Preface/Monologue2023年 4月


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小川町・栃本親水公園から笠山と堂平山を望む。目立つ建物は公園の休憩舎。

ここまでのCover Photo:小川町・栃本親水公園から笠山と堂平山を望む。目立つ建物は公園の休憩舎。

1 Apr 2023

今シーズン、わが川崎はなかなか勝てないなか、ようやくリーグ戦2勝目。札幌相手に4-3。なかなかの打ち合いだな…

タイセイが得点し、ミキとアキが加点し、瀬川が勝ち越し点を取ったのが感慨深い。ダミアンの出場も。

いまは移行期と理解。降格しなければよし。

2 Apr 2023

昭和新撰江戸三十三観音巡礼で駒込あたりを歩く。

訪れたお寺の一つに八百屋お七の墓所がある圓乗寺がある。手元にあるガイドに記載の写真ではつつましい本堂だったのが、行ってみると立派な4階建てのビルになっていてびっくり。都会の寺院は昔ながらの建物でないものが増えている模様だけど、ここもそうなったらしい。本堂は4階にしつらえてあり、エレベータで上がってご本尊に合掌する。受付の寺務のかたたちはみな対応が親切で丁寧。

寺は新しくなってもお七の墓は元のままのようで、ビル入り口前にある丸く小さな墓標は供花に埋もれていた。墓前に立つと感じるものは、少女への憐れみだけではなく、人間らしい愚かさへのいとおしさみたいなもの。そしてその愚かさを赦す人々の思いも、おそらくきっと。

5 Apr 2023

板東三十三観音巡礼の三十二番札所、千葉県いすみ市の清水寺へ。

千葉駅から始まる外房線、上総一ノ宮駅で乗り換えた列車は昼前だからか2両編成。車体は新型の洒落たものだけど、それまで15両編成の列車に乗ってきたので落差に驚く。乗り換えから10分で下車する長者町駅は駅名が青地に白字で書かれた看板に掲げられている昔ながらの木造駅舎。遠来の客にとってはじつによい感じ。

寺までは駅から歩いて一時間弱。鉄路の反対側に出て、左手に水を張った田んぼを見渡しながら丘陵地の縁を歩いて行く。さかんにカエルの声が響き、ときおり風が右手頭上の木々をざわめかす。車の通る車道から離れる区間は里歩きの愉楽そのもの。

車の往来のある通りに合流してしばしで右手に伸びる車道に沿った公園が目に入る。やや整備がなおざりになっている感のある施設はベンチも古びているし石畳にもコケが広がっていたりだが明るい日差しの下ではよい感じに落ち着いている。ようやく腰を下ろせる場所が見つかったのでここで軽めの昼食。

その公園にあるあずまや近く、森の中にはいっていく階段道が目に入る。気になったので辿ってみると、ほんの少しの登りで出たのは目指す寺への舗装された参道。清水寺は考えていたより大きな敷地の名刹だった。

扁額が見たことがないほど多数掲げられたお堂に参拝し、どこに向かうのか不明なお寺の奥に伸びるハイキングルートらしきや境内入り口にあった岬ダム方面への標識に心惹かれながら山門近くのカフェにはいって甘酒をいただく。ここでお茶請けに出された煎餅がことのほか美味しく、音羽煎餅なるお寺名物をお土産にした。

8 Apr 2023

青春18きっぷの最後の一日分を使い切るべく、日光へ、二社一寺を拝観しに。


小学生のころに二度、学生か社会人なりたてのころだったかに一度の合計三度(おそらく)、行った記憶があるけれど、陽明門と三猿と眠り猫くらいしか覚えていなかった。回ってみてあらためて、この絢爛壮大な寺社は繰り返し見るべきものだと。とくに東照宮。

陽明門にしても、予習した上で細部を眺めていると、”日暮らし門”の二つ名のとおりに一日中、とはいかないものの、だいぶ長いこと見ていられる。輪王寺の三仏殿、東照宮の拝殿、薬師堂の鳴竜など、人が集まったところで開催される説明も一つ一つ面白い。

