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16 Nov 2025
岡山帰省での最後の山として、蒜山高原南方の湯原温泉近く、別名湯原富士とも称される櫃ヶ山(ひつがせん)に登る。
この夏に大山に登るべく高速バスで米子道を通った際、湯原IC付近から空に向かって突き上げる形佳い三角錐の姿を見上げてぜひ登りたいと思った山。
旭川に沿う国道沿いの脇に真庭市が確保してくれているらしい駐車スペースがあり(市名で案内板が立っている)、ここに駐めて車道を上がる。集落脇の沢沿いに登山口があり、ここから緩やかに山道が続いていく。昨日の角ヶ仙、一昨日の皆ヶ山での「基本、直登」ではなく、山腹道を行くもので、登っている気はしないものの山を歩いている気は十分にする。山中には城郭には劣るものの畑地確保としては信じがたいほど規模の大きな石垣が何段もあって、いつ誰が何のためにこれをと驚嘆させられる。
一昨日のように朝から霧が立ち込めていたのも8時過ぎには大方上がり、頭上は青空。背後にいまだ朝霧を溜めている旭川の谷間と、その上に峰頭を並べる霰ヶ山、雨乞山、その間の963m峰が梢越しに見えてくると休憩ポイントとされる五合目は近い。
五合目は尾根が広く刈り払われて見晴らしがよいが、枯れて湿った草が一面に広がっていて腰を下ろしにくい。休むのであれば、その先の急登を頑張って六合目まで出れば心地よい草地が広がっている。そして登れば登るほど周囲の眺望も広く、遮るものがなくなってくる。
紅黄葉の彩りがあれば、笹原の広がる斜面もあり、1,000mに満たない山とは思えない高山感が漂う。九合目の草付きから見上げる山頂部は手前から笹原を広げてどこの高峰かと。広々とした山頂からは蒜山三山に大山まで遠望できて、櫃ヶ山は見ても登っても佳い山だと納得できる。
下山は周遊コースを行ったが、うってかわってこちらはややハードなコース。足元は登路の平坦で広いのに比べれば山道山道している。小規模ながら飛び石伝いでの沢の渡渉も何度かある。この山の多彩な表情、山深さを感じられるコースというものだろう。半日強の行程だが充実感を得られる山だった。
これで秋の岡山山行は終了。津山に宿をとって三日連続で山に登ったが、昨日の角ヶ仙で一組に出会っただけで、みな静かな山だった。どの山も山頂でゆっくりコーヒーが飲めた。
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