第23便・・・「ウィーンのこれなあに?」解決編

まず先に、写真館3839ページ「ウィーンのこれなあに?」をご覧下さい。
その方が一層面白くなりますから!

 ええ。よく見てくださればわかるようにこれは消火栓ですね。ただ後ろの建物とのあまりに一体化した姿に思わずパチリとシャッターを押しました。建物を消火栓にあわせたのか、消火栓を建物にあわせたのか。そしてこの消火栓、実際は消火ばかりでなく道路の清掃にも使われていますし、公園の消火栓は、撒水にも大活躍していますから、もっと一般名称で水道栓と呼ぶべきかも知れません。
 これは何でしょう。日本ではあまり目にしない箱ですね。
 ヒント:周りには小さな石がいっぱい散らばっていました。
 これは私自身、今だに「これなあに?」と思い続けている物です。置かれている場所が小道の傍ら、並んでいる建物のひとつがちょっとひっこんだその片隅ですから、馬車をちょっと停めるために馬の手綱をかけるのかとも思われますが、それにしては下すぎますし、このトゲトゲはもっと他の用途が有藤に思えます。どなたかおわかりの方がいらっしゃいましたら、是非こちらまでメールいただければと思います。
 マリアヒルファー大通りの歩道に置かれた水飲み場です。ウィーンの水はおいしい!です。ウィーンにいらした方はワインやビールだけでなく、水道水も是非飲んでみて下さい。この水道水はウィーン市が自慢するもののひとつです。1873年、118キロ離れたアルプスの高原から上水道を引く事に成功しました。その結果、今でもウィーン市の水道水はアルプスの水が使われています。しかも、この美味しい水は人間達だけのものではありません。写真をもう一度ご覧下さい。この水飲み場には下の方にちゃんと鳩や犬たちのための水飲み場が作られています。
 これはバリジリスケンハウスと呼ばれる建物に書かれている壁画です。この家には、その昔怪獣が棲んでいた井戸があります。怪獣の名前は「バジリスク」猛毒の息を井戸に吐き人々を苦しめていました。1212年のある夏の日、勇敢な若者が大きな鏡を手に井戸に下りました。怪獣は鏡に映った自らの姿に驚き自分で自分を睨み殺してしまったそうです。ウィーンにはこのような壁画のある建物がいくつも残されています。折を見て他の壁画もご紹介したいと思います。
 これもまた「これなあに?」マークの写真です。聖人像はいいとしてその右に置かれた高足の盤の用途は不明です。水盤のように上部は窪んでいますが、聖水盤にしては背が低すぎます。また水の蛇口もないので水をためるのであればどこかから運んでこなくてはなりません。どなたかおわかりの方がいらっしゃいましたら、是非こちらまでメールいただければと思います。
 ウィーン市街の古い住宅の多くは道路に面して大きな扉がありそこが建物の住人達の共同の入り口になっています。入り口の重いドアを開けると、そこは両脇の住宅や中庭への通路になっています。その通路にこのような水場が設けられていることがよくあります。ところがこの水場、水道の位置も低いし、流しにあたる水盤は人の膝くらいです。顔や手を洗うには低すぎるし足洗い場にしては高すぎます。この水場の用途は何だろうと考えていましたが、考えてみればこれらの家が建てられたのは150年も200年も前のことです。その時代全ての家に水道があったわけではなく、ここが共同の水場で、人々は自分の家まで大きな桶や水差しで水を運び上げていたのではないかと思います。そう考えると流しが低いのも納得が行くのですが、いかがでしょう。
 これが何かすぐにおわかりになりましたか?ここは地下鉄の入り口です。そして地下鉄の構内は禁煙です。そう、これは大きな灰皿なのです。灰皿には小石が敷かれ、たばこの吸い殻は1週間に1度位の頻度できれいに掃除されます。「禁煙」と仰々しく書かない辺りがニクイ。そのかわりホームの掲示板にはウィーン交通局が智恵をしぼったユーモアあふれる「無賃乗車の101の言い訳」と一緒に、「構内禁煙、違反の場合は罰金160シリング」という掲示が張り出されています。オーストリアでは煙草に関して比較的寛大でレストランやカフェでの分煙も進んでいないのですが、灰皿のおかげか掲示のおかげか、地下鉄の駅で煙草を吸っている人はほとんど見かけません。