宝物館のような建物の中には入らなかったけど、輪王寺(大猷院含む)、東照宮、日光二荒山神社を回るだけで半日以上かかった。行きは日光駅から神橋までバス、帰りは駅まで歩いた。駅に着いたら目の前で電車が出て行き、次は50分後とあって、土産物選びに必要以上に時間を割けた。


札所巡りも含めて近ごろは寺社巡りばかりしている。歩く筋肉は使っているものの、登る筋肉は衰えそうな。そろそろ山に行かないと。

9 Apr 2023

ビル・ナイ主演の映画『Living』を観る。

黒澤明『生きる』のリメイク。幸か不幸か原作を見ていないので物語を初見で経験できる。死んでるように生きていることから目覚める主人公。

きっかけはともかく、それ-目覚め-は素晴らしいことだ、しかしそれは長くは続かないし、感銘は忘れられ、痕跡は消えていく。
しかしそれでも、それが素晴らしいことは変わりないのでは?揺れるブランコがそう言っている気がする。

11 Apr 2023

映画『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』を観る。

大方の人が「スペース・オディティ」で始まるのではと思ったのでは。しかしほぼフルで流れる最初の曲は「ハロー・スペースボーイ」。初期の曲か?と思ってたが、帰宅後調べたら売れ行きの思わしくなかったアルバム「アウトサイド」所収のものだった。コアなファンは大喜びしたのだろうかと。

こういうレベルのボウイfanにとっては、スパイダーズ・フロム・マースを従えたライブ映像が大迫力で嬉しいものの、熱気あるライブ映像が減り出す中盤から飽き始める。これで終わりでは?と思えるところが2、3ヶ所。「Rock'N'Roll Suicide」がかかって”Wonderfull!"と鳴り響いたときとか。

エンドロールに流れるのが「チェンジス」なのはさもありなんと。でももう一ひねり欲しかったかとも。

14 Apr 2023

三峯神社へ。奥宮の妙法ヶ岳にも。


平日だから空いてるかと思った朝一の西武秩父駅発急行バス、おそらく土日と変わらず立ち客を出して出発し、途中の停留所に一切停まることなく-誰も乗らないが誰も下りない-一時間半かけて1,100メートルの山上へ。座れたから良かったものの、立ちっぱなしだと歩き出す前から疲れそうな。


門前のお土産屋周辺は遅い春の盛り。ユキヤナギやボケやツツジ、シャクナゲまで咲いている。谷を隔てて見上げる先に広がるのは和名倉山の膨大な山体。山頂に焦点を合わせると全体が視野に入りきらない。

三峯神社は初訪。拝殿本殿はともに豪華。境内は予想以上に広く見るもの多し。摂社末社も多い。大きいのは拝殿ともども軒先の彫刻が見事。参拝ルートを脇にそれた先には奥宮揺拝所があり、これから辿る妙法ヶ岳が深い谷からせり上がっている姿を間近にできる。


妙法ヶ岳は神社から一時間ほどで最高点に着けるが、山頂である奥宮に近づくにつれて足元は厳しくなる。ジュラルミン製の橋やら階段は、かつてはどうだったのだろう。おそらく長いこと変わっていない山頂直下のやたら急な石段は、自分が降りるときより人が降りてくるのを見るほうが怖い。

奥宮境内そのものとなっている山頂は狭く、そこそこ人が来るので長居はできない。静かに休憩したかったので神社からの往路をそのまま戻らず途中から雲取山方面に向かうコースに入り、誰も来ない日だまりの尾根筋で和名倉山を眺めながらコーヒーを淹れた。


下山はバスには乗らず、表参道を大輪に下った。お助け小屋だったのではと思える家屋や、かつての女人堂跡、小さいながら趣のある滝、参道の並木らしい巨木の数々など見所の多いルートだったが、なにより目を惹くのは見上げる妙法ヶ岳の姿だった。稜線直下に岩壁を見せて屹立している。表参道上部から見ると峻険さが際立ち、とても1,300メートルを超える程度の山には思えない。まずこの山が神格化されたのではと思えるほどの神々しさだった。

