岩の岩壁。なぜ2週間前に目に入らなかったのだろう。これを見るのは危ない場所を通過するところなので足下に集中していたのかも。本日はやや余裕ができたということだろうか。

須賀尾峠から1時間で浅間隠温泉郷の入り口。宿は鳩ノ湯温泉三鳩楼。ここの湯は優しく長湯ができる。館内は昔ながらの温泉宿らしい入り組んだ造りでなかなか楽しい。

27 Oct 2022

浅間隠温泉から浅間隠山を往復。

宿を6時に出て舗装道と林道併せて一時間半歩き登山口へ。途中にある滝ノ沢不動滝は岩盤を優美に滑り落ちるナメ滝で一見の価値あり。

山道の前半は沢沿いの、飛び石で流れを何度か渡るもの。とくに最初のが緊張する。山道の後半は尾根筋の急登。急登が終わると岩峰を細い踏み跡で回り込みつつ高度を稼ぐ。疲れたところに緊張を強いられる登高。

おだやかな稜線鞍部に出て安心すると、山頂までの北面登路は昨夜の雪が2~3センチ積もっている。雪自体は問題ないが、こちらも急斜面の地面が雪で滑りやすく気が抜けない。

山頂は評判通りの大展望。とくに上下左右に広い空間を占める浅間山が雄大優美。鼻曲山も意外と大きく見える。高低差が400メートルくらいあるので、榛名山は広いカルデラ部分を見下ろすにようになり、相馬山や三峰山などのピーク群が奥行きのある並びになっている。妙義の鋸歯状稜線は小さいながら明瞭。この調子で山々の名を上げていくときりがない。

眺めは言うことなしなのだが、二度上峠から人が次々と上がってくるし、裸地化した山頂は昨夜の雪で薄い泥地面となっていて腰を下ろすには落ち着かない。荷を下ろさないまま展望を堪能したのち、すぐに往路を戻って直下の鞍部で食事休憩とした。その後、温泉へと下山。3時過ぎ帰着。

30 Oct 2022

帰省中の岡山にて連れと操山を歩く。

本日は下山後に寄りたい場所があったため山頂と旗振り台をまわっただけで早々に下る。東山農場研究室の敷地脇ではサザンカらしきの白い花が満開だった。冬の花だと思っていたが、花期は10月からのようで、いま咲いていてもおかしくはないと知った。

明るいうちに街中の小さな本屋、”スロウな本屋”へ。長屋だった民家を改装した書店で、店主のかたが選んだ本のみが置かれている。玄関をあければ民家なので三和土があり、靴を脱いで店内に上がればまずは絵本の棚がお出迎え。奥の部屋には種々の書籍、最下段の棚は床に座り込んで背表紙を見る。手にとって頁をめくって本を選ぶ楽しみが再確認できる場所。


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