Preface/Monologue2025年 1月


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下仁田の鏑川越しに跡倉クリッペの御岳を望む、左奥の三角錐は同じく跡倉クリッペの鎌抜山

ここまでのCover Photo:下仁田の鏑川越しに跡倉クリッペの御岳を望む、左奥の三角錐は同じく跡倉クリッペの鎌抜山

1 Jan 2025

謹賀新年
甘酒が飲みたい。参拝した寺社の境内で。


『紅白』はTHE ALFEEと米津玄師くらいしか見なかったのだけど、それでも十分。

前者、”星空のディスタンス”でのリードVocal、桜井さん69歳なのに、
声質声量が変わってない。驚異のひと言。生涯現役の真の見本。

後者、朝ドラ主題歌”さよーならまたいつか!"、スピンオフ短編ドラマに続けて始まる歌の終盤、主人公達がバックで楽しそうに踊る。

その様子、各自がいろいろあった先に得られるものがあった本編と重なって、
幸福な気分に。(さすがによねさんは踊らなかったみたいだけど)

3 Jan 2025

寒空の下、紙コップに注がれた甘酒を飲む。
包み紙を開け、湯気の立つ餡饅を食べる。

冬の愉しみ。

15 Jan 2025

上野の国立科学博物館で開催中の特別展『鳥』を観に。


会場入口の羽根を広げたクジャクのすぐ先で、恐竜の骨格標本が登場。鳥がいかにして恐竜から進化していったかが、年を経るごとに発達していく骨の発達具合からわかる。飛ぶための筋肉が付く骨が顕著となり、羽ばたきが可能となっていく。

後ほど出てくるダチョウの骨格標本を見ると、恐竜の骨の脇に置いておいても素人目には区別が付かないのではと思えるほど。実際、このダチョウの仲間は進化の系統樹からすると恐竜の祖先にかなり近いらしい。会場では説明はなかったようだが、このダチョウよりさらに大きな歩く鳥(ジャイアントモア、絶滅)など、出会ったら本当に恐竜としか思えなかっただろう。


会場には600点もの標本が展示されており、ヒクイドリとかフウチョウとかの珍しいものもあって見飽きない。猛禽類大集合のコーナーとかでは来館者がこぞって写真撮影していた。(動画とか以外は撮影可能。)

隣の国立西洋美術館は相変わらずモネ展で大行列だったが、こちらはすぐに入れた。とはいえ平日ながら参観者は多く、パネル展示も多いもののわりと多数の人が目を通していたようだった。フクロウの平らな顔は「顔盤(がんばん)」というのをここで初めて知った。集音器の役目を担っているらしい。

17 Jan 2025

箱根北方、洒水の滝と矢倉岳の間にわだかまる鷹落場に。本年の登り初め。


御殿場線山北駅から洒水の滝入口まで歩き、滝に向かう直前で右手に回り込むように生活道を上がっていく。狭く急傾斜になる林道を上って尾根筋に乗り、隣の大野山が低くなっていくのを冬枯れの枝越しに眺めながら植林の山中を進む。

ガイドマップで林道終点とされている地点には想像より立派なプレハブ小屋が建っていた。ここまで滝入口から50分とされていたが、1時間20分もかかっている。大して休んでいないので脚力が落ちたか、ガイドの設定が厳しめかだろう。小屋前は林道終点のはずが分岐して三方に伸びていた。

正面のを辿ればガイドで巻くことになっている目の前の近野山に登れそうだったが行かず、ガイドの通り右手の巻き道を歩く。途中が斜面崩落したらしく崩れやすい土砂の上に文字通り踏み跡だけが伸びる部分があり、やや長く歩くのでかなり緊張する。雨上がりの地盤が緩んでいるときなどは避けた方がよさそうだ。そのときはGPSを使って近野山を越えよう。


近野山を巻いた先でも荷造り紐が下がるくらいで行き先表示がまるでない。足柄峠や矢倉岳など観光客やハイカーが多数来訪する近所にあってこの山深さ感は特筆ものだ。山頂標識もほとんど無く、鳥手山と思って登っていた急傾斜の山がその先にある押立山だったりと、地図読み能力がまだまだだと思い知らされた。なぜわかったかというとここで初めて山頂標識を目にしたからだった。GPSを見ながら歩く人は現在地把握は悩まないで済むのだろう。

予想外に時間のかかった林道歩き、崩れやすい山腹道や現在地不明なルート、押立山への急斜面に気疲れしていた身に、押立山からの広くなだらかな稜線は心安らぐものだった。広く平坦な稜線のため足下には幅2メートルくらいに道筋を明確化するよう木の幹が並べられている。誰がされたのか、安心して歩けてじつにありがたい。