下りた先の大輪バス停には一時間に一本くらいのバスがあと数分で来るというタイミングで到着した。長年稼働していたロープウェイが廃止されて大輪の店や宿はみな廃業したように見える。表参道入口なのにと残念に思えた。

15 Apr 2023

J1、川崎-名古屋、1-2。川崎、勝てなくなったなぁ。

まぁ前半の出来がアレならば。速攻はPAで急ブレーキ。ダイレクトプレーもスペースへの球出しも少ない。止まっている足下へのボールばかり。シュート2本、枠内0って。名古屋のサッカーを見ている方が楽しいってどういうこと?

後半、選手交代を繰り返す中で以前の動きを多少は取り戻し、見て楽しいものにはなってきたけど、勝てないことに変わりなし。今年度はJ2降格が1チームだけなのでまず大丈夫とは思うものの、これだけ負けが多いとひょっとすることもあり得るかも。

タイセイの面構えがイイ感じになってきたこと(点も取ったし)、シミッチの見事な斜めのクロスが何度も見られたのが本日の主な収穫かな。負けたけど、交代で入ったシミッチの活躍は感動モノ。

17 Apr 2023

武蔵五日市周辺の寺社巡り。

主なところでも、大悲願寺、正一位岩切神社、阿伎留神社、広徳寺、子生神社、光厳寺、三島神社と廻る。やはり歴史ある地域には寺社が、それも見応えあるものが多い。かつ都会にあるものに比べて霊性が高そうに思える。木々が、それも立派なのが多いから。

高度なピアノの演奏に接することができたり、つい昨日まで公開されていた本殿をご厚意で見せて頂いたり、行く先々で僥倖としか言えない出会いがあった。五日市近辺はやはりよいところ。

21 Apr 2023

週初に出向いたばかりの大悲願寺(@あきる野市)を再訪。重文の指定も受けている「木造伝阿弥陀如来及脇侍(千手観世音菩薩・勢至菩薩)坐像」の、年に一度の御開帳を目にしたくて。


御開帳は21日の11時と15時、22日の13時と15時。11時の回に立ち会うべく1時間近く前にお寺に着くと、普段は閉じられている観音堂の格子戸が開け放たれ、日頃は目にすることができない堂内が窺える。とはいえ尊像はまだ緞帳の向こう。お寺の関係者のかたがたが立ち働くのを眺めつつ、入室許可が出るまで季節外れの夏日の日差しを避けて日影で待つ。

所定時刻少し前に内部に招き入れられる。三間ある奥行きの手前一間幅三間の外陣に参拝客が座したところで老師がお話を始められ、内陣の奥、幅一間もある重厚な厨子の緞帳を引かれる。伝阿弥陀如来、千手観音、勢至菩薩の座像はみな柔和で品のある少年のような顔立ち。平安時代末期の作と推定されているとのこと、800年以上に渡って静かに瞑想し続けるかのような尊顔を眺めていると、しばし俗世の憂さを忘れる。


11時では十数人くらいだった参拝客が、老師の話が終わる昼前ころには外陣に入りきらない人が回廊で立ち見するほどになっていた。関係者のかたの言を小耳に挟んだところによれば、午前と午後の二回ある御開帳では午後のほうがひとが多いらしい。きっと観音堂の回廊に人だかりができるのだろう。

内陣にも入って三尊を間近に拝むこともでき、外部同様に意匠を凝らした堂内の彫刻も見て回れた。大般若経の転読も行う護摩供養も見てみたかったのだけど、こちらは午後二時からとのことなので間がありすぎたため、来年以降の楽しみとした。


なお、老師の話によれば、阿弥陀如来が”伝”とあるのは通常であれば結んでいる印が異なるためだそうな(本来であれば阿弥陀定印(と言われていたはず)なのだけれど、実際には大日如来のような法界定印)。しかし脇侍が形式通りに観音様と菩薩様であり、如来像の光背上部の梵字が阿弥陀如来のものである”キリーク”であるため、「阿弥陀様とされている」ということらしい。

