Preface/Monologue2016年 5月


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板小屋沢、石棚山稜へ
ここまでのCover Photo:板小屋沢、石棚山稜へ
1 May 2016

安全登山は当然心がけるべき事柄とはいえ、
TVの首都圏ニュースで、
山岳遭難が筆頭に流れるのはどういう意味だろうか。

かつてのトムラウシでのように、
大量遭難であればわからなくもないが、
そうでない場合はどうなのだろう。

きっと、その日は、ほかに重要なニュースがなかったのだろう。
もしくは、重要なものがあっても、流さなかったこともあり得る。
自主規制が悪しき流行りなので、ないわけではないかと。
2 May 2016

一昨日の山北の商店街で、懐かしいものを発見。



山中で舐めてました。
3 May 2016

高松山でだいぶ疲れたらしく、起きるのが遅くなった休日。
連休後半の遠出の準備。


憲法記念日。

どこぞの首相は、
国民の自由は国家が担保していると思っているそうだが、
思い上がりも甚だしい。

国民の自由は、国民が獲得してきたもの。
その自由とは権力に侵されない自由。
ワガママでも許可の獲得でもない。

国家主義者には、国民主権とは何か、再考されることを求める。
明治国家に戻りたいとは思わない。
6 May 2016

連休、赤城山を登りに。鍋割山と荒山。

登ったのはこどもの日、下界でも軒並み暑かったこの日、
山上もずいぶんと暑く。
とはいえ午後も遅くなると、風の冷たさが身に染みて。
改めて周囲を見渡せば、木々はまだ冬枯れ状態。
これで日が陰ってTシャツ一枚ならそりゃ寒い・・・


登る前日は前橋の美術館に。



券面の絵に惹かれて。実物も佳し。

田中青坪、絵を売らなくても生活できた人とのことで、
好きに絵筆を走らせていたらしく、
風景画に佳品が多いように思えるものの、
『孫』のような素っ頓狂なものも作製。

屏風の左隻から右隻にかけて樹木を描き、その右に孫と思しき少女。
ここまでは写実的ながら、なぜか右端にミロが描いたような人形、
それも孫より大きなのを。樹木と孫の関連も不明。
どういう趣旨なのか・・・。

美術館のアーツ前橋は、もとは商業施設だったとのことで、
元の形を残したままの改装は、なかなかお洒落。
機会があれば再訪したいところ。
8 May 2016

人によっては10連休の(自分は6連休)最終日、
竹橋の国立近代美術館へ、安田靫彦展に。


事前調査不足で、これは見たかったというのがすでに展示替え。
『花の酔』、『卑弥呼』、展示を逃したのは残念。

それでも、安田靫彦の絵を多数見て、清澄で気品のある作風に感嘆。
正直、古風な気がしていたが、歴史画が多いからそう思えただけ。

まず線が美しい。
『六歌仙』の”小野小町”、後ろ姿に広がる十二単の上、
腰を越えて流れる黒髪の曲線、まるでビアズリー。
『赤人』という絵に描かれた富士山、
黒い輪郭線と二条の幅広の沢筋のみ。あまりに簡潔かつ全く不足なし。

色彩の配置もすばらしい。
とくに色の使用を画面内で最小限に抑えたとき。
名品『黄瀬川陣』はその典型。
余白の大きな屏風に描かれた頼朝と義経の装束の鮮やかさ。

一方、画面一面を色彩が覆う『飛鳥の春の額田王』は、
赤と緑の対比で天平の華やかさを表して文句なし。

何度も聖徳太子と豊臣秀吉に対面(画家はこの二人がお気に入りらしい)。
『出陣の舞』で信長にも出会う。
よいものはよいと改めて思った展覧会。

 『黄瀬川陣』部分


さて、若冲を見に行く予定を立てなければ。
11 May 2016

若冲を見たくて予定休をとり、再び上野に行ってみたら、
今度は行列が美術館の裏にまで回って、しかも折り返している。
10時半で200分待ちとか。
諦めて帰る。

しかしそのまま自宅まで帰るのも癪なので、
新宿に出て自然に浸る。絵の中で。



樹木の表現、樹木への眼差しが、画家たちのなかで
どのように広がっていったのかを表すもの。

当然ながら古い時期の、木を木として描くものが、
見る分には安心感を与えるものの、
印象派以降の、いわば「描き方」に関する探究心溢れるものは、
対象というより描き手が前面に出てきて、
それはそれで面白くはある。

そのちょうど境目のところあたりにあるのが、
ヴァロットンの『オンフルールの眺め、朝』あたりか。
挿絵で有名なギュスターブ・ドレのロマン派嗜好溢れる
『嵐の後、スコットランドの急流』は、写実的ながら、
別世界を見ているかのような。


昨年9月も、同じ美術館でフランス絵画の展覧会を見ている。
そのとき同様、わりと地味な企画ながら、発見があって愉しい。
キュレーターの方はなかなか面白い視点を持っていらっしゃる。