鷹落場へは左へ、南側に寄り道する。ここには分岐標識はなく、地形とフィールドサインからそれと察した。季節のせいか鹿のせいか、下草がほぼないなか思い思いに立つ木々の合間から富士山型の秀麗さを見せる金時山、裾野も優美な明神ヶ岳が大きい。箱根の山はどこか見た目が優しげに見える。少々心細い山歩きだったから余計にそう見えるのかもしれない。

本日二つ目の山頂標識が立つ最高点はそれはそれは寒かったが、年始めの山で湯を沸かさずに帰るわけにはいかないとばかりに大急ぎでコーヒーを淹れて飲んだ。春先の芽吹きの季節とかだと、見通しもまだあってのんびりできるのではと思う。

鷹落場から分岐に戻ってさらに進む。広かった尾根は徐々に狭まり、ヤセ尾根状の箇所もあったが概して歩きやすい。桂の木が群生する場所もあり、密集した枝が集まる樹影があたりに点在する光景は異世界感があった。


山伏平から足柄万葉公園を経て車も通る足柄峠に出て、御殿場線足柄駅に向かう。平日なので通勤ラッシュを避けるため遅く出たのだったが、そのため足柄峠に着いたところで夕方5時前だった。なので峠から下る途中で日が落ち、残照も消えた。久しぶりにライトを点けて車道を歩いた。走る車に一台も行き会わなかったのが落ち着けてよかった。

着いた足柄駅は驚くほどモダンな駅舎になっていた。木材を前面に出した造りで、山手線の高輪ゲートウエイ駅に似た感触だ。調べてみるとやはり設計者は隅研吾氏だった。

26 Jan 2025

奥武蔵の弓立山と雷電山に。


東武越生線越生駅から歩いて弓立山に登る。山道にかかるまでが長く、その後も車道を歩く。越生駅から山頂まで徒歩で行く人はかなり少ないのではと思うが、山腹は南面で暖かく、登るほどに展望もよい。

山頂部は広く、そこそこ人がいた。北側山麓に駐車場があり、そこに車を駐めて登って来る人がほとんどの模様。南から上がるのは主にサイクリストか。開けた一帯は砂礫地で木々がまるでなく、当然ながら展望はきわめてよい。とくに関東平野が広い。彼方に筑波山が霞む。展望はよいのだが風が強いこの日は時折砂塵が巻き上がり、あまり腰を下ろす気になれない(ベンチがほとんどみな埋まっていたというのもあるが)。足下に写真付きで山名が記載された説明板が設置されており、これを参考に荷を背負って立ったまま周囲の山座同定に精を出す。

北側の山道を男鹿岩を眺めて下る。南側がほとんど舗装道歩きだったのでやっと山の気がしてくるが時間は短い。下山先は車道が通る広い谷間で、雷電山にとりつく山道に入るために西進する。


女鹿岩公会堂を右手に見送ってしばしの民家脇から始まるヤブ道に入る(標識はなく、地図が頼り)。ヤブは最初だけで、歩かれていないせいかやや表面は不安定なものの道筋は明瞭で進むことに心配は無い。車道のエンジン音が気にならなくなったころ、日当たりがよく風もない場所で腰を下ろして食事休憩。誰も来ないので眺望皆無でも心落ち着く。

倒木で遮られている部分は適宜迂回し、登山道の三叉路に出て左を見れば奥に女鹿岩と書かれた標識が目に入り、急坂を上がって見事なクラックの入った岩塔を見上げる場所に出る。左手の滑りやすい斜面を登って眺め下ろしてみると、岩塔は本当に岩塔で、男鹿岩と異なり頂が地続きでない。一またぎで乗れそうだが岩の上はかなり狭そうなので無理はせず、岩を後にしてさらに高みを目指す。山腹車道に出てしばらく歩き、雷電山山頂へ。こちらは眺め無し。日の傾いたなかで一息ついて往路を山腹車道に戻る。そのまま静かな舗装道を辿って松郷峠に出る。


峠からはときおり車に出会いながら東武東上線小川町駅まで歩く。秋に奇祭のある神社、閉鎖されてはいるがちょっとした規模らしい鍾乳洞、レストラン併設の酒蔵など惹かれる場所が少なくなかったが、本日は時間切れ。次回にここを通る際には必ずいろいろ立ち寄りたい。松岡醸造での甘酒はぜひ。


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