 地下鉄の駅前や人通りの多い街角にはこのような新聞の看板がぶら下がっています。これはただ新聞の宣伝をしているだけではありません。新聞の無人販売なのです。看板の下にはちゃんとビニール袋があり、毎朝そこに新聞が「配達」されます。新聞が欲しいときはビニール袋から自分で勝手に取り出して料金を上の丸い缶にチャリンと入れます。こうした無人販売が続けられるということは料金の回収がそれなりにきちんとできているということなのでしょう。ウィーンの地下鉄やバスの改札制度といい、この無人販売といい、人々の誠実さを前提にしたこうした仕組みがずっと続くといいなと思います。
 この道路標識の意味が分かりますか? 初めてこの標識を目にしたのはカフェバーやパブが軒を並べる小道が大通りとぶつかる所でした。場所が場所でしたから「客引き禁止」といった類かと思いました。もちろんこの裏側は男女が連れ立って歩いている図です。ところがこの標識はシュテファン寺院の広場のはずれにもあります。そしてその裏側には「車進入禁止」の赤丸に斜線のマークがありました。この標識は「歩行者専用道路終了」のマークだったのです。
 この計りはウィーンの街角、バス停や市電の停留所に置かれています。150sまで計れる計りでしたし、恐らく体重計だろうとは思いましたが、何のために街角に置かれているのかは長い間の疑問でした。ようやくグラーツにすむ友人Mから納得のいく答えが得られました。
 以下彼との会話を和訳します。
Y「バス停や市電の停留場にあるあの計りは何をはかるんでしょう。」
M「それはもちろん人間の体重ですよ。」
Y「でも人前でなんて私は計りたくないし、実際に計っている人も見たことないんですけど。」
M「あれはキャンペーンの一環だと思いますよ。数ヶ月前にも、健康のために体重を減らしましょう。というキャンペーンがありましたし。」
Y「でも数ヶ月前じゃなくて、去年からあったように記憶していますよ。」
M「そういえば、僕の子供の時にはグラーツにもあったな。で、そのころは体重計なんて個々の家庭にはなかったから、駅や人の集まる広場に体重計が置かれていたんだと思いますよ。」
Y「なるほど。でも今は家庭でも簡単に体重計を買えるでしょ。それに人前で計る必要は全くないのでは?」
M「うん。でも停留所に置いておけばバスや電車の待ち時間に計れる。そして毎日同じ時刻に同じ状態で計れるから体重の変化がはっきりわかるじゃないですか。」
Y「あ、そうか」
 というわけで、納得したのですが、いかがでしょう。
 これは駐車場に置かれています。場所はアルトドナウの水上スポーツセンターの駐車場。まだ薄氷が張っているような寒い日だったため、人影はありませんし、車も一台もとまっていません。駐車場にこの奇妙な形のものがぽつりぽつりと置かれているのを目にして近づいてみました。するとこれは太陽電池で動く駐車券自動販売機だったのです。
 「ウィーンの小道その2」に登場するレストラン、グリーヘンバイスルの入り口にあります。足下の金網の下から灯りがもれるのでふと目をやると、小銭がたくさん散らばっています。しかもよく見るとコインばかりでなくお札も投げ込まれています。さてこのお賽銭?だれに捧げられていると思いますか?それは・・・やっぱり見てのお楽しみということにいたしましょう。
 クリスマスの季節には軒先にこんなものがぶら下がっているのを目にします。これは宿り木です。真冬、木々が葉を散らした後も青々とした緑の葉を茂らせている宿り木は、生命の象徴として尊ばれています。そしてクリスマスには魔よけの意味で扉の上に飾られるわけです。この宿り木を飾る習慣は、もともとはケルトのもので、本来は新年を迎えるために各家の扉に飾られた、いわば、ケルト式「門松」だったそうです。
 椅子や地面の上に置かれた紙に何が書いてあると思いますか?オペラの出し物の名前と切符の枚数です。これはオペラ座立ち見席券売り場のドアの前の光景です。このようにあらかじめ椅子を持ってきてその上に紙を置いておく人もいれば、重しを入れた箱の上に紙を貼ったものを置いている人もいます。立ち見席券の発売自体は開演の1時間前なのですが、朝からこうした形での順番取りが始まっています。こうして確保した順番は、売り場のドアが開かれ行列が移動するまでに現れさえすれば有効という約束が暗黙のうちにできているようです。
 この黒いワンちゃんはいつも道路に寝そべっています。「ウィーンの小道その2」をご覧になった方はこのワンちゃんがどこに寝そべっているかご存じですね。
 そしてこちらにいらっしゃるのは...このつやつやと美しくブラッシングされた姿を見たら、ああ、そうか、なるほど、と思いあたりませんか?詳しくはこちらをどうぞ