主催者には残念かもしれないが、観覧者が少なく、
落ち着いて見て回れた。
やはり絵は、山と同じく、穏やかな気分で眺めたい。
15 May 2016

あと一ヶ月強で梅雨の時期に。
来月はEURO2016もあって夜更かしそうだし・・・
今月中にあと一回は山道を歩いておきたいところ。

とか考えながらこの土日は好天ながら山には行かず、
都内やら横浜やら出歩いただけ・・・

 横浜の”ジャック”
17 May 2016

国立西洋美術館が世界遺産になる見込みだとか。
建築家であるル・コルビュジエの作品を持つ7ヶ国の共同提案とのこと。
(最多は母国フランスの10件、他の6ヶ国は1〜2件。
日本は西洋美術館の1件)


よほど目立つものでなければ見過ごしがちだが、
建築物には面白いものが多い。
とくに美術館はたいがいそのもの自身が見て楽しい。

できれば外観だけでなく内部も撮影とかできるようになると、
もっと魅力を発信できるのではと思ったりもするのだが・・・
西洋美術館、ロダンの彫刻の置かれた1Fホールなど、
よく見ると狭いわりに雄大だと思う。


お墨付きが付かないものにも、よいものは多いと思う。
権威に頼るのではなく、自分の目でみつけられるようになれば、
街歩きも(山歩き同様に)楽しくなるだろうと思う。
21 May 2016

山のサイトなんだかアートのサイトなんだかわからなくなっている昨今。
例によって気にせず、
本日は東京都現代美術館(略称MOT)に行ったという話。

ここではピクサー展なるものを開催していて、
先日の若冲ほどではないにせよ、夕方になっても入館90分待ち。
館外に伸びる行列を尻目に、入ったのは”MOTアニュアル2016”。
現代美術の動向展というもの。

今年のは「鑑賞する」というよりは「考える」展覧会。

たとえば、何も展示がなく、
展示されるはずだった場所に説明書きのみがある一室。

 キャプションだけの展示台

それは頓挫した東京都の”平和祈念館”の幻。
収集した5000点もの資料が、桐の箱に入ってしまいこまれており、
提供者がせっかく提供したものが、常設展示されないままにあるという。

都は提供物の個人への貸し出しを行っていないらしい。
ということは提供者さえ見ることができないということだろうか。
体のいい押収になってしまっている気がする・・・
なんでそんなことになっているのだろうか。

などと。


東京都現代美術館は、今月末から、
改修を理由として長期休館するそう。

期間は明記されておらず。
このあたりが、公営施設の計画性のなさを感じさせる。
22 May 2016

体調やらなにやら芳しくないので、近場の軽い山に、と、三浦半島へ。
東逗子から乳頭山に登り、中尾根を経て森戸川に下り、長柄橋からバス。

中尾根は細かいアップダウンがあり、
南尾根と北尾根に挟まれて比較的静かで、
標高が200メートル程度の山域にあって山の雰囲気十分。

久しぶりの森戸川の渓谷、
かつて流域途中にあった土砂崩れはきれいさっぱり撤去されていて、
知らない人は全く気づかないだろうほど。

出た先の住宅地は、新築なのか建て替えなのか、
無国籍な住宅がほとんどになっていて、
かつての雰囲気とはまるで様変わり。ここはどこだ状態。
26 May 2016

本日だったか、
乗鞍岳に一泊二日で登るという番組をテレビで流していて、
最初だけ見たのだが、麓から上って肩の小屋に一泊、
下山はバスで、としていた。

下山はよいのだが、山頂部まで車道が延びている山域、
小屋から後はずいぶんと賑やかなのでは、と、
行く計画もないのに心配する。

麓から延々と一日がかりで上るコースは、だいぶ静かそうな気が。
撮影日が9月だったからかもしれないけれど。
28 May 2016

久しぶりに鎌倉へ。

段葛を辿って、鶴岡八幡宮の境内に入る。
(いつ来ても、白無垢の花嫁と袴姿の花婿の結婚式が執り行われている。)

おおぜいの観光客の間を抜け、
鎌倉国宝館で開催されている総持寺の宝物展にたどり着く。



閉館間際に行ったせいか、会期末ながら人の数は多くなく、
外の喧噪を忘れ、仏像や書画をゆっくり見て回れた。

棟方志功の十大弟子柵図屏風があったのは少々驚き。
こういうものも所蔵しているのかと。

仏像では、総持寺末寺にあたるという大船観音寺の秘仏、
観音菩薩立像がじつに温和なお顔で、姿態は優美、
眺めているだけで心癒される姿に、これだけでも来た甲斐があったかと。


帰路に脇を通った元神奈川県立美術館鎌倉館は、
野外彫刻が撤去されていて、殺風景な姿に。
美術館のために造られたものが、美術館でなくなったら、
何になるのだろうか。


この日、造り直された段葛を初めて歩いたのだったが、
驚いたことに、いままで土の道だったのが、すべて舗装されていた。
雨の日はよいだろうけど、風情もなにも。

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