22 Apr 2023

山と高原地図も値上げ。

2014年から9年間、本体価格が1,000円だったのが、今年度から1,100円。値上げラッシュがここにも。

古いのを見てみると、2009年から6年間、900円。その前は800円。それ以前は・・・。

「1,000円」の価値がだいぶ下がっていることを実感する昨今。

25 Apr 2023

鎌倉へ、円覚寺に詣で、六国見山と天園ハイキングコースを歩きに。お寺には外国人観光客がちらほら。インバウンドは確実に復活している模様。

六国見山は大船高校近くの北口から登る。北鎌倉駅から山の反対側に出るので舗装道歩きが少々長い。土の道に掛かると、それまでの住宅街の眺めから打って変わって見通しのよい林の中となる。南登山口からよりは長く歩けるものの、それでも10分足らずで展望台に着いてしまう。

前回訪問時と同様に稚児の墓から山頂へと歩き、明月院通りへと下っていく途中で左脇に延びてくる舗装道に出た、のはよいものの、再び山道っぽいのに入るところを見落とし、そのまま広い舗装道を歩き続けて今泉の住宅街に入っていってしまった。延々と歩いてようやく今泉台六丁目公園に着き、覚園寺への分岐に上がってハイキングコースに合流した。

平日午後の下り坂天候だからか山中は人影は少なかった。午なのに六国見山展望台は誰もいなかったし、ハイキングコースで出会ったハイカーは10組程度だった。

じつは先頃、右腕と背中に神経痛が出てしまって治らないので、今回の鎌倉は様子見の山行だった。結果は芳しくなく、湯沸かし道具も入っていないのにザックを背負っててときおり苦しい。鎌倉の町中では左肩に半掛けにしていたときもあった。これを書いているときも背中や腕が痛い。困ったものだ・・・。

27 Apr 2023

国立新美術館の『ルーブル美術館展』に。テーマは「愛を描く」とのことだが、展示のサブタイトルが出だしから「欲情-愛の眼差し」とか、「暴力と魔力-欲望の行為」とか、随分と愛の定義が広いものだなと。

今回の展示の目玉はフラゴナールの”かんぬき”やジェラールの”アモルとプシュケ”あたりなのだろうけど、以前にも見たことがあり、日本のキュレーターに人気が高いのか、ルーブル美術館としては貸し出しやすいのか、それとも両方か。ケインズバラの「庭園の語らい」も同様。虚ろに見えるプシュケの眼差しが好みではないジェラールの絵はともかく、フラゴナールの作品は単純そうな画題に見えてじつは複数の解釈を許し、時代を考えればかなり大胆に思える象徴表現を前面に出してもいる。「ぶらんこ」製作者のフラゴナール、ただ者ではない。

ブーシェが4点、「アモルの標的」、「プシュケとアモルの結婚」、「アモルを支える三美神」、「褐色の髪のオダリスク」、微熱が溢れているような特徴的な色使いと丸っこい人間の顔立ちがこの画家の特徴。”結婚”では神話に則り息子アモルの嫁プシュケから顔を背ける母ヴィーナスを描いていて、古今東西、嫁姑問題は普遍的かと。

28 Apr 2023

神経痛を和らげるべく痛み止めを飲んで江戸三十三ヶ所観音巡礼へ。伝通院に護国寺を拝観する。どちらも江戸を感じるお寺だった。

伝通院にある徳川家康の母の墓、予想以上に墓石の五輪塔が大きい。見上げるほど。豊臣秀頼の正室であった千姫の墓もある。こちらも大きい。戦国時代から江戸初期がここにある。畳敷きの外陣は広く、しばらく腰を下ろして休憩させてもらった。

護国寺の本堂、元禄時代に建立されたという建物内部は広い内陣に仏像が居並び、外陣の天井には天女が8人も舞う。境内は広く、本堂脇には塀と門とで仕切られた広い区画の墓地が並び、そのうちの一つは大隈重信の墓だったりする。手前には背の高い石造の鳥居まで立ち、裏には早稲田大学と彫ってあった。


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